料理
ご飯が炊き上がった頃、ちょうどお母さんが起きてきた。
「お母さん、よう眠れた?ご飯食べる?」
ご飯を炊くことを忘れかけていた、と言わずに聞いてみる。
「よく寝れたよ、横になっていたらいつの間にか寝てしまうな。ご飯は食べるわ。由真も一緒に食べるやろ?」
「うん、お母さんと一緒に食べる。じゃあ座って、用意するから」
そう言ってから、おかずを温めている最中に、ご飯をよそったりお箸を準備しながら
「インスタントの味噌汁作る?」
聞いたりもした。
「そうやな、作ってもらおうかな」
「うん、分かった」
お湯を沸かている間に、お碗を用意し味噌汁の元を入れる。
それをずっと見ていたお母さんが
「随分、手際がよくなっているな」
感心したようで、褒められて嬉しい。顔がにやつく。
これはますます、ご飯を炊くのを忘れかけたことを、黙っとかなあかんな。
私は上機嫌で、出来上がった晩御飯を次々にテーブルの上に並べた。
「これで食べれるで」
そう言ってお茶も出す。
「ありがとう。じゃあ、食べようか」
私が椅子に座るまで、待っていてくれたお母さんと一緒に
「「いただきます」」
声を合わせてご飯を食べ始める。
「久し振りの、まともな食事や。おばあちゃんやっぱり、料理上手やな」
私が食べながら言う。
「まともな食事って・・・お母さんが入院している時、晩御飯はどんなの買っていたん?」
お母さんが聞いてきた。
「日替わりで、昨日はこれ食べたから、今日はこれ。という感じで、毎日弁当選んでいた。お父さんから、毎日弁当のお金決められていたし、その金額以内で弁当選ばなあかんかったから限られんねん。そうやから厭きていたけど、食べていたよ。でもな、お父さんが休みの日には、すき焼きとか、カレーとか、お好み焼きも作ってくれた」
「そうなんや」
「そうやで。あのな、お母さんが家にいるんやから、明日からは簡単な料理作ってもいいやろ?」
「かまへんよ。むしろお母さんから由真にお願いしたいわ。これからも安静生活やから、ご飯作られへんし、毎日弁当は嫌やしな」
ほんまに、嫌そうな顔で言うから笑ってしまった。




