ご飯
それからまもなく、おばあちゃんは自分の家に帰っていったんだけど、帰る前に『生まれてくる赤ちゃんも、同じ誕生日がいいなんて変わっている』と言われたのが、気になった・・・
「変わっているんか?」
おばあちゃんが帰るから、見送りに行った玄関で独り言が思わず出てしまう。
変なのかな?自分ではそうは思わんけどな。
赤ちゃんと同じ誕生日なんて、いいと思うんだけど・・・干支が同じなんだから、誕生日も同じがいいと思うし・・・
「他の子はそう思わんのかな?」
1人でブツブツ言いながら、お母さんがいる部屋に向かう。
部屋のドアを静かに開け、部屋の中には入らずに小さい声で話しかけた。
「お母さん。起きてる?おばあちゃん帰ったで」
「ん、今起きた。おばあちゃん帰ったんや」
かすれた声で返事をしてくれる。
「うん。それからおばあちゃん帰る時、玄関まで行って見送った」
私は部屋の中に入り、お母さんが寝ている横に座り込んで話しかける。
「そうか、ありがとうな由真」
「それから、おばあちゃんが持ってきてくれたおかず、後で温めるから一緒に食べような」
お母さんは私の顔を見て、笑いながら
「由真と一緒に食事するの久し振りやな。おばあちゃん料理上手やし、今日のおかず楽しみやわ。でも晩御飯食べるまで、もうちょっと横にならさせてな」
そう言うとお母さんは又、目を閉じた。
「うん、分かった。それまで学校から出された宿題と、見たいテレビ番組があるからテレビ見て待っとく」
それを聞いたお母さんは、目を閉じたまま右腕を布団から出し、バイバイと手を振る。目を閉じているお母さんには見えないけど、私も笑いながら右手をバイバイと振って静かに部屋を出た。
1人で留守番するよりも、お母さんがやっぱり家におってくれた方がいいな、安心するし、つくづくそう感じた。
宿題を終え、居間でテレビを見て気が付くと18時30分になっていた。
そろそろお母さんに晩御飯食べるか聞かなあかんな・・・と思っていると、何かしていないことに思い出す。でも『何か』がなんなのか思い出せない。
なんだろ。何かしなあかんねん。台所へ行ってウロウロ歩いていると、炊飯器が目に入った。
そのとたんに、ご飯を炊いていないことに気が付いて、慌ててお米を出し、炊く準備を始める。
やばかったわ。おかずがあってもご飯がないんじゃ、あかんやんか。ほんまは、お米を研いてから水に浸ける時間が必要なんやけど、今日は仕方が無い。水に浸す時間もないし、それに早く用意しないといけないから、などと自分に言い聞かせ、早炊きのボタンを押した。
気が付いて、ほんまによかった。
安心して、ため息を吐く。




