弁当
お母さんから嬉しい報告があったその日の夜は、眠たいのを必死に我慢して、お父さんの帰りを待つことにした。
お母さんから報告された話を、お父さんに話したくてね。
でも、お父さんを待っている間にも、目蓋が自然と閉じて寝てしまいそうになる。
布団に入っていたら、間違いなく寝てしまうので、椅子に座ってテレビを見ながら眠気と戦っていると、玄関の開く音が聞こえた。
帰ってきた!
慌てて玄関まで行くと、私を見てお父さんが驚いた顔をしている。
「まだ起きていたんか」
「お帰りなさい。あんな話があって、待っててん。あのな・・・」
私が話そうとすると、お父さんが話を止めるように言った。
「分かったから、でもな弁当食べながら聞くから、飯食わせてくれ。腹が減ってるから」
それもそうだと思い、台所まで戻ると、お父さんがすぐにお弁当を食べだした。
私はその前に座り、もうすぐお母さんが退院するかもしれない話をしたら
「その話なら、お父さんの携帯にメールが送られてきたから知ってる」
だって。
・・・眠いの我慢して、待っていた私は一体なんだったんだろう。
体の力が一気に抜けた気がする。
私が無言でいると、お父さんが話し掛けてきた。
「もうお母さんが入院せんと済むように、家事しなあかんな。今度は、お父さんもちゃんとするように、するから」
お父さんの口から、意外な言葉が聞けてビックリした。
「正直言うとな、由真がいくら1人で大丈夫やと言っても、やっぱり心配なんやで。それにもう弁当厭きたしな」
「・・・弁当厭きたのが一番の理由やろ」
すかさず私が言い返すと、お父さんは苦笑いした。
「でも、お母さんが退院してもまた安静生活やろうし、弁当のままやで」
「そうやけど、お母さんがおったら由真が簡単な料理作れるやろ?それだけでも違うからな」
確かに、お母さんから1人の時はガスを使うことを、禁止されているから料理はしていない。
お母さんがいたら、ガスを使えるから料理ができる。
私が黙っていると
弁当を食べ終えたお父さんから、明日も学校行くんやから、早く寝るように言われた。
「分かった、もう寝る。お休みなさい」
椅子から立ち上がり、お父さんとお母さんが(今は私だけどね)いつも寝ている部屋に向かう。
部屋に入ると布団に入り、寝ようと目を閉じた。
「あ、胎動のことお父さんに言うの忘れた」
真っ暗な部屋に私の声が響く。
・・・ま、いいか。
明日も、お母さんに会いに行って、点滴抜いた後の体調具合とか聞かないと・・・
そんなことを考えていたら、いつの間にか眠ってしまった。




