お寿司
お母さんが入院して3日目。ゴールデンウィークに入った。毎年、お母さんの実家である田舎に行っていたんだけど、今年はやはり行けなかった。
ゴールデンウィークの休みは、お父さんも私も4日間休み。ゴールデンウィーク初日の朝は、お父さんと一緒に家の掃除をしたんだけど、全部の掃除が終わったのは夕方だった・・・。
さすがにお父さんも私も疲れて、床に寝そべっていたら
「今日は晩御飯を作る気にもなれないから、お母さんに会いに行ってから、そのまま食べに行こう」
お父さんが急に言い出した。
やったね。外で食べるの久し振りだ。
「じゃあ、お寿司がいい!!」
「寿司!?・・・いいけど回転寿司な」
「いいよ」
「じゃあ、出掛ける用意しろ。もう行くぞ」
「は~い」
疲れていたはずなのに、急に元気になった私を見てお父さんは笑っていたけど、私の頭の中は寿司を食べることでいっぱい。
お母さんの病室にお父さんと2人で入って、家の掃除のことを報告したら
「ある程度は想像していたけど、どんだけ汚かったんよ・・・」
お母さんがあきれた顔で言った。
「でもねすっごく綺麗になったんだよ!」
「1日かかって掃除して、それでもまだ汚かったらお母さん怒るよ」
「綺麗になったからいいやん」
「あのね。出した物をすぐに片付けたら、そんなに汚れないの!」
お母さんの声がだんだん怖くなってきた。やばい話を変えなきゃ。
「それでね、今からお寿司食べに行くんだよ。ねお父さん」
お母さんのベット横にある、テレビを見ていたお父さんに話をふった。
「ああ、由真がお寿司食べたいと言ったからな。回転寿司連れて行こうと思って」
「お寿司かいいな。お母さんも食べたいわ病院では出ないねん。久し振りに食べたいな」
お母さんの怒りがなくなって、ほっとする。
「妊婦さんて、生魚食べるのあんまりよくないってお母さん前に言っていなかった?」
「そうやねん。看護師さんから、なんで食べない方がいいか説明されたんやけど、よく覚えてないんやけどな。あかんらしいで」
お母さんが笑いながら言う。
「でも由真がお腹にいる時は、そんなこと知らなかったから、お父さんと2人でお寿司食べに行って」
「そうそう。でも家に着くなりお前『気持ち悪い』とか言ってトイレに入って吐いたな」
「そうやで、お父さんそれを見て『もったいない』とか言ったんやで。信じられへん」
お父さんも笑いながら話してくれる。
私がお腹にいてる時、そんなことがあったんや。今まで話してくれなかったから、知らんかった。
ベット横に置いてある、お母さんの携帯の時間を見たら18時を過ぎていた。
通りでお腹が空くわけや。
「お父さん、もうそろそろ行かへん?お腹空いた」
お父さんは自分の腕時計を見る。
「そうやな、行くか。また明日も来るからな」
「じゃあ、お母さんの分まで食べてくるから!」
2人立ち上がってベットから離れた。
「はいはい。じゃあね」
お母さんが笑いながらベットに横になったままで、手を振って見送ってくれた。




