一夜明けて
お母さんが2回目の入院をして、初めて1人で夜遅くまで留守番することになった初日は、お父さんが帰ってくるまで頑張って起きていたんだけど、眠くて眠くて仕方が無かったから布団に入っていたら、いつの間にか寝てしまっていて、起きたら朝になっていた。
台所へ行くとお父さんはもう食パンを焼いて食べている。
「お父さんおはよう」
目を擦りながら挨拶をした。
「ああ、おはよう」
それから昨日、お父さんが帰ってくるまで起きていたけど、いつの間にか寝ていて、起きたら朝になっていたことを話す。
「それで由真の部屋の電気が、点けっ放しやったんやな。お父さんが消したんや、これからはもう起きて待っていなくていいから、先に寝ときなさい。それからこれ」
お父さんはそう言うと千、円札を私に差し出した。
「なんなん、このお金?」
「晩御飯のお金や、お父さんの分のお弁当も一緒に買っといて。お弁当の種類は由真に任せるから」
「ああ、分かったわ」
「それからな・・・おばあちゃんに言ったやろ、お母さんが家で安静生活を過ごしている時のこと。昨日、夜遅くに電話掛かってきて、えらい怒られたわ『あんた、何考えてんの!?』」
「言ったよ。事実やんか」
「言って欲しくなかったな・・・」
お父さんは眉間にしわを寄せて、目をつぶりながら肩を落として私に言ってきた。
「だって、ほんまのことやもん」
「それはそうなんやけどな・・・」
コーヒーを飲みながら、ため息をつくお父さんを見て、私は笑った。
そんな私を見て嫌そうな顔をするお父さん。ますます私は笑顔になる。
「とにかく、お母さんが入院している間、戸締りに気を付けなあかんで。ま、もうすぐゴールデンウィークやし、その間はお父さんの仕事も休みやから、由真が1人で留守番する日は少なくなるけどな」
お父さんがカレンダーを見ながら言ったから、私も一緒になってカレンダーを見る。
「ほんまや。ゴールデンウィークのこと忘れていたわ、後4日後やんか。あ!田舎のおばあちゃん家に行ける?」
毎年、ゴールデンウィークとお盆は、お母さんの実家に家族揃って行っていたから、お父さんに聞いた。
「ゴールデンウィークは無理やろう。行かれへんわ・・・お盆も無理と違うか?」
「えー無理なん?」
「お盆はまだ先やし、今はなんとも言えんけどな。そう言えば、お母さんが2回目の入院したこと、田舎のおばあちゃんに言っていないわ。言わなあかんな・・・」
「えっ、まだ言っていないん?」
私は驚いた。てっきりお父さんが、もう言ったもんやと思っていたから。
「そんな時間無かったからな。今夜にでも電話する」
そう言い終ると時計を見て立ち上がり、作業着の上着を羽織って台所を出るお父さん。
「気を付けて学校行くんやで、じゃあ仕事行ってくるな」
一度振り向いてから言って、仕事に出掛けて行った。
私もパン食べて学校へ行く用意しなきゃな・・・




