表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/25

第23話 トランプ覚醒 3Pの幕開け


 夜、買い物袋を下ろして、冷蔵庫を開けた。

 いつもなら、ぎっしり詰めるはずの中段が、

 一段だけ、妙にすっきりしている。

「……あれ」

 自分で空けた記憶はない。

 でも、理由は分かる気がした。

 少しして、隣のドアが開く音。

「おにーさん」

「どうした」

 ルナが、手に小さな容器を持って立っている。

「……これ」

 中身は、切った果物。

 色も形も、ばらばら。

「ママが、

 たべきれないって」

「じゃあ、置いとくか」

 冷蔵庫の中段に入れる。

 ちょうど、空いていた場所。

「……ここ」

 ルナが指さす。

「いい?」

「いい」

 即答。

 容器は、ぴたりと収まった。

 椅子に座ると、ルナも向かいに座った。

 テーブルの上には、コップが二つ。

「きょうね」

「ん?」

「ともだちが、

 おやつ、

 わけてくれた」

「よかったな」

「うん。

 だから、

 ルナも、

 わける」

 さっきの果物のことだ。

 理由は、十分だった。

 しばらくして、テレビをつける。

 音は小さめ。

 ルナは、画面より冷蔵庫の方をちらちら見ている。

「……だいじ?」

「何が」

「なくならない?」

「なくならない」

 それで、安心した顔になる。

 帰り際。

 ルナは、靴を履きながら言った。

「ここ、

 あけておいて、

 いい?」

「いい」

「……うん」

 ドアが閉まる。

 冷蔵庫をもう一度開ける。

 一段、空いている場所。

 そこには、名前も印もない。

 でも、

 誰のための場所かは、はっきりしている。

「……自然だな」

 無理に作った余白じゃない。

 必要になって、空いた。

 それだけだ。

 電気を消して、ベッドに横になる。

 明日も、

 冷蔵庫の一段は、

 そのまま空いている気がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ