第二話 学校に呼び出されたら、なぜか父兄席に案内された件
その日の昼。
俺のスマホが鳴った。
「……学校?」
表示されているのは、
○○小学校。
嫌な予感しかしない。
「こちら、ルナさんの担任の者ですが……
少しお話がありまして」
「え、あ、はい……?」
「本日、保護者の方に一度お越しいただけますか?」
保護者。
……俺?
「ち、ちなみにですが……
ルナさんのお父さま……?」
「違います!!!」
即答した。
そして、放課後。
俺は、なぜか小学校の廊下を歩いていた。
「……完全アウェー」
周囲は、
スーツ姿のお父さん、
落ち着いた雰囲気のお母さん。
その中で、
私服の独身男(20代)。
浮いてる。
めちゃくちゃ浮いてる。
「おにーさーん!!」
元気な声。
ルナが、全力で走ってきて——
俺に抱きついた。
「ちょ、ルナ!?」
「きてくれたー!」
その瞬間。
視線。
視線。
視線。
完全に誤解の空気。
担任の先生が、
咳払いをした。
「……えー、
ルナさんは最近、
授業中に“ある話”をよくしていまして」
「……ある話?」
嫌な予感が、
確信に変わる。
「『おにーさんが、
なんでもしってる』
『こまったら、
おにーさんにきく』と……」
周囲の保護者が、
チラチラ見る。
「……あはは」
笑うしかない。
「あと……」
先生は、真剣な顔になった。
「図工の時間に描いた絵が、
こちらです」
差し出された紙。
そこには——
俺とルナが手をつないでいる絵。
背景は、
ハート。
なぜかキラキラ。
「……説明、
できますか?」
「できます!!!」
俺が答える前に、
ルナが手を挙げた。
「おにーさんはね!」
胸を張る。
「ルナをまもるひと!」
「おべんきょうも、
ごはんも、
こまったらぜんぶ!」
……完全にヒーロー枠。
先生が、少し困った笑顔で言う。
「ええと……
とても素敵な存在ですが……」
距離感の指導が必要ですね。
でしょうね。
帰り道。
ルナは、満足そうに言った。
「せんせい、
おにーさんほめてた!」
「……褒めてたかな?」
「うん!」
ニコニコ。
「ルナね、
うれしかった」
その言葉で、
全部どうでもよくなった。
「……それなら、
まあいいか」
その夜。
インターホンが鳴る。
「はーい……?」
ドアを開けると、
隣の部屋の女性。
ルナの母親だった。
「今日は……
本当にありがとうございました」
「いえ……
俺、何もしてませんけど……」
彼女は、少し照れたように言う。
「ルナが、
あんなに安心してるの、
久しぶりで……」
……あ。
重い。
これは、
軽いラブコメじゃない。
保護者目線の信頼だ。
責任、
地味に重い。
その後。
部屋に戻ると、
頭の中で音。
《イベント達成》
《信頼度:近隣大人+10》
「誰の信頼度だよ……」
さらに。
《次回イベント予告》
・お弁当トラブル
・お兄さん争奪戦(※誤解)
・ルナ、謎の魔法でクラスを騒がせる
「……平穏とは?」
ベッドに倒れ込みながら、
俺は思った。
でも。
悪くない。
少なくとも、
誰かの安心になれてるなら。




