第34話「ミントジュレップ」
「カクテルはまだまだあるぞ。それに腹も減ってるだろ?」
「む? そういえばなにも食っとらんかったのー」
「ウチもペコペコや」
はいはい。
「じゃあ、これを飲んで。待ってる間にぱぱっと一品作るな」
まずは料理の前にウエルカムドリンクをもう一種類。
「これは簡単。『ミントジュレップ』だ」
「「ミントジュレップ!?」」
うーん。
この二人も乗り良くていいなー。
つーか、ドワーフとエルフなのに、並んで座ると家族にみえるから不思議。
……あんがいこの二人って、昔の因縁ってそういうのだったんじゃ?
(──おっと、サルーンのマスターが首をつっこんでいいことじゃないな)
サルーンの、
そして、マスターとしては他人のそういうことに首を突っ込まないのがマナーってもんだ。
言いたければ催促しなくても向こうから話してくるってなもんです。
「さて、まずはこちら──名前の由来どおりミントを使います」
「あぁ、ウチが持ってきた奴か」
そうそう。
「香りがよいで、獣肉にもたまにあわせるのぉ」
うん。
この辺ではそういう使い方をするみたいね。
「だけど、今回は酒に入れます。まずこうして──」
二人のグラスにそれぞれミントをいれで、麦芽糖を注ぎ、すりつぶしてかき混ぜる。
「ここに氷をいれて──」
砕けた氷を溢れるギリギリまでギッシリ入れる。
「そして、スプーンでステア!」
カラカラカラカラー……! と、およそ10秒。
「ほい! 最後にミントの枝をさして──召し上がれ」
こんっこんっ!
「ほほぅ!」
「これは、面白い」
ぐびりっ。
「「ん!」」
一口飲んだ瞬間、二人の顔がほころんだ。
「「さ、さわやかー!」」
「はっはっは。そうだろうそうだろう。ミントの香りが突き抜けて清涼感たっぷりだろ」
「うむ。汗が一瞬でひいたわい」
「ウチもべたついとった身体がさっぱりした気分やでー。あと汗臭いおっさん臭も和らいだわ」
うけけけけけ。
「なにおう! エルフのほうが臭いわい!」
「なにぃ~」
はいはい。
どっちもどっち。
「とにかく飯作ってくるわ。そのカクテルは、氷が溶けるのを楽しみながら飲むからしばらく味わっててくれ」
「「ぐぬぬー!」」
……まだやってるし。
やっぱ仲いいよね、こいつ等。
「ま、その間にこっちは料理にしようかな」
え~っと、食材食材。
…………あ、そーだ。
「とっておきの食材があったっけ」




