第1話「酒に溺れて死んでしまえ」
完全趣味の新作です
仕事で鬱になり、体調を壊した田中健三(34)。
退職後も何もやる気が起きずに、酒におぼれ──そして、酒にまみれて死んだ。
享年34歳。
誰にもみとられず一人で──。
……そんな健三は、ふと気づくと、真っ白な世界にいた。
「あん? どこだここ」
「はぁ……」
???
いきなり頭上でため息とかつかれたんですけど。
え? だれ?
「なんちゅう死に方してるんですか?」
「は? 死に方──? あ、俺死んだのか」
納得納得。
だって、白いモン。
「白さで納得する死人は初めてですよー」
そこにいたのは、中性的な顔をしたひとりの人物であった。
妙な白い服をきた白い肌の人。
「神様です?」
「はい。多分、その認識で間違いないかと──」
あーやっぱり。
納得したー。おっと、酒酒。
「なんで、アル中で死んで、まだ酒を飲もうとしてるんですか?」
「いや、アル中で死んだから酒を飲むんですよ? 他にやることないし──」
むしろあれだ。
アル中で死んだってことは、ずっと酒が飲めるってことだ。だって、死んでるから!
「なにトンチぶってるんですか……はぁ、まいったな」
「大丈夫大丈夫。お酒で飲みましょうや。……え~っと、ツマミとコップ。あれ。なんもない」
「だから死んだんですって。あと、なんで酒飲ませようとするんですか」
いやーだってなー。
「人間悩んだら酒だよ? それか寝る。そんで酒を飲んだら眠くなる。はい解決」
うんうん。
仕事で心を病んだ時にお酒の処方箋はバリバリ効いたね、ストレスは消えるし、嫌なことぜ~~~~~んぶ忘れられたもん。
「それで死んでちゃ世話ないですよー」
「まぁまぁ、そう悩まずに──」
「いや、アナタが死んだから悩んでるんです。しかも、お酒飲みすぎとか──ブツブツ」
あらあら。
この神様(?)悩んでるわー。ここはやっぱお酒だわー。
「そういうわけにはいきませんから、あと、アナタ死んだんですよ? 次に進まないと。というか進ませないとダメなんです」
「……死んだのに?」
「死んだのに」
えー。
めんどくさい。
「そういうのいいんですけど、あ、もとに戻してくれたらいいんでは?」
「いや、だから死んでるんですってば──それも、寿命がめっちゃ余った状態で……」
へー。
お酒って怖いな。
「ええ、ほんとに……」
「じゃあ、どうすれば?……あ、輪廻転生とか勘弁っすよ?──もう人生つかれたんす。生きて仕事するくらいなら、酒のんでまた死にますから」
「いや、自信満々にそんなこと言われても──あと、輪廻転生したら、記憶もなくなりますから」
そりゃ嘘だ。
「前世もってたらどーするんですか! 責任取れます?!」
「責任って……。面倒くさいなーこの人間」
「でしょ? だからもう──あれだ。ほら、ここで酒飲ませてくれるとか」
「一回酒から離れましょうか。……そして、さっきも言いましたがアナタ寿命がくっそ余ってるんですよ。なので通常の輪廻転生というわけにはいかないんです」
えぇ……。
なんかめんどくさそうな雰囲気。
「じゃー買い上げてくれても?」
「有給休暇じゃないんですから……。とりあえず、そういう人にはその寿命を使い切るための処置が必要になります。……えっと、異世界転生ってわかります?」
異世界転生?
あの、スキルでピカー! 魔法でボーンなやつ?
「あ、はい。たぶんそれです」
うげ。
面倒くさい!
「いやー。もうそういうのいいっす。ほら、寿命寄付するんで、適当に寒い地獄とかに放っておいてください」
「ちょっと、小銭じゃないんですから、そんなやる気のない……」
「やる気ないから死んだんす、もういいっす──無理なら記憶を消してミジンコあたりに転生させて」
それでトントンにしましょ。
「いや、ウチは輪廻転生はあつかってないんですよ、実は」
えー。
じゃあなに? 異世界転生専門?
「そうなりますね。そもそも、滅多に人はこないんで──」
「はぁ……めんどくさ」
「なんなんのこの人間。もっとこう、ワクワクしてよー」
「そんなのないっす。ワクワクは20代で捨ててきました」
「……めんどくせー」
こっちのセリフだなー。
「でも、既定路線なんで、ほら、少しだけやる気を出して!」
「えー……じゃあ、ミジンコで」
「うん、一回ミジンコから離れようか」
ミジンコでいいのに。
「ふーむ。ではこういうのはどうです? ひとつ、望む力を上げましょう。このカタログからお好きなのを選んでください」
カタログー?
なんか一気にうさん臭くなってきた。
「……実は最初から、そういうの渡す気だったんじゃないです?」
「ぎく」
やっぱり。
詐欺とかにありがちな奴じゃん。……まぁ、くれるなら貰うけど──はー、めんどくせ。
「んー。……無敵の力? こんなん貰ったらますます人生やめられないじゃん」
「いや、そこからも一回離れましょうか」
「えー」
そういわれてもなー。
パラパラパラ。
『魔力無限』──……いらね。
『マジカル〇〇ぽ』──……十代のころに欲しかったな。
『最大権力』──……面倒なだけじゃん。
「どれもパッとしないなー」
「……いや、普通は食いつくんですけどね」
そりゃ、若けりゃね。
「あ、これいいじゃん」
「どれです──って、それはダメです!」
えー!
何でもくれるって言ったじゃん!
「『どんな願いでも一個だけ叶える力』って、アナタこれ選んだらミジンコになるっていうでしょ!」
「ちっ」
バレたか。
「もー。そういうのやめてくださいよー。こっちにもノルマがですね」
「人を転生させるノルマってなんだよ」
そんなノルマの会社いやだわ。
「もーこれでいいわ」
「え? これですか?……うーん。あんましおススメしないですよ」
「もーなんでもいいよ。はい、これでお願いします」
「はー……。こんなにやる気のない転生者は初めてですよ。だけど、本当にいいんですね? 後悔しません?」
しないしない。
酒飲みで人生壊したんだし、いっそ壊れない人生をやり直すのも悪くないよ。
だから、これはこれでありだと思う──。
「それじゃ、お願いしますよー。ちゃちゃっと転生させてください」
ビリッ。
カタログのそのページを破ると神様に渡す。
「はいはい。それでは──スキル『万能レシピ』を授けましょう」
「しくよろー」
キラキラキラ……。
お、なんか、意識がボーっとしてきた。
これが転生?
なんか、酒に酔ってる時みたいー、うふふふ。
「あー……一個言い忘れてましたけど、転生するにはしますが、アナタの場合は本来の寿命がくっっっそ、残ってるので、基本は同じ姿のまま転生します」
「……は?」
え?
同じ姿って、このまま?!
「いや、腎臓とか肝臓──」
「節制してくださーい!」
うぉぉいい!
せっかく転生したのに、身体ボロボロのままかよー!
ならいっそミジンコにしやがれー!
しやがれー!!
がれー!!
れー……。
どさっ!
「いだ!」
投げ出されたような感覚を覚えたら、そこはまさに異世界だった。
それも何もない荒野で──。
「…………マジ?」
新作投稿です! 初日はいつもドキドキします……;;
是非とも、『ブックマーク』していただき、作品を追って頂けると幸いです。
毎日投稿の予定です。
異世界で西部劇風のお話と食事を食べる作品です。
『★★★★★』評価も、よろしくお願いします!




