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デキモノ

作者: 安永祐二


「デキモノ」と書いたのは、この世で一番嫌いな言葉が「ニキビ」だからである。


聞くのも、口に出すのも悍ましい。


中学生、高校生、大学生、はたまた社会人になっても悩まされ続けた。


中学生の頃は、同級生は元より、先生からも「顔の中にニキビがあるのか、ニキビの中に顔があるのか分からんな」と揶揄われた。


言った本人は単なる軽口を言っただけだし、もうとうに忘れてるいるであろうが、言われた側は酷く傷付き、「あれから」何十年経ってもその言葉は忘れない。


正確には、「忘れない」ではなく、「忘れられない」のである。


中学生、高校生の頃は、どんなに素晴らしい景色を見ても、どんなに美味しい料理を食べても、どんなに、面白いテレビを見ても、どんなに良い成績を取っても、心の底からは楽しめなかったし、喜べなかった。


「コイツ」さえなければと、いつも、常に思っていたし、「そのこと」がずっと頭から離れず、世界の悩みが、僅か数センチ平方メートルの顔の中に凝縮されていた。


綺麗な顔をしている人が羨ましくて羨ましくたまらなかった。


しかし、「このこと」に悩んでいることすら恥ずかしくて、悩んでいない「フリ」をしていた。


この悩みさえ無くなれば、この世界は薔薇色になる。そう信じて疑わなかった。


今はどうだ。跡は残っているが、「そのこと」は頭の中を占めてはいない。


しかし、薔薇色に見える筈の世界が、他の悩みで埋め尽くされている。


仕事、人間関係、将来への不安、数え上げたら切りが無い。


人間とは悩みを探しながら生きていくものなのだろう。


そうはなりたくないと強く願っている。



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