親愛なる霊と共に去りぬ
あらすじ 酔拳で技を習得した【直岡 修里 なおおか しゅうり】。後日、【三田 十 さんた くろす】を【鋼 鉄織 はがね てつお】と共に撃破した。
…眠れない。天井には常夜灯の光がぼんやりと浮かんでいる。カーテンを開けば寒空の夜の下で雪がしんしんと降っている。はぁ…とため息をこぼす。僕は昔から何度も同じ夢を見る。遠い昔の。はっきりとした記憶じゃないが。
直岡「…し?もしもし?」
???「どうしたの?」
直岡「君が病気で倒れたって聞いて。」
???「大丈夫だよ…ゴホゴホ…きっと。」
直岡「ホントに?」
???「もちろん。また元気になったら…一緒にサッカーしようね…。」
…ここで夢からいつも覚める。幼稚園の時だろうか。友人が1人亡くなった。病気による衰弱死だった。おそらくその子との最後に話した言葉。電話越しで。名前もはっきりと覚えてない。また会えたらと思う気持ちが夢の中で巡っているのだろうか。そう思いながら僕はまぶたを閉じた。
翌日
桜「おはよー!」
直岡「おはよ。」
桜「どうしたの?なんか元気無さそうだけど…」
直岡「…昔さ。病気で亡くなった子いたじゃん。」
桜「ああ…そういえば。」
直岡「その子の名前なんだっけ。」
桜「んーと…あだ名がね、確かサンちゃんだったはず…」
直岡「学校終わったら卒アル見てみるか。」
桜「そうだね。」
放課後
直岡「ここら辺にあったは…お、見つけた。」
桜「あったー?」
直岡「ほら、これ。」
桜「懐かしいねえ。」
直岡「昔はこんなに小さかったんだな。」
桜「ふふふ。昔の修里可愛い〜!」
直岡「恥ずかしいからやめてくれ。」
桜「あ!この子じゃない?」
卒アルをまじまじと覗き込むとそこにはやせ細った男の子の写真があった。下の名前が書いてある欄には【三途春 渉 さんずはる わたる】と書いてある。
桜「そういえばそんな感じの名前だったね。」
直岡「ああ。懐かしいな。」
桜「聞いてなかったけどどうしてこの子のことが気になりだしたの?」
直岡「…実はさ。」
僕は事の顛末を話した。
桜「なるほどね。」
直岡「ま、そういうことだ。」
桜「誰かあてとかないの?」
直岡「なんの?」
桜「また会いたいんだったらさ、例えば…霊能力者とか!そういう人たちに頼んだら何とかなりそうじゃない?」
直岡「何とかって…そもそもそんな霊能力者が知り合いにいるわけな…いや、1人いるな。」
桜「じゃあじゃあ!その人に頼んでみようよ!」
直岡「そうしてみるか。」
翌日の放課後
鋼「直岡〜。帰ろーぜー。」
直岡「ちょいと用事があるから無理かな。」
鋼「なんかあるのか?」
直岡「オカ研に用事があってね。」
鋼「ふーん。俺も暇だしついて行っちゃお。」
桜「あ!いたいた!早く行こ!」
旧校舎にて
コンコン
直岡「失礼します。塩谷くんいますか?」
塩谷「ああ、直岡くんと鋼くんじゃないか。そちらのお連れさんは?」
桜「山野 桜と言います。よろしくー!」
塩谷「よ、よろしくです。」
直岡「実はちょっと頼み事があってさ。」
塩谷「頼み事?」
直岡「ちょっと霊を召喚して欲しくてさ。」
塩谷、鋼、桜「「「れ、霊を?!」」」
直岡「ちょっと待って。鋼くんはともかく能力もちの塩谷くんと昨日話をした桜は驚かないでよ…」
桜「いや、まさか霊を召喚するとは思わなくて…」
塩谷「自分前あった時にも言ったと思うんだけど一回も成功したことないよ?」
直岡「そこをなんとか。」
塩谷「むむむ…まあわかった。何とかやってみる。」
鋼「直岡が召喚しようとしている霊はそんなに大切な人なのか?」
直岡「ああ。とても大切な友達さ。」
塩谷「それじゃあ、召喚の儀式をやるけど準備はいい?」
直岡「ああ。」
塩谷「それじゃあ、直岡くん。僕の手を握って。そして、自分が思い浮かべている召喚したい人を考えて。」
直岡「わかった。」
塩谷くんは照明を消し、蝋燭を灯した。そして僕の手を握りながら呪文のようなものを唱えた。すると、蝋燭の光がふっと消え、カーテンがたなびいた。オカ研の教室には夕日が差し込む。光に照らされ見えたのは、『あの子』だった。
鋼「この子が直岡が言ってた子か?」ヒソヒソ
桜「ええ、昔のままの姿ね。」ヒソヒソ
直岡「ひ、久しぶり。」
三途春「久しぶり…と言いたいけれど僕は『向こう側』で見てたからね。君たちのことを。」
直岡「また会えて嬉しいよ。」
三途春「僕もこうやって面と向かってまた話せて嬉しい。」
直岡「昔した約束…覚えてる?」
三途春「もちろん…。あの電話をした次の日。僕は死んだ。僕は持病で元々心臓に穴が空いてたから遅かれ早かれ死んでいたんだけどね。死んでからずっと謝りたいと思ってた…君に。約束を果たせなかったことをずっと悔いてた。ずっと…ほんとに…。」
直岡「ううん。いいの。僕は君とこうやって話せているだけでも嬉しいから。」
鋼「やばい…なんか泣きそう…。」
桜「私もよ…。」
塩谷「自分も泣きそう…。」
三途春「そろそろ…行かなきゃ。」
直岡「待って…。行かないで…。」
三途春「そうは言っても…『向こう側』のルールで現世に長居はできないからね…。」
直岡「うぅ…。じゃあ最後にこれだけ言わせて…。」ぐすん
三途春「なに?」
直岡「さよなら…。またいつか会おうね…。」
三途春「うん…。じゃあね…。バイバイ!」ぐすん
眩い光が教室を包み込み、光が去った後には、季節外れの桜の花びらが窓の外からひらりと入ってきた。
明けましておめでとうございます。
今年も力を入れてやっていきたいと思います。
応援よろしくお願いいたします!




