表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君に、炎を捧ぐⅡ〜偽りの剣と、真実の愛〜  作者: みらい


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

84/86

八十話、君が光である限り


 ラザリが動き始めた。


「動かないのであれば、強制的に退いていただきます」


 二体の獣が兵士に襲いかかる。


 ーーその直前。

 黒蝶を介して、落とし子たちが兵士の前に行く。それぞれ獣に殴りと蹴りを入れてくれる。

 そして、兵士や帝王たちを城の外へ。

 俺はまたおぶさり、ラザリの頭近くに飛ぶ。

 移動する前、アルヴァインと目が合った気がした。

が、ラザリに向き合う。


「演説は終わったか?」

「レイヴ……?」


 黒炎を撒き、獣を干渉下に置く。

 ラザリは俺と落とし子に向けて魔導銃を放つ。


「ハッ。そんな豆鉄砲、効くと思うか?」


 肩をすくめて距離を取る。

 その間に、獣がラザリへと食らいつこうと跳びかかった。

 そして――埋もれる。


 ……が、次の瞬間。

 獣二体は肉塊となって弾け飛んだ。


 爆ぜた肉片の中心に立っていたのは――ラザリ。

 いや、“ラザリのような何か”だった。


 首がもう一つ増えている。

 眠る人形のような顔。それに、竜の骨を模したような翼と尻尾。


 竜――とは呼べない。

 これは、紛い物。

 半竜……か?


 こいつも竜になったのか? それとも、姉さんの血を使ったか?

 ……ああ、やりそうだな。こいつなら。


 嫌な予感が的中したと悟る。

 俺は黒炎を撒き、奴の周囲を焼き尽くす。


 だが――効かない。

 俺の黒炎は精神干渉。


 おかしい。


(……幻想も、見せられない?)


「こんなもの、効くと思ったかい? 君がやはり、“黒いルミナリア”の主か」


 ラザリは涼しい顔で言う。


 俺が背にしがみついていた落とし子の体が小さく震える。


「大丈夫だ。俺が守る」

 囁くと、頷いた。


 蝶を介して、ラザリの背後へと回る。


 落とし子が膝蹴り。

 俺は、眠る方の“頭”を蹴りつけた。


 ――かこん。

 金属音のような硬質な感触。効いていない。


 何だこの頭……。


 ラザリの力が見えない。

 俺は“当てては退く”を繰り返しながら、焦りを抑えて間合いを測る。


 ……膝蹴りで、折れた音がした気がする。

 ラザリの骨が。

 しかし奴は気にする素振りは見せない。

 代わりのように、子のほうが気にしている。

 何故? という疑問みたいだ。

 首を傾けている。


「ふふ、どうしたんですか? ――ほら、私の番でいいですか?」


「お前の番はない」


 間合いに飛び込む。


 俺は元の姿に戻り、落とし子が今度は俺の背にしがみつく。

 黒炎の剣を生み出し、そのままラザリを袈裟斬りに――


「っ……く、ふ、ふふ」


 狂ったか? それとも、ついに効いたか?

 そう思った瞬間、ラザリが笑った。


「幻想を。夢の中で生きてる者に、それが効くとでも?」



 ぞわりとした悪寒。

 リデルという青年に記憶消去が効かなかったのもそのせいか?


 目を瞑っていたもう一つの顔が、口を開き、黒い球体をぼろぼろと吐き出した。


「ボンって、消し飛んでください」


 笑顔と共に、ラザリが黒球を投擲する。


 爆弾か――!


 俺は蝶を頼りに後方へ跳ぶ。

 だが、奴は予測していた。俺の方向にも数発、投げ込まれていた。


 左腕に落とし子を抱え、咄嗟に庇う。


(避けられない――!)




 轟音と衝撃と共に、壁へと叩きつけられる。

 右側から爆風をまともに受けた。腕も、目も、そっちにはない。


 左腕は……まだ、大丈夫なはずだ。

 だが――身体が、動かない。


「……ぅ……」

 耳鳴り。頭が揺れる。感覚が散っていく。


 まずい。

 落とし子は、まだ左腕の中にいる。

 わずかに感じる、小さなぬくもり。

 それが動き、外に出る感覚を感じた。

 ……俺を守ろうとしてるのか? この俺を?


(俺は……守る価値なんて、ないのに)


 ――じゃり。


 足音が、瓦礫を踏みしめる音が近づいてくる。

 ラザリだ。

 間違いない。来る。トドメを刺しに。


 だがその前に――

 風が吹いた。鋭く、鋼のように。


 そして、声が降ってくる。


「お、叔父様!!」

 高く澄んだ――“彼女”の声。

俺の光。


「……待たせたな、顧問官」

 真紅の炎が薙ぐように現れる。


 ――来た。


 女王と、その騎士が。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ