七十七話、紫焔、誓いの形
「行きます――!」
「セ、セレスタ!?」
女王陛下の驚きの声が聞こえた。
ちょっと、かっこよく見えてたらいいな。
アッシュ様の顔は恥ずかしくて見れない。
そのまま私は地を蹴る。
――翼の先端から、青い炎が噴き出す。
一瞬で加速して、私は異形のもとへと突っ込んだ。
加速したまま、異形のど真ん中を拳でぶち抜く。
――ジュッ……。
焼け焦げる音と、ぬめる感触。
「うっ……」
肌が焼ける。
気持ち悪さで、思わず呻いた。
拳が穿った穴は、瞬く間にぬるりと再生する。
「っ……!」
次の瞬間、触手がこちらに打撃を放ってきた。
宙へ――即座に跳び、回避。
異形も、リリエルも、私の速さに追いつけていない。弾が宙を舞う。
ついて来ているのは――数羽の、火の鳥たちだけ。
地上では、女王陛下が炎の盾で落とし子たちを蹴散らしていた。
――きっと、もう一度、合わせろってことだ。
遠いのに、近い。
息が合っている。
私は、阿鼻叫喚の帝都を上空から旋回し――
その速度のまま、もう一度、異形の胸を貫いた。
すぐ後を、炎の鳥たちが続く。
異形の肉体を焼き尽くしながら、火花のように舞った。
私の青炎と、陛下の赤炎が混ざる。
空中で紫の光となって、爆ぜた。
――もう一回!
殴って蹴って。突進して。
その度に鳥が異形を再生しないように燃やす。
散り散りになっていく。
桔梗色の炎が地面を焼き尽くす頃には跡形もなくなっていた。
「アッシュ様!」
落とし子たちが集まる先に光る緋色。
そこへと向かう。
「セレスタ!」
陛下を抱きしめふたりで紫炎を爆破させた。
一瞬で落とし子たちは散った。
あとに残るのは、煤塵。
「うそ、いや。いや、わたくし、……」
リリエルが頭を抱える。
「すまないな、しかし、我が宝を傷つけられたとあっては許し難い」
宝と言った時、私を見上げた。
あ、我が宝って、私……?
戦いの途中ではあるけど、顔が緩む。
私は顔を緩めたまま、女王と並んで炎を放った。
それは、もう誰にも壊させない私たちの誓いだった。
再びリリエルに向けて眩い紫の炎を捧げた。




