22話 競技場4
ワビスケが敗れ、ジェンヌが目をつけたのは杉尾だった。杉尾はジェンヌの攻撃を一回くらっていて、かなりきつそうだ。彼女が口を開いてこう言った。
「わたくしの手加減した力によく耐えたわね。でも量で攻撃したらどうなるでしょう?」
彼女の言葉に悪気などないと思うが、杉尾は煽られたように感じた。
ジェンヌの周りに、たくさんの剣が現れた。杉尾は全魔力を使って体を固めた。しかし限界がきて、杉尾は力尽きた。残るのは、トシとイトスギだけになった。両者ともに攻撃態勢になる…
するとイトスギが
「周囲に電気を出す魔法周囲に電気を出す魔法」
トシはこの攻撃を回避するのに必死だが、ジェンヌは剣を使って防いでいた。
トシはイトスギに
「お前、今は味方じゃないのかよ!!」
と言った。
「一次試験が協力プレイじゃなかったはずだろ」
トシはイトスギの攻撃だけではなく、ジェンヌの攻撃をよけるのも大変だった。トシはどう動くか、そしてジェンヌに傷をつけるか、より深く考えた。
トシはとりあえずいろんな技を試してみた。だがよけるのに精一杯で、攻撃はそんなにできそうにない。
イトスギに魔法で攻撃した瞬間、蒸発した。トシが
「電気分解か!!」
と驚きながらよけた。だがその瞬間、あることに気づく。トシが水を出して電気分解した水蒸気。その水蒸気に含まれる魔力がよく感じているのだ。今までは蒸気になると、流れをつかむ事も無理だった
ジェンヌの動くしぐさやイトスギの動きがなんとなくわかるようだ。彼女はわざとそうしているようだけど。
トシは以前吸収した攻撃を、足から放出した。勢いよくジェンヌに近寄り、イトスギの攻撃を全力でかわした。
トシは刀を振るった。しかし、ジェンヌの手で押さえられてしまった。抑えられた瞬間、刀を爆発させた。けれど爆風はジェンヌが出した剣で防がれてしまった。刀を押さえていたジェンヌの手から血が出てくる。ジェンヌが声を出して
「かすり傷だけど一次試験終わりですわ。合格者は2人としましょう」
そして突然上を指さし
「やっぱり出たわね。二次試験を始める。あれを限界まで攻撃してごらんなさい」
トシは上を見上げると、巨大な何かの生物。鱗のようなものを纏っている。
トシたちが競技場から出る前に、彼女が耳打ちをした。
「ガーベラの制御を頼んだわよ。暴走したらすぐに知らせるのよ。それと…隣の女の子は同じ種族みたいよ。気を付けてね。あ、今度は仲間と一緒に倒してもいいわぁ」
「同じ種族?何言ってるんだ」
と聞き返した。彼女はにやけながら無視して、競技場から出て行ってしまった。その時、彼女の手の傷はなくなっていた。
トシたちやイトスギ、観客は競技場から出た。戦わない観客は逃げるものや立ち止まってただ見てる人もいた。
すると彼女が
「あの生物の名前はね『鬼達磨』っていうのよ。鱗には気を付けてね~」
その時、トシたちの横を勢い良く通り過ぎた人物が見えた。
「こんな変なハゲに任せられるか」
と言いながら出てきたその人物は、競技場一日目で戦ったチンピラだった。トシは首をかしげて
「こんな奴いたっけ( ;∀;)」
チンピラが「鬼達磨」に飛びかかった時、鱗が生き物に変わりチンピラを襲った。トシはチンピラを助け、謎の生物を倒した。すると「鬼達磨」の鱗が再生し謎の生物は消えている。トシはさつきたちに
「ここにいる戦えないやつの避難と保護しな。俺とイトスギで何とかする」
さつき達はうなずいて、トシとイトスギは戦いの体制に入った。ガーベラはトシのことを見守った。
トシは高く伸び、イトスギは魔法を出す。トシは「鬼達磨」をよけて炎を出した。トシはブリュランという技を出したいが、この技を使うと眠たくなってしまう。トシの勘は、今使うべきではないと感じていた。
鱗から変化する生き物に苦戦しながら戦うトシとイトスギ。それを見上げてにやりと笑う男が現れた。その男は物音もなくトシに襲い掛かる。
襲い掛かる男には魔力がない。いや、無理になくしている。トシの魔力探知に引っ掛からず、トシに攻撃できた。トシは驚いた口調で
「くそぅ。何だあいつ。魔力がないのか?昔の俺みたいだ…それに常に水蒸気出してないから動きの変化とか空気の変化がなかったし…」
その男は口を開いて言った。
「この人間に受肉できたぜ。ひとまずこの町を破壊する」




