第5話 雪宮君って、中二病なの?
やっと伏線回収できるの嬉しいです。今回も結構キリいいとこまで書いたので長いですが頑張ってください。
さて、夏世との茶番を終え、ようやく赤華坂公園へ行く。
僕自身、赤華坂公園はまあ、数回行った事はあるが、そこまで縁がない。
場所としては……うむ、北鶴高校に近いな。遠いので学校同様、自転車で行くとしよう。
そういえば中ノ崎の奴はよくそこで、魔術の実験とやらをやってるらしいが、通報されるという心配はないのかな……?学校も近いのに。
ガレージから自転車を出し、家の門を出る。
僕が叔父の家に住んでいる事は以前伝えたと思うが、この家がまためちゃくちゃに大きい。めちゃくちゃ大きい和風の屋敷だ。
『叔父の家』とは言いつつ、雪宮家の人──つまり、僕の親戚が多く住んでいるんだがな。
『叔父の家』と言ったのは、叔父が僕と夏世ともう1人の妹をこの叔父の家──いや、『雪宮邸』とでも言おうか。雪宮邸に住まわせてくれると提案してきたのが叔父だからである。
色々、僕の今の言い方に違和感を覚える人もいるとは思う。
そう、僕らは火事で家を無くした。そしてその火事で──母が焼死し、父は同じ日に事故で亡くなった。
それから僕と妹たちは叔父に引き取られ、雪宮邸に住まわさせてもらってるというわけだ。
まあ、住み心地は良くないがな。住まわせてもらってる立場で言うのもなんだが、雪宮邸が僕は嫌いだ。と言うか、雪宮家の人間が──嫌いだ。
もちろん、例外はいるが、大体の親戚、使用人を僕は嫌っている。まあ、同時に僕も嫌われてるんだけどな。しかもなんかたまに親戚じゃない奴とかもいるしな。
あと単純に人が多くてなんだか落ち着かないし(落ち着かない中でもあの茶番をやってのけるのだ。まあ、夏世のせいだが)、人が多い分、広いのだが、広いっていうのもまためんどくさいのだ。
程度があるってもんだ。広すぎる、雪宮邸は。無くし物でもしたらめんどくさいんだなこれが。
まあ、総評して大嫌いだ。これぐらい思いっきり言っていい。まあ、口には流石に出さないけどな。
予想外のダークな話になってしまったかもしれない。まあ、詳しくはいずれ語ることになるだろう。
さて、気を取り直して、赤華坂公園へ行こうか。
♢♢♢♢♢
結構着くのに時間がかかったな。学校より少し遠いって感じだ。
さて、現在時刻は23時45分。おお、中々良い時間じゃないか?5分前には余裕であの手紙が指定した大きな滑り台のある広場につきそうだな。
赤華坂公園は中央に大きな池がある。まあ、大きな公園ってのは大体、大きな池があるのが相場だと思っているのだがどうなんだか。
流石にこの時間の公園は人がほぼいないな。普段は賑やかな公園のはずなのに、静かだ。
普段の公園といえば、賑やかなイメージがあるが、それと逆で、静かすぎて不気味さを感じる。
今更だが、こんな時間に出歩いていいのか?と、思うかもしれないが、僕は先程言ったように雪宮家に嫌われているので、別に気にもされない。気にして欲しくないしな。
まあ、別に好んでこんな時間に外出してるわけじゃない。今日はたまたまあの手紙に指定されているのでこの時間だ。
……そういえば、この時間というのも気になるな。なぜこんな遅い時間なんだろう。そこが引っかかる。
普通に考えて、こんな時間に呼び出すか?もっと普通の時間にしてくれよって思う。それも文句として、この後会う人物に言っておこう。中ノ崎……だとは思っているのだが。
さて、見えてきたぞ大きな滑り台のある広場……って誰かいるな。黒と赤の服に……両手に包帯……って!
中ノ崎がいた。やはりあの手紙を送ってきたのは中ノ崎なのだろうか……?
広場までダッシュで行く。真相をなるべく早く知りたい!
「おーい、中ノ崎ー!」
もうすぐ日付が変わるってのに大声出して中ノ崎を呼んだ。いくら人いないからって、マナー悪いな僕……。
中ノ崎……と思われる人物は声に反応し、こちらを見る。
「おー!盟友!」
と、あっちもあっちでマナー違反の大声をだす。僕は急いで駆け寄る。
「おお、盟友、どうしたんだ?こんな時間にこんなところ」
と、『それ、僕もお前に聞いてもいいよな』っていう質問をしてくる。
こいつ、こんな時間に1人でこんな公園で何してんだよ。前言ってた魔術の実験ってやつかな?
「いや、えっと、」
これ、中ノ崎にあの手紙のこと言っていいよな?本人は知らなさそうというのが、昼間の中ノ崎の様子を見ていて感じるものだった。ま、いっか。
「あの封筒の中に入ってた手紙にさ、ここに呼び出されて……」
「へぇ、あの上位存在からの封筒の中身は手紙だったのか……」
うーん、演技か?それともリアルに知らないやつか?ま、今疑ったところでしょうがないしな。やめておこう。
「まあ、我も上位存在には興味があるが……あまり接触するべきではない気がするな」
「そうなのか?上位存在ってのも危険な奴なのか?」
「いや、分からん。上位存在は分からんことだらけさ。でも、上位存在の言うことには従う──それが暗黙のルール的なものがあるからな。我もアレに従うのは正直心苦しいところはあるな」
そうなのか……。いや、もはやそれ、中二病の域を超えているのではないか?よく分からんものから指示を受けるって……。やっぱりアレの影響を……?
「盟友はここで何をするんだ?」
「えっ?」
「ほら、呼び出されるだけなわけ無いだろう?何をするとその手紙には書かれていたのだ?」
「いやぁ、少し話がしたいとだけ……」
「ふうん?こんな時間にか?妙だな……?」
お前もこんな時間に公園なんかにいるのはだいぶ妙だよ……。
「うん、午前0時っていう指定だ」
「ふむ、ではあと数分だな。我も待っていれば上位存在に会えるのだろうか!?」
なんか中ノ崎の顔はワクワクしてるようだった。うーん、ついでにこれも言っていいのかな?
「えっとだな、中ノ崎その上位存在とやらからの手紙に『中ノ崎二那より』と書かれていたんだが……」
「なんだと?私の仮の名が?」
だから両親 (おじいちゃんとかかもしれないけど)から貰った大事な名前を仮の名前にしてんじゃねえよ。
「そうだ。だから僕は上位存在なんて本当はいなくて、お前が僕を呼び出すためにあんな封筒をよこしたのかなって少し疑っているんだが……」
言っちゃったけど……いいよな?ダメだったらどうしようかな。
「ほほぉ、我を疑っているのか?フッ、盟友、我がそんな回りくどい真似をすると思うか?」
「ん、確かに……」
言われてみればそうだな。こいつならダイレクトに言いそうだな……。ますます謎が深まる……。
「フッ、我もここで待って上位存在の顔を拝んでやるとするかな……」
「えっ、お前、その上位存在とやらに会ったことないのか?」
「うむ、ないな。顔を拝むとは言いつつそもそも人なのかすら分からないしな!」
ええ……。実は、上位存在とやらは中ノ崎の妄想とかではなく、ガチのヤバい奴だったりしないか?その説も最早出てきているぞ?
まあ、中ノ崎の言っていることを信じるならな。
これ以上、不安になりたくないので、少し話題の変更だ。これ以上聞いたところで真実はもう少しでわかるんだ。それは変わらない。
「それにしてもお前こんな時間にここで何やってんだ?」
「ん?ああ、魔術の実験をだな。ほら、前に言ったではないか」
予想通りってとこだな……。そういえばこいつ……
「ふーん。あ、今気づいたけどさ、お前、眼帯取ってるんだな」
中ノ崎の顔がこれでしっかり見える……わけではない。眼帯を取ったとて、中ノ崎は目隠れ属性のためよく顔が見えない。
「お?今更か盟友?全く、盟友たる我の外見の変化ぐらいすぐに気づくべきだぞ?ふふふ、昼間は見えない、我の『魔神眼・極』だぞ?しっかり目に焼き付けておけよ!」
「す、すまん」
やっぱり中ノ崎も女子だな。外見の変化とやらには気づいて欲しいみたいだ。
だが、魔神眼・極とやらを目に焼き付けるつもりはない。そんなもんを焼き付けるならまだ川にいる亀とかを目に焼き付けた方が良いだろうな。亀可愛いし。
「んで、なんで眼帯取ってんだ?」
「いや、魔術の実験をする際な、『眼』を制限してるとな、上手く力が出せないんだ。だから取っているのだよ」
うわぁ、ザ・中二病って感じのこと言ってる気がする!
「包帯は取らないんだな」
「ああ、腕まで制限を外してしまうと、それはそれで力が出過ぎてな。いざという時にしか使わない。この世界の言葉に『能ある鷹は爪を隠す』という言葉があるだろう?それだよ」
ついに『この世界』とか言っちゃってるよこの人。つまり、『私ぃ、異世界から来たんですよ〜』っていうことをさりげなくアピールしているんだな。
まあ、実際は違うだろうけど。いや、上位存在とやらがよく分からない以上、その可能性も最早捨てきれなくなってきている気がするな。
「へぇ、魔術の実験とやらは上手くいっているのか?」
「うむむ、やはりこの世界だと制限が辛いという感じだな。中々上手くいかないよ。今日も36回実験して上手くいったのは一回もない」
「36……結構やっているんだな」
「いや、普通さ。というか、実は少ない方が嬉しくてな。上手くいけばその分時間が掛かって回数は少なくなるのだがな」
「なるほどね。ちなみにどんな魔術を?」
「今日やってるのは魔術は、我の七大魔術の一つ『狂気の虚無』という魔術と、それに加えて、魔術とは少し違うのだ趣旨を変えて悪魔でも召喚しようかなと」
「………」
……実はこの世界、悪魔はガチでいるらしい。前にある奴から聞いた。
悪魔召喚の儀式は割と誰でもできるが、召喚したらめんどくさいそうだ。ちゃんと目的があればいいらしいが、目的もなく、興味本位でやるもんではないらしい。
いや、目的があってもよっぽどおすすめしないそうだが……。
それをこいつは……。うーん、やばい奴だな、やはり。
「ふ、ふーん。悪魔召喚して何するつもりだったんだ?」
「ふむ、特に何も。とにかく我の力を取り戻すステップのようにしかとらえていないさ」
ヤベェ奴だ!
「聞いた話なんだが、悪魔召喚の儀式って、そう気軽にやっていいもんじゃないらしいぞ」
「ふむ、確かに我もそのような話は聞いたことがあるがな……って、うおおおおおお!」
中ノ崎は急に叫びながらのけぞりだして、地面に倒れた。苦しんでいるのか……?そんな様子だ。
「えっ、どうした!?」
もしかしてマジで悪魔でも召喚しちゃったのか!?体に宿った的な感じで!
「うぐぐぐぐぐ……上位存在がぁぁぁ!!」
上位存在?まさか、そいつらの仕業か!?くそ!どうなってる!?
「お、おい!中ノ崎ッッッ!!」
『大丈夫か!?』と言いかけたその瞬間……
ピピッ──ピピッ──ピピッ──
僕の腕時計が鳴る。僕の腕時計、最近時間合わせたばかりなので正確である。
腕時計が鳴った……ということは!
「午前……0時──」
♢♢♢♢♢
ついに来たわけだ。約束の時間が。さあ、来い!上位存在とやら!
「ふうん。集合7分前ぐらいかしら?優秀だね、雪宮君」
「!?」
声にはならなかったが、驚きが漏れた。話しているのは──中ノ崎二那。間違いなく、中ノ崎の体から声は出ている。
のけぞって、地面に倒れた中ノ崎の身体はおそらく、僕が時計を見ている間に立ち上がったと思われる……。そして、こちらを見つめているようだ。
……確かに中ノ崎の声だが──なんか、今までの中ノ崎と違う……?まるで、中身が変わったような……。
「だ、誰だ!?」
「ん?雪宮君は変なことを言うのね。私よ私。中ノ崎二那よ」
口調、一人称、声のトーンなんかも違う。今の中ノ崎はなんというか、低いトーンだ。
明らかに今の数秒で変化があった。キーとなるのは──午前0時?
「ぼ、僕の知っている中ノ崎とはなんだか違う様子だが……?」
「随分と動揺してるようね。まあ、気持ちは分かるわ。でも安心して、別に雪宮君に何か危害を加えるわけではないから。もちろん雪宮君が言う、『中ノ崎二那』にもね。むしろ、私が被害者ともいえるわ」
「ど、どういうことだ?」
「まあまあ、焦らずに。ちゃんと説明してあげるから」
説明してくれても全く分かる気がしないんだが。『むしろ、私が被害者』──どういうことだ?ますます分からん。
「でも、どこから説明したものかしら」
「と、とりあえず、お前の正体を教えてくれよ」
「分かったわ。私の正体は、本当の『中ノ崎二那』そして、雪宮君が知っている中ノ崎二那の言う、『上位存在』。つまり、私が雪宮君に手紙を出したの」
「本当の……?」
それに上位存在?中ノ崎(僕の知ってる方)は違うと否定していたようだが、中ノ崎(僕の知らない方)が上位存在なのか……?
「そう。んー、分かりやすく言うなら『二重人格』ってとこかしら」
『二重人格』──新しいワードが出てきたな。
「私は、中学二年生の頃から、この病気に悩まされてきた。おっと、『ちょうど中二じゃん!中二病だけに!』というくだらないツッコミはしないでね?まあ、雪宮君ほどの人物ならそんなことはしないでしょうけどね」
「………」
やべー、心の中でツッコミしてたよ……。言ってたら僕どうなってたんだ!?
「まあ、それは良くて、具体的な病気の内容は、私は毎日、午前6時から午後11時59分59秒まで体の自由が効かなくなり、自由が効かない時間は中二病の中ノ崎二那として生活する。まあ、私はその状態を『魔王』と呼んでいるわ」
「……なぜ『魔王』?」
「まあ、適当に呼んでいるのだけれど、一応由来としては中二病の時の私って、他の世界の魔王って設定なのよ」
あー、それ前言ってたかもな。この世界に送られて帰れないんだとか。そんなんで魔王なのかって少しツッコミたくなったが。
「だから『魔王』。納得?」
「いや、まあ、うん」
いや、仮の名前、由来があるとはいえ、魔王って……。もしやこいつ根が中二病だな?
「曖昧な返事をするのね。雪宮君はもっとしっかりした人物だと思っていたわ」
「それはまた変な勘違いだな」
「まあ、それもどうでもいいわ。これで具体的な病気の内容は伝えたわ。何か質問ある?」
「えっと……そうだな」
原因──訊いて分かるのかな?
「その病気の原因って分かったりするのか?」
「はっ、分かったら苦労はしないわよ」
中ノ崎は強めに言う。もしかして怒ってる……?
「そう、私はこの病気のせいで人生が滅茶苦茶。学校生活、家族とか友達との関わりも上手くできない、夜だって──好きに寝ることもできないんだよ」
そうか……。やっぱりこいつも僕と同じなのか。
そうだよな。そんなこと言われたら怒れちゃうよな。中学二年だから──ちょうど二年間ぐらいその間、ずっと困っているのだから。
「僕も中ノ崎の気持ちは分かるよ──いや、分からないかもしれないけど、僕もその、同じような経験はしてるから中ノ崎が辛いのは痛いぐらい理解してる」
僕だって、今も辛い。今だってアレに苦しめられてる。
「だから、その、僕が中ノ崎にしてあげれること、あるかもしれない」
「つまり、私を助けると?」
中ノ崎は僕を見つめる。僕から中ノ崎の顔は、辺りが暗いのと、あいつ、前髪が長いからよく見えない。どんな顔をしているのだろうか。
「ああ、そのつもりだけど」
中ノ崎は「ハッ」と一蹴するように言う。
「無理よ。だって私のこの病気はどんな医者に連れてってもらっても解決しなかったんだもの」
そう言い放つ中ノ崎はニヒルな笑みを浮かべているのだろうか。そりゃ、その病気を普通の医者が治せるわけない。
いや、『病気』というもおかしいな。それはウイルスとか、細菌が原因なんじゃない。
「まあ、できる限りのことはするってだけさ。僕はそんな技術も知識もない。僕の友人に助けてもらうんだ。僕も中ノ崎みたいに困った時、そいつに助けてもらった。きっとそいつなら中ノ崎も助けてくれる」
「へぇ、そういうのの専門の医者なの?」
「いや、医者じゃない。うーん、アイツの事をなんと説明したらいいか分からんけど、医者じゃない。というか、お前のその状態も別に病気じゃない。まあ、病気のようなものと捉えてもらっていいけど」
「それは……どういうことかしら?」
よく分からなそうな雰囲気だ。そりゃ、今の説明でわかるやつなんていないだろ。
「お前を苦しめているその症状は、『想霊』ってやつだ」
「えもーすと?何それ」
初めて聞くとそういう反応だよな。僕もそうだった。
「えっとだな、簡単に説明すると、人の『想い』が具現化したものだ。例えば、『身長が高くなりたい』って思えば高くなったり。『好きな奴といい関係になりたい』とか、そういう、人の想いっていうか、願いのようなものを叶えてくれるのさ。もちろん──『人を殺す』とかも……ね」
「でも、そんなに都合のいいものじゃないんでしょう?」
「その通り。本人の意思に反したり、過剰だったり。さっきの例で行くなら、身長が高くなりすぎて巨人みたいになってしまったり、好きな奴といい関係にはなれたけど、周りとの人間関係はとんでもないことになってたり」
「ふむ……なるほどね。それは分かったわ。一応、信じてあげる。じゃあ、私はどんな想いでこんな身体になってしまったの?」
「えっと、それは僕には分からない。逆に何か心当たりはないのか?」
「ないわね。少なくとも今すぐには思いつかないわ」
うーん、あったら相当楽なんだがな。
「その、さっき言った僕の知り合いなら分かるかもしれない」
「ふうん。じゃあその人のところ行きましょうか」
「えっ?今から?」
マジかよ。結構思い切りがいいんだなこいつ。
「逆にいつ行くの?私は6時間しか自由がないのよ?それとも、その人にとって迷惑かしら?」
「うーん、確かにこんな時間に人を訪ねるというのは当然迷惑だと思うんだけど、まあ、アイツなら大丈夫だな」
「ならばよし。でも、一つだけ聞いていいかしら?」
「なんだ?」
「これはここからの行動が変わるとても重要な質問なのだけれども」
「お、おう」
なんだ?そんな質問……ちょっと怖いじゃないかそんな改まった言い方されたら。
「雪宮君って、中二病なの?」
……は?
いやいやいや、お前それ、いくら想霊の仕業とはいえ、お前が言うなよ!もしこの世に『お前が言うな選手権』みたいなのあればかなり上位を狙えること言ってるぞ?
「い、いや、一時期そういう時はあったけど今は違う──と思う」
「いや、私思ってたのよ。単純に魔王状態の私と話せる人なんて中二病の同業者か、相当な物好きよ?あと、今言ってた想霊とやらも、私はまだ疑ってるわ。中二病の雪宮君が勝手に作った設定だったり。さっき『一応信じる』とは言ったものの、実はそこまで信頼してないわ」
「お前、そんなこと言える立場か……?」
確かに、いきなり言われて信頼できることではないにしろ……。
「それか何?本当は私を助けてくれる人なんかいなくて、私のカラダ目的でどこか人気のない場所にでも連れて行く気じゃ……」
「そんなことするかぁ!!流石に僕という奴を信頼しなさすぎなんじゃないか?確かに、いきなり信じれることではないと思うけど!」
まだ出会って数日だし、本来の中ノ崎とやらには今初めて会ったしな。そんなさっきあったばっかのやつに付いてけっていうのは確かにハードル高いかもな。
「ふむ、まあ、藁にも縋る思いでついていってあげてもいいわ」
なんで上から目線……?僕、一応お前を助けようとしてあげてるんだけどなあ……。
「ぼ、僕は一応、お前のためにやろうとしてるんだぜ?」
「それがそもそも嘘だったら私のためになんかなりはしない。詐欺師はみんなそう言うのよ?」
もしかして、過去に『病気を治せるよ〜』とか言われて高額な料金をふんだくられて、結局治らないっていう詐欺とかにもあったことはあるのだろうか……?それなら疑い深くても納得がいく。
「……僕は詐欺師に会ったことないから分かんないな……」
「へぇ、私もないわ」
「ないんかい!」
余計な心配をした……。
「でも目の前にいる男が初めての詐欺師になるかもね」
「酷くないか……?」
僕ってそんなに信用できない顔してる?
「ま、騙されたと思ってついてってあげるわ。でも一応、対抗するための手段を……」
「ん?なんだ?」
中ノ崎はおそらく持参したリュックのところへ行く。何を取り出すのだろうか……?
「これよ」
中ノ崎は一見、ただの薄い直方体に見える物を手に取っている。
そしてその長方体をスライドする──すると、白刃が見えた。
「ドスよ」
……………やば。
「なんでドスなんて持ってるんですか中ノ崎サン?普通に銃刀法違反なんじゃ……?」
「さっき、魔王が悪魔召喚の儀式してるって言ってたじゃない?それの最後の方の工程で使う予定だったのよ。でもやっぱりか弱い女の子はドスぐらい持っておくべきよね」
「せめてスタンガンとか防犯スプレーとかにしろ!」
夏世もそうだが、今は防犯でドスを持ち歩くのが流行っていたりするのか?
はあ、僕、今からこんな奴と行動すんの?昼間の中ノ崎──『魔王』とやらも大概だが、今の本来の中ノ崎も大概だ!
今回のタイトル『雪宮君って、中二病なの?』は、ずっとやりたかったやつです。できて嬉しい。
いやー、『想霊』っていう単語も、ようやく出せたなあ。ちなみに『エモースト』と読む由来はなんでだったか忘れました。そのうち考えときます。
「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします!(初めてもらってめっちゃテンション上がってモチベになったので是非……。評価などしてくださった方、ありがとうございました!)




