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灰被家①


父、母、息子。

この家に住む3人が集ったリビングには、どこか緊張感のある厳かな雰囲気が漂っていた。


「…それで?大事な話っていうのは…?」


神妙な面持ちの母親が、息子の新へ問いかける。


ゴクリ

誰のものかわからない唾を飲む音が聞こえた後、ややあって新は意を決してその口を開いた。


「ま、」

「真白君ね?」

「真白君がどうした」

「こ、」

「ここ告白されたの!?」

「告白!?真白君から!?それで新は何て答えたんだ!?」

「……べ、」

「『別にいいけど』ーー!?何でそんな冷たく返しちゃったの!本当は嬉しいくせに!本当は叫びたいくらい凄く嬉しいくせに!!」

「『別にいいけど』だと!?馬鹿!そんな時は「俺も愛してる!真白!」って熱いハグ一択だろう!」

「いいえ!新の10年の想いを伝えるのにハグだけじゃ足りないわ!キスぐらいしなきゃ!」

「そうだぞ新!キスだキス!」

「「キース!キース!」」


「俺よりはしゃぐな!っていうか言葉の予測エグいな!!」

「「間違ってた(か)?」」

「一言一句合ってますけどクソッタレ!流石俺の親!」


はあはあと呼吸を落ち着ける新に、「あ!大事なことを言い忘れてた!」とまるで我が事のように嬉しそうな表情をした両親が告げる。


「真白君と付き合えて良かったな新。おめでとう」

「ずっと好きだったもんね、おめでとう新。今日はお祝いね!」

「…あ、ありが、」


「いやあ、正直『経験豊富になる!』とか言って恋人を取っ替え引っ替えしては手も繋がない清い関係のままお別れするという行為に何か意味があるのか甚だ疑問だったが真白君のお眼鏡にかなったようで良かった!」

「習い事の会費を何とか真白君から渡してもらうように手引きしたのに、何年経っても『うん』とか『ああ』とかいう返事しか出来なくてそのチャンスを全然活かせていないにも関わらず『話せた!』って毎回嬉しそうな空気を醸し出す貴方を見てこれ真白君と付き合えるの100年後くらいになるんじゃない?って心配してたけど良かったわ!」

「一言余計なんだよ!!」



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