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灰被家⑥
「弁当は最高だったとして…その後だよ。
…宙太に俺が真白のこと好きだってバラされた…」
ひとしきりときめきにジタバタした後、打って変わって今度は両手で顔を覆い、いかにも「絶望しました」という風に項垂れる新に、母親は「何言ってんだコイツ」という怪訝な視線を隠そうともしない。
「え?本当の事でしょ?ていうか、もう付き合ってるのに好きバレも何も無くない?何が悪いの?」
「普段ツンケンしてる俺の方が内心スゲェ真白のこと好きとか、ダサいだろ!!」
ダサいだろっ、ダサいだろっ…、ダサいだろ……
少し顔を赤くして叫んだ新の声は、思いの他このリビングに響き渡った。
母親は、そのエコーが鳴り終わった後にふう、と一息ついて。
「そんなつまらないこと言ってるからまだ手も繋げないのよヘタレ息子!!」
「違っ、真白が避けるんだよ!!」
「何で避けられてるのよ!!」
「俺だってわかんねーよ!!」