8
シロ、クロ そして、おじいさんと
同じ時間を過ごす事が増えた。
おじいさんの奥さんとも話すようになった。
初めて会った時も優しくしてくれた。
雰囲気が、おじいさんと似ている。
一緒に居ると息がしやすい感覚。
だけど、ある日。
その日も、おじいさん達と過ごしていた。
「山本?」
「あ……、せんせ」
夢の様な時間に現実が現れた。
「なにをしてるんだ」
「なんで、ここに…」
「長い間、休んでいるから来たんだ。
山本の声がすると思って入ってみたら」
声が出ない。
混乱してしまい、
どうしたらいいのか分からない。
「どちらさま?」
おじいさん と、シロ、クロ。
私の顔を一緒のタイミングで見た。
よっぽど様子がおかしかったらしい。
シロ、クロが私の足元に来て心配してくれている。
「突然、お邪魔してしまい申し訳ありません。
こちらの山本の担任をしております。」
「そう、ですか。どのような用件でしょうか?」
「いえ、お気になさらずに、失礼します。
行くぞ、山本。」
「はい…おじいさん、シロ、クロ。また」
「また、ね」
「クゥーン」
「クゥーン」
先生が前を歩き、後ろを私が歩く。
私の家に向かうのに、変な状態だ。
「さて、明日から来なさい」
家の前に着くなり言われた。
「え…明日、ですか?」
「そうだ、遊んでいるなら来なさい」
「……………」
答えられなかった。
「いいな、山本。」
「…………はい」
「明日な。」
それだけ言って帰って行った。
「あした……がっこう……」
心臓がドクドク鳴っている。
何も考えられない。
サーッと血の気が引くのが分かる。
気づいた時には自分のベッドの上に座っていた。
「がっこう…がっこう…」
「だいじょうぶ…だいじょうぶ…」
そればかり声に出していた。