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私は、行けない。  作者: たけ ゆう。
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4

大丈夫、大丈夫、大丈夫。


心の中で何度も、呪文のように。


「いってきます。」


「いってらっしゃい!」


お母さんが笑顔で送り出してくれる。


大丈夫。


足は動く。


校門が近づく。


大丈夫、大丈夫。


校舎が見えた、目の前に来た。


だいじょ、ぶ。


また。きた。うごかない。うごかない。

息苦しさが、また現れた。


校舎を見上げる。

こわい。

よくアニメで見る悪の巣窟のように見える。


息ができない、いき が。


たすけて、たすけて、たすけて。


「山本?」


「せんせ…」


「またか?」


声が出ない、必死で頭を上下に動かす。


「分かった、ゆっくり座れ。」


近くあった石段に座った。


「保健の先生を呼んでくる。いいか?」


言葉が出ないから、また上下に頭を動かす。


待っている間、生徒が通りすぎる。

不思議そうに私を見ている。


見ないで、お願い。


「山本」


担任が1人で戻ってきた。


「保健の先生は、今日、昼まで居ないらしい。

大丈夫、じゃないよな。帰った方が、いいな」


また、最後まで学校に居られない。


担任が送ってくれる事になり、

空いている教室で朝のHRが終わるのを待った。


「ありがとうございました。」


「無理、するなよ」


「はい」


鍵を開けて家に入る。

昨日と一緒だ。

また明日も同じ事になる。

その度に、誰かに迷惑をかける。


だったら、行かない方が、いい。


家族が帰って来ても、部屋から出なかった。

ご飯も食べていない。

ただ、泣いていた。

泣くしかなかった。


もう、学校には行かない、行けない。


行くのが、こわい。


ごめんなさい、許してください。










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