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私は、行けない。  作者: たけ ゆう。
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2


家から学校まで歩いて10分。


昨日までは、普通だった。

だけど、今日は学校が遠い。

そう感じた。



教室がある校舎は、もう目の前。

あれ、おかしい。

足が動かない、息ができない。


私の横を生徒が通りすぎて行く。

ゆっくり、ゆっくり

一歩、一歩、進もうとするけど、

足が重く動かせない。


「なんで、遅刻しちゃう…」


そう思うのに動いてくれない。


もう、生徒は歩いていない。


「どうした?」


背中の方から声がした。


「山本じゃないか!どうした?顔色が悪いぞ」


担任だ。


「う、動かないんです」


「動かない?」


不思議そうな顔をしながら私の横に来た。


「教室に行かなきゃいけないのに動かない、

………息もできない。」


知っている顔を見て安心したのか、

一気に涙が溢れてきた。

そして息苦しさが頂点に達した。


「うぅ、くる、し…くるし」


もう、立っていられなかった。


その場に座り込んだ。


「大丈夫か!!」


私が立っていた場所は職員室から

よく見える所だった。


「保健室の先生を呼んでください!」


そう叫ぶ声が聞こえた。



意識が薄まっていくなか、

ゆっくり、ゆっくり支えられながら歩いた。




目を覚ますとベッドに寝ていた。


「大丈夫?」


優しい女性の声がした。


「はい…」


「過呼吸だと思うわ、もう少し休んだら

今日は、帰った方が いい。」


「はい…」


目が覚めた時は休み時間だったらしく、

授業が始まった時間に手が空いていた

教師が送ってくれた。


「ありがとうございました。」


「お大事にね」





家の中に入る。


両親は、共働き。

お姉ちゃん、お兄ちゃんは、学校。


私、1人。


自分の部屋に入り私服に着替える。


ベッドに横になって、さっきまでの

出来事を思い出す。


「過呼吸………。」


そう小さく呟く。


苦しかった、死ぬかと思った。





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