幼なじみとの異世界転生 続き
「異世界だ!!!」
俺がこう叫ぶと、ユキはキョトンとしていた。
「異世界?それって私たちが住んでいたのとは違う世界だよね?」
「そうだ。まあまずはとりあえず、寝床探しだな」
俺達はそう言って歩き出した。
幸い、歩いて10分ほどで少し大きめの街に着いた。そこらを歩いていた人に泊まれる場所はないかと聞いたら冒険者ギルドになら泊まれると言われたのでそこに行ってみた。
「おおお、ここが冒険者ギルドか!!俺達まじで異世界に来たんだな!!」
地球での生活に嫌気がさしていた俺は夢の異世界生活に心を踊らせた。それもそのはず。なぜなら俺が地球で愛してやまなかったゲームは異世界で勇者として戦うというものだったからだ。
「よし行くぞユキ!」
「う、うん。待ってカズ君ー!」
そうして俺達は受け付けに行って泊まれるか聞いたのだが問題が発生した。
「それでは料金は20000ミーロとなります」
そう、お金だ。わけも分からずこの世界に来たのだからこの世界のお金を持っているはずがない。
「あの、俺達お金を持ってないんですけど、どうすれば稼げますか?」
「もしかして旅人の方だったりしますか?珍しい服装をしていますし」
「まあ、そんな感じです」
当たらずも遠からずなのでそう答えておく。
「お金を稼ぐのであれば冒険者となるか、商売人になるかがほとんどなのですがどうなさいま」
「冒険者で!!」
異世界での冒険を夢見ていたのだ。俺は受け付けのお姉さんが言い終わる前に答えた。
「わ、分かりました。冒険者ですね。では、まず適正を調べさせて頂くのでこちらへどうぞ」
するとここまでずっと黙っていたユキが口を開けた。
「カズ君、私たちが冒険者なんて大丈夫なの?危なくない?」
「この世界では働けるとしても俺達は高校生だぞ?商売なんて出来ると思うか?」
「まあ、確かにそうかもしれないけど、、」
「まぁ大丈夫だ!俺がなんとかしてやるぜ!」
冒険者の事しか考えていなかった俺はユキをそう言いくるめるとお姉さんの後に続いた。
「それではまずはあなた方の適正を調べさせて頂きます。適正というのは簡単に言うと自分がどんな職業に向いているか、という感じですね」
「ちなみにどんな職業があるのか聞いてもいいですか?」
「大まかに分けると職業は味方の盾となったり率先して前に行ったりするクルセイダー、味方の回復などを担当するヒーラー、魔法を使い味方の支援や遠くからでも攻撃できるウィザード、剣や槍を使い近距離戦を担当するウォーリア、あとはなる人が少ないですがよく言えばオールラウンダー、悪く言えば器用貧乏のアフェアーがあります」
魔法だの戦士だのに浮かれていた俺は最後の職業を聞いてフラグをたててしまった。
(これ、俺がアフェアーになるとかないよな?なる人も少ないって言ってたし大丈夫だよな?)
そうして俺は、こんな感じで最弱職になったいつか読んだことのあるラノベの主人公のことを思いながら適正診断をしてもらった。
果たして結果はというと、俺は見事にフラグを回収してアフェアーになることになってしまった。受け付けのお姉さん曰く、俺は他のどの職業をやるにも能力が中途半端なんだそうな。くそっ、こんな所でニートの弊害が生じるとは。
そしてユキはというと、
「!?!?これは凄いですね!!あなたの能力ならどんな職業にでもなれますよ!」
「えっ?そうなんですか?どうしよう、カズ君!」
とても素晴らしい能力を持っているらしい。周りの人達の反応を見ればその凄さが丸分かりだ。こういうイベントって、俺に来るもんじゃないのか?
「カズ君!私どの職業に向いてると思う?」
俺の気持ちもつゆ知らず、ユキは嬉しそうに聞いてくる。ユキの笑顔に、俺は全てがどうでも良くなる。それもそのはず、ユキは成績優秀、容姿端麗な才色兼備なのだから。俺は仲間に恵まれたなーなどと思いながら、ユキの質問に答えた。
「んー、ユキならウィザードとかがいいんじゃね?頭もいいし」
「そう?カズ君がそう言うならそうするね!」
単にユキの魔法使い姿が見たくて言ったのだが本人がそう言うならいいだろう。
「ウィザードですね!ユキさんの能力なら最初から最高ランクのウィザードになれますよ!」
「それって凄いよね!カズ君、いきなり最高ランクだよ!」
俺、もう泣いてもいいだろうか。
今回も短めですがキリがよかったのでここで切りました。次回からは冒険に出たりもするので良かったら見ていってください。
*誤字、脱字などがあれば教えて下さると嬉しいです!