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蛇のように

胸に殺意が宿る。血液にのり、そこから爪の端まで力が満ちる。根性だとか、勇気だとかで説明されるのと同じものだ。素早く心臓をえぐり出す、という結末を迎えるために全身の細胞が奮い立つのだ。

しかし勘違いはさせた方がいい。ナイフを弄びながら近寄るのと、隠して見せずに近寄るのなら後者の方が警戒されない。そういうことで、私は弱々しく立ち上がる。

 「腕は……やっぱり動かないな……」

 「辛うじて動けるだけでも存分に凄いさ。人外って言うのも頷けるね」

この建物は隠れ家と言うだけあって、あらゆるギミックが仕込まれている。壁に斜めの穴が空いており、鏡を通して玄関の外が覗けたりするのもそれの一つだ。他にも浴槽の下に空洞があったり、塗装で誤魔化してあるが簡単に蹴破れる壁があったりするのがそうだ。私なら一目でわかるものの、普通の人間では夢にも思わないだろう。さておき、それを使って姿を見せずに壁越しに声を投げてきている相手のことも伺えた。口元を布で覆ってはいるが、声の高さや感じからしても男であろう。鼻筋が通っていて、ここら辺では多分珍しい出で立ちである。

さて、どう殺すか。

能力についてまだよくわかっていないから、むやみやたらに攻撃するのは良くない。何が起きても不思議ではない事を念頭に置かないといけない。眠らされた、腕の不調、普通なら全身が動かなくなる。最後のこれは嘘かもしれない。

現段階で不調はなし。追撃もない。眠らされた間に死んでもいないから、この扉や壁をどうこうすることはできないと思われる。つまり近距離で殴られるのには弱い、少なくとも破壊は出来ないということだろう。

弱らせる能力?それともガスのような何かか?

わからないな。他のことから考えるべきか。

何故逃げない?近距離のパワーがないのなら、念のため逃げるべきではないか?そこまで遠距離で使えないのか?私の事を人ではないと知っており、全身麻痺が効かないことをある程度予想していた事から、その程度の能力では決して攻撃を行わないだろう。たまたま頑丈な壁で区切られているから出来ないのであって、この距離ではまず殺せるはずなのだ。だから、例え何もなくても安全に攻撃できるはず。ドアを破らないのは防衛のため?いや、内側からなら簡単に空く。鍵をはずしノブを回せばいい。

それを誘っているのか?何故?攻撃には何か条件がいるのか?

 「うっ……」

目眩がして、二度眠気が襲う。だがそれよりも大事なことがあった。体が、ドロドロになっている……溶けているというより、樹脂のように……白いドロドロに……

これを待っていたのか?

 「腕が……溶けてる……」

 「そうだろう。命じられたのは威力偵察だが、殺すなとは言われてないからな」

入ってこない。威力偵察。やはり、私にドアを開けさせようとしているな?焦らせて、自分を囮にして罠を張ってやがるな?

手近な所に転がっている紙の板をドアノブに投げつけた。

彼女の思考内容は中の人がシミュレートしてるのそのままです

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