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ほかほか  作者: ねこ侍
第一章
55/193

第44話 負けちゃうの不思議よね


「お待たせ致しました」


 そう言いながら、受付嬢が丸い鑑定機を俺達の座っているテーブルまで持ってきてくれた。

 レーベルの鑑定機は黒い色をしていたが、ここの鑑定機はうっすらとしたピンク色をしている。

 受付嬢の好みだろうか?


「どなたから鑑定致しますか?」


「じゃー、俺からお願いします」


 まずは俺が名乗りをあげた。

 いつもオチみたいに使われるからな。


「それでは……ムムッ」と受付嬢が集中を始める。

 程なくして、カタカタカタ……と鑑定機からスキルが印字された紙が出てくる。


 俺達にはもう見慣れた光景だが、ルナには衝撃的だったらしい。

 固唾を飲んでその光景を見守っている。


「凄いわね。これがあれば【鑑定】のスキル要らないじゃない」


 ルナは鑑定機自体が鑑定していると勘違いしているみたいだ。

 まあ名前だけ聞けばそうだよな。


「違う違う。鑑定は受付のお姉さんがやっていて、これはその鑑定結果を印字してるだけだぞ。だから正しくは鑑定結果印字装置とかになるのかな」


「あ、そういう事かぁ。でもそれも凄いわね」



ルナの誤解が解けたところで、さてさて俺の鑑定結果はと……。



ヨースケ LV35


-スキル―


 【ふむふむ】LV-

 効果 異なる言語を理解、使用出来る。


 【ぽたぽた】LV1

 効果 液体(15g以内)を操る力


 【ころころ】LV6(↑2)

 効果 球体(直径5cm以内)を操る力


 【ぱくぱく】LV2

 効果 上限を越えて少しだけ食べる事が出来る。


 【ほかほか】LV52

 効果 芋(全般)に素早く熱が通る。



「これは……初めて見るスキルばかりですね」


 受付嬢が興味津々で俺のスキルを見ている。

 この世界にはプライバシーと言うものは基本的に無い。


「この【ほかほか】って凄いんですよっ。あのヒュドラを一撃で瀕死に追い込んで……」


 ランジェが鼻息荒く俺のスキルの説明を始める。


 やめて、あんまり説明しないであげて。

 恥ずかしいから。


「げっ。冒険者レベル凄い上がってるじゃないのー。これはうかうかしてられないわ」


 ふふふ。

 ルナ君、抜かれる時って言うのは得てして気づかないものなのだよ。


 と、言いながらも自分でも驚いていた。

 あんまし実感は無いんだよな。

 やっぱしライアーデーモン戦が反映されてるのかな?


 まー俺もちょっとは活躍したしな。

 うはははは。

 てか冒険者レベルも印字されるんだっけ?


 そして次は、まだ俺のスキルの説明をしているランジェの番である。

 そろそろやめなさい。

 


ランジェ LV258


-スキル―


 【英雄】LV8

 効果 全ての能力値が上がる


 【魔法剣士】LV-

 効果 剣士、魔導士両方のスキルを覚える


 【語解】LV-

 効果 異なる言語を理解できる


 【魔法】LV10

 効果 火属性の魔法を覚える

    ・ファイアボール LV7

    ・フレイムウォール LV5


 【魔法】LV8

 効果 聖属性の魔法を覚える

    ・ヒール LV5

    ・浄化  LV3

    ・キュア LV3


 【切れ味】LV13(↑1)

 効果 武器の切れ味が鋭くなる


 【瞬歩】LV9

 効果 素早く移動ができる



「あれ? あの剣が燃えるやつは?」


 ルナが紙の裏をペラリとめくって見ている。

 裏面があると思ったらしい。


「あれは剣技に魔法をミックスしたものだからね。スキルとはちょっと違うかな」


 技術は鑑定できないのか。

 確かに俺のペレットクロスボウと【コロコロ】の組み合わせも技と言えば技だよな。でも当然鑑定結果には出てこない。


「へー。鑑定には表示されないのね。それってある意味有利よね」


「どう言う意味だ?」


 どう言う意味だ?

 思った事がそのまんま言葉に出た。


「だって、もし敵に鑑定持ってる奴がいたら、こちらの手の内がある程度バレちゃうじゃない? だから奥の手ってやつね」


「なるほどなー。でもそう考えたら魔法だけ丸わかりって考えもんだな」


「あら。魔法だってミックスはバレなくてよ、おほほほ」


 口に手をあて、わざとらしく笑うルナ。

 何か絶対に色々企んでる顔だ。

 こいつは本当に味方で良かった。


「だから鑑定結果を過信しちゃ駄目って事ね。でもヨースケのスキルを見たら、敵は一瞬パニクるでしょうねー」


 ほっとけい。



 じゃ最後はルナだ。

 

ルナ LV53


-スキル―


 【魔導士(極)】LV2(↑1)

 効果 四大属性の魔法を習得する


 【語解】LV-

 効果 異なる言語を理解できる


 【火魔法】LV15

 効果 火属性の魔法を覚える

    ・ファイアボール LV10

    ・フレイムウォール LV8

    ・レッドバースト LV5


 【水魔法】LV15

 効果 水属性の魔法を覚える

    ・アクアボール LV10(↑1)

    ・ウォーターウォール LV5

    ・アクアミスト LV3


 【土魔法】LV5

 効果 土属性の魔法を覚える

    ・ロックバレット LV3

    ・ロックウォール LV3

    ・アースロック LV4(↑2)


 【風魔法】LV5

 効果 風属性の魔法を覚える

    ・ウィンドカッター LV4(↑1)

    ・ウィンドウォール LV3

    ・スピアウィンド LV2


 【スキル鑑定】LV-

 効果 対象者のスキルの鑑定が出来る



「あ! あなたも【鑑定】のスキルをお持ちなんですね! それにすごい魔法……」


「えへへ。本当は【不老不死】とか【時間操作】とかチートスキルが欲しかったんだけどねー」


「それって大抵悪役が持つスキルだよな」


「それでも悪役って負けちゃうの不思議よね。所詮は「役」って事かしら。役じゃなくて本物にならなくちゃね」


「悪役」から「役」を取ったら「悪」なんですけど……。


「ねーねー。そんな事より、スキルの横の↑ってどういう仕組みで判断しているのかしらね? 【シジュール】ではそんな表記は無かったわよ」


「え?」


「昨日ヨースケのスキルを鑑定した時に、【ころころ】LV4(↑1)って出たの覚えてる?」


「ああ……。確かそうだったな」


 実はあんまり覚えてなかったが、そうだった様な……。

 よくそんな事覚えてるな……。


「で、今日の鑑定結果はこうよ」


 ルナは俺の鑑定結果を指差す。

 そこには、【ころころ】LV6(↑2)と印字されている。


「あたしが昨日鑑定しなかったら、【ころころ】LV6(↑3)になっていたのかしら?」


「多分そうじゃないか? ルナの前に鑑定した時は確かLV3だったからな」


「それって不思議じゃない?」


 そういうルナの顔を、逆に不思議そうに見つめる俺達。


「あれ? 違和感覚えるのってあたしだけ……? 失礼致しました。えへへ」


 うーん。すまない。

 俺の理解力では何が不思議なのかが分からない。

 そもそもLVだとか魔法だとかスキルだとかが不思議なのだ。


 しかしこうして三人の鑑定結果を見ると、みんなちゃんと成長してるな。

 やはり低いレベルの方が上がりやすいみたいだ。



「ありがとうございました。じゃそろそろ行こうか」


 ランジェがそう言って席を立つ。


 そうだな。

 ちょっと寄るだけの予定だったのに随分と長居してしまった。

 俺とルナも席を立ち受付嬢にお礼を述べる。


「またのお越しをお待ちしております」


 受付嬢に見送られ、俺達はギルドを後にするのだった。




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