理不尽な雨
シトシト雨の日
僕は天井裏を走る 鼠の足音を聞いた
鼠だけかと思ったら
鼠の後を追い掛ける 少し大きな足音を聞いたんだ
少し驚いた …
「へぇ… 鼠が居るんだ…」
仕事から帰ったパパに話したんだ
「鼠が天井裏を走ったよ」
「あぁ それはイタチだよ 鼠を捕まえたかったんだろう 」
「ふ~ん…」
パパは気にもしなかった
けれど それから …
決まって僕が1人の時に
鼠の足音が増えて …
僕は段々 心配になっていたんだ
いつか天井が抜けて 鼠が落ちて来るんじゃないかなって …
その後 暫く 鼠の足音は聞こえなくなったんだ
きっと 雨の日じゃないからだろうなと思っていたんだ
けれど それから…
真夜中に鼠が僕の枕元に現れた
パパは全然 気づきもしない
その鼠 頭が黒くて金色の鋭い牙をニヤッと見せて
チューチュー チュチューチュー
僕には解らないけれど 何か話していたんだ
薄気味わるい プキミな鼠で
ケケケケケッて人間みたいに笑うんだ
僕は怖くて震えたよ
けれど それから毎日 昼も夜も鼠が現れた
チューチューチュチューチュー
言葉が解らない僕に腹を立てたのか
鼠が突如 僕に噛みついた
金色の牙を僕のコメカミに突き刺して
チュッチュッチュー
僕は悲鳴を上げたんだ
けれど パパは眠ったまま
僕は頭が痛くて痛くて 涙も出たよ
けれど パパはやっぱり眠ったままなんだ
毎日 毎晩 繰返されて
嫌だと言っても鼠が現れるんだ…
助けて欲しいんだ…
だって ほら …
僕の頭はこんなに凸凹で
顔もぶつぶつになった …
それだけじゃなくて
鼠に噛まれる度に 何も考えられなくなって
この間 意識も失ったんだ …
僕の頭 元に戻るかな …
あの時 イタチがこの憎らしい鼠を喰い殺してくれたら良かったのに …
そしたら 僕が苦しまなくてすんだのに…
やりたい事が 沢山あるんだ
だから 僕の頭 元に戻してよ
お前がそんなに ズル賢くなかったら
僕が今すぐ殺してやるのに
僕の時間を返せ! 僕の未来を返せ!
この理不尽な鼠を誰かお願い 殺して!
僕は解放されない 僕は解放されてない
僕には自由がない 僕には未来がない
誰か 否 僕が あの頭の黒い鼠を殺そう
そうさ 殺して終えば楽なんだ
それで僕も鼠も終わるんだ
誰か 否 僕が あの憎い鼠を殺そう
そうさ 殺してしまえば理不尽が無くなる
僕は解放されて
鼠も僕も終わるんだ
理不尽な雨が終わるんだ