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魔界猿雄伝  作者: にわとり・イエーガー
大山鳴動して子供2人。
86/103

対神位作戦会議。

「戦力をかき集めろ」


 魔王シャアルラの一言により、魔界人界を問わず、実力者という実力者が複数箇所に待機させられた。


 例えば魔都にはパアルカラッソ率いる魔法師団。人界、ラアブレイ帝国首都ラアブレイには、ヒポリとカネ。それぞれ最強の戦力を配置。さらに他の地域にもうての強者を配備し、食料その他、持久戦の構えを用意した。


 全てをかき集めた。



「カルナ以下、つまり神位第4位以下は、ぼくでもこうしきれないほど強い、ってことはない。下準備さえすれば、なんとかなる」


 神界から帰った直後、魔王の間にて、魔神テアはそう言った。


 シャアルラに対し、テアは忠臣のようにガンズ、サルタ、パールと共に席に着いていた。最近・・・テア、パールが味方になってから・・・用意された丸テーブルに。中央の地図を囲むように、軽食や飲み物も用意されている。


「ただしそれは、ぼくが直接出張(でば)ればの話。君じゃ、難しいかもね」


 現役の魔王を指して、テアはそう言った。


「では。方法を。頭でっかちなら、それなりに応えてもらおう」


 つい先日、致命傷を食らった相手に対し、シャアルラは怖いもの知らずだった。


 否。


 本当に神族との戦争になり、自分を鼓舞こぶしている。


 味方に付いてくれた魔神テア相手にすらおくしていては、話にならない。そう本能的に理解している。


 ゆえに絶対強者であるテアに歯向かった。軽口を意識的に叩いた。


「言うねえ」


「我々は同盟者。対等な関係であれば、当然だろう。それともお前一人でマリオンに勝てるつもりか」


バアン


 返事は、魔力変化だった。今度はシャアルラの背後から魔力粒子が散弾のように撃ち抜いた。


「案外と。タネが少ないものだな」


「へえ」


 撃ち抜いた、つもりだった。テアは。


 しかしシャアルラの魔力結界は柔軟にテアの魔力粒子弾を弾き返した。


 おかげでシャアルラの背後は甚大じんだいな被害を受け、大工を必要とする状態であった。


「一応、礼は言っておこう。ありがとう」


「どういたしまして」


 無論、テアなりの教育であることは、シャアルラも気付いている。わざわざ前回と全く同じ魔力量と技術で仕掛しかけられたのでは、な。


 シャアルラ自身のレベルアップを、無駄なく日常的に図る。その一環だ。


「ほっほっほ・・・。お楽しみですじゃな」


「ええ」


 知虫軍団長ガンズ。魔王付き軍師サルタ。どちらも戦力を持たぬ知恵者。ゆえにはっきりと死にかけた今、お互いに対する強いシンパシーを感じていた。死ぬ時は、一緒だよ。弱者同士のうるわしい友情である。


「当てないから。信用されてないな、ぼく」


「お力は十分に当てにさせてもらっています。ですが、魔王ともあろう方々が、我々の機嫌取りなどなさる必要はありません」


 完全なるお世辞だが、サルタもこれぐらいは言えるようになった。


 なおのこと言えば、テアもシャアルラもお世辞以上の意味がないと分かりながら、雑に処理してくれると考えている。


 それに本物の危険であれば、横に居るパールが守ってくれる・・・かも。今は何も言わず、魔王のおやつを食べ散らかしているだけだとしても。


「まあ、良い試験になっただろう。ガンズ。魔都は任せる」


「承知致しましたですじゃ」


 シャアルラもまた魔都の守備に付く。だがそれは最前線での戦闘に入るという意味だ。まかり間違っても、後方待機など出来ん。そんな余裕はない。


 ゆえに魔都、魔城の守備兵の戦力は全てガンズの指揮下に入る。


「・・・虎の子のヒポリを人族の守りに出すなど、私は愚かだったか?」


 部外者のテアが居る前で、シャアルラは腹心の部下二人に問うてみた。一人は父の代から仕えてくれている忠臣。一人は同年代の友人。


「人族を使い捨てるおつもりであれば、間違いでありましょう。しかしシャアルラ様は人魔に君臨する覇王。であるなら、人族もまた、魔王支配下。ヒポリ殿を派遣し、お守りするのが、正しき王道ですじゃ」


「それにヒポリ様なら、その判断力に信用が置ける。何が起きても、魔界のために動いてくれる。お前もそう思うから、ヒポリ様にお任せしたんだ。だからお前は正しい」


 やけに部下が褒められて、なんともな感情が無いわけではないが。二人の意見はシャアルラを肯定していた。ほっとした。


 魔界での勢力争い、人族との抗争。その程度なら独断で十分だが、今回の相手は、自らの力量を遥かに超えた存在。知恵を出し合わねば、届かん。


「人界との連絡役は飛竜。敵空中戦力には凶鳥。地上は私か魔法師団」


 タフで速度を保てる飛竜なら、途中で落ちる心配が少ない。普段なら単独で飛ばせるところだが、今回は複数名でのチームを構成するのが良かろう。


 そして魔都の空は凶鳥軍団に一任する。敵地上戦力を仮にヒポリ級とすると、接近次第死ぬ。魔法師団であれば逃げることは出来る。ゆえにギリィを始めとする火力特化集団である凶鳥には敵飛行戦力を狩ってもらう。


 そしてシャアルラが自由に暴れまわり、魔法師団が魔界全てをガードする。


 魔海は海魔軍団が当たるが、まあこれは当たり前だ。言及するまでもない。


 そして巨石軍団はシャアルラか高位魔族でなければコントロールできない。本来は盾として使う部隊ゆえ、敵がどこから現れるか分からない状況では、機動力が低すぎて使いにくい。内部の剣闘軍団と合わせて、時間稼ぎには最適なのだが。今回はお留守番か。


「そういえば剣闘軍団て、どんな部隊なんだ?軍団長も知らないけど。巨石と同じ?」


 巨石軍団長ロイドナイトが、飛行要塞であるのと同じ。剣闘もまた魔王の操作する人形なのだろうか。


 サルタは妖樹軍団で働いていた当時、剣闘軍団員と肩を並べていた。しかし一度も言葉を交わした事はない。喋る剣闘軍団を見た覚えがない。


「父上の趣味で生まれた部隊で、実力は最下級だ。移動城塞型巨石族ジョウゴとの組み合わせで場を支配する、まあ捨て駒だな。魔族側の被害を最小限に抑える役割があるから、無駄ではない」


「へええ・・・」


 イマイチ想像しにくいが、使い捨てにして良い部隊なのは理解できた。


「口で言っても分からんだろうから、後で見せてやる」


「おう。サンキュー」


 あまりに距離感の近いやり取りだが、ガンズは何も言わなかった。魔王の心理安定剤に文句などない。


 正直に言って、自分の地位を奪われるのではないか、という不安はある。


 あるが、今更すぎる。


 なぜかと言うに、魔軍大将軍ヒポリの誕生と共に、魔族間のパワーバランスが変化した。


 魔王の次、つまり副官ポジションは、常に魔法師団だったのが今まで。


 ところが魔王シャアルネルラの代で、知虫軍団が誕生。そしてその軍団長が魔王付きの参謀として、首脳陣に加わる事になった。領土決定戦の戦力というより、魔界全体の戦力アップという意味合いが強い。


 さらにはヒポリという新星が、魔法師団を飛び越えて、魔軍ナンバー2に任命された。


 通常であれば、魔法師団やその親、親戚筋に当たる元魔法師団から意見も出よう。いかに魔王が絶対的支配者であろうと、魔法師団にもプライドがある。


 しかし魔王シャアルネルラは、誰にも何も言わせなかった。全ての魔族が唯々諾々(いいだくだく)と従った。


 ゆえにガンズは、魔王シャアルラの行動の全てに何も言わない。


 ガンズにとっては、シャアルラこそ、魔王シャアルネルラの正統後継者。


 誤り、間違った行いと判断すれば、命を懸けて抗命こうめいもしよう。


 だが小猿一匹そばに置いて、それを誤りと糾弾きゅうだんしていては、己の見識を疑われる。無能はシャアルネルラの配下には存在しない。


 魔王は獣王に次代の王をたくした。それすら解せず、ガンズは魔界の謀将をやっていない。


 サルタが自分を飛び越えるのであれば、それで良し。きっとそれが魔王の心の支えになる。


 体長わずか30センチ。戦力ゼロ。ヒポリとは比べ物にもならない小物ながら、その忠誠心はヒポリとする。


 ゆえにシャアルネルラはガンズを寵愛ちょうあいしたし、ガンズもそれに応えてきた。


 今回も応えたい。己がどうなろうと、最後まで魔界のために働きたい。


 知虫軍団という特性上、ガンズはシャアルネルラ並みに魔界を知り尽くしている。全ての土地、全ての生命を知虫は知っている。


 神族などというよそ者に好き勝手されていい世界では、断じてない。


「敵方の最強戦力には、テア様。お願いしてもよろしいですかの」


「もちろん。マリオン戦前のウォーミングアップとして、体を動かさなくちゃ」


 敵は神位第4位から第8位まで。計5名の怪物。うち、出現箇所が絞りきれている敵はゼロ。どこからでも現れる可能性がある。


「まずは神位第8位、神樹ユナハ。彼女に関しては攻略法が確立されているから、出現次第、ぼくが行こう」


 比較的簡単に倒せる相手だ。再生を上回る火力をぶつけ続け、補給ルートである根っこを切断し続ける。それだけで勝てる。


「神位第7位、神雲しんうんジャラル。・・・うーん。実はぼくも良く知らないんだけど・・・」


 いきなり雲行きが怪しくなってきた。


「自我のある個体というより、マリオンやダイナソアの騎馬としての活用が多い。まあつまりは、ロイドナイトだと思えば良い」


「では、単独で実戦には出ないのですか」


 シャアルラの希望的観測は、軽く一蹴いっしゅうされる。


「ううん?自動行動で地上を灰に出来る暗雲。それが神雲ジャラル。どこに出ようが、発見次第即殺しないと、魔界も人界も全てが消え失せる。ダイナソアは、やると言ったらやる」


「では、弱点か何かは」


「ジャラルはその特性上、騎乗するダイナソアやマリオンの道具でしかない。身を守る思考回路がないから、攻撃は全て当たる」


 ・・・簡単に倒せそうだが?


「ジャラルの基本抵抗力は我々の魔力障壁のおよそ数百倍。ロイドナイトがディナライト砲を全弾直撃させて、やっと壁を砕ける」


「・・・では、私とロイドナイトが動けば、勝てますか?」


「上を取りさえすれば。ジャラルの行動パターンはかなり単純だから、攻撃を避けて上空を取った時点で勝てる。ただ下方への火力は準ダイナソア級。食らってしまうと、あなたでもおそらく、耐えられない」


「そう聞くと試したくなりますが。忠告は聞きます。見つけ次第、潰します」


「うん。それが良い」


 サルタとガンズは王と魔神の言葉を聞きながら、戦力分布を思考していた。聞く限り、まずジャラルにテアを当てた方が良いように思われるが。当人がそう考えていない。神樹ユナハの実力を知らぬ以上、知っているテアの意見を尊重するのが合理的か。


「神位第6位。神獣エレイン。強さはさほどでもない・・・」


「・・・?」


 テアが言いよどんだ。どういう化け物だ。


「・・・しゃくさわるけど。知的レベルにおいて、ぼくを上回る獣。正面切って戦ってる時点で、すでに負けているかも知れない」


「え・・・」


 魔族であるシャアルラ。魔王であるシャアルラこそが、最も衝撃を受けた。


 魔王テアとは、魔法研究の第一人者。はっきり言って、魔界の歴史上、最高の頭脳と呼んでも、何の誇張もない。


 それを上回る?


 想像も出来ぬ。


「エレインは普段、姿を隠して神位昇格のスカウトをしている。ダイナソアやマリオンに進言するために。まあ、パール様の動き回っているバージョンと考えれば良い」


「はあ・・・」


「私と同じか」


 パールはシャアルラでも「壊せない」。パールの力量にプラス、自由な移動能力。


 ・・・ちょっと、どうやったら勝てるのか分からない。


 パールだけは、ちょっと興味が湧いたらしいが。


「弱点は火力の低さ。おそらく最大攻撃でも、ぼくの砕戯カンタぐらいの威力しかない。魔法師団が千人でかかれば、消耗戦を挑める」


「・・・問題は、エレインとやらは、その勝負に乗ってこない」


 シャアルラは鋭敏にエレインの長所を悟っていた。


「その通り。いかにダイナソアの指令とはいえ、エレインはリスクを取らない。彼女を追い詰めるのは、ある意味、ダイナソアを倒すより難しいと思う。少なくとも、ぼくには無理」


「えっ・・・」


 サルタは驚きの声をもらしてしまった。味方で一番強いテアで無理なら、一体どうすれば・・・。


「知性ではどうにもならない。ただ、幸運を祈るのみ。偶然エレインが出現した領域の近くに偶然ヒポリが居て、その情報を知虫軍団がつかめる。そういう幸運を」


 神位第3位のカルナ。あのレベルなら、苦もなくエレインを倒せるが。そんな者は味方には居ない。


 神位第6位、エレイン。まだその上に二人居るというのに。


「あの。テア様。・・・こういうのはどうでしょう」


 手を挙げたサルタから、一つの提案が。そしてそれは了承された。


「・・・次は神位第5位、空竜グランアルム」


「くう、りゅう?」


 シャアルラは声に出した。ガンズもまた声に出さずに驚いていた。


 空竜は、味方。前飛竜軍団長ダロンの真の姿、グランダロンこそが空竜。


 絶対にあり得ない。


「魔族から神族へ転身したぼくみたいに、飛竜として生まれて空竜になった。そんなにおかしい?」


「い、いえ・・・」


 そう言われると、返す言葉がない。


「普段、グランアルムは、空の雲の一つとしてただよっている。戦闘を好まないんだ」


「それで神位第5位ですか」


「そう。天才ってやつ。竜だから魔法も効かないし、飛行速度もぼくより速い。臆病おくびょうだからカウンターも取りにくい。エレインほどじゃないけど、好機を掴まないと、倒せない。そして言うまでもないけど、いざ戦えばグランダロン並みに強い」


厄介やっかいですね・・・」


 口で言うほど、サルタは悲観していなかった。


 正面きって戦えば、テアとシャアルラならなんとか出来そうな気がする。覇気がない、積極性がないのは致命打を受けにくい長所だが、相手にも与えにくい。魔王コンビの攻撃力なら、なんとかなる。そう思わせてくれる。


「最後。神位第4位、地竜グランドキア」


「地竜。まだ生き残っていたのですか」


 シャアルラは知っていた。地竜は魔界においてはすでに絶滅した種族だ。


 魔王の支配する魔界において、決して魔族にくだらなかった種族。ゆえに時の魔王は地竜を消した。飛竜の忠誠心を絶対のものとするためにも。


「人界においても、人族がかなり頑張って、表層上の弱者はかなり蹴散らされた。生き残ったのは、灼熱地獄で生き残れる、最強種のみ」


「それが、グランドキア」


「そ。種族名にもなったドキア種。グランドキアの一族は生存しているはず」


「・・・強いのですか」


 神位第4位。カルナに次ぐ地位が、単なる符号とは思えぬが。


「強いというか・・・硬い」


「硬い」


「まず魔法が効かない。これは竜の基本属性だから言うまでもない。そしてあらゆるタイプの衝撃に強い。マグマの中でも生存できる強靭さと、生命体としての柔軟さを合わせ持っている。はっきり言って、敵対したくない。面倒くさすぎる」


「しかし、テア様は勝てる」


「・・・ま、ね。一応、魔神なんて大層な名前だからさ。秘策の一つや二つはあるってわけよ」


 秘策。同盟相手にも教えられないほどの。


 それを聞いてシャアルラは安心した。サルタとガンズは不安になった。


 戦人であるシャアルラは奥義を人前で見せる時は殺す時と心得ているので納得した。戦術的に計算しにくいのでサルタとガンズは内心で嫌がった。分かりやすい役割分担であった。


「グランドキアは決して弱くない。弱くはないけれど、強すぎることもない。攻撃範囲に入らなければ」


「地竜の攻撃手段そのままなのですか」


「そそ。体当たりに噛み付きだけ。火も吹かない。単なる地竜ね」


「私でも勝てますか」


「無理」


 一番聞きたかった事は聞けた。


「だから。ぼくがエレインやグランアルムと追いかけっこしてる時に魔都に出現したら。全滅するしかない。人界に現れてくれる事を祈るしかない」


「足止めや時間稼ぎは・・・」


「不可能。・・・君が弱いんじゃないよ。並みの魔王では、グランドキアに有効打を与えられない。それだけなんだ。・・・ぼくでも、1万年前なら、勝てなかった。今だから勝てる。それだけさ」


 場は静まり返った。シャアルラは何か考えていたし、サルタとガンズは配置を考えるのに忙しかった。


 ほとんどの敵に、魔界最精鋭の魔法師団ですらが通じない。


 味方のコマは、シャアルラ、テア、ヒポリ。


 敵は5体。


 完全的中したとして、2つ、足りない。


「シャアルラ。君が並みの魔王なら、ヒポリを呼び戻せとアドバイスするよ。そして魔界を完全守護しつつ、人界を足止め役にする。これなら計算が立てられる。ぼくも安心だ」


 反論を待つためだけに発された言葉。そうと分かっていても、シャアルラは熟考じゅっこうした。


 うかつに反発できるほど、敵が弱くない。


 そしてただ人界を犠牲にするだけでは、神々を超えられない。


 シャアルラは無意識にそう感じていた。


 敵は、こいつらではない。


 マリオン、ダイナソア、カルナ。本当の強者と仕合うためには、こんな程度のやつらにつまづいていてはいけない。


 しかし。どうやって。


 無策に頑張れと言ってしまっては、味方に失望される。


「・・・何も分からないが、ヒポリには人界を守ってもらう。なんならテア様もそちらでも構わない。魔族の底は、そんなに浅くない。全戦力を出し惜しみしなければ、勝てる」


 根拠ゼロ。勝率、限りなくゼロ。


 自分自身で全く信じていない事をシャアルラは述べた。


 シャアルラは生まれて初めて、嘘をついた。


 今まではずっと強者のポジションに安住していたから、本音だけで生きてこれた。


 嘘をついた後悔はない。


 だが自分の言葉が薄っぺらくなった事に、後悔している。


 嘘だとまでは言わないが、サルタもガンズも、シャアルラのそれを純粋な精神論として受け止めていた。実際に戦力差は1ミリたりとて埋まっていないのだから。


「・・・フフ」


 テアには笑われた。


神輿みこしは軽い方が良い」


 どういう意味だ。


「シャアルラ。君は王だ。ただ命令をすれば良い。神々をおそれるのは、常人に任せておけば良い。勝て、と命令し、勝つように動かせば良い。君になら出来る」


 珍しい。手放しでめられた。なんだかよく分からんが、嬉しくなって良い・・・のか?


「おれ達が勝たせてやる。おれとガンズさん、それに魔族全員が付いてる。・・・最悪。勝てない時は全員で一緒にく。それはデメリットじゃないだろ」


「私めは死にたくはありませぬ。いざとなれば、一人でスタコラサッサとおいとましましょう」


 感情論はガンズのギャグでめた。パールも口の周りをベタベタにしながら頷いている。


「勝てるわけがない。そういうタイプの発言さえしなければ、それで良い」


 最後にテアから常識的なアドバイスを。


「承知しました」


 実りはあった。が、それ以上に苦境を見据みすえすぎた会議ではあった。



 時間は待たない。7日の日は常と何も変わらず過ぎ去った。


 そして敵は来た。

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