そしてとある精霊達の会合
『久方ぶりだな、鎧の』
『今更何ヨウダ?』
イタチの姿をした真実の精霊と、黒い鎧の姿をした力の精霊がそこにはいた。
『なに、少し世間話をしようと思っただけだがな。なんせ、対価のエネルギーが根こそぎ奪われるわ、さらにタダ働きをされていたらそりゃ、愚痴の一つや二つは言いたくなるであろう。それも同じ境遇の者がいるとなるとな』
『オマエト我ヲ一緒ニスルナ』
そう力の精霊は言うが真実の精霊は気にすることなく続ける。
『対価の精霊ことなのだが、面白いとは思わんか?』
『…………何ガダ?』
『最近分かったのだが、儂たちとは違い対価の精霊はまず対話ができる契約者じゃなければならない制約がある。まずそこが同じ精霊でありながら違う』
真実の精霊は力の精霊の反応が出る前に続けて言う。
『それに対価の価値はその人間にとって価値のあるものほど高い、言い換えれば、人間の価値観を分かっていなければそもそも成り立たない。そこがまた他の精霊とは違う』
『…………結局何ガ言イタイ?』
『つまりはより人間らしい精霊ということだ。その思考が故にどっちつかずの存在というわけだな』
力の精霊はただ静かに真実の精霊が言うことを聞いていた。
『あの小僧と出会うまではこちらと同じようだったんだがな。小僧と出会ってからあやつは変わったな』
そして真実の精霊は肝心なことを口にする。
『はたしてそれが我らにとって良い事かどうかは分からぬがな』
そして、力の精霊が口にする。
『……最強ハ単純ニ腕ップシ強イ者ダト思ッテイタ。ダガソレモ違ッテイタ』
現実にそれを目指していた力の精霊は敗北して、最強ではなくなった。
『最強ハ我ノ思考ノ外ニアル物モ必要ダト考エル』
『おぬしもあの小僧に影響された口ではないか』
力の精霊の言うことを聞いて真実の精霊は大きく笑う。一方そんなに笑われても力の精霊は怒ることもなかった。むしろ無反応だった。
『今ハ我ノ中デハ奴ガ最強ダ。ソレナラバ敬意ヲ示サナケレバナラン』
『さすがだ。至極単純だ。己の信念だけに基づき行動するのは実に精霊らしい』
本来、精霊は思念の塊であり、つくられた構成に依存する。つまり、力の精霊は『力』という概念で構成され、『力』に執着するようにできてしまっている。真実の精霊も例外ではない。
『では、その理から外れてしまった精霊はどうなるのであろうな』
誰と言わなかったが真実の精霊が指し示した誰とはもう決まっていて当然だ。
『今も精霊が見えなくなった小僧の周りをうろちょろとしておる。意味がない事だと分かっているのにの』
意味がない事をすることは、それは精霊にとってはあり得ないことなのだ。
『東洋の精霊のように理から外れた精霊が物のように扱われるのか』
東洋はこの地方以上に精霊の信仰が厚かったとあるが、今はそれほどでもないとある。消滅する精霊も出てくるほどだ。
『もしくは今までになかった前例を作り出すのか』
さらに真実の精霊はゆっくりとしゃべりだす。
『一人の人間と一体の精霊の行く末、『真実』を見届けてやろうではないか』
それだけ言うと真実の精霊はゆっくりと姿を消していく。自分の契約の主がその場を離れたのが一番大きかったのかもしれない。
力の精霊はただその場にたたずむだけであった。




