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天音之島学園道楽誌  作者: 夜天
3/3

其弐話

「やっと終わった~。」

「そうだね、これからどうするんだっけ?」

「さっきもらった冊子見てみろよ。」


今、長かった始業式がやっと終わり、辺りはみんな回りかなんかと話している。

席順が自由だったのでそれぞれの学校同士で話しているようだ。


『し、新入生の皆さんは教員の指示があるまで待機、2,3年生はそれぞれの教室に戻ってくださ~い。』


天音の声が響いて2,3年生側の扉が自動で開く。


がしゃぁぁん!  「ぐおぁ!!」


と思ったら教員が退場中の扉が閉まって1人挟まれた。


『す、すいませ~ん。間違えました~。』


半ば泣きが入っている天音の声が響く。


「相変わらずだね~アマネ。」

「ああ、相変わらずだな。」

「いや!相変わらずで済ませていいのか!?人挟まれてるぞ!?」

「ああ、大丈夫だ。あれくらい日常茶飯事だろうし。」

「日常茶飯事!?」


今、俺達に突っ込みを入れているのは中学で知り合って親友の部類に入るであろう【竜堂要りゅうどうかなめ】男だ。

髪はストレートのさらさら、顔と共に無駄にさわやかなくせに言動今のように熱過ぎてもてない。激しく突っ込み要員だ。

ちなみにここ(天音之島学園)のセキュリティを担当した人(ちなみに今はセキュリティ会社の社長さん)を親に持っていて、こいつは所謂御曹司って訳だ。


『え~、新入生の皆さんは、教員の指示にしたがってクラスごとに教室に向かってください。』


渋いおっさんの声が聞こえる。周りで冊子を見ている音がし始めたので俺も冊子でクラスを確認する。


「あ~!また凱ちゃんといっしょのクラスだ~。」

「なんだまたかよ。Gか・・・要もいっしょみたいだな。」

「おっしゃー!」

「うるせぇ。」

「ぐぼぁ!」


要に掌底を叩き込む。


『はい、G組の生徒は私についてきて~。』


声がしたので振り返ると若い女の先生が手を振りながら歩いていった。


「ほぅ、美人だな。」

「凱ちゃん?早くいこっ。」

「いやいや、もう少しあの先生の体を―」

「体を、何かな?凱ちゃん?」


肩に置かれた天莉の指がギリッと食い込む。


「い、いたいって!今の声!俺じゃないって!後ろから聞こえてえきた!

誰だいった・・い?」


腕を振り解いて後ろを向くと、男にしては少し長めの水色の髪と眼鏡をかけた奴が口の前に手で輪を作って固まっていた。


「貴様かこの野郎。」 ミシッ

「グオパァ!」


殴った。とりあえずこれでもかって位、思いっきり殴った。

顔面を。


「い、いきなり初対面の男に何をする。」


顔から鼻痔を流したそいつはそんなことをほざいた。


「やかましい、その初対面で貴様は何をした!」

「ふ、愚問だ。」


一拍置いてそいつは言った。


「面白い場面が目の前に広がっていたのでな。あわよくば仲違いをと、

 グボァ?!」


また変なのと係わっちまった。

鳩尾にショートアッパーをめり込ませながら俺はそう思った。



所変わって、Gの教室。

気絶したあいつも同じクラスだったようで片足だけ持ち引きずってきた。

そのまま教員の前を通っても何も言われないって、如何なのだろうか?

今はHR、奴の持ち物を漁ると【真堺竜二まさかいりゅうじ】俺の前の席だった。睡眠に偽装させてうつ伏せに置いてある。


「―さ~て、学園についてはこんなところね。

 あ、あとこの学校の校訓は【とりあえず遣れ】だからね~。」


この喋っているのは担任となった【白銀美郷しろがねみさと】苗字のとおり、白銀色の長い髪をストレートに下ろして額のあたりをリボンで巻いている。

顔は、目が細くて開いてるのかどうか分からないくらい。

あと何より、何故か赤っぽい和服を着ている。違和感バリバリだ。

言い忘れていたが此処は制服制だ。今の1年は赤、2年は青、3年は緑色と、学年毎に色の分かれたリボンやネクタイ(1つ以上校章入り)を、どこか見えるように着けておかなければならない。(男子は何故か鉢巻っぽい物かネクタイ)

何せ制服の上にどんな上着でも着用可能だからロングコートで制服が見えなくなることもざらにある。(現に俺は家を出る時真っ黒のトレンチを着て行こうとしたら天莉にせめて始業式ぐらいって止められた。)

服自体は、男子は普通の学ランだが大抵Yシャツ姿、(Yシャツならば色は何でもいいらしく、オレンジから黒まで様々だ。ちなみに今入学式を迎えた1年はまだ基本の白。)

女子がYシャツの上にクリーム色を基準としたセーター、あと、同じくクリーム色で襟と袖が白く青い線が入って広い、ボタンなしのブレザーっぽいのを羽織る。(こちらのYシャツはほとんどが白。)


「―はい、では賛成多数によって委員会など今日のうちに決めちゃいましょうね~。」


ふむ、考え事していた内に話が進んでいたようだ。

どうやらあとあと決めるのが面倒だから時間の余った今日の内に委員会を決めてしまうようだな。


「では、委員長はやりたい人いますか~?」


誰も上げないよなそりゃ。


「はい。」


ざわ、とそんな音が聞こえた。しかも知り合いだし。


「はい、お名前は?」

「竜堂要です。」

「では要さんでいいと思う人は手を叩いて~。」


パチパチパンパチパパパパン!


何気に揃ってる・・・決まりか。


「決まりですね~。次は―」



と、残りはすぐに決まっていった。俺は保健委員、天莉は特殊工作委員。(何だそりゃ?と思うだろ?あるんだよ実際。)

そして風紀委員が残った・・・が。


「誰か風紀委員やりたい人いませんか~、いなければ推薦でいいですよ~。」


推薦・・・・。


「この、前で寝ている真堺君がいいと思います。」


俺は手を上げてしまっていた。恨むな真堺、あの時の恨みだ。


「ああ~そうですねぇ。と、言うわけでこの真堺君でいいですか~。」


ぱちぱちぱちぱちぱち~


だろうな、自分ではやりたくないし。


「あとは、女子なんですが~。」


女子はやらんだろう。くじ引きかな?


「はい、私が。」


すごいなこのクラス、もうざわめきも聞こえない。


「お名前は~。」

「鏡剣。」

「この剣さんでいいですね~。」


ぱちぱちぱちぱちぱち~!!


鏡剣かがみつるぎ】さらさらの前髪に後ろは長い髪をそのまま下ろし、フロントと両サイドの髪を後ろに回して一つに結んで垂らした髪型、確かお嬢様結びだっけ?

体つきは、細いのにしっかり出るとこ出ていて・・・うん。(真面目)

ぴしっと制服を着こなしている。すごく硬そうなイメージだ。(頭が)


「では~委員も決まって時間ですので終わりにしましょう。委員長さんお願いします。」

「はい、起立!」


がたたっ


みんな一斉に立ち上がる。


「礼!」

「「「ありがとうございました。」」」

「あ、寮住まいになる人は残ってくださ~い。これから案内しますので~。」


言ってなかったがこの学校はほとんどの奴は寮住まいだ。


「じゃ、俺は迎えのクルーザーが来てると思うからなっ、また来週!」

「ああ。」


と、要のような金持ちはクルーザーで家まで行き来している。

本当なら俺や天莉は自宅通勤でもいいはずなのだがうちと天莉の両親が、

「二人とも寮に入ってくれれば今まで断ってきた海外の仕事も出来るから。」

って、荷物送ってそのまま4人で海外へ行ってしまった。(家と天莉の両親は親友同士)

俺が走っていく要を妬みの視線で射抜いていると前の馬鹿が起き出して来た。


「よう、さわやかな昼だな。」

「む、さっきの・・・誰だ?」

「俺はカルビン・W・アンゴルマ、ヨロシク。」

「ああ、真堺だ、よろしく頼む御島凱羅。」

「何故知っている!?」

「冊子を眺めた時に全員の名前を覚えた。俺の後ろは凱羅、おまえだったはず。」

「・・・すげぇなおまえ・・・。」


何気に名前で呼んでいるのは気にしないで置いて、

全員の名前って何千人いるんだ?天莉でも無理だろう・・・。

と、天莉のほうを見ると天莉と話していた女子が俺と同じような顔つきになった・・・見なかったことにしておこう。


「で?此処はどこだ?」

「G組の教室だ。引きずってつれてきた。」

「おまえ、もう少し初対面なんだからって遠慮しないか?普通。」

「あ、あとおまえ風紀委員な。」

「・・・どういう事だ?場合によっては今からおまえを俺の永遠のライバルに認定するぞ?」

「いやぁ、みんなが、真面目でかっこいい真堺君ならやってくれるって。」


さすがにこの程度じゃ騙せないか?


「・・・ふむ、このクラスは見る目がいい。そういうことならこの真堺竜二、喜んで引き受けようではないか!」


乗ってきたよ・・・あほな奴。


「そして喜べ、凱羅おまえは俺の~ライバルと書いて戦友と読む~に、認定するぞ!」

「なっ!?―」

「それでは案内しますよ~付いて来てくださ~い。」


くっ、抗議の声をさえぎられた。しかも、真堺もいなくなって変わりに天莉がいるし・・・。


「いこっ、凱ちゃん。アマネに頼んで凱ちゃんと向かいにしてもらったから。」

「向かいって・・男女別れてないのか?」


話しながら先生について寮に向かった。



で、


「確かに向かいっちゃ向かいだが・・・。」


寮の形はΕと∃を真中だけつけた感じで縦横200mで7階建て、左(西)が男子で右(東)が女子と別れていて、エアコン完備にエレベーター付き。各部屋には、机と箪笥、クローゼット、など生活必需品と他にアマネの端末がある。

部屋は10畳で板張り、完全防音、料理場、トイレ、風呂も分かれてついていて、窓は小洒落た丸ガラス、(でもしっかり開け閉めできる)一か所だけどこにでもあるような窓(っていうかドア?ガラスで出来た。しかも女子の部屋側に向いていて開けても外に足場がないし。)なのが少し気になるが、そんな感じだ。

下手なマンションなんかより相当いい設備だな。


寮について最初に行われたのが部屋決めだった。何せ大學卒業まで7年間使う部屋だ。いいところがいいに決まっている。

騒いでいる所で風紀委員、鏡剣が鶴の一言、結局天音に決めてもらう事で落ち着いた。

順番に決めていって俺の番、ランダムなのか天音の故意なのかEの下(南)の棒の奥、女子の部屋と2mくらいの部屋(最上階の7階)という最高の部屋となった。

そして目の前の女子の部屋は鏡剣らしく部屋の整理しているのが目につく。そして、天音の話だと6階の向かい側が天莉となったようだ。


「天音、これであいつは納得してるのか?」


俺は部屋の端末に向かって話し掛けた。

外や教室とかはボックスででかいけど部屋の中のはパソコン型。それも備え付けの机(棚?)奥域80cm幅3m高さ80cm位の4分の1ほど閉めている。


『い、いえ、ものすごい怒って、あ、ウイルスが。』

「学園の管理システムにウイルスって・・まあ、がんばって抵抗してくれ、説得したいがここじゃ話も出来ない。」

『え、えと、話すだけなら画面を通じて出来ますよ。』

「じゃあ天莉のとこ繋いでくれ。説得する。」

『はい、接続・・・・・されました、お姉さまの説得お願いします。これからウイルス駆除しますので―』

『凱ちゃん!』

「うおっ!?」


いきなり天音の画面が消えて天莉が映った。


『アマネったらひどいんだよ!一応これでも向かいです~って!』

「ひ、ひどいのは分かったから頼むからウイルスなんて入れるな。あちこちで隔壁が暴走してるぞ。」


ここや学園は何かの時のためにシャッターというか隔壁?が標準装備されている。ウイルスが入ってからそれが暴走しまくっているのだ。


『だ、だって~。』

「だっても何もない!関係ない人を巻き込むなよ。」

『うん・・・じゃあ。』

「じゃあ?」

『部屋つなげていい?』

「ああ、繋げるものなら・・・って、は?」 ぶちん!


回線切りやがった。なにする気だ?


ずっ


「???」


っがぁぁぁんっ!!!


「なっ?!」

「やっほ~。」


突然壁が大爆発したと思うと能天気な声が・・・。


「天莉!?」

「うん?どうしたの?」

「何考えてるんだおどれは~!!」

「あ~たたたたたたた?!」


おれは奴の頭を鷲掴みにして持ち上げる。

向かいの鏡だって呆然としているじゃないか。

繋げるってこんなことして教員連中が来たら・・・、

と、そのとき、この部屋のドアが開いた。





「―で、何を考えてあんな事をしたんですか。全く来て早々これとは・・くどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくど!!!」

「うわは~ぃ(泣)」


あれから、ドアを開けたのが白銀先生で即効天莉は部屋に連れ戻され、もう1時間半にも及ぶ説教を受けつづけている。(めずらしく半泣きで。)

壁に思いっきり風穴が開いてその風景が良く見える。(もともと窓はあったが。)

1週間後に工事の人が来るそうだ。

今はとりあえず俺は家から届いた荷物を整理している。とは言っても私物だけだが。家具などは明日買う。


「そろそろ終わりかな?」

『あとダンボール1箱残っていますよ?』

「あ~、料理具とかか~。そっちも整理しないと。」

『お兄様、料理するんですか?』

「少しだけな~。って、まだ説教終わってないのか長いな。」

『白銀先生は学園で一番怒らせてはいけない先生って言われてるんですよ。』

「は~、めずらしく天莉が半泣きだし。」

『本当ですね~。』


と、特に違和感無く天音と話しながら荷物の整理を終え、まだ7時ごろ(夜)だったが風呂入って寝る事にした。(飯は材料が無くて作れなかった。明日休日だし買いに行くか)


『ご飯食べないと体に悪いですよ~?』


うっさい!



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