SS「神様の異世界勇者自慢」(2000文字以内)
神は「1柱、2柱」と数えています。
現代の地球人を異世界にて勇者にすると言うブームが訪れて早数世紀。
神様達が集まって自身が転生させた勇者達について話し合っていた。
A「いやー、私が転生させた勇者はね。魔法を使って大軍を薙ぎ払うほどの凄い勇者になったんだよ。どうだ、凄かろう?」
B「なんの。こちらが転生させた勇者は、拳のみで限界突破を果たしたぞ。お前らの勇者がどれだけ強かろうが、拳だけで最強になったうちの子には負けないぞ」
C「何を言うか。こっちは創造能力を与えた勇者だぞ! 魔法だろうが、拳だろうが、こっちは作った物を他の勇者に渡して軍団強化する分、こっちの方が強いぞ!」
B「道具に頼っている時点で、AもCもうちの勇者には負けますな。ははは!」
A「何を言う! 魔法の強さは偉大だ! お前らの勇者がどれだけの魔術を編む事が出来るというのだ!」
C「ええい! 勇者だけ強くなっている事よりも、魔法具を作って民にも慕われる、我が勇者の方がずーっと偉いに決まってる!」
もう既に、孫を自慢するお爺ちゃんと化した3柱の神々達は言い争いを止めません。
こうなったら誰が一番強いか勝負しようと言う事になりましたが、勇者達をこの神の世界まで戻すのは遥かに力が要るので不可能でした。
また3柱が選んだ勇者を神の力で同じ世界に飛ばして戦わせる事も考えましたが、選んだ世界で「うちのが不利だろう!」「お前が有利すぎる!」など中々話が進みません。
天使「じゃあ、勇者にはお決まりの奴で勝負したらどうですか? 例えばハーレムとかで」
近くで神様達の不毛な争いを見ていた天使がそう言うと、3柱の神様達は頷きあいながらそれぞれの勇者が作っているハーレムについて言い争いを始めます。
A「うちの勇者には姫様が居るぞ! さらには女剣士から女賢者まで実に多くの者を囲っている! しかもその全員がその世界有数の美女なのだから、やはり私のところが一番強いな!」
B「それを言うなら、うちのは50人! 門下生全てが彼の事を慕いつつ愛していて、しかも女性優位の世界だから全員女だぞ! しかも倒した魔王の娘までハーレムに加えているのだから、やはりうちの勇者がハーレム最強だな!」
C「ただ数が多いのが良いと言うこともなかろう! うちの勇者はメンバーこそ少ないが、精霊王や龍王と言ったとてつもない存在をハーレムメンバーにしているぞ! 力の面から言えば、うちが一番だ!」
A「いや、やっぱり美しさが!」
B「数が一番だろう!」
C「それぞれの質の高さを見れば、うちが一番だ!」
今度は勇者のハーレムのどこを基準にして競うかで言い争う3柱の神。
そんな神々を奥で見ていた、神の1柱が「じゃあ、私が一番だな」と言う。
D「お前らが勇者のハーレムでそんな事を言うのならば、俺が転生させてやった勇者が一番だろう」
その言葉に3柱の神々が怒り出す。
A「ふざけるな! お前ん所は携帯しか渡してないじゃないか! こっちは魔法の知識を与えてんだぞ!」
B「そうだ、そうだ! しかも体力的に見ても我々の勇者よりも、そっちが低いじゃないか!」
C「そっちの勇者がどうして我々よりも凄いと言う事になるんだ!」
D「ならば、見てみるが良い」
と、そう言ってD神が自身が転生させた勇者の情報を見せる。
疑いつつも覗いてみるA神、B神、C神の3柱。
そして3柱の神々は驚いていた。
A「なんだ、この勇者! 1人1人のハーレムメンバー達が美しい!」
B「こいつ、どこまで女性を持っているんだ! 軽く100人は居るぞ!」
C「1人1人のスペックも桁違いに高い! こりゃあ、適わない!」
残念そうに、A神、B神、C神の3柱達は勇者自慢話を止めて、次は勇者をどう転生させるかと言う話に入っていた。
そこには先ほどまでのうるささは無かった。
天使「ありがとうございます、D神様。A神様、B神様、C神様の暴走を止めていただいて」
D「いや、なに。うちのところの勇者が役に立って良かったよ」
天使「ところで、D神様が転生させられた勇者ってどう言う勇者なのでしょうか?」
天使のその疑問に、D神はこう答える。
D「なーに。ただのカードゲーム世界だよ」
解説;カードゲームの世界ならば、美しい美麗カードが強くなる傾向が強く、多くの女性カードが持てるからね。
E「じゃあ、ブラウザソーシャルゲーム世界に転生させたうちの勇者が最強!」
D・天使「話がややこしくなるから黙ってて!」