7話 午後は実習と言ったな あれは嘘だ レッツコスプレ
今回の更新は頑張ったと軽く自画自賛してみる。ちゃんと見直しましたもの…当たり前ですねすみません。今回はちょっと動きます。戦闘シーンとか無理ゲーですね。
着替えを終え午後の授業が始まる。5限は能力実技、更に続いて6限には戦闘実習がある。一般校で言うところの体育の授業ようにひとまとめに行っているのだろう。
しかし、着替えを終えたA組の生徒の中に体育着を着ている者は一人もいない。多くは動きやすそうな普段着に近いものを着ているが、残りの何人かは人前に出るような格好をしているとは言い難い。しかし、それぞれが物騒なものを携帯しているため、あまり変わらなかったりする。
その傍目から見ればかなり奇抜なコスプレ集団は、能力者教棟のある更に奥の体育館に集合している。体育館と言っても能力者専用の場所なので、最新技術の粋を尽くして作られており、多少の破壊活動をしてもびくともしないし防音も完璧なので近隣にも迷惑はかからない。つまり思う存分、各々の能力を発揮することが可能なのである。ちなみに一般の使用目的の体育館はまた別の場所にある。
「先程はどうしたのだみんなして急に走り出して…校内では歩かねばならないと聞いているが…」
腕を組みながら軽く咎めるような目をする恋。
「ええと…急にお腹が痛くなったんだよね」
真実を全く理解してない純粋な彼女に、心を痛めながら嘘を吐く望。そんな会話をする二人の姿は所謂、少数派の格好であった。
「そうか、今はもう大丈夫なのか?」途端に不安げな顔で覗き込んでくる。少し視線の位置が近くなる。
「だ、大丈夫だよ」
彼女の姿は着物である。少し屈んでるため、胸元がかなり強調されてる。巻かれたさらしがその存在に封をしようとしているが、やはり精神衛生上よろしくない。
「そうか…だがまた調子が悪くなったらすぐに言うんだぞ」
そういって離れる恋。そうして改めて彼女の姿を視界に収める。
着物は彼女の雪のような純白を下地に、瞳の色には劣るものの鮮やかな紅を薄くあしらっている。帯は濃い赤である。もともと長身である彼女にとても似合っており、実際に生徒の多くはその姿に見とれている。しかし、それだけなら美女の艶姿で済んだのだろう。彼女は腰に少し長めの日本刀を携えている。鞘に入っており、その全貌はまだわからないが、醸し出す雰囲気は業物のそれで明らかに普通の刀とは違う。
「うん、わかったよ」
心からの気遣いに苦い顔で頷く彼の姿は黒い迷彩服である。上は半袖で下は長ズボンでブーツを履いている。最も目を引くのは腰に提げてる拳銃である。見た目に似つかわしくない銀の大型拳銃である。銃身は少し長めで、大きめの口径から相当の威力を誇るであろう。
「あらあら聴きました?浅海さん?」
「ええええ聴きましたよ深山さん」
聞き覚えある声が聴こえる。
「あんな出鱈目言っちゃってね〜」
「今時の若者は汚点をすぐに恥じるのね」
「そこ、静かに」
後ろの二人組に堪らず声をかける。
「いやね、嘘をつくのはいけないと…」
「誰のせいだと思ってるの!!」
「今時の若者はすぐ切れるんだね〜」
誰が怒らせた誰が…
思わず頭を抱える。しかし、この件をこれ以上話続けてもリスクしかないので別の会話へと注意を逸らす。
「で、波涼と渓の格好は…水着、だよね」
二人ともズボンタイプではあるが、明らかに水着である。波涼は銛、渓は竹刀を持っている。
「欲情してるの〜?」
にやつきながら無い胸を強調しようとする波涼。ロリコンじゃあるまいし胸ならさっきの恋に比べれば、とか思ったが、おそらくタブーであろうそれらの感情は振り払う。
「よしよし、賢明な判断だよちみ…」
だが、表情に出てしまったのかもろばれのようだった。口に出さず命拾いしたようだ。しかし、渓はお約束なのか口を挟む。
「まあ、わからなくはないさ。こうもまな板ボデいえ波涼さんのパーフェクトな体に自分は興味津々だからお願い首は180度回らないから!新しい景色が見えちゃうから!」
「やっぱね、渓にはこの体の秘めたる魅力について改めて教え込む必要があるようだね。主にか・ら・だ・に」
渓の首が曲がってはならない方を向こうとしている。その後ろの波涼の表情は見えない。むしろ見たくない。
「すみませんでした。あなた様の体はとても魅力的です!だからお願い首がもげる前に!」
既に首は160度近く曲がっている。頑張れ渓、人間をやめるんだ。
「んん?きこえんなあ?」
某吸血鬼並のS加減である。痺れたり憧れたりはしない。
「私はロリコンです!あなたの体が大好きです!だから許して!」
大声で物凄い命乞いする渓に心で敬礼。
「仕方ないなあ。そんなに好きなら許してあげるよ。このロリコンめ」
最高の笑顔で、最悪の賛辞を贈る人外さん。そして彼女の目論見通りか渓に対し周囲から冷ややかな視線が降り注ぐ。
「お前…マジで事切れる五秒前だったんだぞ!人を貶めて楽しいか!鬼!悪魔!」
「渓は人じゃないから大丈夫だよ〜」人外の正体はどうやら鬼畜だったようです。
「はいはーい。みんな揃ってるかな?」
盾衣先生がとてとてと1限の時と同じ姿でやってくる。唯一違うのは、その手に肩辺りまである杖を持っていることだ。先端に白い水晶が嵌め込まれており、それより下は木製である。
基本的に武器というのは必ずしも必要ではないが、あったらあったで役立つものである。思い入れのあるものなら親和性が高く自分の魔力を通す手足の延長として使い能力を表出させることができる。それが正しく武器の形状をしていれば近接戦の際には非常に有利である。
「それじゃ今から能力実技の授業を始めようかな。まずはこの機械を使ってみんなの魔力量を測ってみようかな」
魔力とは自分たちのような戦闘系の能力を持つものには必要不可欠な言わばガソリンのようなものである。当然、その容量が大きいほど一度に使える量も増えるし、長時間戦い続けることも可能だ。
「はい、みんなに行き渡ったかな?それじゃ魔力を注いでみて」
手に取ったメーターのような機械に魔力を注ぐ。すぐに結果は出たのか針が止まる。
「普通の能力者は大体100前後あるかな。時々凄い人がいたりして、先生も驚かされるの」
望は130である。少し多め程度だろうか。渓は200とかなりの数値を出した。波涼は90と少なめだ。何だか身長に比例している気がするが気のせいだろう。恋も測り終えたのかメーターを凝視している。
「望、このめーたー、だったか?壊れているぞ」
「え、ほんと?…うん、ほんとだ。端で針が降りきれてるね。どうしたんだろ?」
とりあえず先生に声をかける。
「どうしたのかな?え?メーター壊れちゃった?ちょっと見せて………大守さん、ちょっと待ってて貰っていいかな?」
「はい」
メーターを見た瞬間、表情を変えて走っていく先生。もしや恋が壊してしまったから怒っているのだろうか…
先生が走りながら戻ってくる。
「ちょっとこっちのメーターで測って見てもらっていいかな?」
「わかりました」
言われた通り魔力を注ぐ恋。すぐに結果は出た。その数値は…
「10000…やっぱり…普通のメーターじゃ測りきれなかったんだね」
10000…普通の能力者の100倍である。魔力など湯水の如く使えると言っても過言ではない。
おい、マジかよ。化けもんじゃねーかよ。
一部始終を見ていたあたりが動揺する。当然だ。1000を越えただけでも能力者として名を残せるレベルなのに更にその10倍である。天才と言う表現すら烏滸がましい。
「はあ…先生も3000あるんだけど初めて負けちゃったかな」
ちょっと落ち込む先生。しかし3000も充分凄い。
「私もね…昔メーターがこんな風になってね。だからもしかしたらって思ったんだけどね」
だからすぐに対応出来たのか…
「でも、気を付けてね…力が大きすぎると誰かに迷惑をかけちゃったりすらことがあるから」
少しだけ憂いを帯びた表情で恋を見つめる先生。何か過去にあったのだろうか…
「はい。わかりました。この力を御せるようご鞭撻のほどを」
深く頭を下げる恋。確かに目の前の彼女なら先達としては文句無いだろう。
「うん。…よし、それじゃ魔力も測り終わったから実技に移ろうかな」
調子を切り替え、みんなを見渡す先生。
「では、皆さんの実力を知りたいので、1人ずつ私に出来る限りの全力で魔力弾を撃ってくれるかな」30人分の全力の魔力弾など余裕だというのか笑顔で指示をする。
「じゃあ出席番号順でいこうかな。それじゃ…」
魔力弾とは能力を使わず純粋魔力のみで作られた、ただの魔力の塊である。しかし、単純だからこそそれを使いこなせるかで実力もわかる。速さ、正確さ、威力などの要素が基準となるのだ。
他の生徒らが実習を開始する。しかし、大半は先生の作った盾に簡単に防がれてしまい、その笑顔を歪めることすらかなわない。
「はい、次は大守さんかな?お手柔らかに」
「はい」
先生に呼ばれ歩み出る恋。彼我の距離はおよそ15メートル。ゆっくりと鞘に入ったままの刀をつき出す。その凛とした姿は着物もあって絵画から出てきたかのように絵になる。
鞘の先端に強大な魔力が渦巻く。銀色をしたそれは次第に膨らんでいく。通常の魔力弾なら精々が野球のボール程度であるが、彼女のそれは一メートル近くある。
準備が出来たのか、刀を頭上に掲げる。
「はっ!!」
気合い一閃。真っ直ぐに降り下ろした刀の先端から短い呼気と共に銀色の魔力弾が発射された。周囲の空気を蹂躙しながら先生へと猛威をふるうべく前進する。
「はいっ」
対する先生は軽い掛け声と共に直径10センチ程度の5角形の白い防壁を張る。迫りくる猛威に比べそれは誰の目から見ても明らかに小さい。
これは不味いのでは…そんな不安が生徒の頭を掠める。いくら教師といえど相手の魔力量は10000。下手をすれば大怪我する。
そして、今まさに衝突しようとしたその時…
パァン!
予想とは裏腹に盾に触れた瞬間、巨大な魔力弾は消滅してしまった。
「うーん。大きくて威力もあるけど中身がすかすかだからもっと密度をあげたほうがいいかな。後は正確さかな?左右のブレは無いけど中心が狙いより少し下にずれ気味かな」
「わかりました。ありがとうございました」
礼を述べて立ち去る恋。あまりにも平然と何事も無かったようにしてる二人に周りはついていけない。しかし、何人かは何が起こったかを正しく把握していた。
要は密度が高いんだ…あの盾は…多分、人1人分の魔力をあそこに凝縮してる…
「次は神無君かな……ん?神無君」
状況を冷静に分析する望。同時に、彼は先生の技量に素直に感動している。
「神無くーん。おーい神無くーん。無視してるのかな?」
そもそも形のない魔力をあそこまで綺麗に構成して操るなんて、普通の集中力じゃありえない。それをあんな一瞬でつくるなんて…
「神無くーんお願い気づいてー先生少し悲しいかな」
「ん?あれ?あっすみません!」
思考に没頭していて呼ばれてるのに気付かなかった。見ると先生が少し涙目でふてくされている。
「考え事をしていまして…」
「先生のこと嫌いなのかな?子供っぽい先生だからって思ってるのかな?」
「いえ、そんなことは…」
慌てて、何かを言おうとするが子供っぽいのは否定しきれない。
「ほらやっぱり…」
しょぼーんという擬音が聴こえそうな感じで落ち込む妙齢の美女。なかなか面白い絵ではある。
「いいよ…撃ってきて…」
いきなりテンションがた落ちである。僅かな罪悪感が心に募る。しかし、それを振り払い集中する。
銃を対象へとつき出す。照準は右胸、丁度心臓の位置。
そのまま瞼をゆっくり閉じる。
「ん?また考え事かな?いい加減に……っ!」
注意しようとした先生だったが彼の様子に途端に真剣な表情になる。それを無視して作業を続ける望。
魔力を編む。小さく、鋭く、硬く。イメージするものは弾丸。
いつも撃ってるものより小さく、小さく。
完成した弾を銃へ装填する。
ゆっくり撃鉄を起こす。
瞼を開く。
右目のモノクルを通してターゲットを再度捉える。
呼吸を止める。
スコープ越しの獲物だけを見つめて
得物の引き金を引く
「っ!?」
驚く。音も無く、目に捉えられること無く。
されど見えない魔弾がこの身を貫こうとしていることを一瞬で悟る。
半ば勘で、先と同じ絶対の盾を胸あたりに作り出す。
その瞬間に盾に衝撃が走る。
「っ!」
自分の勘が正しかったことに安堵する間も無かった。今まで全ての魔力弾を軽く防いできた盾が削られているのだ。ようやく視認した小さな魔弾は回転しながらその進行を止めない。しかし、伊達に先生をやってはいない。
「えっ!?」
向こうが驚く気配が伝わった。それもそうだろう。盾が縮んでいるのだ。いや、正確には一部分の密度を高める為、圧縮していると言った方が適切か。
そして、ようやく力尽きたのか魔弾は霧散した。盾は未だに直径を5センチ残している。
「ふぅ…少しびっくりしたかな。まさかあんなに小さいだなんて…見えなくて焦っちゃったかな」
勿論、速さや貫通力と言った要素にも大いに驚かされたのだが。
「もう少し、構成時間が速くなるといいね。どこか遠くから撃つには問題ないけど」
「まあ、元々そういう弾なんだけど…」
「んっ?なんか言ったかな?」
「あ、いえ、なんでも無いです。ありがとうございました」
足早に立ち去る望。
「まあ、気になるけどいっかな…神無君、ね…」
今年は面白い子が入ったなと思う。
神無…おそらくはあの神無と見て間違いないだろう。弾にこもっていた極限まで薄められた殺気がその証だ。
「それに…あの銃と瞳の色…」
色々と話したいことはあるが、まだ時期では無いだろう。ひとまずは目先の事を終わらせよう。
「はい、じゃあ次は…」
「うう…やってしまった」
orz体勢で嘆く望。
久しぶりに撃った弾だから気合い入りすぎて変なものが混じってしまった。
しかも心臓狙いとか…
「おい、なんだよ望!さっきのあれ!?全然見えなかったぞ!」
興奮した様子の渓が話しかけてくる。
「ん?あれは弾に高速回転を加えて貫通力を増して、更に出来る限り小さく圧縮した弾だよ。まあ先生程、速くは圧縮出来ないけどね」
「マジかよ!すっげー!技名とかあるのか?」
「一応、僕は『回針』って呼んでるけど」
「俺も練習すればできるか?」
「んー出来ないことは無いけど、作るのに時間掛かるからあんまお勧めしないよ」
特殊な条件下以外では無用の弾である。
「そっか、確かにそうだな…お前も一分近く集中してたし」
納得したのか、実技の続きに目を向ける渓。やはり殆どの生徒が瞬殺されている。
やがて全員が終わり、丁度5限が終了となった。
「それじゃ次は帰りのホームルームで会えるかな」
手を振って去っていく先生。そこに30人分の魔力弾を防いだ疲労は微塵もなかった。
改めて先生の凄さを実感し、今度コツを聞こうと密かに決心する望。
あの技術があればもっと強くなれるかな…
そんなことを思っているとあまり聴きたくない声が聴こえた。
「おう。揃ってるか野郎共」
英語の時に自分に責務を押し付けた不良教師、矛刀である。相変わらずの白衣姿だ。
「よし、6限の始まりだ」
中央に立って高らかに宣言する。まだチャイムも鳴っていないのに、英語の時とうって変わってやる気まんまんである。
「そうだな…それじゃお前らに試験をしよう。これをクリアすればお前らの成績は安泰だ」
まさかの条件に生徒がざわめく。
「だが、これはとても難しい。何故ならば……」
思わせぶりな間を作る。速くしてほしい。
「今からお前らが戦う俺様がつえーからだ」
はっ?
それを理解することもままならず、6限のチャイムは無慈悲にも鳴るのであった。
次回は更に激しく戦闘予定。かける自信は無いです。
「出来るか出来ないかじゃない、やるかやらないかだ」
こんなセリフを言ってみたい。しかしイケメンに限るご時世に涙する。
以下、おまけ
パンツじゃないから恥ずかしくないもん
「何故だ!?何故なんだれんれん!?」
「ど、どうしたのだいきなり。私が何かしたか?」
「ああ、したよ…それはやっちゃあいけないよ…なんで、なんでさらしなんか巻いちゃってるのさ!!」
「む?これはこの方が動きやすいからな。やはり胸が揺れると邪魔でな…」
「わかっちゃいない…あんたなんにもわかっちゃいないよ…れんれんのその胸こそが最大の武器なのに…」
「これが武器?またおかしなことを。私の武器はいつだってこの刀だけだ」
「駄目だこの子、早くなんとかしないと…あれ、そういえば下着は?」
「む?さらしがあるが」
「違う違う。それ今着けたやつでしょ?その前に着てたブラは…」
「ブラ?なんだそれは?私はこのYシャツとブレザーとやらしか着てないが…まだ着なければならぬ制服があるというのか?」
「なん…だと?……の、のーぶら、ですと?」
鼻から何かが吹き出そう
「のーぶら?」
「それで、この形を維持し、弾力、サイズ完璧だと?……許すまじ!!」
「あんっ!!やややめろ波涼!そんな激しく、んっ、も、揉むな!はんっ」
「これが揉まずにいられるかってんだ!!」
「やめろ!着物が、乱れる」
淫獣を剥がす。息を荒げて着物が乱れたその姿は扇情的である。
「やーだーもっともーみーたーいー」
「黙れ!揉むなら自分のでも揉んでいろ!」
「れんれん…それはいっちゃあいけないよ…」
自分のを揉みたくても手は空を切るばかりだ。
「知らん」
ぷんすか怒りながら、再び着物を着直す恋。着物の前を開き、白い肌を惜しげもなくさらす。さらしだけがそれを妨害する。
「ん?」
今、あるべきはずのものが無かったような…そして見えてはいけないものが見えたような…
「…………れんれん…下着は?」
震える声で問いかける。まさか、いや見間違いだろう。しかし、頭の中の警鐘が止まらない。
「だから晒しがあるといっているだろう…」
「いや、そうじゃなくて、その下にはくほうの…」
「む?何を言っている着物の下は着ないのが普通だろう」
「……………………………………」
開いた口が塞がらない。
「た、確かに、それは文化的には間違っちゃあいないけど……でも今から運動するからもし着崩れちゃったりしたら…その見えちゃうよ」
「それがどうした。私は刀を振るう時にそのような事は気にしない」
「そ、そう」
もう、何も言えない。流石の自分と言えどこれにはついていけない。
「で、でも普段ははいてるよね」
「当たり前だ。私に露出癖はない」
「良かった……ん?でも見当たらないよ…」
「何を言ってる。ここにあるではないか」
「え?布…いや、これは」
「褌だが?」
どうかしたかと首を傾げる恋。
明らかに文化が違う…
「それ以外に下着は無いの」
「色違いなら無いこともない」
「パンツは穿かないの?」
「ぱんつとは?」
「これだよこれ」
自分のストライプ柄のパンツを見せつける。
「これは奇怪な形状をしているな…」
「今時の女の子はこれをはくんだよ」
「何?褌をはくものはいないと?」
「全くいないかはわからないけど少なくともあたしはれんれんが初めてだよ」
「…そうか…これが父が言っていたかるちゃーしょっくというやつか…」
「ねえれんれん…パンツにしよ?」
「だが断る」
「何でさ!?」
「いや、やはり褌のこの引き締まった感じがだな…」
「そっか…あたしはもう何も言えないよ…でも最後にひとつだけ」
「?」
「れんれんって以外とつるつるなんだね」