27話 切り札を最後まで取っておくのは定石
お久しぶりです。なんかもうこれくらいの更新頻度がデフォ過ぎて慣れてきません?あ、すんません。精進しますから石投げないでー
いやね…大学始まったことや教習所はさておき、サブカルコンテンツの消化が忙しくてry
言い訳はさておき。
戦闘は続きますよーいつ終わるのかわかりませーん。
はやくシリアス脱したいっすww
「あー…前回のあらすじ。俺がちょっと女に手を出したら彼氏がヤンデレ気味にぶちギレて、それを女が止めようとしたら、その女にまでキレて手を出そうとする男。しかし、女の体を張った説得により男は平静を取り戻し、赤子のように女の胸で泣いた後、二人であまーーーーい時間を過ごし始めた挙げ句、 お れ を む し し て 帰ろうとした…ってところだな」
「いきなりだれに何を説明しているんですか!?」
モノローグの役割を奪ってまさかのあらすじ解説を始めた矛刀に突っ込みを入れる望。
「いやな、俺様は誰かと違って決して視界に入らない人々に気遣いできる人間だからよ。大事だよな、思い遣り」
下卑た笑顔でメタな台詞を吐く矛刀。しかし、望には言い返す言葉がない。
「それに中身は間違いじゃないだろ?一挙手一投足まで見てた俺が言うんだ。間違いないドヤッ」
「で、でも言い方ってものが…」
「やり方に問題のあるヤンデレ君に言われる筋合いはないぜ?」
「うう…」
確かに先ほどまで問答無用で殺そうとしたのだから、それを言われてしまうとぐうの音もでない。
「それに、だ」
急に真面目な雰囲気で口を開く矛刀。
「あそこで俺を殺しにかかっていたら、お前は監獄行きだったぜ?」
「っ!?」
身体が硬直する。
「過去の罪までは問えねえ。確証もねえしな。だがな…今この学園に平気なツラで人を殺せる殺人マシンは置いてけねえんだよ」
「つまり、望を試したと?」
愕然とする望に代わり恋が問いかける。
「ああ。実力があっても不相応な精神じゃ怪物と変わらねえからな。どれだけ理性的に判断できるかをみさせてもらった。元々そのつもりだったしな」
「つまり、最初から…踊らされていた…?」
自分に確認するように問いかける。気づく要素は無かったのかと。
「それで結果は?」
恋が早口に尋ねる。
それに対し矛刀は、しばし考えるような仕草をした後、望に向き直って口を開いた。
「ほぼ赤点だな」
「っ!?」
赤点。
告げられた結果に息が止まる。
「そんな、望は……っ…」
大丈夫。その言葉が続かない。
「ぶっちゃけ大守がいなかったら駄目だったからな」
恋自身それがわかっているから。
確かに今回はほとんど恋のおかげでどうにかなったようなものだ。望自身の危険性が完全に否定されたわけではない。
「でも、ほぼだ。合格点になる条件がないわけじゃない」
「え?」
「まず、お前らは常に二人でいなきゃいけねえ。互いのために、だ。片やストッパーで片やボディーガードって具合だな」
確かにその関係性は正しい。そうしていれば大抵のトラブルはなんとかなるだろう。
「それと、当然問題は起こさないということだ」
「それなら守れます」
恋が当然のように口を開く。その自身のある口ぶりに押されるように自分も頷く。
「って口で言うのは簡単だよな」
「……」
俯いて拳を握りしめる。考えてみれば当然だ。今まで放置されていたことが寧ろ奇跡のようなものだ。罪には罰を与えねばならない。その当たり前のルールから逃げ続けてきたのだ。
見れば横にいる恋も返す言葉なく唇を噛んでいる。
「だが…挽回は可能だ」
「「!?」」
思わぬ言葉にハッと顔をあげる二人。
「言っただろう…ほぼ、赤点だと…まあこのままなら十中八九赤点だが、生憎試験はまだ終わっていない」
「どういう意味ですか?」
戦いは既に終わっている。負傷して今なお閉じ込められている矛刀に何が出来るとも思えない。
「最初の目的通り、実力を見るんだよ。これからな」
そういって徐に立ち上がる。その姿を見て二人は瞬時にあることに気づく。
「なっ!?傷が…」
そう、傷が全て無くなっている。その服は血に染まっているものの矛刀の体につけた傷はひとつ残らず消えていた。
「忘れたか?俺は保健も担当しているんだぜ。それと…」
言葉を切ると、中段に拳を構えて静止する。まさかと思った次の瞬間。
「ふんっ!!!!」
「!?」
砕かれた。ピエロも閉じ込めた堅牢が見る影もなく砕かれた。
「なん…だと…」
呆然とする恋。あり得ないと語るその目の先には牢から解放された矛刀がこちらを見据えていた。
「模試は終了だ。こっからが本番だ。本気でかかってこい!!」
牢から解き放たれた獣が吼えた。
「恋!!」
「ああ!」
先のダメージは殆ど抜けているのか、すぐに飛び出す恋。前衛を任せて、自分は後衛の任を果たすため魔力を練る。
恋はすかさず抜刀し、矛刀と相対する。
そこに先ほどまでの躊躇は無い。本能で理解しているのだ。そんな悠長なことは言ってられないと。
「はあああっ!!!」
一閃
今出せる最速の一撃を叩きつける。
「ぬるいな」
容易く弾かれる刀。体ごと持っていかれそうになるのを堪え、体勢を立て直す。
しかし、間髪入れずに矛刀が迫ってくる。
「させない!ウインド・バインド!」
不可視の戒めが矛刀の両手足を捉える。
「はっ」
しかし、鼻で笑って蜘蛛の巣を払うように戒めを解く。時間稼ぎにすらならない。
恋が真横まで戻ってくる。分が悪いと判断したようだ。
銃弾を弾く反射神経。鉄板並みの氷を砕く力。撃たれた傷すら癒す回復能力。
「まさしく近接戦闘のプロ…」
「厄介だな…一体どういうギフトだ?」
「………当ててみろよ」
ニヤニヤと獰猛な笑みを浮かべる矛刀。
「望」
「何?」
小さな声で恋が名前を呼ぶ。
「少し時間を稼げるか?」
それはつまり、アレとサシでやりあえと言うこと。捉えようによっては死亡宣告。だが望は迷わず返す。
「どのくらい?」
「1分」
「わかった」
このままでは敗北濃厚だ。恋に策があるなら任せるしかない。
「頼んだ」
「うん」
頷きを合図に望が前へ、恋が後ろへ。
意図を察したのか、恋のほうへと走り出す矛刀。待ってくれる気はさらさら無いようだ。
「行かせない」
足元を狙い撃つ。流石に弾けずに後退する。銃が効かない訳ではない。当たれば何かの形で体力は削れるのだろう。
後ろから恋の声が響く。
『凍てつけ』
その一言を合図に恋を中心に魔力が迸る。銀色のそれが渦のようにあたりを覆い尽くす。
「っ!?呪文詠唱だと!?儀式魔法か!!」
儀式魔法。矛刀が口走ったそれは呪文詠唱を行い使用する大規模な魔法を差す。
魔力だけで補えない魔法を行使する際に儀式として祝詞を捧げることで魔法を顕現する。小規模の魔法でも呪文詠唱は可能だが、大半は割愛されているのは、魔力で補えるのと時間が掛かるためだ。しかし、このように二人で組んでいる際は別である。ギフトを最大限発揮する為に片方が時間を稼ぎ、片方が大規模な魔法を行使するのは常套手段である。
「この魔力…何をやらかす気だ…!?」
矛刀が驚くのも無理はない。今、この場には尋常ではない魔力が渦巻いている。同時に館内の気温が急激に下がっているのだ。
『其処は時を忘れた世界 白く染まった無情の極寒』
驚いている間に2節目へ。
「チッ!」
走り出す矛刀。前に出て銃弾で牽制する。
「しゃらくせえ!」
「なっ!?」
直撃するそれを無視して直進する。傷はすぐに直るのか、ろくに出血のあとも見られない。
仕方なく立ち塞がる形で前へと出る。
ナイフと銃を交差させて構える。
不慣れな近接戦に不安を禁じえないがこれしか手立てはない。
「らあっ!」
矛刀の拳が迫る。即座に顔を動かして回避。僅かにかすって頬から出血。臆すこと無く顔面に銃弾を放つ。至近距離から放たれたそれは真っ直ぐに向かうも、素手で掴まれる。それに驚く間もなく下から蹴りが迫る。咄嗟に後ろへと跳ぶもかわしきれず胸を穿たれる。あばらにヒビが入った感覚。それを無視して下がりながら弾を装填。
『其処は御身の狩場 神をも恐れぬ魔狼の寝床 』
集中は切れていない。魔力も練れている。だが、傷つく望の姿に焦りが生じる。
もうやめてくれ。戦わなくていい。お前のそんな姿は見たくない。
そんな甘い弱音が喉からでかかる。
でもそれは必死に戦う彼への侮蔑に他ならない。半ば人生を懸けて彼は戦っている。この戦いに負けて彼の失うものは計り知れない。自分は精々が3年間の自由だ。
だから弱音は吐かない。彼を信じ、彼のために、彼と共に戦う。
意識を体へと沈めていく、攻撃が来ても気づかない程、深く。
『其処は凍てつく地獄 抜け出すことの叶わぬ氷の森』
恋の声が大きくなっていく、同時に辺りを埋め尽くす魔力がより濃密に。
「らああっ!!」
必殺の拳が迫る。装填間に合わずナイフで応戦。一撃目を上手く受け流すも、あまりの衝撃に腕の感覚が麻痺する。だが、立ち向かう為に無事な体は自然と動く。
「はあああああああっ!!!!」
威嚇するように叫ぶ。また、同時に思う。
自分は何をこんなに必死になっているのだろうか。らしくない。
別に負けても死ぬわけではないのに。恋と会えなくなるわけではないのに。そんなとりとめの無い疑問が頭に浮かぶ。が、答えが出る前にまた拳が飛んでくる。顔を動かすとごうっとえげつない音を立てて耳を掠めて通過する。当たったら死ぬよね?
そんなことを冷静に考える。でも不思議とそのことに対する恐怖は無かった。別にあの頃みたいに感情を殺してるわけじゃない。その証拠に自分は違うものに怯えている。
下から矢のように膝蹴りが飛んでくる。威力は大砲と遜色ないだろうが。
『木々も生き物も死ぬことすら叶わず眠る』
受け止めたナイフに亀裂が走る。
腕の筋肉はズタズタだろうが、確かめる術も意味も無し。
痛いけど痛くないから叫びはしない。叫べばもっと痛くなるから。
「ぐっ…」
三撃目でナイフが粉微塵に砕ける。勢いを殺し損ねて転倒。いや、単に体の限界かもしれない。
咄嗟に恋へと目を向ける。恋は集中しているのかこちらの方は見ていなかった。安心する。
目の前で矛刀がこちらが得物を無くしたと思ったのか笑っている。
そのままとどめの拳を放つため近づいてくる。殺す気は無いだろうが当たればリタイアは間違いない。回避は不可能。ナイフは既にない。銃で防ぐこともかなわない。
だが、まだ時間を稼がねばならない。
『いざなえ 出口なき樹海へ』
こんな時だが、溜め息をつきたくなった。
「あのナイフ、気に入っていたんですがね」
「あ?そりゃ悪かったな」
爺やが昔くれたものだから大切に使っていた。
父さんから貰った銃を壊すよりは幾分かましだが。
「じゃあな」
言葉と同時に拳が降ってくる。
当たることに恐怖はない。だが、傷つくことが怖い。
望は動かない。
我が身可愛さでは無い。ただ、傷付いた自分を見たときの恋の表情。それを見るのが怖いのだ。
矛刀の拳が眼前に迫る。
それを見ると、味わったことの無い痛みが胸を刺す。だから…
ガッ
「なにっ!?」
突如現れた黒い棒のようなものがそれを防ぐ。
「まだ、倒れない」
『さまよえ 終わりなき冬を』
望は腕輪から出したそれを右手で掴み、馴染んだ動作で“広げる”。
「神器『朧月扇』」
そのまま何気ない風にそれを一扇ぎする。
瞬間、音を立てて迫り来る見えない圧力に吹き飛ばされる矛刀。
「くっ!出し惜しみしやがって!」
悪態を吐きながら矛刀は己の勘違いと油断を悔いる。ナイフは望の本来の得物では無いと言うことに何故気付かなかったのか…
長らく実戦を離れて久しいから、などと言う言い訳はしたくないが、所詮ガキが相手だという気持ちが無かった訳ではない。
仮にも“風神”などという大層な名前で呼ばれていたことを忘れていた。
『眠れ 魔狼の腹の中で』
恋の声が終わりへと収束するように朗々と響く。どうやら時間稼ぎは成功したようだ。
そう思いながら手に持ったそれの感触を懐かしむように確かめる。
鉄扇。黒を基調としたその神器は矛刀の拳を受けてなお傷1つない。広げた面の中央には朧月が描かれており、怪しげな雰囲気とまさしく神器に相応しい存在感を放っていた。
「チッ…」
矛刀が忌々しげに舌打ちする。
「別に隠してたわけじゃないんですけど…」
単に、爺やが使わないと落ち込むから、大抵のことはナイフでなんとかなったからという理由が主だ。
しかし、今回はそうもいかなかった。故に意表を突く形で取り出したのだ。実際、こちらはいっぱいいっぱいだったのだ。
だが、おかげで窮地は抜け出せた。
安堵の息を吐くと共に恋の呪文が終わりを告げる。
『凍界の森』
ぶわっと目を開けていられない程の魔力が吹き荒れ、周囲を蹂躙していく。徐々に収まっていく魔力に、少しずつ目を開いていく。
「っ!?」
思わず息を呑む。
そこには思いがけない光景が広がっていた。
館内が凍りついていた。天井から伸びる氷柱。零れた息は白く、いつの間にか体は震えていた。
「おいおい…マジかよ…」
矛刀でさえ呆然と呟く。
いくら儀式魔法と言えどもこれ程の規模だ。驚くのも無理はない。
しかし、それも一瞬だった。
「っ!?」
いきなりその場を飛びずさる矛刀。何かと思えば、そこには凍った靴が残っていた。
「やはり駄目だったか…」
恋が、残念そうに顔をしかめる。
「不意打ちかよ…らしくねえな」
「形振り構ってられる立場ではありませんから…」
恋が望に目を向ける。
「自分のためではありませんが」
「おーおーお熱いこと」
恋が一瞬いらっとしたように眉間に皺を寄せた。
「……この森では触れるものを意のままに凍らせます。力尽きて立ち止まれば最後。すぐに涼しくなりますよ…」
「まさしく…大守の腹の中ってか…笑えねえな…」
そう言いながらも忙しなく動いて凍りつかないようにしている矛刀。
「あとは任せて休めと言いたいが…」
ちらと望を見るが、武器を構えるその姿を見てため息を吐く。
「はあ…聞くわけないか。手伝ってくれ」
「もちろん。作戦は?」
「特にはない。足を止められればそれでいい」
「了解」
そう言って、扇を広げる望。銃は腕を痛めた為、腕輪の中にしまう。
恋も、刀を抜いて構える。
矛刀はそれを見て口元を歪めた。
獰猛に、楽しそうに。
誰がナイフが真の武器だと言った?どやあ
とか言ってますけど書きながら思い付いたんですけどねー
あと呪文どうでした?
厨二発症させながら書く辛さww
語彙力の低さが露呈するからもうしたくない( ;∀;)
以下おまけ
「望、その武器は何だ?」
「朧月扇僕の本当の武器だよ」
「つまり、今まで手を抜いていたのか?」
「い、いや…相手の警戒を気にして…」(あと作者が…)
「成る程…で?ないふとは何が違うのだ?」
「これはね、能力の増幅ができるんだよ」
「増幅?」
「僕のギフトは風を操ることであって、風を生むことじゃない。だから屋内だと魔力消費が多かったり、出来ることに限りがあるんだけど…」
「扇で風を生んで、効率良く戦えると?」
「うん。更にこの扇自体に風を操る術式が刻み込まれてるから、簡単な技なら魔力を込めて振るだけで発動できるんだ」
「随分とお得な武器だな」
「そう?」
「ああ、更に夏場に扇いだり、あら熱を取ったりできて色々と便利そうだ」
「…そうだね……………」
「それにしても魔力少ないと苦労するな」
「だね。これも所詮は小細工だよ。恋みたいな大技をバンバンだしたらすぐに魔力切れだもん」
「“森”のことか…しかし、戦闘において大技ばかりが役に立つとは限らないだろう?」
「でも憧れるし羨ましいよ。格好いいし、いちいち細かいこと気にしなくて良さそうだし」
「そ、そんなことは…//」
「見映えも綺麗だし、武器も格好いいし」
「いや、だがその…//」
「髪もさらさらで、肌も白くて」
「あうあう……からかうのは、よせ…//」
「バレた?」
「冗談でも、やめろ…こっぱずかしい」
「顔が赤いよ。扇ぐ?便利な武器で」
「…うう、悪気は無かったんだぞ?何故いじめる…」
「悪意ある言動よりも傷つくことはあるんだよ…」
「…すまぬ…」
「し、しおらしい恋もカワイイヨー」
「……私より先に自分を扇げ、馬鹿」




