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野良狼、拾いました   作者: 桔夜読書
29/38

25話 矛刀「女にちょっかい出したらマジギレされたわ。最近の若いやつって冗談がわかんないのかね」

1か月ぶりです皆様。ジョジョ見てシーザー言いながら泣いていたらいつのまにやら…。とりあえずすみませんはい。

散々待たせて何ですが、迷走感はんぱないです。ハードル低めの温もりに満ちた眼差しで読んでください。深刻に( ;∀;)


雷に撃たれたかのようにほぼ同時に駆け出す。恋と矛刀は前へ。対して望はステップで後ろへ。


既に各々得物を剥き出しにしており、それらは相手に突き立つのを今か今かと鈍い光を放ちながら待っている。

最初の邂逅。恋と矛刀の互いの得物が牙を剥く。

強靭な踏み込みと渾身の力をもって刀を、拳を降り下ろす――!

金属同士がぶつかる硬質な音が静寂を支配する。

支配は更にその領域を増やすかのように大きく、雨音のように数え切れない音をもって侵食する。

刀と拳、鞘と拳が、敵を糧にしようと言わんばかりに噛みつき合う。

「ちっ…」

矛刀が舌打ちをする。些か押され気味なのだ。勿論、未だ互いに本気では無いが、恋の圧倒的な魔力による肉体強化は手を焼かざるを得ない。更に得物の相性もある。懐に入りさえすれば矛刀に天秤は傾く。しかし、それをしようとすると…

「やらせないよ」

「ちっ…」

言葉と共に銃弾が襲ってきて、舌打ちをしながらの後退を否応なしにさせられる。そう、望による射撃支援である。

「全く…いいコンビネーションだなおい…」

悪態を吐くが、事実その通りである。高速の近接戦闘の真っ只中に的確に敵を狙う精密射撃。そして、それを毛ほども当たることは無いと言わんばかりに果敢に攻める恋。単に信頼という言葉で片付けられることでもない。恋の刀と鞘が交差するように矛刀の首に襲いかかる。それを拳で弾き返そうとするが、タイミングよく銃弾が迫ってくる。仕方なく回避行動に移るも、咄嗟の判断であるため全てはかわしきれない。

「ぐっ…」

刀が矛刀の胸を浅く裂く。一度距離を取る。しかし、恋は追わずに立ち止まる。

「はっ…冷静だな…」

「そこまで無謀ではありませんから」

今、矛刀は恋の体で望の死角に入っている。つまり、射撃支援が行えない立ち位置に逃げ込んだのだ。仮に深追いしていたなら、矛刀の遠慮のないカウンターが恋に浴びせられただろう。

「ったくつまんねえな…」

口でそう言いながら矛刀は楽しんでいた。チャンスとピンチを的確に判別できる冷静さ。技術的なムラはあるものの、鋭い洞察力でそれを補っている。こんなに手強い相手が楽しくないわけがない。

「くく…」

笑いが溢れる。

その笑いは、これから自分の取る行動にどんな反応をしてくれるのかを期待する子供のようだった。



その頃、学園長室では…

「かーくん。久しぶりに楽しそうかな」

「遊びすぎて羽目外さなきゃ良いんだけどね」

「流石に大丈夫でしょう」

学園長、盾衣、土居がカメラから一部始終を伺っていた。

「でもかーくん最近退屈そうにしてましたし…」

「いざとなったらプールにぶちこむわよ」

「どこまでいったらアウトですか?」

「ギフトを使ったらアウトね」

即答だった。対ギフト戦において能力を使うことを許さないというのは異常である。ましてや矛刀は徒手空拳である。勝ち目があるはずもない。しかし、周りはそれが妥当と言わんばかりに頷く。

「お願いしますよ?」

土居が念を押すように言う。

「わかってるわよ。死なせちゃ不味いもの」

学園長の態度はそれが普通に起こることを信じて疑わないものだった。



「ちょっと本気出すか」

そういって真っ直ぐに突進してくる矛刀。見たところ何も変化は無い。愚直な突進は容易にカウンターの餌食になるだろう。

故に警戒はすれど躊躇いなく刀を降りおろす恋。だが、次の矛刀の行動に驚愕させられる。

「やっぱりあめえな」

「なっ!?」

何でも無いように、矛刀は避けなかった。今、刀は矛刀の左肩に食い込んでいる。だが、致命傷には程遠い。

その、肩に食い込んだ刀を握りしめながら矛刀が口を開く。

「やっぱり手加減してんな?」

「っ!?」

図星だった。恋は望のように人の命を奪ったことは無い。刀を振るうことに慣れていても本能的にブレーキを掛けてしまうのだ。

「だから…あめえつってんだよ」

「がっ!?」

矛刀が右手で恋の腹部を殴る。容赦の無い一撃。

咄嗟に距離を取ろうとするも刀を握られていてかなわない。しかし、攻撃は終わらない。

「ぐっ…うっ」

首を絞められ、そのまま体が浮き上がる。鞘で反撃を試みるも全く効いてないと言わんばかりに無視される。

「恋!」

望も銃を構えるが、矛刀が恋を盾にするようにしているため撃てない。

「っ…卑怯な…」

「卑怯?何、温いこと言ってんだ?わかんねえのか?手段を選ばなきゃお前らを捩じ伏せるなんてわけねえって?」

苛立たしげに言いながら首を絞める力を増していく矛刀。

「お前らよお…俺に勝ちたいって本気で思ってるのか?思ってねえだろ?だってよ、殺気が全く感じらんねえ…舐めんのも大概にしろよ?リスクを恐れるな。相手が殺す気で来たなら…」

そういって恋の首を放す。そして落下するよりも、呼吸を再開するよりも早く…

「死ぬ気で…来い!」

胸の中心を穿つように蹴りを放つ。望のいるところまで吹き飛ばされる恋。望がなんとかそれを受け止めるが、立っているのも辛いのか恋はそのまま倒れこむ。

「恋っ!…くっ…」

名前を呼んで安否を確認しようとするが、前方から迫る気配にそれを阻まれる。

「どうした王子様!目覚めのキスはしないのかあ!?」

口調こそからかっているが感じる殺気は本物だ。銃で牽制をするが、全て弾かれ時間稼ぎにもならない。

…やるしかないか…

そう呟いて腰につけていた装備を幾つか投げつけ、それを即座に撃ち抜く。

「っ!?くそっ!」瞬間、音と光が炸裂する。スタングレネードである。これで少しは時間が稼げるはずだ。

すぐに恋を抱きかかえ端へと避難する。

「大丈…」

声が止まる。見れば、口から血を吐いており、白い着物を赤く染めていた。顔色は悪い。まるで…今にも死にそうだ。

「……れ、ん?」

動揺が走る。

「大丈夫、だ。見た目ほど、酷くない…悪いが、少し、時間を…望?」

「…」

意識はある。会話も出来る。しかし、着物。口から血を吐く姿。白に振られた赤。

重なってしまった。かつて失った者と。

「望…?」

「……させない」

やらせない。死なせはしない。もう失いたくない。だから…

「殺す」

「え…のぞ、み?」

体が軽い。あの頃のように。殺す算段を冷静に組み立てる。ああ、最初からこうすればよかった。そうすれば恋が傷付いたりしないで済んだのに。

目は暗く光っている。その目には誰が映っているのか。

「もういいよ。恋…僕が終わらしてくる」

今なら出来る。だってあの頃より自分は、こんなに強くなったんだから。見ててね、父さん。


ゆっくりと立ち上がる望を見上げる恋。

今、彼女は恐怖していた。望の顔に、見たことの無い冷たい目に。

これは…誰だ?

自分の知っている彼では無い。つまり、あれが昔の彼なのか?

本能的にそれを悟る。そして同時に不味いと。彼を戦わせてはならないと。勝つにしろ負けるにしろ彼は戻ってこないと。

恋は、そんな漠然とした根拠の無い不安を何故か明確に感じていた。勝つにしろ負けるにしろ彼は戻ってこないと。

このままいかせてはならない。警鐘が鳴り響く。

「望…」

「…何?」

冷たい声だ。振り向きもしない。

「約束を、忘れるな」

「………」

今は、これが精一杯だった。


矛刀は視力と聴力が回復したことを確認してから、既に接近していた望と相対した。

そして一目で理解する。ここからが本番だと。

言葉なく、どちらともなく動き出す。

弾丸を撃ちながら並走する。ことも無げに打ち払うが、接近を許さない的確な弾幕に距離を保ったまま様子を見る。すぐに弾切れになり、その隙を逃すまいと一気に距離を詰める。だが…

「ウインド・カッター」

呪文らしきものを呟いたと思ったと同時。ナイフの切っ先から何かが飛び出し矛刀の体を切り刻んでいく。

「ぐっ!?」

再び距離を取る。全身を浅く切られたようだ。

すぐに正体に思い至る。

「風の刃か…見えないのはちと厄介だな…」

だが、物質として固定が困難な風だ。威力は大したことは無い。無視して突貫すれば問題ないと断じる。再び距離を詰めようと四肢に力を込めるが…

「ウインド・バインド」

「なっ!」

呪文と同時、その四肢が見えない戒めに封じられる。それらは流体のようにまとわりつき動きを鈍らせる。

瞬間、弾の装填を済ませた銃から弾丸が放たれる。

弾丸は意思があるかのように矛刀の心臓に吸い込まれるように進んでいく。

それを寸でのところで戒めを解き、転がるように逃れる矛刀。

しかし、動きを読んでいるかのように逃れた先には既に弾が放たれていた。

体勢が悪く、弾くことかなわず腹部と膝に直撃する。

「ぐっ…これが本気ってか?風神さんよ…」

膝をつく矛刀にゆっくりと近づく望。返事をする気は無いのか、冷たい目をただやるのみだ。

目の前で立ち止まり、何の感情もなく見下ろす。

そして、当然のように銃をつきつけ、迷うことなく引き金を…

「っ…氷牢!」

だが、焦るような声と共に、目の前に現れた氷が銃口を跳ね上げそれを阻んだ。氷は矛刀を閉じ込め…いや、守るように覆っていく。

「……何のつもり、恋?」

口を開く。いつもと変わらぬ声なのに、冷たい。そのまま徐に振り返る。

「お前こそ、どういうつもりだ…勝敗は決していただろう…!?」

そこには胸を押さえながらゆっくり歩み寄ってくる恋。

しかし、その様は怪我によるものではなく、あろうことか望を警戒するかのようだった。

望はそんな恋にただただ冷たい目線を向けて口を開いた。


「だって殺さなきゃ」


それが、当たり前だと言うように。

それはまるで、蟻を殺す残酷さを知らない子供のようだった。


どうするよ俺…この展開なに?俺がびっくりだよ…

違うんです。私は悪くない。全て望くんが勝手にやったんです。暴走しちゃったんですよ…いつか羞恥プレイで晒してやる…!



以下、おまけ


戦闘中。


「ふっ!」

たゆん

「…」

「はあっ!」

たゆんたゆん

「……」

はあああ!」

たゆんたゆんたゆん

「…G…!」

「む?」

(着物の下からであの破壊力とか…まさか精神攻撃とかじゃ…つーかあれつけてなくね?あれ?まさかそんな…ていうか…履いて、ない?いやいやありえない…まさかそんな…確認してみるか)

前へと踏み込む

「やらせないよ」

「ちっ」

(あいつまさか…俺の思惑に気付いて…)

「いいコンビネーションだなおい」


「なんかかーくんの目がいやらしいかな…」



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