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野良狼、拾いました   作者: 桔夜読書
27/38

24話 hopes

調子に乗って題名に英語を使ってしまいました。英語は高3期末で学年で下から2番目とかなので不安しか無いです。よく大学入れましたよねー←国語受験

というわけで英語の単位がヤバイですが気にしないでいきましょう。

さて、今回は所謂決戦前夜みたいなやつです。

エロくないイチャラブ回なのでとりあえず、壁を殴りながら読むことを推奨します。





時刻は22時。今、二人は2時間後の戦いを控え、鋭気を養うべく……夕飯を食べていた。

「ご飯おかわり」

「…もう4杯目だよ?このあと大丈夫?」

「腹が減っては戦は出来ぬ」

制服姿に戻った恋はそういって堂々と胸を張る。先もそういって彼女が夕飯を所望したのだ。

「食後の運動ってあんま体によくないんだよね…」

何故このタイミングで呑気に食事なのかと思わなくもない。一応、作戦会議は帰宅後に終えたのだが、あまりに緊張感がない。

「今日の夕飯も美味しいな」

「そうだね」

正直、そんなのんびり味わう余裕も無い。このあとに控える戦いを思えば尚の事だ。そんな思考に耽っていると…

「望…」

「何?」

急に神妙な顔で恋が自分の名前を呼ぶ。反射的に居住まいを正す。

「……明日の夕飯は、私の好きなものがいい…」

「はい?」

何を言い出すかと思ったら、いつも言ってることとあまり変わらない。気を張って損した気分になる。

「全く…一体、何を言って…」

そうたしなめようとした時。

「望。これは…“お願い”だ」

「……っ!?」

恋の真剣な瞳と少しの間をもって、彼女が何を言わんとしているかを悟った。彼女も望が理解したことを悟ったのか、改めて口を開く。

「そう、これは“お願い”だ。嫌じゃないなら…守ってほしい」

“お願い”……それは先ほど約束した二人のルール。それは単純に生活のことにおける恋の願いを望が叶えるというもの。

「私は…また明日も、望の料理が食べたい」

彼女がわざわざ夕飯を食べたいと言った理由がわかった。もしかしたらこれが……この家での最後の晩餐になってしまうかもしれないからだ。

「…わかったよ。明日は恋の好きなものを作ってあげる」

だから“お願い”を聞き届ける。もちろん…好きなものを作るのに食べる人がいないのでは話にならない。だから…

「何を作るかは…明日のお楽しみだよ」

「ふふ…そうか。それじゃあ…楽しみに待つとしよう。この席でな」

今日まで続けていた当たり前に成りつつある日々が、この先も続いていくように。

「腕を奮うよ。恋の為に」

そう、腕を奮うのだ。恋の為に。この後も、これからも。

その後も粛々と晩餐は続く。刻々と迫っているはずの時間が止まったように。

そして、最後の一口を恋が名残惜しそうに食べ終える。

「ご馳走さま」

「お粗末様」

そのまま後片付けを終えると、粗方の準備は終えているのだろう、迷いなく玄関へと向かう。

時間的に歩いて向かえば、丁度よい頃合いに学園に着くだろう。

そう思いながら食後から一言も発さない恋を見る。彼女は少しばかり物憂げな視線を廊下に向けて注いでいた。

彼女は強い心を持っている。しかし、それは今まで何も知らなかった故の産物。多くのものを知り、持ちえた彼女はそれを手放すことを恐れ、弱くなった。

でも、望はそれでいいと思っている。自分は人間らしい彼女が好きだ。色々と切り捨ててきた自分が羨ましく感じる程に。

だからこそ大丈夫かと心配になる。正直、学園長との話もあり彼女の精神状態がベストだとは思えない。

しかし、それはすぐに杞憂だと知る。

恋は、廊下を見るのを止めてノブに手をかける。一瞬、動きが止まる。まるで、開いたら戻れないと感じたかのように。しかし…

「いってきます」そう言って扉を開く姿にもう迷いは無かった。

望は自分の思っていた以上のその眩しさに目を細めるように笑いながら、彼女の後に続く。

「いってきます」

また帰ってくるという思いを込めて。


誰もいない深夜の住宅街を二人並んで歩く。

ただ時間帯が違うというだけで、その行為は普段となんら変わりはない。しかし、当然ながら会話が弾むわけでもない。気まずいという程の沈黙でも無いが、何かいつもの自分らと違う気がして、妙な気分になってしまう。

そして、やはり沈黙は長続きはしなかった。

「…望」

「?」

しかし、恋が発した声は沈黙に耐えかねてというより、苦渋や迷いを含む声だった。望は首を傾げながら言葉の続きを待つ。

「これで…よかったのだろうか?」

「………恋のこと?」

その言葉に頷きあくまで前を見ながら話を続ける。

「私は、まだ自分が何者かわからない。私の中に“大守恋”ではない部分が存在し私を生かしている。それは…恐ろしいことだ。きっと私が理性を失うのもそれが私を動かしているからなのだろう。だから、もし…」

「もし?」

「もし…私が私で無くなってしまったら…私は私を止められない。だから怖い。誰かを…波涼や渓にぺんぺん…そして望。お前を傷つけてしまうのではないか、と」

不安を吐露していく。いつもの凛々しさはなりを潜め、その下の1人の少女が剥き出しとなる。

「誰かが害を成すというなら、私が全力で阻止する。望もいる。故に不安は無い。だが、私が私で無くなったら…誰が止める?半神と呼ばれる私を…」

「僕が止めるよ」

その言葉に恋は悲しげに笑って口を開いた。



「…なら…その時は私を殺してくれ」



望の足が止まる。信じられないという面持ちで恋を見つめる。数歩先で止まった恋は振り返らず空を見上げる。

「な、なにを…」

喉が、瞳が、足が、震える。考えたくもないその瞬間を想像して心が揺れるのが伝わるように。

「私で無くなった私を止めるには、私を殺すしかない。だから頼む」

「………恋は、それでいいの?」

「……ああ。お前なら大丈夫だ」

妙に感情を抑えるような声音で恋は続ける。

「何、まだ幸い付き合いは短い。お前の重荷にはなりはしない」

そんなセリフは聞きたくない。

「そうじゃなくて!…恋は…死んでもいいの?」

「………私が死ぬとしたら、その私は既に私では無い」

「っ…はぐらかさないで」

望は気づいた。自分が震えていたから気付かなかったが、恋の肩が少し震えていることに。

「だから…大丈夫、だ」

「嘘は、やめて」

「嘘なんかじゃ…ない」

掠れそうな声で言ったその言葉にどれ程の苦渋があって、どれ程の真実があろうか。

「言いたいことを、本当のことを、わがままでいいから…言って。じゃないと僕は、どうすればいいかわからないよ」

もうわかっている。本当のことなんて、言いたいことなんて。でも、彼女がわがままとしてそれを言ってくれないと、自分はそれにこたえてあげられない。彼女にも自分にも嘘はついて欲しくないから。

「だから…本当のことだ。私が暴れたら、その時の私は消えねばならない危険な存在なのだから…!」

絞り出すように嘘を塗っていく。

「それは…恋のすべきことかもしれないけど、したいことじゃないよね」

それを剥がすべく、前へと足を踏み出す。

「周りのことがいくら大事でも、死にたい人はいないよ。守るものの為に死んでいった…いや、殺していった人の中にも…死にたくて死んだ人はいなかった。そしてそんな人を殺したくて殺した人もいないんだよ」

「っ!」

恋の真後ろに立つ。恋がその気配に反応し逃げようとする。しかし…

「だから教えて…恋がどうしたいのか」

それを、後ろから優しく抱きしめる。肩の震えが、鼻を啜る音が、握った拳が、恋の声が、はっきり伝わるように。

「わ、私は…」

「言って…いいんだよ…」

その言葉に堰が崩壊する。嘘を洗い流すかのように。

「………死にたくなんか、ない…ぐすっ…」

回した手に温かい何かが落ちてくる。

「……生きたい…だから…守って…望…!」

「よく言えました」

そう言って、腕に少し力を込める。恋のお願いの返事として。



数分後。落ち着いて少し気恥ずかしくなったのか恋が望の腕をほどく。

「無様なところを見せた」

未だ目を赤く、少しだけ潤ませながら言う。

「慣れてるから大丈夫」

「それでは、私がいつも恥態を晒しているようではないか!」

「一日目に怒られて人の胸で泣いた居候は誰だっけ?」

「うう…いつか泣かせてやる…」

いつものような会話。それがどれ程貴重なものかが身に染みる。やはり自分らはこうでなければ。

そんなことを思いながら歩き出すと、恋が声を掛けてきた。

「なあ望…」

いや、声を掛けてくるのは構わないのだが、この声音は何かのお願いの類いだ。このタイミングでまだ何か有るのだろうか。

「手を、繋いでくれないか?」

「え?」

突拍子も無いとはこのことか。

「嫌か?」

「そうじゃないけど、何でいきなり…?」

「そ、その…んーと」

恋もなんと言葉にするべきかよくわかっていない様子だ。しかし、何かを思い付いたのか、自分に近づきこちらの手を取ると…

ムニュ

「うむ」

「?」

深刻なエラーが発生。脳がフリーズ。再起動を試みる。

ムニュ

「うむ」

恋が合点が言ったかのように頷いている。その手は自分の手首を掴み、自分の手は恋の胸に強く押し付けられているううう!?

「なななにしているんですかあっ!!?」

手を引くも、何故か頑なに動かない。まるで世界がそれを望むかのように胸から手が離れない。

「やはり、安心するな」

「へ?」

もう訳がわからないよ。

「望の手に触れていると安心する。さっきもそうだった。そういえば、いつかの教室でもそうだった」

うん。その言葉は嬉しい。でも早くしないと理性とかがエントロピーを凌駕しちゃうから胸から手を!手をををを!!

「それと…やはりな。なあわかるか?」

そういって更に胸に強くあああああああ!

「凄く…ドキドキしている。何故だろうな…手に触れているだけで幸せな気持ちになれる…だから…手を繋いでくれないか?」

「いいよ!いいから!一回僕の手を返して!」

既に谷間にめり込んでる第一関節の感覚をシャットダウンしてます。

しかし、言い方が気に入らなかったのかぱわぁあっぷぅ。

グニュウ

「何をそんなに嫌がる?やはり私に触れているのは嫌か?」

「い、い嫌じゃないけど…」

というかそういう問題じゃない。

「…けど?」

言わないと離さないと言わんばかりに手をホールドしてくる。このままでは関節どころか理性がのまれてしまう。

「その…恥ずかしい」

「…まあよかろう」

そういって手を解放すると…

「珍しく望が慌てふためく顔が見れたからな」

「なっ!?」

まさか…確信犯?

そう思うも実際のところはわからない。いや、まさか恋がとは思うが…

「で、手を繋いでもいいか?」

その話を切り上げるように早速、しかし遠慮がちに手を伸ばしてくる。

「まあ…誰も見てないし…」

自分にそう言い聞かせながら手を伸ばす。その手に指を交互に絡めるようにして、恋が手を繋ぐ。

「む?…おお…」

恋は何故か感極まったように手をにぎにぎしてその感触を確かめる。

「ど、どうしたの?」

「ふふ…いや、つい嬉しくてな」

「手を繋いだことが?」

いまいち、恋が何を考えてるかわからない。こういった反応は望としても目新しく、推測が及ばない。

「それもあるが…それ以上に…」

しかし、恋の行動の理由で推測がつかなかった場合は高確率で爆弾が落とされるわけだが。


「望が思ったよりドキドキしているとわかったからだな」


「なっ、なな何を…!?」

そして、それを被弾するのはいつだって自分なのだ。

「だって、ドキドキしているという事は、幸せだということだろう?少なくとも私はそうだぞ」

「そ、それは…」

確かに幸せかどうかと訊かれたら、今の状況は他人が羨むくらいに幸せな状況にちがいない。

「手を繋いで、望が幸せなら、私は嬉しい。望はどうだ?」

「ど、どうって」

駄目だ。今日は恋に翻弄されっぱなしでどもってばかりいる。まともに頭が働いていない。

「私が幸せだと、望は嬉しいか?」

「……そ、それは、嬉しいに決まっているよ…」

後半は囁くような声になってしまったが、どちらにしろ恋は聞き取ってしまう。

「そうか」

恋はそういって前へ向き直ると、上機嫌で繋いだ手を振りながら、自分の教えた鼻唄を歌う。自分も一緒になってメロディを辿る。


一頻り繋いだ手と鼻唄を堪能した恋が再び口を開く。

「手を繋ぐとは素晴らしい」

「はは…おおげさだなあ」

この行為自体はとても普通で誰でもできることだ。

「かもしれない。だが、こんなに簡単なことだが一人では出来ない。これは隣に誰かがいないと出来ないことだ」そう言いながらこちらに目を向ける。

「だから一人じゃないと感じられる。誰かのドキドキを感じながら歩いていける。これなら…私はどんな道だって歩いていけるとさえ思える」

握った手に少し力がこもる。まるで彼女の思いが直接流れるように。

「だから…まずはこの目の前の壁を踏破しよう」

「うん」

気が付けば目の前には本来閉じている筈の学園の門が大きく開かれて聳えていた。

そして、一歩を二人で踏み出すと同時。

「……待ちくたびれたぜ」

瞬時に景色は校内の体育館。目の前には準備万端…と思いきや、少し顔が青い矛刀が胡座をしながら待ち構えていた。しかし、そんなことはお構い無しと言わんばかりに、射抜くような瞳で睨む二人。

「まだ5分ありますよ」

「だな。まあ開始は0時だ。今のうちに最後の逢瀬でも済ませておきな」

挑発的な内容だが、本人は至って真剣な顔だ。だが、その自信が気に食わない。

しかし、時間は有効に使いたい。

恋と共に瞬時に着替えを済ますと最後の段取りを確認する。既に先ほどまでの甘い雰囲気は微塵もない。

「時間だ」

矛刀が立ち上がった次の瞬間、手にはメリケンが握られていた。

「ルールの説明だ。気絶または降参するまでやる。以上だ」

いつものふざけた雰囲気はない。あるのは、ただ戦う者としての役割を果たすこと。

「わかりました。単純でいいですね」

「ああ、シンプルイズベストだ。それじゃ、このコインが地面についたら開始だ。オーケー?」

そういってどこからかコインを出す。

「「はい」」

神妙に頷く。ここまできたら是非もないのだから。


「…いくぜ」


キン…


甲高い音を残して高く舞い上がるコイン。


膝を落とし、握ったグリップに力を込める。


コインは上昇を続ける。


前傾姿勢で抜刀の構えを取る。


最高点に達し、緩やかな落下を開始。


獰猛な笑みで、二人を見つめる。


加速を繰り返し、地面へと迫る。


集中力は刃のように。


体は獣のように。


心は機械のように。


鋭く、鋭く、鋭く。


そして、時が止まったような感覚の中、コインが地に触れる。


その音が耳に届く前に、両者は火蓋を切り落とした。


例えようもなく、苛烈な戦いの。

最近、成人式の流れで写真屋で撮った自分のひきつった笑顔が気持ち悪すぎて死にたくなりました。いえね、元々酷い顔ですけど作り笑いをしようとするとモザイクかけないと見れないレベルに…


それはさておき次回は戦闘を@頑張らない…わけにはいかないので頑張って書きたいです。ジョジョ見たいな効果音とかが自動で入って欲しいです。とりあえず次回は恋さんの駄肉が暴れまわるのを脳内で補完しながら書く予定です。


以下おまけ



「望」

「いえ…恋さん。これは仕方ないものでして…僕にはどうしようもないというか。そもそもどうして僕のベッドに潜り込んでるの…」

「偶々だ。それよりどうしてくれる…」

自分のパジャマの足の湿った部分を忌々しげに見ながら

「イカ臭い」

「……ごめんなさい」

夢精はどうしようもない。


「そもそもどうして寝ながらにして出てきたのだ?」

正座する望にベッドの上から見下ろしながらきく。

「…その、これは夢精と言って…夢を見るとなってしまう生理現象で」

「夢を見るたびにこうなるのか?」

「いえ…その…性的な…夢というか」

「…えっちな夢か。望はえっちな夢を見てえっちな液体を人にかけてしまうえっちな人なんだな」

「ううう…で、でも恋がその…あそこに脚を載せるから…」

「私も知っていれば気をつけたかもしれぬが…知らないものにどうしろと?」

「…おこってます?」

「今は慣れたが、朝起きて最初にこのにおいは涙が出るかと思った…嗅覚の強い私には殺人的だ」

「ごめんなさい…」

「で、何の夢を見たのだ?」

「…………//」

「…大きくなっているな」

「いや、これは…」

「寝間着をびしょびしょにしておいてそれとは…元気なものだな」

ぐにっ

「ひゃっ…れ、れん!?やめて!」

「やめて、か…懐かしいな。私がやめてと言ったにも関わらず、人を弄んだ望の姿が…」

「そ、それは…ああっ…」

「さあ…どんな夢を見たか言え…でなければ……望がっ、泣くまでっ、踏むのをっ、やめないっ!」

「い、いやっ…もう…無理っ」

ビクビク…

「なっ?」

「んんっ!」

ドビュ…

「の、望…堪え性が無いにも程があるだろう…」

「…ううう…こ、これじゃ夢と同じ……」

「えっ?」

「あ、いや、その」




「んん……はっ……ふう…夢か…」

「望ぃ……なんか変な臭いが…」

「!?」




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