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野良狼、拾いました   作者: 桔夜読書
25/38

22話 嘘と真実

あけおめことよろです。活動報告見て頂いてるかたは重複すみません。

新年初の更新です。個人的には割と早く更新できたかなとか思っとります。

そしてあいも変わらず、書きながら二転三転する展開に翻弄されっぱなしです。

そんな作品ですが今年も無聊を慰める程度の気持ちで構わないので読んで頂ければ嬉しい限りです。

望は今、自分の失態を後悔していた。目の前で表情こそわからないものの、せせら笑いを浮かべているだろうピエロという男。そして、真後ろでおそらく動揺を顕にしているだろう恋。

この状況を意図的に作ったのはピエロに違いないが、原因は自分にある。

実は、望は恋が戦っている最中からこの場にいたのだ。しかし、圧倒的な戦いぶりと自身が出ることで相手が口をつぐむ可能性を考慮し、あえて静観していた。

その後、ピエロが現れてからも自分が出るより恋に相手をさせた方が喋るだろうとこれも放置。

しかし、ピエロは自分の気配に気づいた上で、話をしていたのだ。そのことに気付き余計なことを喋る前に咄嗟に発砲したが、それすらも読まれ、全てが裏目に出た。

「の、望は…」

結果…

「…人を、殺したことが…ある、のか…?」

隠していたことが全てばれた。

「……」

沈黙を返すしかない。しかし、この状況におけるそれは、肯定以外の何物でも無い。

「なんとか言ったら、どうなんだ…?」

震える声で問いかける。余程ショックが大きいのだろう。敵を前にした今において、これほど動揺を顕にしているのだから。それを収める方法を知らない望は、苦渋の表情で詰問と糾弾に答えるしかない。しかし、情けない話だが自分の口から真実を言うのがどうしようもなく怖い。それを口にしたら後に引けない。既に手遅れだとしても、怖い。

そんな心情を読んだのか否か、ピエロが口を開く。

「だんまりか…人を散々殺しといて、責められたらビビって何も言えない…身勝手だな。神無望。代わりに優しい俺が答えてやるよ」

「お前には、きいてない…」

「まあまあそう言うなって。そいつはな、ここ3年間でざっと100人近く要人を殺してる。今年になってからピタリと止んじまったが、神無の歴史でもこれほどの暗殺者はいないって、裏では専らの評判でな」

「……れ」

「で、そいつの能力もあいまって“神”無の“風”が吹いたら死ぬしかないってんで、ついた渾名が“風神”だ。俺よりカッコよくて羨ましいぜ」

「…まれ」

「つまり…そいつは裏ではかなり名の通った若き天才暗殺者ってところだな」

「黙れ!!」

望の叫びと共にピエロに放たれる弾丸。しかし、それはピエロの前に現れた白い揺らめきに飲み込まれ消える。

「おいおい。人がせっかく説明してやったのに酷くね?それとも何か?間違いとかあったか?だったら悪いね〜じゃあ訂正してくれよ。ほらほら」

明らかな挑発に唇を噛み締める。ピエロの言ったことに間違いはない。全て真実で、ピエロに噛み付くのもただの八つ当たりに過ぎない。

「望…」

「くっ…」

後ろから聴こえてくる恋の声が痛い。名前を呼ばれただけなのに心臓を鷲掴みにされたような痛みが走る。

「その痛みは罪に対してはかなり軽い罰だぞ。もっと苦しまなければ割にあわない…それが俺の目的だからな」

ピエロが殺気を乗せた台詞を口にする。

「お前は…誰なんだ?」

「俺はピエロさ…お前が俺の正体に辿り着くことはない。今まで殺してきた人間を全て覚えていたとしてもな…」

「…どういう意味?」

「誰がそこまで教えてやるか。さて、長話はここまでだ。仕事をこなさなきゃいけないからな…」

そういった直後。

「っ!?」

望へと迫るピエロ。手には白いナイフが握られている。咄嗟に左手のナイフで受け止めようとする。

しかし、ピエロのナイフが届くことは無かった。

「…氷牢」

「なっ!?」

小さな呟きと同時に驚きの声をあげるピエロ。何故ならピエロと望を隔てるように透明な壁が現れたからだ。

「これは…はっ!?」

呆然と立ち止まった瞬間、ピエロの四方を同じような壁が取り囲み遂には上も封じられる。僅か2メートルの正方形の箱…いや、牢と言うべきところにピエロは閉じ込められた。

「チッ…猪口才な。こんなもの…」

「やめておけ。死ぬぞ」

「っ…どういう意味だ?」

抵抗する素振りのピエロに制止をかける恋の言葉。そこに嘘や脅しは見えない。

「お前の能力…その白いナイフや先ほどの壁は……炎だろう?それも超高温のな」

「…」

恋の推理に反論する様子が無いことから当たっているのだろう。

「火が燃えるのに必要な物は、酸素、燃える物質、そして…温度だな。これは誰しも知っている理科の知識だ」

「…何が言いたい?」

勿体ぶった説明にイラつきを表にしてきく。

「丁寧に説明してやってるんだ。少し待て。では訊くが…その、氷の牢の中にそれらはどれ程存在する?」

「っ!そういうことか…」

瞬時に恋の言わんとしていることに気づく。

「そうだ。そこは完全に密閉された極寒の牢獄。そこで先ほどの酸素の消耗が激しい白い炎を出せば…一瞬で酸素が尽きるだろうな…仮に普通の炎を出すにしても、中の気温の低さからまず出せない。つまりお前はそこでじっとしているしかないわけだ。仮に分身なら尚更長くは持つまい。疾く失せるがいい」

「ふざけるな…!」

拳を振りかぶるピエロ。

「それと、いい忘れていたが、その氷はただの氷じゃあない。物理的に破壊するには文字通り骨が折れるぞ」

「チッ…」

その舌打ちを残して揺らめきと共にピエロが消える。

「ふん…あれもやはり分身か…本体は何処にいるやら…」



同時刻某所

「くそ…あの女め…今から分身を送っても間に合わないか…チッ」

まさか、神無ではなくあの女に邪魔されるとは思わなかった。しかもあの能力…出力で負けてる上に相性が最悪だ。

「まあ、能力がわかっただけよしとするか…」

これからどうしたものか…

「しばらくは様子見、だな。あっちにも目を付けられたみたいだしな…ん?」

唐突に鳴り響く電話。着信の表示は…団長だ。

「はあ…」

これから言わねばならない報告と、言われるだろう小言に憂鬱になりながら、ゆっくりと電話をとる。

「はいはい、こちらピエロ。ただいま任務遂行中のため、電話にはでられ」

『ミスったな』

「…はい…お見通しのようで…」

『構わん。あっちにも目を付けられた。一旦引け。あと私怨には走るな。わかったら一度こっちまで足を運べ。指示と小言はそれからだ』

そう言って一方的に切られる電話。全くどうしてこちらの話を聞かないのか……自分もか。

「次からは電話気をつけよー」

そう言ってふて腐れたようにソファーに転がるピエロだった。



舞台は再び工場へ。


「さてと…」

念のため周囲の気配を探り、とりあえず邪魔者がいないことを確認すると、ゆっくりと望へ向き直る。

「恋……っ!?」

何かを言おうとした望の鼻先に刀を突き付ける。

「そう…邪魔者はいない。これで、ゆっーーくり話が出来るな…望。洗いざらい話して貰うぞ?」

「その、ごめん…」

「それは、何に対する謝罪だ?…私に隠し事をしてた事か?私とピエロの対峙を静観していた事か?それとも人を殺してきた事か?…私を怒らせた事か!!??」

恋が昂る感情のままに望を怒鳴る。今まさに切りつけてくるかのような迫力だ。

「全部…ごめん…」

「っ…謝ることしか出来ないのか…!言うことはないのか!?」

苛立たし気に顔がよりいっそう凄みを増していく。

「…何も言う資格なんて…ないよ…」

俯いて弱々しく口を閉ざすその姿は、まるで階段を昇る前の死刑囚のようだ。しかし、恋が彼に求めるのは告白と懺悔だ。故に詰る。

「人殺し」

「っ!!」

「人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し…」

呪詛のように呟く恋。しかし、望は気づいていないが、その顔は苦悶に満ちている。

「人殺…」

「やめて!!」

ピタリと止む誰かへの呪詛。望は泣きそうな顔で息を荒くしている。

「何故拒む?割りきっているものかと思ったが…?」

「確かに、人を殺した。家業だから、父さんの遺言だから、強くなりたくて、自分は正しいと信じて…」

「だから許されるとでも?」

「違う!許されるなんて…思ってもいない。いや、許されちゃいけない。これが、僕の仕事で、僕がやらなきゃいけないことだから」

「別にお前がやる必要は無いだろう」

「僕が…やれば、他の誰かがこれを背負う必要はなくなる」

少しずつ独白していく。その姿はまるで懺悔するかのようだ。

「なら、やりたくてやってるわけじゃないと?」

「そうだよ…でも、やらなくちゃいけない。でも……辛い。罪悪感に、潰れそうになる」

「殺した人をどう思う?」

「彼らは悪人で、殺されれば喜ぶ人が沢山いた…でも、悲しむ人もいた。だから、忘れない。彼らの分まで罪を背負う」

その言葉を放った瞬間だけ、瞳には確かな覚悟が見えた。

「逃げないのか?」

「死ぬまでは逃げない。父さんと同じ道を歩くんだから」

モノクルに手を当て宣言する姿は憂いはあっても迷いは無いように見えた。とりあえず聞きたいことは概ね聞けたので…

「…最初から」

刀をしまう。それを下に置く。

「えっ?」

前へと勢いよく足を踏み出す。魔力は使わない。

「そう言え馬鹿者ぉおお!!!」「ぶっ!!」

渾身の右を顔面に叩き込む。切りもみ回転をしながら吹っ飛ぶ望。魔力は使っていない。

「私の葛藤がわかるか?」

倒れた望に近づき襟を掴む。

「実はお前が血も涙も無い人間なのか、そうでは無いのか…もし、前者なら然るべき処置をするべき…しかし、相手はお前。そんなことしたくない。だから本音を訊きたいのに、謝るだけで何も言わない。仕方ないから言いたくもない言葉をお前に吐いた私の葛藤がわかるか!?」

そのまま持ち上げて、一本背負いを決める。

「かはっ!」

肺の空気が全て押し出されて、苦しそうに喘いでいる。その顔を地に手足をつけて上から覗きこむ。

「最初から素直に言っておけば、私はこんな葛藤に苦しむことも無かったのだ」

「人を殺した、ことは?何も言わない、の?」

「私に何が出来るわけでもない。それに法で裁けるとも思えない。殺した人が生き返る訳でもない。これに関してはお前が背負って、お前が償うしかないのだから、私はそれを見守るだけだ。だがな…私の目の黒い内はもう出来ないと思え」

「なっ!?」

まさかの宣言に目を剥く。

「だから、家業だの遺言だのを果たしたければ、まずは私を殺して見ろ。逃げないという心意気大いに結構。だから選べ…その因習と私、どちらを壊すか…」

「そんなこと、家が黙って…」

「お前の家にお前より強いやつはいるのか?」「……いない」

自分を鍛え上げた彼なら当然自分より強いだろうが、彼は既に隠居している。

「なら、問題ないな。私は望より強いからな」

「……あはははは…」

そこまで言い切られてしまうと笑いしか出てこない。

「それはさておき……」

「?」

「私が、先ほどから怒っているのはそれとは別件でな………わかるか?」

顔を近づけて睨んでくる。

「え?」

どうしよう…全くわからない。

「えーと…隠し事をした、こと?」

「はあ〜…」

重い溜め息をつかれた。顔に息があたるが、今はそれを感じることもできないプレッシャーが掛かっている。

「隠し事など、誰にでもある…1つや2つ言えないこともあるだろう…私が許せないのはな…隠し事をした、理由だ」

「理由…」

強調されたその単語を反芻する。自分はどうして隠したのか…

「お前のことだ…大方、巻き込みたくないとかそう言った理由だろう……ふざけるな!!」

ゴチン!

「痛っ!」

額にヘッドバットをくらう。割と不意うちだったので思わず涙が滲んだ。

「確かにこちらの身を案じてくれるのは有難い。しかし、一言くらい何かいってくれても良いだろう?でなければ急に距離を置かれた私はどうすればいい!?」

「っ…!」

その言葉にはっとなる。今更ながらに恋は不安だったということに気づく。考えてみればわかる。いきなり数少ないちかしい人に妙な距離をとられ、会って間もない自分が悪いことをしたのではないか、嫌われたのではないか。きっと、そういう不安に駆られたのだろう。

そんなことあるわけないのに、と思う。しかし、言葉にしないで伝わるとは限らない。

「…ごめんね……僕も、怖かったんだ…本当のことを言って恋に嫌われないか…」

だから、自分の想いを正直に話す。二人して臆病者だからなかなか出来ないけど、1人が勇気を出せばもう1人も勇気を出せるから。

「っ!…そ、そんなこと…そんなこと!…あるわけが…ないだろう……!」

絞り出すような声。少しずつ言葉にこもる熱が変わってくる。怒りから別のものへ。

「私が、望を嫌うとしたら…望が私を、

嫌いになってしまった、時だけだ…」

涙まじりの言葉が聞こえたと思ったら、次いで熱い雫が降り注いで来た。まるで、心の中の雨が溢れだしたかのように。

「…じゃあ…安心だね」

だから、傘を差して拒むことも、晴れを待って引きこもることもしない。自分の風でこの雲を払いたいと願う。

「僕が、恋を嫌いになったりすることはないよ…怒ることや意地悪することはあっても、本当に嫌いになることは、ないよ」

その言葉に恋は少し呆けたようになって、すぐにその表情を泣き笑いのようにくしゃくしゃに歪ませる。

どうやら雨は止まないけど、天気雨なら文句はない。真っ赤な太陽を眺めながら笑う。

「ふふ…全く、二人して、何を怯えていたのか…これでは馬鹿みたいじゃないか…」

「それはもう…今までぼっちだった弊害としか、ね…」

軽口で少しずつ和やかになる空気。望としては秘密が明かされたことで、関係が壊れなかったことに心から安堵していた。だが…

「さて…解決はしたが、どう罪を償わせるかな…」

「…はい?」

「当たり前じゃないか。私を怒らせた罪をまだ精算していないのだ。今までのは、理由を聞いたのと今後しないよう釘を刺したようなものだ。さて、どうしてくれようか…」

「え?ちょっとそんなのきいてないんですけど…」

今までの割と感動的な下りは何だったのか。いきなりの現実に理不尽なものを感じる。だが、同時に今回は一方的に自分が悪いとも自覚している。故に大抵の理不尽は受け止めねばならない。でもなんか酷い。

「別にとって食ったりはしない…そうだな…今後、共同生活を続けるにおいて家のなかで私の頼みをきくこと、というのはどうだ?」

「つ、つまり?」

「まあ端的に言えば、何が食べたいだの、これが欲しいだの、こうして欲しいと言った我が儘を聞いてくれということだ。勿論、私も本当にして欲しいことに限定するし、望が出来ないことや、嫌がることを強制したりしない」

「そ、それでいいの?」

望としては、もっと言葉にするのも憚られるような罰を想像していたので、それで済むなら有難い。ある意味では今までと変わらないのだから。

「ああ。他にも選択肢はあるが…一体、どんな罰を想像している?」

「僕達の存在が18歳以上の人にしか見られなくなるような…」

テンパってメタってる。

「何のことだ?…まあいい。私の気が変わらない内に選べ…」

「ほ、他の選択肢は?」

「切り落とすか三枚に卸すか潰すか、だな」

「ナニを!?」

「私の口からは恥ずかしくてとても言えないな…」

「選択肢として提示した人の発言とは思えない!」

「選べば口ではなく体で教えてやろう」

「最初のでお願いします」

しかし、どこか含みのある笑顔が少しだけ不安を煽る。だが端からこちらに選択肢などない以上、承諾するしかない。

「…計画通り…」

「え?」

不吉な呟きが聞こえたような気がした。



「しかし、どうするか…この惨状」

見渡せば、そこは未だに死体が転がる廃工場。流石にこのままという訳にもいかない。

「警察…も不味いような…家に頼もうか…」

対応に困っていたその時だった。

「それには及ばねえよ」

「「っ!?」」

その声に固まる。何故なら、声は二人のかなり近くから聞こえた上に聞き覚えのある声だったからだ。

「あなたは…!」

二人が振り向いた先に立っていたのは…

「よう神無、大守。どうしたそんな面白い顔して。逢瀬のバレたカップルか?」

そこにはニヤニヤしながら、こちらの反応を楽しむ不良教師――矛刀の姿があった。

さて、まさかのキャラクターが登場しましたね〜

まあ、この付近で出そう出そうとは思ってましたからね。やっと出せました。

あと、割とさらっと恋さんのギフトが判明しました。勿体ぶっておきながら見せ場は一瞬という罠。

まあこれで今後は出し惜しみせずネタに盛り込めますね(笑)




以下おまけ



恋のギフト


「恋の能力って氷だったんだね」

「まあな。ただ、正確には凍らせたものを操る能力といった方が良いかもしれん」

「どうゆうこと?」

「別に魔力を使って氷を出してるわけではないということだ。ピエロの炎のように何かに魔力で干渉し、氷を生み出しそれを操っているのだ。だから先のあいつのように、氷を作る条件が揃わなければ何も出来ない」

「つまり、水分と凍らせる物と低い温度が必要ってこと?」

「そうだな。まあ三つ目に関しては魔力の出力で補えるが、暑いのと寒いのとでは燃費が違う」

「ちなみにさっきの壁は何を凍らせて作ったの?」

「空気中の水分やチリを凍らせて作った」

「何でもありだね…ちなみに固さは?」

「凍らせる物による。まあ空気はかなり強固にできるからな……銃で撃ってもまず貫通はしないな」

「へえー万能だね〜」

「いや、欠点はある。出したら消せない…」

「え?でも操れるんでしょ?」

「操れると言っても、想像した形を作り出して飛ばすのが精々だ。強固であるが故に変形や分裂は得意としない」

「じゃあ…あの牢は…」

「溶けるまで放置だな」

「つまり、凍らせたらすぐには戻せないわけね」

「ああ。だから人の動きを封じる際は服だけを凍らせるようにしてるが、これはこれで繊細な作業でな…正直面倒だ」

「そういえば範囲は?」

「半径3めーとるは自由自在だな。もちろん触れてるほうが効率はいい」

「あれ?じゃあさっきの牢は?」

「床を触ってみろ」

「ん?冷たい…?」

「私が触れてるものや凍らせたものを伝って他に干渉も出来る。先ほどは床を密かに凍らせてピエロを囲むように準備をしていた。これも知覚できる範囲に限定されるし、近いほうが勿論早さや固さはあがるがな」

「凄いね。全く気付かなかった」

「ふっ…そんな褒めるな」

「いや、本当に凄いって…恋の能力羨ましいよ」

「照れるではないか…」

「夏場は大活躍だね」

「え?」

「ほら、暑いときは周りの温度を下げられるし、飲み物にも氷を入れられて、かき氷も作りたい放題…羨ましいなあ…便利そうで」

「…………そうか、そうだな…なあ、望。先ほど結構動いたから暑いな…」

「え?別にそんなことは…」

ガシッ

「いやいや…暑いに決まっている…だから冷やしてやろう…便利な能力でな…!」

「え?もしかして怒って…あれ?寒い…?」

「どうだ?涼しいだろう…今から凍らない程度に冷やしてやる。存分に堪能するがいい」

「さ、寒いんですけど」

ガタガタガタガタ

この震えは恐怖?寒気?

「お前を氷人形にしてやるっ!」

昔の名曲が頭を過る。既に働かない頭では歌詞もろくに思い出せないが、この状況にぴったりだという気はした。



「あいつら…何やってんだ…」

出るタイミングを見計らいながら、それを眺める矛刀であった。

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