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野良狼、拾いました   作者: 桔夜読書
21/38

19話 女子に体重とかはタブー

やっと甘い回は終了です。書いてる自分が一番砂糖吐いてました。そろそろシリアスに行こうとちょっと匂わせましたので2%ぐらい期待しててください。

今は南館にて何を食べるか相談中。ここは和洋中だけでなくイタリアンやフランス料理と豊富な店揃えを有しており、お気に入りのお店とかでもない限りまず目移りしてしまう。

「どうします?」

「片っ端から回るのはどうだ?」

現実味のない食いしん坊発言である。

「却下。なんでデパートで食い倒れなきゃいけないの…」

「でもどれも魅力的すぎて選べな…」

キュルルルル

「…可及的速やかに選ぼう。もう、美味しければ何でもいい…任した」

自身の生理現象に言葉を遮られ、すぐさま前言を撤回する。

「じゃ、じゃあ量の多そうな中華料理はどうですか?それにみんなで色々食べれていいんじゃないかなと…」

「いいね。中華はあまり食べたことないから食べてみたいなーって思ってたし」

「中華?なんだそれは?美味しいのか?」

「もちろんめしうまだよ!」

「よし行こうすぐ行こう」

ろくに内容に触れもせず歩き出す。思いきりのよさはいいけど、道分かってるのかな?

「勘だ。中華とやらが私を待っているような気がするのだ」

「あはは…まああってるんですけど…」

食に対する執着はこの程度の常識は軽く覆すらしいことにちょっと戦慄しながら中華料理の店へと向かう。



中華料理「黄河」


それがいま目の前にある店の名前らしい。黄河と言えば中国の有名な河川だ。ありきたりではあるがらしいといえばらしい。

平日ということもあり、席には余裕がある。早速中に入ると、どうやら中国人らしい男性の店員が流暢な日本語で応対してくれる。案内に従い奥の五人がけの丸い席に着く。それまではよかった。

「な、なんだこの回る机は?」

「け、見当もつかないよ…」

初の中華料理店特有の回る机、通称中華テーブルに動揺する田舎者が二人。

「あはは…これは遠くにあるものを、これを回してとるためのものなんです」

苦笑しながら実演してみせる。

「ちゅ、中国人は頭が良いなあ…望、是非家にも採用…」

「いやそんな家のテーブル大きくないから。でも確かに面白い考えだね」

具合を確かめるように軽くテーブルを回す。

「はい。中国の食に対する姿勢はとても面白いです。中華料理と言ってもたくさん分類がありますし…大きいのは4つなんですけどね」

「この店はなんなの?」

「えーと、あ、丁度メニューがきました。これを見ればわかるかと…」

答えに窮していたなづなだったが、丁度店員が菜譜、つまりメニューを持ってきてくれた。

「んーどうやら北京料理と四川料理が主なようです」

「当店では日によってお出しする料理を替えております」

会話を耳にしたのか店員が説明をしてくれる。

「本日は北京、四川のみですが週末は上海、広東も含む4種の料理をお出ししています」「ちなみにそれらの違いって何なんですか?」

「北京は揚げ物炒めもの、あと小麦粉を。上海は川魚や上海ガニ。広東は海の幸を。四川は香辛料をふんだんに。大別するとこのような分類です」

メニューを配りながら、実際に写真を見せて説明をしてくれる。おそらくこういった質問は少なくないのだろう。手慣れた雰囲気が感じられる。

「で、今日は北京に四川と…とりあえず注文してみないことには始まらない」

「そうですね。頼みたいものを頼んでいきましょう。それをみんなでわけあったほうが色々楽しめますし」

メニューを見ながら考える。店員は時間に余裕があるのか少し離れたところで笑顔で待機している。

「決まった?」

波涼がみんなの様子をみながら尋ねる。

「大丈夫」

皆、頷いて店員を呼んでも問題ないことを伝える。

「はい。ご注文をお伺いします」

呼ぶ前にこちらの空気を察し、店員がやってくる。

「えっと…私は北京ダックをお願いします」

「麻婆豆腐!」

「餃子と青椒肉絲」

「私は回鍋肉棒々鶏饅頭肉末焼餅水煮肉片麻ラー火鍋……」

ちょっと待て。

「タンマ!いくつ頼むのれんれん!?」

「む?とりあえずこの見開きは一通り頼んで、余裕があったら追加しようと…」

「いやいや、流石に食べ過ぎでしょ…ほら店員さんも驚いてるよ」

ちょっと目を見開いて固まってた店員がその言葉に反応し、失礼しましたと言って慌ててもとの佇まいになる。

『−――−――』

相当動揺したのか小さく中国語で何かを呟いているが、生憎それを聞き取れは…

「………そ、そうか…こんなに綺麗なお嬢さんがこんなに食べるのは意外、か…喜ぶべきか悲しむべきか…」

『!?』

する人がいました。耳もよくって中国語がわかる人。つまり恋。まさか学生がそんな正確に中国語を理解できるとは思っていなかったのか店員さんは本気で驚いている。

「確かに…普通はみんなのように1、2品しか頼まないのだろうな。やはり、私の食事ははしたないのだろうな…だが…これだけは私にはどうしようもないのだ」

キュルル…グルルル

音が変わった。これは、まずい。

「ううう…とりあえず今言ったものをお願いします…」

「は、はい。急いでお持ちします!」

獣の唸り声に怯えるが如く逃げるように立ち去る店員さん。なんか悪いことをしてしまった気がしなくもない。

「私は…みんなこれくらい食べると思って生きてきたが、こっちに来て自分が異常だと知った…しかし、お腹が空くのをどうすれば我慢出来るのだ…!」

引き続き嘆きモードに突入したまま帰ってこない恋。割とコンプレックスの塊みたいなところがあるので厄介であるが、かといってこうも重苦しい雰囲気を撒き散らされては食事も空気もうまくない。

「れんれん…そいつは聞き捨てならんね…あたしだってあたしだってれんれん程じゃないけどもっと食べたいんだよ!でも!……お腹回りがさ、体重計がさ…あたしに食うなと囁いているんだ…」

「これはほぼ全ての女子の生きる上での命題です。私は量は食べませんがやはり甘いものを我慢したりします」

波涼と華野さんが嘆きの混じった瞳で切に語りかけてくる。まさしく女子ならではの悩み。自分はその点、線が細いからもう少し肉を付けたいと思う。

「ん?別に二人とも太ってはいないではないか?何を気にす」

「黙れえええんれえええん!!あたしらのこの体型は血の滲むような努力によって維持されてるんだ!」

「し、しかし、それぐらいの量でそんなに…」

「恋ちゃんみたいに食べた分が胸にいくなら苦労しませんよ。私だってわかりますよ。食べても太らない人がいることくらい…うう」

下を俯いて悲しみに暮れるなづな。

「だが許さない!絶対にだ!努力をせずしてその体型で尚且つ好き放題食べれて財力もあって綺麗で強くてクラスメイトのちょっと良さげな男子と同棲してるリア充め!」

「こ、後半は関係なくないか?そもそもリア充とはなんだ?」

完璧に嫉妬に荒れ狂う波涼のテンションに、嘆きも忘れ戸惑う恋。

「幸せを満喫しているれんれんとかのぞみんのことだよ!」

「僕も!?」

ある種のガールズトークと思って静観を決め込んでいたらまさかの飛び火である。

「可愛くて髪さらさらで一人暮しで学業優秀で料理できて性格もよくてこんな可愛い女子と同棲してる人間がリア充じゃなくて何がリア充なの!バカなの!?死ぬの!?」

「なんか…すみません」

何故だろう…とても理不尽にキレられているのに、何故か高次元的な存在に対し謝らなければいけない気がした。

「わかればよろしい…れんれんもわかった?あなたの体型は恵まれてるんだよ?」

「しかし胸は結構邪魔だが…」

「あ゛?」

「いえ、なんでもありません」

思わず敬語で机に平伏する恋。コンプレックスの塊となった波涼の恐ろしさを本能が理解したようだ。

「あ、料理が来たよ」

「お、本当だ。いい匂いだな」

丁度料理がくる。これ以上の戦いは圧倒的に不利であると悟ったのか、二人してわざとらしいくらいに料理に話題を移すのであった。


「「「「頂きます」」」」

料理に感謝の意を込めるお決まりの言葉を唱え、箸をとる一同。

「美味しいです」

「辛い!だがうまい!」

「美味しい」

「なふぁなふにひいだ(なかなかに美味だ)」

思い思いに料理に舌鼓をうって、夢中で箸を進める。

「恋。口にものを入れながら喋らない」

「?」

頬を膨らませて首を傾げる。本来なら愛嬌がある仕草だが…詰め込みすぎだ。

「…食べながら喋るのは作法として良くないんだよ。噛んでるものが他の人に見えたり、くちゃくちゃ音がするのも意地汚いし…」

なるほど、と手を合わせてジェスチャーで理解を表す恋。しかしまだ言いたいことはあるのだ。

「あと口にものを入れすぎ。もっとゆっくり食べないと喉にもの詰まらせるよ。あと口のまわりにご飯つぶついてるよ…ほら」

恋のご飯つぶをとって口まわりを少し拭く。

「すまない。もったいないな」

ぱく

そういって何気ない動作で望の摘まんだご飯つぶを食べる。

望の指ごと。

「!?」

時が止まる。しかし、そんなことお構いなしにご飯つぶを飲み込む恋。

「しかし、注意してくれるのはありがたいが、お前は私の保護者か…口ぐらい自分で……どうかしたか?」

「い、いや何でもないよ…」

恋は全く気にしてないのに自分だけ慌てふためくのは馬鹿らしい。あくまで平静に振る舞う。

「そうか。それはそうと…望の餃子を1つくれないか?色々味わってみたくてな。代わりに私の皿から何でもあげるぞ」

それなら問題ないと、自分の餃子を箸でとって恋の皿に移そうと、視線を戻すと…

「え?」

恋が口を開けて待機。つまりあーんしている。あーんである。

「あの…大守さん?」

動揺のあまり敬語になってしまった。

「どうした?早くくれないか」

「いや、皿に移してから…」

「何故そんなまどろっこしいことを?このほうが早いだろう?」

確かにそうなのだが…どうやら恋はこのあーんの文化的な意味について知らないようだ。

「そ、そうだね…」

おそらく説明しても伝わらないだろう。そもそも自分は何を意識している。これはあれだ。親鳥が雛にエサをあげたり、飼い主がペットにエサをあげるあれと変わらない。そうだ。そうに違いない。

半ば自己暗示をかけ、無心で餃子を掴んだ箸を恋の口へと伸ばす。

ぱくっ

一口で餃子を頬張る。そして箸からゆっくりと口を引き、離れていく。先端が恋の唾液で艶かしく濡れている。

「うむ。美味しいな…さて、望はどれだ?」

食べ終わった恋が何気ない様子で聞いてくる。

「は!?」

早くも第2の試練発生。今の流れからしてほぼ間違いなく彼女は……あーんを要求してくる。回避するには…

「じゃ、じゃあその麻ラー火鍋をこっちの皿に取り分けてくれないかな?」

液体を選び、皿に取り分けさせる。個体なら1つだけになってしまいあーんは避けがたいが、液体なら自然と皿に取り分けさせられる。完璧だ…!

「お、望良かったな。最後の一口だ。ほら」

「な…ん…だと?」

そういって丁度レンゲ一杯分の火鍋をすくい上げ、普通にこちらに向けてくる恋。最後の一口。これは確かに皿に取り分けるには不自然。つまりあーんしかない。

まるで世界があーんを望むかのように結果が収束する。何度やり直してもこの結果しかあり得ないかの如く望の目の前には当然のようにレンゲが携えられている。

立ち上る湯気の向こうの恋がそこで何かに気づく。まさか…?

「このままでは、熱いな…」

そういってレンゲを口に近づけ…

ふーふー…ふーふー

ふーふーしました。まさかのトッピング。しかし、それで終わらない。

ぺろ

「うむ。これくらいなら大丈夫だな。ほら」

わざわざ舌を入れて熱くないか確認してくれるその気遣いに涙が止まらない。

「どうした?……もしかして舐めたのがいけなかったか?」

不安そうに見つめてくる。駄目だ。恋の気遣いを否定してはいけない。無かったことにしてはいけない。

「だ、大丈夫」

ぱくっ

勢いでレンゲをくわえる。正直、味わう余裕も無いが、すぐに口を話し咀嚼を試みる。この間に冷静さを取り戻す。

「うん。少し辛いけど美味しいよ」

よし、かなり自然に振る舞えた。しかし、恋は何を思っているのかレンゲをまじまじと見ている。

「どうしたの?」

「これが所謂間接きすか…」

「!?まさか知ってて…!?」

「うむ。実際どんなものかと思ってな…あーんというのはなかなか恥ずかしいな。だが、望が慌てふためく姿をみれたから、よしとしよう」

少し顔は赤いが赤面と言うほどではない。珍しくにやにやした表情でこちらを見てくる。

「な、なんで…」

「仲の良い男女でこういった事をするとてれびでやっていてな。私なりに頑張ってみた。ふふっ」

顔を真っ赤にしたまま項垂れる望。

「どうした望?火鍋が辛かったか?顔が赤いぞ」

「そうだね…これは辛いね…」

まさか恋に嵌められるとは…普段の逆襲か…

しかし、苦難は終わらない。

「いや、これは甘いね」

今日の自分に言ってやりたい。迂闊なことはするなと、軽率なことはするなと、見て見ぬフリをするなと、もっと注意を払えと。他人の視線は思った以上にずっと身近にあって、いつでもお前を陥れようと手ぐすねひいているのだと……!

「震えよ我が右腕、契約に基づき命じる。漆黒の炎をまといて、我が望みを満たせ。つまりリア充を裁け!」

失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した。

「ぺんぺんは悲しいのです」

「のぞみんはもっと自重するべきだお。でも今回は恋氏が悪いと思う」

「「すみません」」

「これはあれだね。某ロマンチックな相対性理論かな?こちらはながーいこと待ってたけど、そっち的には一瞬みたいな?」

何も言い返す言葉がないのか、沈黙する二人。しかも今回は半ば意図的に作り出したため過失は圧倒的にこちらだ。食事が終わるまで口撃が続く。

これがシュタンズゲートの選択か…



「今日何度目かわからないけど、これで渓がいたら体罰は確定だよ」

「以後、気をつけ」

「大丈夫です。期待してませんから」

割と容赦のないカウンター。顔は笑顔だが、きっと辟易してるに違いない。

「さて、食事も終わったし帰りますか」


会計を済ませ店を出る。時間は8時と制服のままの高校生が出歩くには些か遅い。何かしらトラブルの類いを起こす前に帰るに限る。


「ん?」

デパートを出た辺りで何かに反応する恋。

「どうしたの?もしかして忘れ物?」

「いや、変な視線を感じたような…」

「そんなのれんれんならしょっちゅうだよ〜いこいこ」

「そうか…そうだな。きっと気のせいだろう」

特に気にせず先へと歩く一同。


それを静かに見つめる影が一人。


本来視認すら困難なデパートの屋上から俯瞰していた。影の風貌は何故か靄がかかったように判断しづらい。

「いい勘してやがるな…」

身を隠さねば危うく見つかるところであった。それに隣の少年。

「あいつ、最初から気づいてやがった…」

尾行はほぼ完璧だった。にもかかわらずバレていた。普通ならあり得ない。しかし…

「やはり“神無”の人間だけあるな…」

正直、真っ向からやり合わないと実力はわからない…いやそもそも神無の人間が真っ向からやり合うわけがないか…

「今は、情報収集だ」

別に今すぐ“神無”とやり合うことが目的ではない。本来の目的は…

「大守恋、か…」

主の命令だからこうして尾行しているが、一体何故彼女みたいな高校生を…別に興味は無いが疑問は残る。

「まあ…俺には関係ないか…」

俺が用があるのは神無だしな…

「さて、少しカードを切ってみるか…」

徐に携帯を取り出す。どこかに電話をするようだ。

『……はい』

電話の向こうから男性の声が聴こえる。

「ピエロだ」

『…!』

「用件だけ伝える。大守恋という女を拐え。これは主からの命令と思ってもらって構わない。それと神無が関わってる。気をつけろ」

『な!?その女は…一体…』

「さてな。じゃ、頼んだ」

そういって電話を切る。

「まずはお手並み拝見…」

そう言葉を残し、屋上の影は消え去っていくのであった。


エルプサイコングルゥ!シュタゲ新作出ますね。テンションあがりすぎて本文が侵食されました。さて、若干シリアスな感じを出してみたわけですが…こっから急展開とはいかないまでもしばらく日常パートとはおさらばかな、とか思ってます。もちろんおまけははっちゃけますが…前回はすみません。


以下おまけ


「布団キター!!」

「埃が舞うから飛びかからないで!」

「もふもふ」

「聴いてない…まあいいや…お休み」


「やはり素晴らしいな。何故あいつはこれが理解できぬのか…」

どうにかして知らしめたいところ…ベッドも気持ちいいがこの布団には敵うまいと…

「そうだ!!」

いいことを思い付いた。これなら問題ない。

望の部屋に忍び込む。意識的に入るのは初めてだ。いつもは無意識だからな。

「それにしてもよく寝ている」

かなり無防備だ。正直、私が忍び込んだ際に気づかない望も悪いと思う。

「さてと」

まずは、布団を剥がす。そして…

「よいしょっと…軽いな」

お姫様だっこである。とりあえず部屋の布団まで起こさぬよう運ぶ。

「んん…」

流石の私もだっこされたら起きるだろうか…

静かに望を寝かし、布団をかける。

「完璧だ」

これで望も布団の素晴らしさを理解するに違いない。それにしても起きる気配がないな。

「えい」

頬をつつく。ぷにぷにしてるな。当たり前か…というかこれは何をしても起きないのでは…?

「ふー」

耳に吐息を吹き掛ける。

「ペロペロ」

頬を舐めてみる。あとは…

「ちゅっ」

額に接吻。

「……なにをしているんだ私は……///」

自分のやってることを自覚して反省する。寝よう。

「さてと………………あ」

布団は望が寝ている。他の布団は持ちきれずに後日配送。しかし、私は布団で寝たい。正直、眠い

「しまったな……仕方ない」

布団に入るか。とりあえず着替えるとしよう。シャンプーとかは明日の朝にお預けだ。もう寝てしまいたい。

「む?着替え着替え…」

大量の荷物を探るも寝巻きが見つからない。どこかにあるのだろうが、気力が…



「んん……?」

物音に目が覚める。薄く目を開けてみると光が入ってくる。

「?」

あれ?なんで恋の布団?なんか恋ががさごそと…

「仕方ない…諦めるか…制服は脱がねば皺になるな」

徐に服を脱ぎ出す。

「!?」

「ん?」

何故かバレてはいけない気がして寝たふりをしてしまう。

「気のせいか…まあいい」

そうして下着姿になる。下着は試着時に変えたものなのでちゃんと上下着ている。しかし面積の際どさはかなり危ない。

「ふあ〜あ。お休み」

電気を消して布団に入ってくる。どうするどうするどうする。

暗闇でもしっかり恋の体温を感じる。いい香りも鼻腔を刺激してくる。理性が死ぬ。

「すーすー」

どうやら寝付いたようだ。脱出を試みる。

「のぞみぃ…」

がっ

「なっ…!」

捕まった。首に腕を回すような形だ。まずい。悪化する前に抜け出さねば。

「布団は、きもちいいなあ…」

ぐいっ

顔に胸が…!!薄布一枚を隔てた感触に、ガラス一枚分の理性が砕けそう。駄目だ。起こすしかない…!

体を揺すって起こす。

「ぬ………?」

「恋!起きて!」

「のぞみ…どうした?」

「何で僕が布団にいるのさ」

「それはあ…布団が気持ちいいからだ…それを知らしめたくてな…ふぁ…」

「同じ布団は駄目でしょう…!」

「大丈夫だ…望のベッドには入ってない…」

「だから、そうじゃなくて……」

「わかってる……のぞみが前に言ったことはわかってるぞ…のぞみが男だなんて知っている…」

「じゃあなんで…」

「大丈夫だから、だ」

「え?」

「ふぁ…だから、のぞみぃ……寝よ」

「あの…」

「1人で寝るよりはこの方が…すーすー」

………大丈夫って…それは信じているって意味?それとも…?

恋の寝惚け発言と寝相に悩まされ結局ほとんど寝れなかった。



あれですね。前回が激しすぎた分、おとなしく見えますね。

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