17話 固有結界の展開は用法、用量を守って人目を避けてご利用ください
思ったより下着って色々あるんですね…それを調べたりしてたら割りと文量がああ…とりあえず今回は甘いです。スイーツしてます。壁を殴りたくなります。
北館を通過して今は東館、服飾関連のエリアである。途中なづなが本を買いに北館へ行き、数分時間を要したが服を選ぶ時間はまだ沢山ある。
というのは男子の感覚。
「うーん。時間大丈夫かなあ…一式揃えなきゃいけないし少し不安だねー」
「そうですね。試着の時間も考えると些か…」
女子としては物足りないとのこと。
「いや、1時間位で終わるでしょ?」
と言った直後。
「何言ってるの!」
目を見開いて叫ぶ波涼。隣のなづなも声をあらげこそしないものの、信じられないといった目でこちらを見ている。
「え?」
正直、戸惑いを隠せない。自分としては女子は時間かかることを加味して1時間と言ったのだが…
「確かにね……1時間あればとりあえず上下一式位なら揃えられるよ」
「だ、だよ」
「でも!」
声を遮られる。それから大きく息を吸って…
「それはここにいる大守恋が普通の女の子で普通の服を普通に持っていればの話であって制服と褌と着物しか持っていない天然入ってる女の子の服を選ぶとなったらぶっちゃけあたしの全力をもってしてもどれだけ時間が掛かるかすらわからないんだよ!わかった!?」
「はい…わかりました…なんかすみません」
納得した。物凄く納得した。
「これで1着でも普通の服があれば…ゼロどころかマイナスからのスタートだよ」
「なんか…申し訳ない」
勢いに圧倒されていた恋も自分に非があるように感じたのか曖昧な謝罪をする。
「いいよ…この苦労はこの場で取り返すからね…ふふふ」
「えっ?」
なんか怪しげな呟きが聴こえたような…
「ん?何でもないよ?さて、時間も惜しいことだしゴーゴー!」
何か不吉な予感を覚えながら婦人服のコーナーへ乗り込むのであった。
「まずは…下着コーナーだよ!」
ビシィ
「僕はあっちで待って」
ザッ
「逃がすと?」
シュバッ!ガシッ
「あうっ!」
開始3秒で逃走劇は幕を閉じた。
「…いや、流石に女性の下着コーナーは居づらいんだけど…」
後ろ襟を捕まれたまま抗議する。しかし、対する波涼は無情なもので。
「大丈夫。のぞみんの見た目なら違和感が仕事しないから。何なら何か買っていく?選んであげようか?」
「ま、まさか望にそんな趣味が……だが、悪くない」
「僕には断じてそんな趣味はありません!!」
ここは譲れないと言わんばかりに仁王立ちで叫びをあげる。周りの目線は気づかないフリをする。
「でも似合いそうですよね。神無さん可愛いと思いますよ」
「ぐっ」
「声も高いし学校に行ってもバレないのではないか?」
「うっ」
「望ちゃん(笑)」
「うわあああああ!」
瞬殺されました。
「うううう……」
即死級のコンビネーションに泣きたくなってきた。
「泣くなのぞみん。男の子でしょ」
「女の子扱いして泣かせたのは何処の誰!?」
「いやーごめんごめんついね〜」
一応謝罪を口にするが全く悪びれた様子は無い。
「まあ話を戻して…のぞみん」
「何さ…」
ちょっと不貞腐れ気味の返事を返す。正直、逃げられないとわかってはいるがこれぐらいの抵抗は許してほしい。
「あたしたちはあくまでサポートで決定権はのぞみんとれんれんにあるんだよ?だってれんれんはのぞみんに選んで欲しいんだから。のぞみんがいなきゃ意味ないでしょ?」
「うっ…」
確かにそういう会話もした。しかしやはり下着は…
「男に二言はないけど女でいいなら逃げていいよ」
「………誠心誠意協力させて頂きます」
やはり断れずガクリと項垂れるのであった。
「じゃあまずはショーツを選ぶかな」
「しょーつとは何だ?」
「下にはくパンツ」
「つまり褌の代わりに穿くものという解釈で間違いないか?」
「そうだね」
恋の慎重な確認に頷く波涼。
「……みんなこんなのをはいているんだな…」
周りの商品を見回しながらどこか疲れたように呟く。
「これから恋ちゃんにもはいてもらうんですよ?大丈夫ですか?」
「些か以上に不安だ…」
文化の違いにショックを受けているのか開始早々テンションが低い。
「まあとりあえず色々あるから試してみよ。試す分にはタダだしね」
「そうですね。でも恋ちゃん何でも似合いそうですよね」
「素材が違うのよ…あたしたちとはね…」
「……ですね」
二人して急にテンションを下げてしまう。身体的コンプレックスはやはり女性にとって大きな悩みなのだろう。
「とりあえずー何でも似合いそうだからー一通り持ってこよー」
少しぶーたれながらも波涼が率先してカゴにショーツを入れていく。なづなも時々目についたものを入れていく。門外漢の二人はただ呆然とついていくのみである。
10分後…
「さあ、着せ替え人ぎょ…もといれんれんのお着替えタイムと行こうじゃないか…!」
「今、着せ替え人形っていいかけたよね!?」
「まあまあ気にしない気にしない」
適当に流された。男子の発言力の低さを痛感した。
「ちなみにこの中からいくつ買うのだ?」
「まあ、実際買うのは5組くらいだよ」
「む?2組あれば十分じゃないか?毎日洗濯すれば大丈夫だろう?」
「「……はあ」」
呆れたように二人がため息をつく。先がおもいやられると言った具合である。
「いいですか?恋ちゃん?
もしもの時に備え下着は多いに越したことはありません。旅行先で何かあった時や、雨で濡れてしまった時に予備は必要ですよね?」
「まあ他に理由が無いことも無いけど今はそれで納得しといて」
「うむ。確かに一理あるな。まあ、もともと二人に意見する気はない。単なる疑問だ、流してくれ」
取り立てて他に疑問も無いのか首肯して先を促す。
「じゃあとりあえずはい」
下着の束を手渡す。かなりカラフルでバリエーションの富んだそれらを受け取り、試着室へと入ろうとするが
「……………」
突然の沈黙。何か気に入らない下着でもあったのだろうか?
「………着方」
「えっ?」
よく聞こえず聞き返す。
「…着方が全くわからない……くっ!」
恥を絞り出すかのように無知を独白する。
「いやまあ着方は褌よりは簡単だけど…まあ特殊なのもあるし教えてあげるよ」
「すまない…世話をかける」
項垂れて謝罪を口にする。
「いーよいーよ。この際ちゃんと覚えちゃお!」
「うむ」
そういって狭い試着室へと入っていく二人。
「さあ全部脱いで脱いで」
「ま、待て!それぐらい1人で出来る。だから服に手をかけるな!」
「あーやっぱれんれん肌きれいだわ。ペロペロしたいペロペロ。くんかくんか」
「ひああ!波涼、どこを触って!」
揺れる試着室。声と音だけというのが、また妙な想像をさせる。
「せめてその胸の中で!」
「あ゛あ゛あ゛。顔を突っ込むな!動かすな!」
取り残された二人。
「ふぇ……か、神無さん!何も聞いてはいけませんし何も感じてはいけませんし何も考えてはいけませんからね!」
「もう…手遅れ、かな」
顔が真っ赤である。少し前屈みなのはもうどうしようもない。
「……神無さんえっち…人選を間違えたでしょうか…はぅ」
しばし戯れた後…
「あーけーるーよー」
波涼が仕切りに手をかけ外の二人に声をかける。
「ストップ波涼!やっぱ下着姿を僕が見るのは…」
「シャラップ!のぞみんが今までそれ以上の物をみたのはバレてるんだよ!ご開帳ー!」
ばっと音をたて勢いよく仕切りをあける。
思わず顔を手で覆うが指の隙間からしっかり見えていた。しかしその姿は
「あれ?制服?」
制服のままであった。
「いや、考えてみればショーツなら脱ぐ必要無かったよね〜」
「だったら最初から脱がすな!」
顔を真っ赤にして抗議する。恐らく中で相当の責め苦を味わったのだろう。
「じゃあのぞみんの審査ターイム!れんれんよろしく!」
「う、うむ」
そういってスカートの裾を掴んでゆっくりと持ち上げる。徐々に白い肌が晒されていく。女性がスカートをたくしあげるのを見ることに異様に罪悪感を感じるが、止めることも出来ずに見いってしまう。そしてとうとう…
「ど、どうだ?大丈夫か?」
「…………だ、大丈夫だよ。その少し派手じゃない…?」
黒いショーツ。サイドが紐であるそれは明らかにアダルト感満載でエロい。ただ…似合う似合わないを問うなら恋の白い肌と対象になって互いがとても映えているし、やっぱり恋は素材が良いし脚も綺麗だから、大人な雰囲気や色気にもピッタリだと思う」
「そ、そうか……///」
「神無さん考えてること駄々漏れです…はぅ」
「はっ…しまっ!」
いつの間にか感想を述べていた。
「いやこれはちがくてそのっ…」
慌てて弁解をしようとする。
「違う、のか?」
不安気に揺れる瞳。顔は真実を聞きたいが期待半分不安半分と複雑。当然、嘘など言えるはずもなく。
「……………まごうことなき本心です」
「……う…嬉しいが…恥ずかしいぞ……その、誉めてくれたのは…感謝する」
顔を真っ赤にしながら目をちょっとだけ逸らしながら感謝を述べる。
「こいつはあめえ!新婚並みの甘さがぷんぷんするぜ!」
「「ぶっ!」」
「しっ!波涼ちゃん!今いい雰囲気なんですからそっとしなきゃ駄目ですよ!」
完璧に視界から外れていた。
「いや限界だね!甘すぎて口から砂糖吐いちゃうよ!これが噂の固有結界、アンリミテッドスイーツワークスだね!リア充爆発しちゃいな!」
「なにいってるんですか!二人とも天然でこれなんですよ!これで意識したらもっと甘くなるんですよ!まだメインディッシュにはほど遠いんですよ!」
「す、すみませんでした…だからこれ以上は…///」
望が丁寧に謝る。これ以上の冷やかしを受けたら立ち直れない。
対する恋は…
「ブツブツ………///」
何かを呟いて少し顔を赤くしていたが、幸い他の人間がそれに気づく様子は無かった。
「はいはいー次行こ次ー」
甘さにあてられたのか気だるいオーラ全開で進めていく。
「次の下着はこいつだ。ワンツースリー」
仕切りを開く。そこにはスカートを脱いだ(罪悪感を煽るため望の要望)恋が薄ピンク色のショーツをつけていた。先ほどのものよりは刺激も少ないので、望も少し落ち着いて見ることが出来ていた。次の瞬間までは…
「これはれんれんの着物に近い感じでチョイスしましたーそして更に…れんれん回れ右!」
「うむ」
そこで目にしたのは…
「Tバック!?」
「そのとーり!」
見事に食い込んでいる。86のそいつがその存在を自己主張するように双丘をプリンと突きだしていらっしゃる。
「はっ…今のは口に出てなかった、よね」
「はぅ…残念ながら顔に出てました。目もいやらしいくらいに釘付けでした」
「本能のバカヤロー!!」
これでも健全な男子。メンタルが鉄だとかそういうわけじゃない。体が剣で出来てる人だって心はガラス製なのだ。
「うむ。これは履き心地が褌に近くていいな…この食い込んだ感じが…」
目の前でお尻を持ち上げるように紐を上へと引く。多分、ここで襲ったとしても自分は悪くない。
「波涼!次行こう!」
理性を総動員して先を促す。獣ではない人間だからできる本能への抵抗。人間万歳。若干思考がトリップしているのは気のせいに違いない。
「ネークストレンズショーツ!」
どっかのアニメの来週のヒントみたいな感じで仕切りをオープン。
「ぶっ!」
即座に目を逸らす。今、見たものが間違いじゃなければ…透けていた。
「ふふ…セクシーでしょ?シースルーだよ!」
「もっと普通の下着は無いの!?」当たり前すぎる抗議を今更ながらにする。もっと早くにしておくべきだった。
「いやねーれんれんが凄すぎて普通の下着だとモノが負けちゃうんだよね〜」
「わからなくはないけど露出は控えようよ!」
さっきから明らかに布面積が少なすぎる。
「えーでものぞみんも嬉しいでしょ?」
「それとこれとは話が別!」
「否定はしないんですね…」
「そうか…望はこういうのが好きなのか」
味方がいない。こんな時に渓がいれば…変わり身に出来たのに…明日八つ当たりしよう。
それからは地獄だった。
着替える前に予め何を着せるか確認して了解を得てから着替えさせたりもしたが、波涼が違うものを着せてまたからかわれるというサイクルに陥るからだ。
まあ勿論中には普通のものもあった。しかし、何故か子供っぽく見えてしまい違和感が出てしまうのは否めなかった。ちなみに途中からスパッツをはくことを推奨したが恋が「窮屈」と苦言を呈したためあえなく却下され、その後も望の孤独な戦いが続いたのであった。
「さあ、とうとうラストだよ!」
「やっと終わる…」
ここまで長かった。いつ終わるともわからない地獄(天国?)がやっと終わるときいて安堵せずにはいられない。
「はい!」
レパートリーの限界か普通の掛け声で仕切りを開く。
「あれ?褌?」
「うむ。やはり馴染むな。褌までおいてあるとはな」
「これは今巷で流行のしゃれふんって言うんですよ。血行も良くなるとかで女性用が生産されてるんです。生地もリネンといういい素材が使われてるそうです」
華野さんの解説に驚く。褌が流行してるだなんて初めて耳にしたからだ。
「まあ勿論、まだ一部だけどね〜でもこれなられんれんとしても一般的にも大丈夫だしね。どうかなって」
「私は気に入ったぞ。今まで使っていたものも大分古くなってたからな…ありがたい」
「オッケー。じゃあそれは確定として他はどうしよっか?のぞみん気に入ったのあった?」
「僕?」
急に振られて首を傾げる。
「そ。のぞみんが気に入ったのを着た方がゆうわフゴォ」
「き、気にするな望。とりあえずどれがよかったか普通にいってくれれば大丈夫だ」
波涼を押さえ込みながら望に訪ねる。何かいいかけていた気がしたが気にはならなかった。また下らないことに違いない。
「って言われても…」
正直、あるにはあるが…そうなると色っぽい奴ばかりあげることになってしまう。
「大丈夫ですよ神無さん」
「え?」
急に思考を中断させられる。
「神無さんのリアクションで大体把握してますから、ね?波涼ちゃん?」
「勿論!それがのぞみんを連れてきた理由だからね!」
「……そんなわかりやすかった?」
「前に屈む度合いやもじもじ具合で」
「ううわああああ!体のバカヤロー!」
男という馬鹿で正直な生き物であったことを今ほど恥じたことは無かった。
「はい。次はブラだよブラ!」
「もう、無理…」
既に体力というよりは精神力がつきかけている。女子の買い物経験が0の望には苦行としか言えない。
「だーめだめ!ショーツに1時間掛けたんだから休んでる暇無いよ!」
そして女子との圧倒的な体力の差を痛感する。例外もいるが…
「もう、よくないか?そろそろお腹も空いてきたことだし…」
高燃費系ガールである恋は早くも空腹を意識しはじめる。
「んー仕方ないなー。じゃあブラが終わったら少し早めだけど一旦食事にしよ。んでそのあと服で」
「もう一息か…!」
食事という名のゴールが近づいたおかげで恋の瞳に火がついた。自分は未だに死に体である。
「で、ブラはどうするの?」
「まずれんれんの胸のサイズを測らなくちゃね〜」
どこからかメジャーを取り出し、怪しげな手つきで恋ににじりよる波涼。あからさまに欲望まみれの動きである。恋も危険を察知し、唸りながら威嚇をする始末。
「波涼ちゃんだと恋ちゃんが警戒するんで私がやりますね」
波涼からメジャーを取り上げ、恋の背中を押して試着室へと入る。望は今この時ほどなづなの存在に感謝したことはなかった。
「はい。恋ちゃん服脱いでくださいね」
「うむ。やはり波涼より安心できるな」
「それは良かったです。さてと、じゃあはかりま…」
「どうしたなづな?人の胸を凝視して…きゃあ!」
「何でですか?なんでこんなに大きいんですか?綺麗なんですか?おんなじ生き物なのに何でですか!?羨ましすぎます!しかもブラをしていないのにこの形の良さ!な ん で で す か ?」
「わ、私に聞くな!やめろ!揉みしだくな!あんっ!」
「八つ当たりです。大きいのが悪いんです!えいっ!えいっ!」
どうやら華野さんの中で何かのスイッチが入ってしまったらしい。普段からは想像も出来ない勢いで恋を責め立てている模様。
「うーん。人選間違えたかなあ?」
「多分、あまり変わらないよ」
「じゃあのぞみんいってくる?」
「慎んで辞退させて頂きます」
そんな下らないやりとりをしていたら…
「ひゃん!あ…」
「あ…危ないです!」
「「え?」」
仕切りの向こうから上がる声。同時にそれを押しのけて出てくる何か。それはバランスが不安定なのか倒れこむようにして出てくる。このままでは危ない。咄嗟にそう判断して受け止めようと仕切りの前まで行ったのは良かった。咄嗟にそこまで動けただけで素晴らしい反応である。ただ、もう少しだけ正確に状況を理解しなければならなかった。
まず、少しずつ仕切りから飛び出してくる姿は恋であること。
恋は自分より大きいということ。
恋は今まで華野さんに胸を揉まれており、それはバストを測るためであったということ。
バストを脱ぐためには服を脱ぐということ。
今、飛び出してきた恋は上に何も着けてないということ。
これらの事実は一瞬にして理解したが、その一瞬をもってしても遅く、尚且つどうしようも無かった。
結果
「危ない!」
ザッ
「ぬお!望あぶな」
バッ
「えっ?しまっ!」
ポヨン…ガシャバターン!
二人が衝突し、支えきれずにドミノ状に後ろに倒れるのは明白であった。
「大丈夫!?れんれんのぞみん!」
「大丈夫ですか!?」
遅れて反応する波涼と、飛び出してくるなづな。しかし、こちらも強く頭を打ってしまったため状況が上手く判断できない。
とりあえずチカチカとする目を開いてみる。すると自分の姿を写したルビーが…
「ん?」
いや、これは…瞳…誰の?
「んん?」
あれ?なんで喋れないの?いまいち頭が働かない…何故だろう?息苦しい…
「ん…んんー!」
こちらを見る瞳が忙しなく動く。それにしても綺麗だなあ…あれ?体も動かない…いや、手が動く。何か柔らかいものを掴んでるみたいだ。
フニフニフニフニ
「んっ!?ん!んん!」
ん?さっきから?何か聞こえる…あれ?口元………………………………………………………………!!!!!?????
「ぷはっ」
フニフニ
驚きと同時に繋がっていた口が離れる。さらに脳に酸素が行き渡りボンヤリしていた思考と視界がクリアになっていく。
まず、状況を整理しよう。先ほど僕は恋を抱きとめようとして失敗し、後頭部を強打した。
つまり、最初にみたルビーは恋の瞳だった。今は半分涙目。
更に息が出来なかったのは恋の唇とブッキングしていたから。今も恋の唇には互いの睡液の絡み合った名残が糸をひいている。どこか扇情的な表情である。
そして先ほどから僕の手が掴んでいるものは、体勢的に間違いなく…恋の体に鎮座している果実に他ならないだろう。マシュマロみたいに柔らかい。恋の表情は固い。息子も固い。
とりあえず言わねばならないことがある。本当に悪気は無かったんです。ごめんなさい」
いつから言葉にしていたかはよくわからない。多分、色々パニクっている上に疲れているんだろう。
フニフニ
「そ、そんな謝らなくてもいい。仕方の無いことだったんだろう…これは事故だ…望に怪我が無くて良かった…」
ここは怒ってもいいところなのに…顔は羞恥に震えているのに…それでも許してくれる上に心配までしてくれる彼女に感謝せずにはいられない。
フニフニ
「だ、だからな…望」
そして泣きそうな声で彼女は懇願する。
「む……胸を離して…!」
フニフ…………あれ?まだ離してなかった?
完璧に本能のままに手を動かしていたようだ。恋は目に涙をためながら
「べ、べつにその怒ってるとかそういう訳ではなくて、だな。気持ち良かったけど…ごほん!人前でこういう行為をするのはさ、流石にどうかと思ってだな…それともこ、こっちではこれが普通なのか?」
全力で首を横にふる。例えちぎれても構わないと言わんばかりに否定を伝える。
「そ、そうか…な、なら望はなんでその揉んだのだ?」
「うっ…いやあの…その…つい…」
本能のままに行ったことに理由は無い。ついとしか言いようが無かった。
「そ、そうか…」
もう互いに何も言えず沈黙するのみであった。
「今回の固有結界やばくない?」
「ヤバイですね。R指定なうえに私たちが側にいるのに完璧に無視されてます」
「「!!!???」」
「これ熱いとか甘いとかそんなちゃちなもんじゃないね。もっと恐ろしい何かの片鱗を感じるよ」
「わかります。とりあえず恋ちゃんを試着室に戻しましょう。他のお客さんがくるまえに」
「そうだね。固有結界も解けちゃったからいつ人が来るかわからないしね〜」
そこからは今までが温いと思えるくらいの地獄だった。全力で弄られつくされ、更に恋のブラを直視できない。そこからまた弄られ、恋共々真っ赤になる始末。
ちなみに恋のカップはGであった。
そしてなんだかんだ普通に振る舞えるレベルに回復したのは味もよくわからない食事を終えてからであった。
赤面と涙目が見れてにやにやできたんで僕は満足です。
今回は文量がかなりいったんで、おまけも気合い入れてみました。
以下おまけ
固有結界中
「これどうする?」
「とりあえず解けるまで聴いておきましょう」
「つかここまで熱いのに、無自覚とかやばいよね」
「二人とも天然ですからね〜」
「会ってまだ三日目なのに濃密すぎない?」
「運命ですかね?」
「あたしにもほしいな〜運命〜」
「まあとりあえず今は恋ちゃんを暖かく見守りましょう」
「もう十分熱いってば」
衝突〜恋〜
とりあえずチカチカとする目を開いてみる。すると自分の姿を写した瞳が…
「ん?」
む、これは…望の?なんか近いな
「んん?」
む?喋れない?しかも息苦しい…ん!?な、なんで望と私が、せ、接吻を!?
「ん…んんー!」
向こうはまだ状況を理解してないのか目がボンヤリとしている。ん?そういえば胸に違和感が…
フニフニフニフニ
「んっ!?ん!んん!」
あん!なんで胸を揉まれて!?わけがわからない!と、とりあえず唇は離さねば。
「ぷはっ」
フニフニ
あん!また…あ、唇から糸が…なんかいやらしいな…
どうやら望も目覚めてきたのか、何かぶつぶつ言っているが…大丈夫だろうか。
「そして先ほどから僕の手が掴んでいるものは、体勢的に間違いなく…恋の体に鎮座している果実に他ならないだろう。マシュマロみたいに柔らかい。恋の表情は固い。息子も固い。とりあえず言わねばならないことがある。本当に悪気は無かったんです。ごめんなさい」
まあ悪気は無かったのはわかるが…とりあえず下腹部に当たる固いのは不問にしておこう。私は学んだのだ。とりあえず望が無事でよか…
フニフニ
何故揉む!?
「そ、そんな謝らなくてもいい。仕方の無いことだったんだろう…これは事故だ…望に怪我が無くて良かった…」
落ち着け。落ち着くのだ私。きっと揉んでるのには理由があるに違いない。体は熱いし胸はどくどくうるさいがまずはそこから
フニフニ
ああん!体に変な力が入る。まずは離してもらおうそうしよう。
「だ、だからな…望」
ちょっと声が震えた。バレてない、よな?
「む……胸を離して…!」
フニフ…
やっとおさまった…よしこれで話を…望おびえてる?…ち、違うんだ!怒ってるとかじゃなくてああもう!
「べ、べつにその怒ってるとかそういう訳ではなくて、だな。気持ち良かったけど…ごほん!(何をいってる!)人前でこういう行為をするのはさ、流石にどうかと思ってだな…それともこ、こっちではこれが普通なのか?」
ふっ…違うのか…良かった
し、しかしこれが普通なら私はどうすればよかったのだ?また…揉ませた、のか?いやいや待て、そういう行為は仲睦まじい男女がするものであって…私は、まだ……望はどう思って…
「そ、そうか…な、なら望はなんでその揉んだのだ?」
そ、そんなによ、良かったのか…?比べるものがないから分からないが…しかし、良いだけで人の胸を揉んだりするのか?
「うっ…いやあの…その…つい…」
つい!?…ついじゃわからんぞ!うううう…もやもやする!つい揉んだ?それは私の胸だから?それとも胸があったから?の、望はそんな男だと…?
「そ、そうか…」
言葉が見つからない。とりあえず動揺が落ち着くのを待ってまた改めて聞くことにしよう。
会計
「○○○○○円です」
「うむ」
「お預かりします……こちらお釣りと伝票です」
「忝ない……む?この伝票…」
「どったのれんれん?」
「いや買った商品の数が少し多いような…」
「ああそれはあたしが特別なのを紛れ込ませておいたのさ!」
「特別?どんなのだ?」
「その名も…オープンショーツにオープンブラ!」
「な、なんだそれは?」
「下着に切れ込みがあるよん♪」
「それでは下着の意味が無いではないか?」
「これはね…男を誘惑する1枚なのさ…この下着を着て大好きな彼に迫ればラブラブになれるよ」
「なっ!?」
「まあ…大好きな彼がいればの話だけどね?」
「そ、そうだな。私には無用の長物だが…買ってしまったものは仕方ないな…」
「素直じゃないな〜まあいーや。じゃあ行こ」
「ああ」
歩きながら考える。
大好きな彼
明らかに波涼のその言葉は特定の人間を指している。望だ。
しかし、私らはまだ出会って3日。もちろん望のことは好きだが…好きとは一体なんだ?
私は父上や村のものや動物も好きだし波涼や渓やなづなも好きだ。でも…それは少し違う気がする。仮に父上や渓に胸を揉まれたら…とりあえず殴るが気にしないな…全く
でも望に揉まれたことは少しの怒りもあったが、とても恥ずかしかった…何故だ?
一昨日は裸を見せても気にしなかったのに、今やれと言われたら酷く躊躇う。
これは好きだから、なのか…?
ううう…わからん…全くわからん…
これが恋というものなのか?
たった3日で芽生える感情なのか?
でもやっぱり望に他の人とは違う気持ちを抱いてるのは確かで…望の前だと普段は大丈夫なのに意識すると顔が熱くなる。
こんなの初めてだらけでわからない。父上は教えてくれなかったしな…波涼なら何か知っているだろうか…
「な、なあ…波涼」
「皆までいうな!顔を見ればあたしゃれんれんのお悩みは大体わかってるよ」
「そ、そうか…なら」
「でも教えられない…それはね、れんれんが自分でちゃんと理解しなきゃいけないことだから」
「なっ…し、しかし…私には初めてで全くわからないのだ」
「誰だって最初はわからないよ。恋ってやつはね…見えないんだよ」
「む?」
「でも何でも目に見えてわかることしか無かったらつまらないでしょ?れんれんは初めてのことを知った時どうだった?」
「うむ…色んな初めてを知ったが驚きに満ちていたな…」
「そゆこと。色んな初めてがあって一喜一憂して…だからこそ面白いんだよ。でも教えちゃったら意味ない」
「………」
「だから…れんれんには手がかりをあげよう。まず、普段しないことをしてみる。それでよく相手と自分を見れば何かが掴めるかもしれない。自分の中に閉じこもっちゃ駄目だよ。恋は盲目って言うからね。ちゃんと注意深く見えないあいつを探してごらん」
「う、うむ…よくはわからんがなんとなくわかった気がする。その助かった。感謝する」
「いーってことよ!さ、ごはんごはん」
「腹が減っては戦は出来ぬからな」
今はまだわからないことだらけ。でも1つずつわかっていけば、きっと見えないものも見えてくる。




