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野良狼、拾いました   作者: 桔夜読書
10/38

10話 家庭科と保健と美術と倫理の授業をしよう!ただし場所は神無家だ!

すみません。中身はカオス極まりないです。いつも通りですね。安心しました。あ、それとPVが3000越しました。狂喜乱舞します。ありがとうございます。

「いただきます」

そのお決まりの言葉を合図に食事が始まる。一応ある程度人間らしさを取り戻したのか、静かに食事を取る恋。尻尾と耳は既に消えてる。ちなみにきている服は望のものである。どうやら彼女、制服と着物以外に殆ど服がないらしい。仕方がないので半袖半ズボンのシンプルな服を貸したのだが…

はっきり言おう、目に毒である。風呂上がりの艶っぽい雰囲気にシャツの下から存在を主張する双球。健全な少年の理性を破壊するには明らかなオーバーキルである。

そんな彼女、実はこのいただきますは3回目だったりする。

1度目は本当に大変だった。そもそも調理中に背後から聞こえるあの音がいつ本物のうなり声に変貌するかと思うと冷や汗が止まらなかった。とりあえずシャワーにいってもらって時間稼ぎをしている内に料理は完成した。

そして食事を皿に盛り付け、いただきますと言った瞬間。


嵐が吹き荒れた。


きっとフードファイターの方ですよね、とか言いたくなる勢いだった。

流石に手掴みや犬食いは自重している様子ではあったが、望がいなければそれすらも怪しい。とりあえずものの数分で食卓の食事は消えた(望は殆んど食べれなかった)わけだが…

きゅるるるる

「え?」

なんか可愛らしい音が聞こえた。

恋が俯いて、沈黙している。

「まだ、足りないの?」

「………」

沈黙は肯定とみなす。

二度目の調理が開始された。

同じやり取りをまた行い、こうして三度目の食事と相成った。

まさか、食事のおかわりをお腹から要求されるとはね…

思わず苦笑いしてしまう。しかも空腹度と音の大きさが比例しているという機能つきだ。


「「ご馳走さまでした」」

声を合わせて食事を終える。三度目は普通の時間がかかり、望も落ち着いて食べることが出来た。

「久しぶりだ…こんなに美味しい食事にありつけたのは…」

私は満足です、と全身をもって表現する。これだけ満足そうな顔をしてもらえれば、作った方も甲斐があると言うものだ。

しかし、その余韻にいつまでも浸ってはいられない。

「じゃあ、早速だけど…」

「うむ、見られた以上言い逃れもできないしな。一飯の恩だ。何でも答えよう。しかしここで話したことは誰にも言わないでくれ」

一飯どころか三飯はいっているがそんな野暮な突っ込みはせずに首肯する。

「とりあえず何から訊こうか…」

流石に疑問が多すぎる。頭の中で情報を整理して、質問を搾る。

「えーと、さっきの説明では本能に耐えきれなくなって耳と尻尾がでて、ああいった行動にでてしまったってことだったよね?」

「うむ、狩りは普段からやっていたが、あそこまで派手にやってしまったのはこの耳と尻尾が原因だ」

そういって耳と尻尾を出す。

「わっ!だ、出して大丈夫なの?」

「基本、出し入れは自由だ。際立った欲求が無ければ、普段と変わらぬ。先ほどみたいに我慢の末に出てしまったり、また感情が一定以上まで昂ったりすることで出ることもある。どちらもその時の欲求や感情、つまり本能の赴くままに活動を開始してしまう」

理性的な説明に、彼女の言ってることが正しいことを裏付けている。

「その、我慢の限界とか一定以上の感情とかってのはどの程度なの?」

「まあ私の精神状態で多少は左右されるが、基本的に普通の人と大差ない。ただ、生理的、人としての根源的欲求に対しては抗いがたいな。今日で言えば食欲とかだな」

「つまり、物欲とかの感情から生じるような欲求にはある程度の態勢があるけど、人として当然の欲求には逆らえないと?」

自分なりに噛み砕いて確認をとる。

「概ねその解釈で間違いない」

頷きで肯定を示す。次に当然たどりつく疑問をぶつける。

「どうして、そんな体に?」

そう、普通の人間ならそんなことは有り得ない。ギフト持ちとは言え体質や姿形までが変わるなんて話は聞いたことがない。

「その、自分で言うのもなんだが…私は魔力が人より強いだろう?」

「そうだね。それと関係が?」

授業の時に判明した事実である。

「ああ、私自身の魔力が強いのもこの耳や尻尾も、より濃く神の力を反映しているからだそうだ」

「成る程…でも人の身に影響を及ぼすだなんて…」

納得はしたが、やはり驚きは大きい。

「ああ、まさしく神がかっているな…それにしても何故、耳や尻尾なんだろうな…似合わないことこの上ない…もっと可愛らしい女なら…はっ!」

不貞腐れたようにぼやくが、すぐに本音を言ってしまったことに気付き固まる。

「い、いや今のは気にするな。別にこの耳や尻尾も慣れれば可愛らしいなとか私が可愛かったら似合ったんじゃないかなとかは思ってないぞ。そ、そのえーとだな…」慌てふためく恋。どうして戦闘以外の時はここまで隙だらけなのか、と言いたくなるほど挙動不審だ。しかし、地雷源を駆け抜けるその勇気は賞賛に値する。

「大丈夫だよ。その耳も似合うくらい可愛らしいと思うよ。僕は」

とりあえず素直な感想を述べる。実際、路地であった時は物凄く撫でたい衝動に駆られたりした。

「……………い、今なんと?」

自分の耳が捉えた情報が信じられないのか聞き返してくる。しかし、若干口許を歪めて喜びを示している。ついでに耳と尻尾も大暴れだ。

「だから可愛らしいって」

「……望よ…嘘はよくないぞ…こんなでかくて目付きもキツくて声も低い私なんかのどこに可愛い要素があるというのだ…うう」

最初は少し喜んでいたが、やはり信じれないと自分で否定していくうちに落ち込んでいく。

「別に嘘じゃないよ。見た目は確かに可愛いというより綺麗って言えるかもしれないけどそれも魅力の一つだし。それに可愛さって外見だけじゃないと思うんだ」

「じゃ、じゃあ私のどこが可愛いと言うのだ?」

なぜか警戒するように質問してくる恋。それは信じたいけど信じられない本心の現れだろうか。

「うーん、性格?」

「そんなわけあるか」

即否定される。

「私の性格?こんな刺々しい物言いに傲慢な女のどこが…」

「そんなことないと思うけどなあ…割と泣き虫だし…」

即否定が気に入らなかったのかボソッと呟く。しかし、あの耳は別につけ耳ではないようで、ちゃんとその挑戦の音を拾い上げる。

「なっ!な、な、泣き虫?私がいつ……………あれは目にごみが入ったにすぎん!」

拾ったはいいものの重くて身動きがとれない。

「そういう嘘つくの下手なとことか…」

挑戦者のジャブが入る。

「うっ!そ、そんなことは…」

どうにかかわそうとする。

「すぐにうろたえる純粋さとか」

先回ってからのストレート。

「お、お前、実は楽しんでるだろう…?」

負けじと苦し紛れのフック。拳は死んでいる。

「でも頭は回るし、行動力もある。それに困ってる人を放ってはおけないお人好し。それと自信が無いから褒められることに慣れてない」

勢いのままに乱打。既に恋の顔は殴られ(ほめられ)過ぎて真っ赤である。

「まあ僕はそういう恋が可愛いなって思うよ」

最後にあくまでも他意のない笑顔の一言(アッパー)を放つ。これが止めとなったか膝をついて、悶える恋。カウントが始まる。

「………望よ」

辛うじて立ち上がる。しかし、足が生まれたての小鹿のように震えている。だが、その目は死んでいなかった。

「何?」

それに気づかない望は余裕の表情で佇む。

「わ、私は望も可愛いと思うぞ」

まさかの一撃。

「ううううう」

倒れふす望。望の弱点をしっかり覚えていたようだ。しかし、立ち上がる力は残されてないようだ。

「れ、恋…」「望…」

二人苦しそうに互いの名を呼ぶ。言いたいことは同じなのか、お互い言葉を遮ることなく、

「「痛み分けにしよう」」


閑話休題。

ふたりとも黒歴史を封印し、何事もなかったかのようにそのまま次の話をする。

「で、なんであんな場所に住んでたの?」

「父上があのテントと寝袋があれば問題ないと言ってな。今まであちこちを移動しながら住んでいたのだ。公園や路地裏などをな」

問題しか見当たらない。そして疑問に思わなかったのだろうか…

「父親に連絡は着かないの?」

「電話もない山奥に住んでいる。ここからだと歩いて一月はかかるな」

絶句する。一体どこの田舎なんてレベルじゃない。未開の地と言っても過言じゃない。

「じゃ、じゃあこれからどうするの?あんな生活長続きしないよ?」

「…とりあえず働き口を探してみる。なんとかするさ…何、これ以上迷惑は掛けない。世話になったな。それではまた明日会おう」

そういって立ち上がる。しかし、その顔には先行きの見えぬ生活に対する不安が潜んでいる。

「…れ、恋。あのさっ」

「どうした?まだ何か聞きたいことがあるのか?ああ、お礼ならいずれするから、しばし待っていてくれ。悪いな」

何を勘違いしてるのか。雨の降る外へ出ようとリビングの戸に手を掛けながらそんなどうでもいいことを気にする。

「ち、違うよ。良かったらその…都合がつくまで家にいない?ほらうち一人暮らしだし、部屋も余ってるから」

言われた本人はまさかそんな事を言われるとは全く予想してなかったのか、目を見開いて驚きを露にしている。

「い、いいのか?……いや、駄目だ私みたいな…こんな獣じみた私が近くにいては迷惑が」

一瞬、喜びを現すがすぐに断ろうとする。しかしそれを遮る。

「そんなこと…そんなことどうでもいいよ」

今、わかった。彼女は助けを求めている。しかし、自身の本能の存在を恐れ理性でそれを遮断している。他人に頼って迷惑を掛けることを彼女は極端に嫌がるのだ。

「困ってるんでしょ?だから、頼ってよ」

「いや…やはり迷惑が」

「迷惑じゃないし重荷じゃないし嫌じゃない。恋の一人や二人くらいうちは余裕でおさまるよ。ほら問題ない」

逃げ道を塞ぐように捲し立てる。ここで恋をいかしてしまってはいけない。無性にそんな気がするのだ。

「ほ、本当にいいのか?その申し出はありがたいが私には何も返すものがないぞ?」

少しだけ天秤が傾く。しかし、まだである。

「大丈夫。それで恋が困らなければ僕は十分だよ。それに今さら貸しが一つ増えたくらいで…そうだ。貸しを返すと思ってうちで家事とかしてよ。一人暮らしでこの家は広すぎて大変なんだよね。どう?」

それが詭弁とわかってるのか未だ躊躇う恋。

「な、何故だ。私をここに住ませて望に一体どんな利が…」「だから、そんなことどうでもいいの…困ってるから助けたいと思った。それだけ。ほら雨の日に野良犬が捨てられて凍えてたら助けたくなるでしょ?あれみたいな感じだよ」

かなり酷い例えの気もするが適切なのが思い付かなかったのだ。言われた恋は案の定というかぽかんと口を開けている。よほど予想もしてない理由だったのだろう。しかし、唐突に笑い始める。

「な、なに?」

「いや、すまない。フフッ。まさか野良犬とはな……いいのか?私は犬どころか狼だぞ?飼い慣らせなければ下手したら食べられるぞ?」

冗談めかしてそんな質問をしてくる。しかし内容は冗談じゃない。こちらも負けじと返す。

「僕は身長は小さいけど度量は大きいからね。それぐらい大丈夫だよ」「…フフッ。度量ばかりでなく肝も太いようだ…わかった。そこまで言うならその申し出ありがたく受けさせてもらう。いつ都合がつくかはわからないがそれまで厄介になる。よろしく頼むぞ、望」

そういう彼女の表情は今日初めて見るような無邪気な笑顔だった。その笑顔を見れてよかったと本当に思う。やはり彼女に不安な顔は似合わない。まあ色々と苦難はあるだろうが、この笑顔が見れるなら選択に後悔はしないだろう。



そう思っていた時期が僕にもありました…



まさか、ここまでとは…

頭を抱えてしまいたくなる。別に彼女は悪くない。ただ、知らなかったにすぎない。文化と常識と、そして自身の魅力を。

無知は罪と言う。彼女は知恵は有るが、圧倒的に知識が無かった。

しかし、誰が責めることが出来ようか。生まれてこの方、一つの閉鎖されたコミュニティで暮らしてきた彼女を誰が責められようか。

回りくどくなってしまったが、とりあえず居候開始10分足らずで彼女が起こした事件を語りたい。


まず、あのあとすぐに望はシャワーを浴びにいった。彼は料理をしていたためまだ濡れた制服を着たままだったのだ。

「さてと…」

朝と同じ要領でシャワーを浴びようとしたその時だった。

「背中を流してやろう」

そう言ってさも当然のように浴場の扉を開き恋が入ってきた。

「きゃ!な、なんで入って…」

思わず女子のような悲鳴を上げてしまう。しかし、振り向くことはできない。正面の鏡も曇っているため、恋の姿は朧気にしかわからない。

「今、言っただろう。背中を流すと、これから世話になる身だからな。私に出来ることは少ないがこれくらいはやらせてくれ」

相手は声音からわかるとおり至って真剣そのもの。無下に断るのは気がひけるが、ここは心を鬼にして…

「それとも、迷惑か?」

「いやいや全然大丈夫だよ……はっ!?」

みたかったけど、背後の女の子の心情を考えた瞬間、口から違う言葉が飛び出しました。優しさは時に人を窮地に陥れることを知りました。

「そうか…では任せてくれ。洗うためにタオルが必要だな……」

流石にたわしを使うとかの古典的なボケはかまさずほっとしている。とりあえず今は背中を流させて満足させたら早々にご退場願おう。

「む?望、タオルがあるではないか、貸してくれ」

のぞみはそうびときぼうをうばわれた。めのまえがまっくらになった。

「ななななな何してるの恋!?」

決して振り向けないので、タオルを奪い返すこともかなわず抗議する。

「いや、先ほどは出してもらったが、私にはタオルの場所がわからなくてな。仕方ないので借りた。元々こうして使う予定だったのだろう?問題あるまい?」

「そ、そうですね…」

全ては善意からの行動であり望を陥れるつもりは微塵もないのはわかる。ただ、ついでに性別差という概念も微塵も無かったようだ。

「ち、ちなみに…貸した服は着てる?」

念のため、最悪の事態を想定した質問をしておく。着てなかったらどうするかまでは考えてないが。

「着てるぞ。濡れたら困るか?ならば脱いだほうが…」

「いえいえ大丈夫です!全然濡らしちゃって構わないんで!迅速によろしくね!風邪引いちゃうし!」

慌てて早口で捲し立てる。危うく自らの奈落の底に突き落とすところだった。

「うむ、了解した。これでも父上で慣れている。そう固くなるな」

確かに体はガチガチだが、男の性か、違うところも固くなりかねない。今のところは股を閉じて隠しているが油断はできない。

煩悩退散煩悩退散煩悩退散…

頭の中で呪文のように唱える。女性に対する免疫など二つ下の妹ぐらいしかない彼にこの責め苦を打開する術はこれしかないようだ。

「んっ、はっ、んっ、んっ」

力を込めながら声を出す恋。その声は浴場に反響し、湿っぽさを伴って望の理性を破壊しにかかる。「それに、しても、んっ、綺麗な、はだと、はっ、髪だなっ、んっ」

「母さん譲りだよ…」

「そうか」

「瞳の色だけは父さん似なんだ」

そんな他愛ない会話が望に安らぎを与えてくれる。しかし、この時に置いてそれは油断でしかなかった。

「ふむ、どれどれ?」

「えっ?」

ぽよん

その効果音と共に頭に重みがのし掛かったと思ったら、目の前に逆さの恋の顔があった。

え、ということは?頭上の質量を持ったやわらかいぬくもりは一体…

「むむむねっ!?」

「ぬおっ、急に、動きゃあああ!」

つるっ!

急に望が動いたため恋が珍しい悲鳴をあげて前のめりに足を滑らせてしまったのだ。そのまま縺れあって転倒してしまう。

「いたたた…って、だ、大丈夫!?」

慌てて恋を見る。下手したら頭を打ってしまったかもしれない。恋はお尻をついてシャワーの直撃を受けていた。

「む…なんとか。少しばかり手首を捻ってしまったが大事ない。しかし、服が濡れてしまったな…申し訳ないが替えを貰ってもいいか?……どうした望?」

説明しよう。振り向いた恋はずぶ濡れである。Tシャツは濡れれば透ける。しかし、その濡れた先には肌色しかなかったのだ。つまり…

あれ…さっきの頭の上の感触は…

薄布一枚程度の防壁しかなかったということだ。


息を飲む。つい見とれてしまう。

「む?何をじろじろ見てる?もしやそんな大事な服……」

恋が何故か息を止め自分を凝視する。正確には腰の辺り…腰?腰には何もない……ん?…………なにもない!

そう何もつけてない。しかも自分は転倒の際に、椅子から落ちたままの体勢つまり…開脚している。慌てて股を閉じるが手遅れだ。完璧に見られてしまった。しかも胸を想像したあとの自己主張全開の息子をだ。

「ごごごごめ、ごめんなさ」

「望!」

いきなり怒鳴られる。これはもう死んだとしか思えない。そう思った瞬間。

「股間が大変なことになってるぞ!病気か!?」

「ぶふっ!」

まさかのセリフに吹く。それに構わず恋は捲し立てる。

「そんなに大きく腫れ上がるだなんて大変だ!ちょっと見せてみろ」

ガシッ(膝を掴む音)、カパッ(開帳)、ジー(間近で観察)、ポッ(赤面)

「なんかわからないが、いやらしいな。父上のより大きいな。むっ、動いたぞ」

「いやあああああああああ!」

あまりのことに望の時間が止まっていた。DI様も驚きの長時間である。すぐさま飛び退き、風呂場の端でうずくまる。まるで追い詰められた兎のようだ。

「どうした?痛むのか?もしかして私が何かしたか?」

心が痛い。どうやら一生もののトラウマになりそうだ。

「…ううううう。ぐすっ」

マジ泣きである。今ほど父親のDNAを恨む瞬間は無いだろう。

「ああああ、どうすれば…望、おい望。返事をしてくれ。なかないでくれ」


三分経過。

少し落ち着いたのか、顔を埋めたまま話始める。

「あのね…別にこれは病気じゃないんだよ…痛くもないよ」

「しかし、泣いていたではないか?」

「恋はさ…他人に裸を見られたり自分のコンプ…気にしてるところを見られたら恥ずかしくない?」

恋が理解できるように噛み砕いて説明する。

「うむ…あまりわからないが、おそらく羞恥を覚えるのだろうな」

あまり想像したこともないので曖昧に返す。

「つまりね…そうゆうことなんだよ…僕が泣いているのは…ぐすん」

「泣くほど私に見られたことが恥ずかしかったと?」

首を動かして肯定の意を示す。

「その、すまなかった…父上ぐらいしか親しい男性がいなくてだな…その、男性は裸やあれを見られて恥ずかしいと思わないと決めつけていた。傷つけて申し訳なかった」「うん……その恋の家がどうたったのかはわからないけど、こっちの常識では、異性の裸って言うのはかなり親密な間柄でもない限り見せたりするもんじゃないんだよ…」

「私と望程度では駄目だと?」

「まあ…そういう言い方だとあんま仲良くないみたいに聞こえるけど…それに仲良いと言っても基本は恋愛関係にある男女間のことを言うんだよ…」

「恋愛関係にあると何故裸を見せてもよいのだ?」

当然の疑問ではある。しかし、答えが簡単であってもいい難い答えが存在するのだ。心境は赤ちゃんがどうやって出来るのかという質問をされた父親のようだ。

「……赤ちゃんがどうやって出来るのか知ってる?」

「知ってるぞ。こうのとりさんが運んでくるのだろう」

助けて、保健の先生。ただし矛刀。あなたは駄目だ。

「それはね…全ての子供のための優しい嘘なんだよ…」

「なんだと!?何故、そんな嘘が…?」

「教える方も聞く方も辛い…そんな真実があるんだよ……それでも聞く覚悟はある?」

挑戦するように問いかける。ここまで来て教えないのは嘘だろう。波涼から教えてもらいたいが事情を言えば同棲がバレてしまう。それはあまりよろしくないだろう。

それに正直、先ほどの辱しめの借りを返したい気もある…

「いや大丈夫だ。私も大人だ。それくらい自分で知るさ。望の手をわざわざ煩わせはしない」

しかし、挑発には乗ってこなかった。まあありがたいと言えばありがたい。

「そっか…じゃあとりあえずシャワーちゃんと浴びたいんでちょっとリビング戻っててもらっていい?」

「承知した」

そういって素直にでていく恋。とりあえず落ち着いてシャワーを浴びる。

文化の違いって、凄いな…

もうそれしか頭になかった。



シャワーを終えリビングに戻る

「あーさっぱりした…ってぶっ!ちょっ!恋!」

なんか半裸待機してらっしゃいました。しかも褌。

「おお、待っていたぞ。悪いが服をだしてもらいたい。先ほどのは洗濯機とやらにいれておいた」

「なんで何も着てないの!」

後ろを向きながら抗議する。あれ、デジャブ?

「いや、あのままでは風邪を引きかねないし、勝手に物色するわけにもいかないしな。それに私はこの格好が楽だからな。問題ないと思ったのだ」

「先ほど、裸は親しい間柄じゃないと見せないと」

「裸ではない。下ははいている」

言葉を遮り、まさかの変態発言。

「なんで褌!」

「なんでも何も私はこれしか持ってない」

「カルチャーショックの連続に常識が破られそう!」

悲鳴をあげたくなる。とりあえず彼女の服を取りに…

ガシッ

「望。私はな…先ほどお前に恥ずかしい思いをさせたことを本当に悔いているのだ」

「は、はい」

何故か肩を掴んだまま話す恋。嫌な予感しかしないのは何故だろう。

「だからな…お詫びに私も裸を見せるべきだと思ったのだ。これでおあいこだろう。さあ遠慮なく眺めるがいい!」

そういって体を180度回転させられる望。

まず目の前に山がありました。2つの山は綺麗な形をしてます。頂上のピンク色のゴール地点へ登頂した者はいないでしょう。体のほうは真っ白です。髪に劣らず美しい彫刻のような造形美がそこにはあります。腰のくびれ、鎖骨のライン、目を引かないものはありません。脚はモデルも逃げ出す長さです。ほどよく引き締まった脚は力強さとしなやかさを同居させています。その美しい造形の前に少年は膝をついてひれ伏しました。

「どうした。もうおしまいか?遠慮するな。私は恥ずかしくもなんともないぞ」

「駄目だよ…恋…それは駄目だよ…」

俯いて呟く。あまりの天然記念物っぷりに為す術がない。

「む?やはり駄目だったか…では仕方ない…」ストン

目の前に布が落ちている。手に取る。暖かい。どっから落ちてきた?理解できない理解できないりかいできないリカイデキナイ。

「やはり半裸じゃ平等じゃないから駄目なのだろう。これなら問題あるまい」

望の思考は既に停止していた。頭を捕まれたことも。強制的に上を向かされたことも。そこで視界に入ったものも。理解することを脳が拒んでいた。理解した瞬間に理性が飛ぶからだ。


とりあえず脳は代わりに意識を飛ばすことを選択した。


「望!起きろ!おーい!」

声が聞こえる。記憶が曖昧だ。

どうやら脳の取った行動は成功したらしい。

だが、状況は変わっては…いや、悪化していた。

ふに、ふに

後頭部が柔らかい。手を伸ばす。すべすべする。

「ひゃん!くすぐったいぞ」

抗議の声が上から聞こえる。まさかと思い目を開ける。

山の頂上の向こうに恋の顔が見える。逆行でよくみえない。

ん?逆行?つまり寝ている。でも柔らかい……ひざまくらですねわかりたくありませんでした。

全てを思い出した。とりあえず跳ね起きる。即座に部屋に服を取りに行く、恋に渡す。リビングの戸を閉め座り込む。所要時間10秒。

「望ーもういいのかー?」

戸の向こうから声が聴こえる。

「もう満足ですありがとうございました服をきてください」

理性が生きてる内に…

「いいぞー」

戸を開けて入る。服を着ている恋がいた。しかし、まともに顔を見れない。

「全くどうしたんだ望?いきなり倒れたり走り出したり?そんなに私の体は見るに堪えなかったか?」

「最高でした……じゃなくて!恋!座って!」

「む…わ、わかった」

正座する恋。なぜ望が怒っているのかわかっていない様子だ。

「そ、その、また怒らせてしまったのか?」

怯えながら聞く恋。きっと怒られなれてないのだろう。だが、今回ばかりは容赦しない。恋のためにも。

「なんで僕が怒っているのかわかる?」

「わ、わかりません」

圧倒されてつい敬語になる。

「そう…あのね…女の子は妄りに人に肌を見せてはいけません」

「で、でも私は望のために…」

「なに?」

ギロリ

「い、いえ」

早くも涙目である。だが構わず続ける。

「確かに恋には悪気はなかった。謝罪の意味があったかもしれない。でも見た人が悪い人だったらどうするの?こっちでは暴力されたり悪いことをするかもしれないんだよ」

それが世の中の常識である。

「望はそんなことは…」

「そんなに僕を知ってるの?」

「っ!」

きつく突き放す。

「実際、今は我慢できた。でも我慢できてなかったら?どうなったかわからないよ」

「そ、そんなに我慢が辛かったのか?」

上目遣いで訪ねてくる。それを分かりやすく伝える。

「恋的に言い換えれば目の前にご馳走があるのにお預けをくらってるような感じだよ」

「そ、それはすまない…」

それがどれほどの苦痛か知って頭を垂れる。

「いい?恋だけじゃなく。人はみんな欲求があるんだよ。それでさっき恋がしたことは男性の本能的欲求を刺激するような真似なんだよ?どうしてかわかる?」

「……」

わからないのか沈黙する。

「それはね。恋に魅力があるから。でもね、そういう魅力は間違って使うと人を欲望で狂わせるんだよ。いってることわかる?」

「うん…」

「でしょ?だからね…恋。自分を大事にして。自信が無いとか、嫌われたくないからって、こんな安易な真似だけはしないで。いつか、恋が心から信じられる人に出会う時まで…じゃないと僕は恋を許さない」

「嫌だ………ううっ……ごめんなさい……ぐすっ……だから、嫌わないで、もうじないがら、ううっううう…」

本格的に泣き始める。耳と尻尾が強い感情に引かれでてくる。

「……大丈夫…誰でも間違える。大事なのは同じ間違いをしないこと、それとその間違いから何かを見つけることだよ。それがちゃんと出来れば僕は恋を嫌ったりしないよ」

「ほん、とう?…ぐす」

「約束する。だから恋も約束して。好きでもない人や特別でもない人の前でこんなことはしないって、自分を大事にするって」

「わかっ、た…やぐぞく、する…だから、だから…うわあああああん!」胸を貸す。多分、こうやって怒られることが殆ど無かったのであろう。他人の負の感情に慣れてないのだ。だから望の怒りに怯え、泣いた。

別に彼女は悪くない。まだ成長途中に過ぎない。見た目は狼のよう凛々しいのに中身は殆ど子犬そのものなのだ。

この純粋さが羨ましくもある。しかし、これではこの先ここで生活していくのは到底無理だろう。ならば自分が教えねばいけない。

飼い主の義務じゃないけど、何故だかそうしなければいけないのは自分な気がする。

運命なんて信じたりはしない。ただ、もしかしたら今日1日の数々の出来事を一言で表すなら運命という言葉以外あり得ないだろう。


父さん、あなたはあの時、この未来を知っていたの…?


そんな風に思いを馳せながら1日目の夜はふけていくのであった。

なんか読みづらいですよね。シリアスとギャグとエロの緩急が激しすぎますよね。全部エロくしたほうがいいですかね。しかも主人公で。誰も得しませんね。極一部の嗜好の方々は愉悦ると思いますけど。でも僕は可愛いは正義だと思うんでそれもありかなとか。長いですね。すみません。


以下オマケ


もしも恋がおーけいしたら


「よし、わかった。私も大人だ。真実を知らずして恥をかきたくはない」

確かにこのままでは、いずれ来る保健の授業で矛刀に恥をかかされるだろう。つまり、これは復讐ではない。予習なのだ。

「わかったよ…そこまで言うなら教えてあげるよ…とりあえずリビングに戻ろうか。風邪をひくし…」


1時間後……

そこには惨状が広がっていた。

中学の保健の教科書を握りしめながら力尽きている望。

顔を真っ赤にしたまま泣きながらパソコンにすがり付く恋。渓にメールで参考資料を送ってもらったのだ。


何があったかは詳しくは説明はかなわない。しかし、恋の反応の一部を振り返りたい。

保健の教科書による解説

「成る程、これがこうやって赤ちゃんができるのか…人の体とは不思議だな…む、さっき望のが大きくなったのは何故なのだ?」

オブラートな説明

「それじゃつまり望は興奮していたと?または生理的現象と?成る程な…で、実際にはどういうことをするのだ?」

資料請求。比較的優しいものを要求。しかし手は抜かない。

「おお、裸の男女がいるぞ…この二人は恋愛関係にあるということか…」

「おお、大きくなったぞ。それにしてもあれはそんなに美味しいのだろうか…チラ」

「なんだ!?なんか尿ではなく白いネバネバしたのが…な、成る程、これが先ほど教科書にあったあれか…しかしこれでは赤ちゃんはできないぞ?というか飲み物なのかこれは?」「え?何を?いやまさか?入るわけが……やめろやめろこわいこわいみたくないみたくないそんなのはいるわけがあああああああ…………わ…入っ、ちゃった……?」

両手で顔を覆いながら指の隙間からホラー映画を見るようにしている。既に涙目だ。

「なんでそんなに!何度も!…え?さっきのあれを出すため?なに?あれは自由に出ないのか!?あんなに…いたそうなのに…ガタガタ」

「ぐすっ、ぐすっ…やっと?終わったの?もうだいじょうぶ?……お前、よくがんばったな………な!?なんか男がいっぱいでてきたぞ!おいやめろ!それ以上はあああああ!」渓はどうやらかなりひどいものを送ったらしい。



「望、もう、ぐすっ、あんなことしないから、ひぐっ、ゆるしてくれ、ずずっ」

泣きながら許しを乞う恋。彼女の心にも大きなトラウマが残ったことだろう。正直、やり過ぎた感は否めないがここまでしなければ彼女の意識改革はかなわなかっただろう。ついでに自分の受けた辱しめは晴らされなかった。

「大丈夫だよ。もう怒ってないから…これから色々と教えてあげるから…少しずつこっちに馴染めばいいんだよ」

優しく言い聞かせる。それにこくこくと頷く。

「それじゃ明日も早いし寝よっか」

「寝る!?ひいいっ!」

寝るという言葉に過敏に反応する。おそらく資料にあったのだろうか震えている。

「違う違う。普通にだよ。普通に」

「ほんとか?襲わないか?」

「誓って」

理性が保つ限りは、だが。

「そうか…そうだな。望がそんなことするはずないな…私がどうかしてた…」

「恋の部屋に案内するよ。空き部屋があるんだ」

そういって歩き出す。それを後ろからついてくる恋。

たった1日でかなり騒がしかったが、こうして夜は更けていくのであった。


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