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我は転生魔術師で元聖騎士。天使族の令嬢がしつこく絡むので、身を任せる事にした。  作者: 蓮太郎
第二章 魔王。

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魔王の憂鬱。

「今日は清々しい!」

ルシフェルは、秋の晴れた空を、風魔法を器用に使い気持ち良さそうに飛んでいる。

ルシフェルは、他の魔族の静止を聞かずに一人で出かける事が多かった。


「あれは?」

ルシフェルが森の中に目をやると、人間族が3人と女の天使族が何やら揉めている様に見える。

「・・・天使族。」

ルシフェルは、上空で静止し、天使族を睨んだ。

「恐怖を味あわせて、葬ってくれる。」

ルシフェルは、小さく呟き森の中に降りた。


「な、なんだ?!」

人間族達は、空から突然降りてきたルシフェルを睨みつけている。

「貴様らに用はない。消えろ。」

ルシフェルは、人間族に言うと、天使族に向かってゆっくりと歩き近づく。


「おい!お前!突然現れて何だ!その天使族は俺達の獲物だ!」


「・・・獲物?」

ルシフェルは、この人間族達が、この天使族をさらい、恥ずかしめた後、奴隷商にでも売り渡すつもりなのだろうと察した。


まぁ、それもいいだろう。

だが、俺の目の前に現れたんだ。

俺が、この手でこの天使族を。


「去れ!」

ルシフェルが、叫びながら人間族を睨むと、桁外れの殺気を感じた人間族達は、怯んだ様に一歩引き、武器を構えた。


「何だ?」

ルシフェルは小さく呟く。


「こ、この野郎!」

一人の人間族が、ルシフェルの放つ殺気に耐えきれずに斬り掛かった。

「ダークアロー。」

「うぐ・・ぐはっ。」

ルシフェルは人間族に手をかざすと、掌から黒い光の矢を飛ばし、腹を貫いた。

人間族の腹には、掌ほどの大きさの穴が空いている。

バサッ。

腹を貫かれた人間族は、地面に倒れ、絶命した。


「や、やべぇぞこいつ!」

残りの二人は、恐怖で腰が抜けた様で、その場に座り込んだ。


「す、すまない!今すぐ立ち去るから!」

二人の男は命乞いを始める。


そうか。こいつらをこの天使族の前で無残に殺そう。

そうすれば、より一層の恐怖をこの天使族に与える事ができる。


「だめだ。もう遅い。」

「ぎゃぁー!ぎゃぁー!ぎゃぁー!」

ルシフェルは、黒い刃を飛ばし、二人の人間族の手や足を切り離して行く。


「た、頼む!見逃し」

バサッ。

手足の無くなった胴体から、首が転がり落ちた。

「ふっふっふっ。あはははっ!」

ルシフェルは笑い出しながら、天使族を睨みつけた。


「どこのどなたか存じませんが、ありがとう!」

振り向き座間、天使族の女は、ルシフェルに飛びつくと、ぎゅっと抱きしめた。


「お!おい!離れろ!」

ルシフェルは動揺している。


「いやっ・・・だって怖かったんだもん。」

天使族の女は、上目遣いに、ルシフェルを見つめてくる。


こ、この天使族・・・俯いていて気づかなかったが、母さん・・・の面影が。

こうも似た者がいるものか?

いや、顔が似ている訳ではないな。

雰囲気が、似ている。

あー!!

「や、やめろ!」

ルシフェルは、天使族の女を軽く突き飛ばすと、警戒しながら後退りする。


「失礼な人だな。レディーを突き飛ばすなんて〜。」

天使族の女はふくれている。


「う、うるさい!去れ!」

お、俺は何を?憎い天使族だぞ?

見逃す?いや、見逃したい・・・と言うのか?


天使族の女は、スネた表情をしたが、ハッとした様に口を開いた。

「私、リザ。」

リザは、森の下に広がる天使族の村を指さす。

「あそこ、赤い屋根の家にすんでるから。あなたの事、知りたい。

気が向いたら遊びに来てね。

・・・あっ!命乞いしてる人をあんな風にしたらダメだぞ!でも、助けてくれたのはありがとう!

早く帰らないと叱られるから、私行くね!」

リザは、小走りで村の方へ消えて言った。





「・・はぁ。」

リザと出会って数日がたった頃、ルシフェルは頻繁にため息をつくようになっていた。


「・・・・はぁ。」


「魔王様、先程から耳障りですぞ。」

この年老いた魔族は、セバス。

アリビオのすぐ後に産まれた魔族で、アリビオ亡き後、父親の様に接してくれている。



「あ?あぁ。すまない。

・・・はぁ。」


「その様な魔王様を見たことがないですぞ?何かありましたか?」


ルシフェルは周りを見回し、二人きりなのを確認すると、口を開く。

「セバス、天使族と俺が関わるのはまずいか?」


「・・・まずいですな。」


「・・・だよな・・・はぁ。」


「一体何が?」


「・・・そ、その、話してみたい天使族がいる。」


「な!なんと!女でござるか!

恋でございますか?!」


「そ!そんな物ではない!

・・・・ただ、母さんの面影が。」


「ホルン様ですか。」


「セバス、二人の時くらい、ホルン様とか魔王様とかやめないか?」


「それはなりません。もう、魔王様は魔王様なのですから。」


「相変わらず硬いな。」


「これは、他の者にも魔王様が魔王様である事を示す事の一つ。大切な事ですぞ。ただ、セバスは硬い所は硬いですが、柔軟な所は柔軟。

つまり!魔王様がお近づきになりたいなら、その天使族!さらってきて差し上げます!」

セバスは、やる気に満ちあふれている。


「い、いや、さらうのはやめてくれ。」


「そ、そうですか?」


「あぁ、会いに行きたい。」


「お好きにされませ。セバスは、天使族との戦争に協力はしておりますが、同じ気持ちではありません。

魔王様がその天使族に惚れ込んで、戦争をやめるとか言い出しても、セバスは魔王様が好きでお仕えしている身。魔王様の味方である事は変わりませぬ。」


「話が飛躍しているが。ありがとう。」


「そうですな。魔王様の側近たるもの、先の先まで読んで対策を講じなければなりませぬからな。」


「そうか。」


「そうですとも。その変わり、全て包み隠さずに報告して下さいますか?

それが条件でございます。」


「分かった。」

ルシフェルは、立ち上がる。

「いってらっしゃいませ。」


「あぁ、行ってくる。」



ルシフェルは、不思議な気持ちで空を飛んでいた。


リザとか言ったか。

なぜ俺は天使族にまた会いたいなどと。

・・・いや、そもそも何故、あの天使族を生かしたのか。


自分の心に問いかけていると、あっと言う間に天使族の村が見えた。

「赤い屋根の家・・・あれか。」

ルシフェルは長いコートのフードを被ると、赤い屋根の家の脇に降りた。


「あの天使族はいるだろうか?」

小さく呟くと、ドアを叩く。

トントントン。


「はぁーい!」

中から声が聞こえた。

ガチャ。

ドアを開けたのはリザだった。

「ん?」

リザは、フードで顔を隠し、黙っているルシフェルを覗き込む様に見た。

「あー!来てくれたの!?」

リザは嬉しそうにすると、ルシフェルの手を引き、家の中へ引っ張る様に招き入れた。


「座って、座って。」

リザに手を引かれ、ルシフェルは2人掛けのテーブルセットの片方に座らされた。

「お茶入れるね〜。」

リザは機嫌良さそうにお茶とお菓子をテーブルに並べた。


「ずっと黙ってるね?」

テーブルひ挟んで向かいの椅子に座りながら、リザはルシフェルを覗き込んだ。


「・・・」

来たものの、何を話せばいいかわからんぞ。セバスに聞いておくべきだった。


ルシフェルは、フードを被ったまま俯いて沈黙している。


「ねぇ。」


「何だ?」


「名前、教えて。」


「ルシフェル。」


「・・・ルシフェル・・・ま、魔王?!」


「まぁ、そう呼ばれている。」


「魔族だとは思ったけど・・・まさか魔王だなんて。私の事、殺しに来たのですか?」

リザは、恐怖を覚えたのか、先程までの勢いがなくなる。


「殺すのであれば、森で出会った日に殺している。」


「あ〜。確かに・・・じゃあ、なんで来たの?魔王は天使族が大嫌いだって聞いてるよ?」


「嫌いだ。大嫌いだ。

だが、お前の事は殺せなかったばかりが、話してみたいとさえ思った。」


「・・・私に惚れたのか。」

バンッ!

「ち!違う!」

ルシフェルはテーブル叩きながら立ち上がった。


「ご、ごめん!冗談!怒らないで・・・そ、その・・・恐いよ。」


「す、すまん。」

ルシフェルは反省した様子で座る。

「お前が・・・いや、何でもない。」


「う、うん。」


「・・・恐がらせてしまったな。」

ガラッ。

ルシフェルは立ち上がり、玄関へ歩き出す。


「待って。」

リザはルシフェルの腕を掴んだ。

「何だ?」


「恐いよ。恐い顔。」


「顔は元々こう言う顔だ。」


「違うもん。助けてくれた日は優しい顔してたもん。」


「・・・。」

こいつは・・・恐がりなのに度胸があって、素直。

母さんに似てる。

「そ、その。せっかくお茶入れたんだから飲んでいってよ。」

リザは少し怯えながらもルシフェルに喰らいつく。


「・・・。」

ルシフェルは無言のままテーブルに戻ると、カップをとり、立ったままゴクゴクと飲み干した。


「こ、これでいいか?」


「ふふっ。あはははっ!」


「な、何がおかしい!」

ダメだ。こいつといるとペースがみだれる。



「だって・・・急いで飲むくらい嫌なら、飲まないで帰ればいいのに。

・・・変な人。」


「お前が飲めと言ったんだろ?」


「お前じゃないよ。私の名前、ちゃんと覚えてる?」


「・・・リザ・・・だろ?」


「うん。私はお前じゃなくてリザ。

それと、私が作ったお菓子も食べて欲しいな。」


「注文の多い奴だな。」

ルシフェルは仕方なさそうにお菓子を手にとると、口に運ぶ。


「・・・うまい。」


「本当?!やったー!」

リザが無邪気に笑うと、ルシフェルは不覚にも可愛いと思ってしまった。

顔を少し赤くして目をそらす。


「ルシフェルは忙しいの?晩御飯も頑張って作るから、食べて行ってよ。」

リザは、無愛想で、少し恐いルシフェルと、何故か離れたく無いと思っていた。

「いや、今日は帰る。」


「・・・そっか。今日はって事はまた来てくれる?」


「あぁ。気が向いたら。」


「うれしい!」

リザはルシフェルに、ニコッと笑いかけた。




「と、いう感じだ・・・セバス!俺はどうしたらいい?!」

ルシフェルは城に戻るいなや、セバスに相談し、詰め寄る。


「魔王様の思うままに。」


「・・・どうしたらいいか分からないから聞いているのだが。」


「魔王様、魔王様はそのリザとどうなりたいので?」 


「・・・分からない。」


「仲良くなりたいなら、優しくしなされ。」


「そ、そうか。」


「はい。明日、早速夕食をご馳走になりに行かれては?」


「か、考えておく。セバス、ありがとう。」


「どういたしまして。」 


ルシフェルは、考え込むように俯いた。



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