大切な約束。
「よし!じゃあ、まずは城内を探索しよ!」
朝食を済ませて、作戦会議を終えたホルンは高らかに叫ぶ。
今回のミッションとして、お風呂の確保と、ホルンの寝室の確保が急務という事になった。
アリビオは、リビングで寝ているホルンと一緒に寝たいと懇願したが、受け入れてもらえず、しょんぼりとしている。
ウキウキした様子で歩くホルンの後ろをアリビオはついて歩いた。
城は巨大で、いつくもの部屋がある。
三階立てで地下室もあった。
ホルンは、三階から見て回る。
三階は、大広間があり、階段の様に上がった所には、玉座が置かれている。
「広ーい!天井高ーい!」
ホルンは、広間に感動しつつも、すぐに次の扉へと向かう。
2階には、リビング、キッチン、客室、それから、アリビオの寝室があった。
1階には、会議室の様な大きな部屋や、応接室などがある。
そして。
ガチャ。
「わぁー!アリビオ!」
お風呂を見つけ、ホルンは嬉しそうにする。
「・・・このお風呂、どうやって入るのかな?」
プールの様に大きい風呂を見つめ、ホルンは固まっている。
「これがお風呂なんだ。」
アリビオは、なるほどと言うような顔をしている。
「そう!これはお風呂。何だと思ってたの?」
「何か分からないから、冬は湖が凍るから、ここに水をためて生きた魚を泳がせてた。」
「な、なるほど。
水はどうやってためたの?井戸から運んだの?」
「えっ?ああ。」
アリビオは実演したほうが早いと思い、風呂に向かって手をかざした。
「ウォーターホール。」
アリビオが唱えると、風呂に魔法陣が展開され、滝の様に水が生成された。
「す、すごい。」
ホルンはあっけにとられながらも、アリビオを見つめる。
「アリビオ、それって疲れる?」
「いや、全然。」
「よしっ。」
ホルンはガッツポーズする。
「アリビオ、あの中に、ファイアーボールを落としてみて!」
「えっ?うん。」
ファイアーボール!
火の玉が風呂の中に着水すると、湯気を出しながら消えた。
ホルンは、風呂のお湯に手を入れてみた。
「あったかーい!」
「そりゃ、ファイアーボール投げ込んだからな。」
アリビオは、良く分からなそうにしている。
「アリビオ!これがお風呂!」
「なんで?水じゃなくて熱い水に入るの?」
「入れば分かるよ!」
アリビオは、早速体に巻いた布を解き始める。
「ちょ、ちょっと!」
「入ればいいんだろ?」
アリビオは不思議そうにしている。
「はぁ。いいや、入ってみて。」
ホルンは諦めた様だ。
アリビオは恐る恐る、お湯の中に体を付けた。
座って肩まで浸かるとここちいい。
「ホルン!お風呂って、いいな!」
アリビオは、お風呂の良さに共感した様だ。
「ホルンも入ろう!」
アリビオは、また無知にホルンを誘う。
「・・・ちょっと待ってて。」
ホルンは、恥ずかしさよりもお風呂の誘惑に心を委ねる事にした。
リビングに戻り、脱衣所に向かう。服を脱ぐと、大きなタオルを体に巻いた。
「お、お待たせ。」
ホルンは恥ずかしそうに湯船に入り、アリビオから離れた所に座る。
アリビオは、近づきたいと思ったのだろう、お構い無しにホルンの隣りにきた。
「わざと離れた所に座ったんだけどな。」
ホルンが恥ずかしそうに言うと、アリビオは、何故?!と言いたげに悲しそうだ。
「ところで、何で布を巻くんだ?」
「は、恥ずかしいから。」
「そうなのか・・・・。」
アリビオは、不思議そうにホルンを見ている。
「あ、あんまり見ないで!」
「うん。分かった。」
アリビオはホルンから目線を外した。
が、すぐに戻す。
「なぁ!昨日、背中に当たってた柔らかいのってそれか?」
アリビオは、ホルンの胸元を指さした。
「・・・そ、そうだけど。」
嫌な予感しかしない。
そんな事を思いながら、ホルンはアリビオを見つめる。
「そうか〜。なんでか触りたいと思うんだよな〜ダメなんだよな?」
「・・・・ダメ・・・じゃないけど。ダメ?」
「どう言う事?」
アリビオは困惑している。
「・・・ちょっとだけなら。」
「いいのか?!」
アリビオは嬉しそうにホルンを見つめた。
「ど、どうぞ。」
ホルンが言うと、アリビオは手を伸ばし、胸元に触れた。
「あっ。」
「ご、ごめん!痛いのか?」
「ち、ちがう。いいから。」
照れるのを隠す様に、アリビオの手を持ち、ホルンは自分の胸元に当てた。
「ムニムニして、気持ちいい!何だか変な気分だ。」
「で、でしょうねー!もうおしまいー!」
ホルンは立ち上がると、脱衣所に逃げ込んだ。
ヤバい!ヤバい!ヤバい!
触らせるの許しちゃったー!
・・・アリビオなら嫌じゃないけど・・・出会って間もないのに私は何をしてるんだー!
ホルンは、顔を両手で覆いながら、一人はしゃいでいた。
こうして、無知であるからこそ、欲望に忠実なアリビオにホルンは翻弄され続ける。
結局、寝るのは同じベッドという事になったが、アリビオの真っ直ぐな求愛を交わすように、数日間は寝たふりをした。
そして。出会って数日しかたたない夜。
ホルンは、覚悟を決めた。
「ホルン、今日は起きてる?」
「・・・起きてる。」
バサッ。アリビオは嬉しそうに起き上がる。
「起きてるの?」
「う、うん。」
アリビオを見つめるホルンの顔は少し赤い。
「あのさ、あのさ!」
「な、何?」
「魔獣同士がさ!発情期に交尾してるの見たんだ!」
「・・・はい。」
ホルンは、アリビオの真っ直ぐすぎる欲望に、あきれるのを通り越して、清々しいささえ覚えた。
「で、それがしたいと?」
「うん!うん!」
アリビオは、餌をもらう前のペットの様に、ワクワク、ウキウキした様子で真っ直ぐにホルンを見つめる。
アリビオは、ただ交尾がしたいだけ・・・なんだよね。
私だからとか、そんな感情はきっとない。
でも、ダメ元で契約を交わそう。
ホルンは、条件を付けることで、体を許す事にした。
「アリビオ。」
「何?」
アリビオは、今にも飛び掛ってきそうだ。
「魔獣や動物は誰とでも気に入れば交尾するでしょ?」
「うん!」
「でも、天使族や人間族は、好きな人、愛する人としかしないの。例外はいるけどね。」
「う、うん。」
何が言いたいのか分からずアリビオは考えている様だ。
「だから、アリビオも私としたら、私以外としないって約束できる?」
「うん!」
真っ直ぐすぎる回答に、ホルンは不信感を抱いている。
「ほ、本当に?」
「本当だ!任せろ!」
「ふふっ。任せろって。」
「何で笑うんだよ!俺はホルンとは毎日一緒にいたい!ずっと!それは好きって事だろ?だから、交尾は好きな人としかしたらいけないなら、そうする!」
アリビオは、言葉の意味は理解しているが、ホルンと出会って色々な感情が突然湧いてきて戸惑っていた。
だが、好きと言う感情が心の中に芽生えた事には気付いていた。
「・・・・文句無しです。」
ホルンは起き上がり、アリビオに抱きつくと、ぎこちなくキスをした。
「こ、これは?!」
アリビオは、変な気分になり、動揺している。
「これは知能のある種族がする求愛行動よ。私も、アリビオが好きだよ。」
ニコッと笑うホルンを、アリビオは抱きしめ返してベッドに寝かせる。
「・・・・。」
アリビオは停止した。
「どうしたの?」
ホルンが不思議そうに首を傾げると、
オリビオは起き上がり手を合わせる。
「頂きます。」
目を閉じて感謝を伝えようとしている様だ。
「ふふっ、あはははっ!
何で頂きますなの?」
「えっ?頂きますしないとホルンに怒られると思って。」
「・・・・一応確認なんだけど、私の事食べたりしないよね?」
ホルンは少し不安そうな顔をしている。
「えっ?ホルンを?俺が?」
「うん。」
「食べる訳ない!ホルンがいなくなったら悲しい。」
「良かった〜。」
ホルンは安堵の表情を浮かべる。
「俺の事何だと思ってんだよ〜。」
アリビオは少しふくれている。
「だって魔族の事、何も知らないから。」
「そうだよな、俺も知らない!
でも、ホルンは食べない!」
「分かった。」
ホルンは手を広げ、アリビオを誘う。
「ホルンー!」
こうして、二人は愛し合った。
愛の結晶ができるのにそう時間はかからなかった。




