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デルタのスナイパー  作者: 二条路恭平


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第1ステージのレンジ・オフィサーから、俺のエントリーナンバーと名前がコールされて順番が巡ってきた。

俺は、いま一度ホルスターに入れているBCM GUNFIGHTER 1911モデル拳銃からマガジンを抜いていることと、スライド・オープンの状態になっていることを確認してから第1ステージエリア内に入ってシューティング・ボックスへ向かう。

射撃競技会のレギュレーションでは、各ステージのシューティング・ボックス以外の場所で競技に使用する銃器にはマガジンの装填が許されてなく、更にチャンバーに弾薬が装填されているのも禁止されているので、シューティング・ボックスへ立ち入る前に射撃競技会で審判を行うレンジ・オフィサーから確認を受けることになるが、仮にルールが順守されていない場合は即失格となって残りのステージにも参加できない。

それ程までに厳しいルールにしているのは、扱いを一歩間違えると命に係わる事故が発生するので、極力ヒューマンエラーを無くす意味でもレンジ・オフィサーからの目視による確認が絶対となる。

左腰と言っても、左サイドより気持ち後側に装着しているヒップ・ホルスターに差し込んでいるBCM GUNFIGHTER 1911モデル拳銃の状態をレンジ・オフィサーが確認して、俺の携行状態がレギュレーション違反をしていないことを確認してもらってから、俺のエントリーナンバーと名前が確認される。

俺が間違いなく競技にエントリーされている事の確認が取れてから、晴れてシューティング・ボックスの枠内に立ち入ることが許された。

シューティング・ボックス内に立った俺は、両手の手首が肩より上に来るように挙げた状態で競技スタートとなるブザーが鳴らされるのを待つ。

先日のローカルなボーリングピン・マッチの時のようなテーブルは用意されてないので、競技前の時点で使用する銃器や弾薬が装填されているマガジンの携行は許されているが、競技開始前に使用する銃器やマガジンに直接タッチしている状態で待機しているのは許されていない。

仮に、競技会場内に銃器を所持した暴漢が現れた場合にはレンジ・オフィサーが第一に対処することとされており、その為に彼等だけが会場内で弾薬を装填したマガジンを拳銃に装填していても問題とされない。

ただし、競技者であるシューターがシューティング・ボックス内で競技中の状態で銃器を持った暴漢が接近してきたようなケースでは、自らを守るために暴漢への発砲までは禁止していないが、その際の発砲で暴漢を負傷或いは射殺したような場合には被告人の立場で裁判を受けて正当防衛であることを自らで立証しければならず、銃器を持っているからと言って例え銃器を持っている不審者と遭遇したとしても無暗に自分の銃器で安易に発砲しても良いというものではない。

両手を挙げ、両膝を心持ち軽く曲げた状態で合図を待っていると、不意にブザーが鳴り響くのが聞こえてくる。

俺は、直ぐに上半身を左側へ捻って左手でBCM GUNFIGHTER 1911モデル拳銃のグリップを握りヒップホルスターから抜くの同時に、右手は右の腰骨近くに装着しているマガジン・ポーチから8発の45ACP弾薬を装填したウィルソン・コンバット社製の10連マガジン1本を抜き出す。

左手で握っているBCM GUNFIGHTER 1911モデル拳銃のグリップ底の空になっているマガジン挿入口へ、右手に持った10連マガジンを叩き込むと何も持っていない右手はスライドの上から覆い被せるような位置に移動して、スライドを握り少しだけ後方へ引っ張るとスライドストップによって前進するのをブロックされていたスライドが、スライドストップのブロックから解放されて圧縮されていたリコイル・スプリングが元に戻るための反発力が作用して勢い良く前進する。

このスライド前進については右利きのシューターであれば右手の親指を使い、左利きのシューターならば左手の人差し指を使ってスライドストップのレバーを押し下げる者もいるが、スライドがスライド・オープンの状態である時はバレルの下にあるリコイルスプリングが圧縮されている状態で元に戻ろうとしているのをスライド左側にあるスライドストップが引っ掛かる切り欠きに掛かることでスライドの動きが制止させているので、スライドストップと切り欠き部分には相当の力が働いており、スライドオープンの状態となっている拳銃のスライドを前進させる度にスライドストップのレバーを下げる行為を続けていれば、スライドの切り欠き部分が徐々に捲れてしまってスライドストップが機能しなくなってしまう。それが嫌なので、俺はスライドストップを外す際は、必ずスライドをサポートハンドで掴んで後方へ引っ張るようにしている。

そもそもスライドストップのレバーを押し下げるようなことをしなくても、スライドストップが機能するのはマガジンの部品で装填された弾薬を押し上げるためのマガジンフォロアーが、マガジン内に弾薬が全て無くなった際に最上部へ上昇してスライドストップを上に持ち上げるような構造となっているので、マガジンフォロアーがマガジンの最上部にない状態ならばスライドを僅かに後方へ引きさえすれば、自然とスライドストップは降下するのでスライドストップによって動きを封じられていたスライドは何の障害もなくなったことでリコイル・スプリングの反発力で前進するのだ。

BCM GUNFIGHTER 1911モデル拳銃にマガジンを装填して、確実にマガジンストップにエンゲージされた事を右手の掌で数回、マガジン底部を叩いて確認した俺は曲げていた左ひじを伸ばしてマズルがターゲット方向へ向くように左腕を真っ直ぐ伸ばすのと同時に、BCM GUNFIGHTER 1911モデル拳銃のグリップを握っている左手に覆い被せるよう右手を添えてサポートしながら、右上でも真っ直ぐに伸ばし拳銃が安定した状態にして左端のターゲットへマズルを向ける。

視線は左端のターゲットにフォーカスしているので、フロントサイトやリアサイトのスリットはボンヤリと認識されるだけだが、これまでの訓練でフロントサイトはリアサイトのスリット内にあってサイトの高さについても問題のない位置になっているのが分かるので迷わすにトリガーを引き絞る。

「ドンッ」という45ACP弾薬特有の重たい発砲が響いた直後に、「ガンッ」というスチールターゲットに命中した音が聞こえるので、直ぐに右隣のスチールターゲットに視線を移すが視界の端には45ACP弾が命中して白い塗料が剥がれている様子が視認できている。

競技の各ステージで使用されているスチールターゲットは予め白く塗装されている物を使っている。これは、弾丸がスチールターゲットに命中した際には塗装が剥がれるので間違いなく命中したことの証となり誰が見ても明白となり、シューターによっては全弾ではないもののスチールターゲットの縁に命中させるケースもあり、その場合には当該ステージの競技を終了した段階でレンジ・オフィサーが塗装の剥がれについて確認することになって、白い塗装が剥がれていればスチールターゲットに命中したものと判断される。

ただし、各ステージでは競技が終了する度に速乾性の白い塗料が入ったスプレー缶を使ってレンジ・オフィサーが塗装の剥がれた部分を塗り直してからでなければ、次のシューターが競技を行うことができないので結構な時間が掛かってしまう。

最初のスチールターゲットに命中させたならば、そこから先はリズムとタイミングに注意して発砲していけば問題なく他のスチールターゲットをヒットさせられるが、スタンドが赤く塗装されているSPだけは必ず最後に撃つことになるので頭の中にはSPの場所を覚えておく必要があり、単にリズムだけを気にし過ぎると競技の途中でSPへ発砲してしまう危険性がある。

俺の場合は、第1ステージでは左端のスチールターゲットから撃ち始めて右方向へ移動させて発砲しているので、3つ目のスチールターゲットを飛ばして4つ目のターゲットを狙う事を意識すれば良く、スチールターゲットとの射程距離に変化があるものの拳銃のように射程距離が短い場合にはライフル銃を発砲する時のように風向や風速に神経質となる必要がなく、この協議会での射程距離であるならば最長で35ヤードの距離があったとしても横風を受けて弾丸が横方向へ流されてスチールターゲットを外すような心配はいらない。最も、それは競技会の天候が快晴だから言えるのであって、これがタイフーンの状況下であるとかトルネードが近くで発生しているような状況であれば、相当な風が常時吹いているので弾道への影響を考えなければならないが、そのような特異な気象状況で競技会が実施されるわけはない。

テンポ良くSPを撃ち終えると、マズルを上に向けてマガジンストップボタンを押してマガジンを抜き取る。そこへレンジ・オフィサーがプラスチック製のトレイを持って横に来るので、そのトレイにBCM GUNFIGHTER 1911モデル拳銃から抜き取ったマガジンを置き、次いでマズルをターゲット方向へ向けた状態にしてスライドをゆっくりと後方へ引くとエジェクションポートから未使用の45ACP弾薬が跳び出してトレイの上に落ちてくる。

後方へ引いたスライドにスライドストップを掛けてスライド・オープンの状態にBCM GUNFIGHTER 1911モデル拳銃をしてから、隣にいるレンジ・オフィサーに空の状態となっているチャンバー部を見せてBCM GUNFIGHTER 1911モデル拳銃に弾薬が装填されていないことの確認を受ける。

スライド・オープン状態でエジェクションポートからチャンバー部分が覗けるので、空となっているチャンバー部を視認したレンジ・オフィサーが微笑んで頷くのを見てから、BCM GUNFIGHTER 1911モデル拳銃を左腰のヒップホルスターへ差し込む。

これで両手が空いた状態となったので、レンジ・オフィサーが持っているトレイに置いたマガジンを右手に持って、マガジンの最上部にある45ACP弾薬を右手の親指で前方に押し出すと、マガジンから押し出された45ACP弾薬はトレイの上に転がり、マガジンには残りの1発が最上部に押し上げられているので、この残弾も右手の親指で前方へ押し出してやり、押し出された45ACP弾薬は先程と同様にトレイの上に転がり出る。

レンジ・オフィサーが持っているトレイには3発の45ACP弾薬と空となったマガジンである証拠に黒マガジン・フォロアーが見えている状態のマガジンが1個あるだけとなり、トレイの転がる45ACP弾薬の数を数えて10連マガジンを手に取り空であることを確認したレンジ・オフィサーが笑顔を見せて3発の45ACP弾薬と10連マガジンを返却してくれる。

これで、使用弾薬によるパワーファクターによるマガジンへの装弾数制限である8発をクリアーしたことになり、第1ステージで俺が記録した時間が正式に記録されることになった。記録された時間は残念ながらトップタイムとはなっていないが、俺の後から競技を行う者が残ってはいるがトップ10圏内にはなりそうな記録となっている。

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