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デルタのスナイパー  作者: 二条路恭平


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射撃競技会が開催されているのを周知するように星条旗や大会旗が掲げられ、会場内には多くのシューターやその家族達が行き交い、流石にローカルな競技会とは違いメジャーな大会は盛況であると感じる。

受付でエントリーの登録手続きを済ませるのだが、俺はハンドガンのSSシングル・スタック部門のみのエントリーとしている。

競技種目には、リムファイヤ・ハンドガンやカービン銃を使用する競技も設定されているのだが、俺の職務上ではリムファイヤの銃器やカービン銃を使用ケースは皆無であることに加え、それらの競技にエントリーするとなると使用する銃器自体を相応にカスタム等を施さなければならないし、使用する弾薬についても銃砲店等で販売されているファクトリー製の弾薬ではなく、カスタムを施した自分の銃器がスムーズに作動すると同時に命中精度であるアキュラシーを追及したリロード弾薬を準備しなければ勝負にならない。

そうなればデルタ・フォースのオペレーターとして主に海外での任務が多い俺にはリロード弾薬を準備する時間もないし、入手した銃器を競技専用にカスタムを施したうえで、そのカスタム・ガンに適合するリロード弾薬のデータを得るために数多くの練習をするとなれば俺個人の財力では到底追い付かない。

実際、全ての競技にエントリーしている者の殆どは何らかしらのスポンサーを見付けて活動しており、スポンサーからの援助を受けなければ毎日数百発の弾薬を消費して練習したほかに、使用する銃器のメンテナンスを行うのに多額の費用が必要となる。

特に、メンテナンスともなれば単に銃器を完全分解して銃器内に堆積したカーボンや装薬が燃焼した際に発生するデブリ等を除去すれば良いというわけではなく、練習とは言え数多くの発砲によって色々なパーツが消耗し競技を行う際に、満足できるレベルを維持できなくなればパーツを交換しなければならない。

それとて、単に製造メーカーからパーツを購入して即ドロップ・インすれば良いわけではなく、自らのカスタム・ガンが的確に作動するように加工を施さなければならず、本当に競技会で上位の成績を望むのであれば実質的に選任のプロとも呼べるような状態にでもならなければ活動できない。

だが、合衆国の機関である陸軍のデルタ・フォースに所属して勤務している俺が民間の銃器関連メーカーからスポンサーを受けるのは、職務上のレギュレーションからも真似のできる話ではない。もし、銃器関連メーカーからのスポサードを受けて勝利を目指したいのであれば軍から退役しなければならなくなる。

それ故、射撃競技会に参加しているのは自己の鍛錬が第一目標であって決して競技において勝利を目指しているものではなく、その意味では身の丈に合った範囲での射撃競技会への参加となっている。

暫く、会場内を歩いているとハンドガンの競技会場が見えてきた。前日の日没後には各競技種目の詳細な内容が公表されるが、実際の競技会場を見なければ具体的な競技のイメージが湧かない。

そのため、開催される会場に近い競技者が事前に競技の具体的なステージ内容の情報を入手して有利とならないよう、全ての競技者がイコール・コンディションを担保する意味で、大会開催の前日の日没後でなければ情報が公表されないのだ。

ハンドガン競技の場合は、8つのステージで構成され各ステージでは1人のシューターが競技を行い、ステージ毎に費やした時間を合計して順位を決めるタイム・トライヤル方式となっており、設定されたターゲットは任意で狙えるのだが唯一最後に撃てるターゲットとしてSPストップ・プレートだけが決められており、仮にSPを最初若しくは途中でヒットさせても無効となってノーカウント扱いになり、ヒットさせていない他のプレートをヒットさせた上で改めてSPをヒットした時点でタイマーストップとなるが、当然ノーカウントとされた分の時間も含めて記録されるので、設定されたステージの何処にSPがあるのかを事前に把握しなければならない事になっている。

今、俺の目の前には第1ステージがあり高さ1メートルのスティック状のスタンドには直径10インチ(25.4センチメートル)と12インチ(30.48センチメートル)の円形ターゲットがSPを除いて菱形となるように配置され、10ヤード(約9.1メートル)離れた手前側の2枚が12インチのプレートで、後方に2ヤード(約1.8メートル)離された場所に配置されているのは10インチプレートのようであり、菱形の中心にスタンドが赤くペイントされた10インチプレートのSPが置かれている。

また、ステージの一番手前には幅が60センチメートル、長さ120センチメートルくらいの長方形をしたラインが設定されており、この長方形で示されたエリアがシューティング・ボックスと呼ばれてシューターは、そのボックス内からでなければ発砲が許されていない。当然、片脚であってもシューティング・ボックスの外から出た状態で発砲してプレートに命中しても、それはノーカウントとされ両脚がシューティング・ボックス内に入った状態で発砲しなければカウントされないのだ。

続いて、隣のステージに移動して第2ステージを確認するが、隣と言っても直ぐ隣に隣接しているわけではなく、ある程度の距離を確保してステージが設置されている。このように各ステージ間で距離を設けているのは、シューターが使用する弾薬で特にリロード弾薬を使用している場合には、発砲された弾丸がプレートに命中した後に弾丸がプレート近くに落下すれば問題がないが、装薬量を増量したようなリロード弾薬を使用した場合にはプレートに命中した弾丸が跳弾となって隣のステージで競技を行っているシューターまで届いてしまう可能性が考えられる。その場合、跳弾が隣のシューターに当たって事故となった場合には競技を続行するのが不可能となることを予防する意味で一定の距離を離してステージを設けている。

第2ステージは、プレートが横一列の状態で配置されているがシューティング・ボックスから18ヤード(約16.5メートル)離れた位置に10インチプレートが4枚配置され、真ん中のSPだけが他のプレートルより3ヤード(約2.7メートル)手前に置かれて12インチプレートとなっている。

更に歩を進めて、第3スーテジを覗いて見るとシューティング・ボックスから15ヤード離れたステージ中央に10インチプレートのSPが配置され、シューターから見てSPの右側に5ヤード(約4.6メートル)後方に12インチプレートが2枚配置され、その反対側5ヤード前方に10インチプレートが2枚置かれた状態となっていた。

その隣になる第4ステージは、シューターから左側にシューティング・ボックスから12ヤード(約10.9メートル)離れた10インチプレートを基点として斜めに3枚の10インチプレートが並べられ、最も奥のプレートはシューティング・ボックスから18ヤードの距離になり、SPは斜めに4枚のプレートが並んでいるのとは反対側にシューティング・ボックスから12ヤード離れた場所で12インチプレートを使用して配置されていた。

第5ステージは、SPが12インチプレートを使ってシューティング・ボックスから35ヤード(約32メートル)離れた場所に設置され、残りの4枚は10インチプレートがシューティング・ボックスから見て重なることのないようランダムに配置されている。

次に第6ステージは、中央のシューティング・ボックスから14ヤード(約12.8メートル)離れた位置にSPが10インチプレートで配置され、残りの4枚は全て12インチプレートを使ってSPから左右に2ヤード、シューティング・ボックスから12ヤードの距離に置かれて、更に残りの2枚はSPから左右に4ヤード(約3.6メートル)離れシューティング・ボックスから10ヤード(約9.1メートル)の距離に配置されて、ステージを上から見れば「く」の字を彷彿させるような配置となっている。

第7ステージは、それまでのステージとは趣を変えてシューティング・ボックスが2か所あり、その間は120センチメートル程の距離があって位置関係が完全な真横にはなっておらず微妙に前後にズレている。これは、どちらのボックスを使用するかはシューターの自由とされているが、2枚目のプレートをヒットさせた時点で一旦タイマーがストップされ、隣のシューティング・ボックスへ移動して再開のブザーが鳴った時点でタイマーのカウントも再開されて残りの3枚をヒットさるステージとなっている。

プレートの配置は、シューターから見て2つのシューティング・ボックスの真ん中から左寄りに平行四辺形を模した状態で12インチプレートの4枚が配置され、SPは10インチプレートを使用して平行四辺形の中央部分に置かれている。なお、シューティング・ボックスから最も離れている2枚のプレートは距離が25ヤード(約22.9メートル)となり、最も近い2枚は20ヤード(約18.2メートル)の射程距離である。

最後に第8ステージになるが、こちらも第7ステージと同様にシューティング・ボックスが2か所設置されているが、こちらのステージでは第7ステージの時のようにタイマーが途中で一旦ストップするのではなく、シューターがボックスを移動する時間もカウントされる内容となっている。

どちらのシューティング・ボックスから始まるのかはシューターの判断に任せられているが、スタートのブザーが鳴って2枚目のプレートをヒットしたら必ず隣のシューティング・ボックスに移動しなければならないので、大半のシューターは後方寄りのシューティング・ボックスから始めている。

これは、競技がスタートしてからシューターの視線は常にプレートのある前方へ向けられているので、シューティング・ボックスを移動するに際しても前方にある方へ移動する場合には視線の移動が少なくて済むのに対して、後方に位置するシューティング・ボックスへ移動するには一旦は視線をプレートのある前方から完全に後方へ移さねばならないので視線の移動量が多くなり、その分のタイムロスも増えることになるからである。

プレートの配置具合は、第7ステージの状況を右寄りに移した状態なのだが射程距離が第7ステージよりも10ヤード分だけ奥側に移動している。

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