表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
デルタのスナイパー  作者: 二条路恭平


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

87/99

87

2台目のハンヴィーに近寄ると、EVOLYS軽機関銃をフルオートで発砲していた2人の男達は疑う必要がないくらいに死亡していることが分かる。

そこで、左右の後部ドアが開いているハンヴィーの車内を覗き込むと、ドライバーは上半身を前方に倒した状態となっており、そこにハンヴィーの衝突によって破壊された塀が覆い被さるように倒れているので間違いなく死亡しているものと判断できる。仮に、未だ息があるにしても状況的に肋骨が粉砕骨折となり肺も潰れている筈なので、反撃のために銃器等を発砲してくる心配はないだろう。

次に、助手席の方へ視線を転じると助手席に座っている男は微かだが呻き声を漏らしているのが分かる。この男も放っておけば確実に死を迎えるのは間違いないが、マイクは手にしたSCAR-Hアサルトライフル銃を男の後頭部へ向けて1発発砲する。後頭部に被弾した男は、俺達からは見えない額の方から脳の一部と脳漿と血液を車内に巻き散らかして絶命する。そして、続け様にドライバーに向けてもSCAR-Hアサルトライフル銃を発砲して確実に止めを刺した。

この光景を事情の知らない者が見れば、何と残酷なという風に思うかもしれないが戦場のような現場では敵に無用な情け心を掛けて瀕死の状態であっても見逃してしまえば、自分は助からないと悟った敵が自決のために爆発物等を起動させれば、その爆風等の巻き添えとなって味方や自分が道連れになって死傷しかねない。それよりは、見た目が残酷であっても敵に止めを刺して完全に死亡させれば瀕死の敵が爆発物を起動させたり、或いは銃器でもって反撃の発砲してくる心配は100パーセントなくなり自分達の安全を確保できる。

その後、邸宅の一部が崩落した弾除けの方へ向かってみると最初に狙撃された男は頭部が消失して周囲には血の池といった状態となっているので、敢えて止めを刺さなくても死亡しているのが分かり、それ以外の2人は焼け焦げた瓦礫の下敷きとなっているので現状では確認のしようがない。

そこで、焼け爛れた建物の残骸を大きく迂回して邸宅の裏側へ赴くと1マイルの距離からは眩しいばかりに白かった外壁が焼かれて黒く変色して全ての窓ガラスが砕けたり溶け落ちているので、以前の姿を想像することすらできない状態となっている。また、邸宅の裏側には20メートルくらいのプールと隣にはヘリポートが備わっているが、プールに溜められている水の表面に黒い煤が浮いており、とても水遊びをしたくなるような感じには見えない。

邸宅内の状況も確認する必要があるが、延焼中で鎮火していない状態で邸宅内に立ち入るのは危険過ぎる。仮に、邸宅内に人間が居たとしても火災が発生した状態で逃げ遅れているのであれば、確実に焼死しているだろうし死体そのものも炎によって炭化しているかもしれない。

プールの脇を通って、俺達が来た反対側へ向かってみるとEVOLYS軽機関銃を抱えたままの状態で地面に転がっている3人の男達を発見する。近寄ってみると3人とも身体の大部分が焼け爛れており、最も酷い状態の箇所は部分的に炭化している状態となって事切れている。

恐らく、この3人は84ミリメートル無反動ライフルから放たれた榴弾で空中爆発したテルミット爆弾から降り注いだ化学反応によって高温となったテルミットが頭上から降り注ぎ、その餌食となって焼死したのだろう。

マンスールの邸宅を目視確認し終えたマイクが、無線チャンネルを切り替えてアル・ウデイド空軍基地を呼び出し

「こちらオオスズメバチ、こちらオオスズメバチ、作戦任務を無事に完了した。撤収のための迎えを要請する。また、ターゲットの死亡を確認するための検体回収チームも必要ならば、一緒に来てくれ」

と任務完了の報告を入れる。

一応は、これで今回のミッションは終了したことにはあるが、アル・ウデイド空軍基地へ帰還するまでは簡単に気を抜く事はできない。何故ならば、俺とマイクでマンスールの邸宅を監視している際に目撃した武装勢力やテロリストグループと思われるメンバーを今回のミッション遂行中に一度も見ていないため、この後も復讐のために襲撃される可能性が捨てきれないためである。

6人でヘリコプターの残骸とマンスールの邸宅の一部が崩れ落ちた弾除けの近くに集まって周囲を警戒しながら、アル・ウデイド空軍基からの迎えを待つ。恐らく、俺達を迎えるのとマンスールが確実に死亡したことを確認するために遺体か、遺体の一部を回収するための部隊を乗せたCH-53シースタリオンが最低でも2機がアル・ウデイド空軍基を飛び立って、この瓦礫と化したマンスールの邸宅を目指して飛来してくる筈である。

何時、瓦礫となったマンスールの邸宅の海側あたりからや俺達が狙撃を行った丘から襲撃を受けるのではないかと神経を尖らせて1時間近く警戒していると、丘の頂上付近からヘリコプターのメインローター音が聞こえ3機のCH-53シースタリオンがトライアングルの編隊を組んで飛来してきたのが見えてきた。

チームリーダーのマイクが腰に装着している無線機のチャンネルを何度か切り替えて、飛来してきたCH-53シースタリオンと交信を始める。

「こちら、オオスズメバチ、マンスールの敷地内にはヘリポートが1箇所あるので1機はヘリポートに着陸できるし、あとの2機は敷地内の芝生にでも着陸が可能と判断する。なお、ヘリコプターからマンスールの敷地の外に横転して炎上しているハンヴィーが見えるかもしれないが、その周辺は地面の凹凸が激しいのでヘリコプターの着陸には適さないと判断する」

マイクが、飛来してきた3機のCH-53シースタリオンへ着陸するポイントの指示を無線で伝えると、徐々に高度を下げてきた3機のCH-53シースタリオンが炎の勢いが収まり始めて白煙が漂い出している瓦礫となったマンスールの邸宅上空に近付いてくる。

3機のCH-53シースタリオンの回転しているメインローターが吹き付けてくる下降気流によって、地表にある小さな瓦礫となった破片が四方へ飛ばされ、瓦解している邸宅の建物から立ち昇っていた白煙は消え去っていく。

トライアングルの編隊を組んで飛来してきたCH-53シースタリオンの先頭位置にある1機がヘリポートの上に着陸を始めると、後方の2機も瓦礫となっている邸宅から少しでも離れた芝生に着陸すべく降下してくる。

比較的近い状態で降下してくる3機のCH-53シースタリオンのせいで、俺達はハリケーンにでも巻き込まれたような暴風に晒されて小さな瓦礫や砂粒に混じって小石が身体中に当たってくるので、とてもじゃないが目を開けていられない状態となる。

3機のCH-53シースタリオンは、完全に着地したのだがメインローターに6枚のブレードがあり、そのメインローターが依然として回転を停止せず未だにアイドリングしているくらいに回転している状態なので、先程の降下してきた際の下降気流よりは幾分かは吹き付ける風の勢いが弱くなってきているとは言え、依然として両目を完全に開けていられる状態とはなっていない。

目の前に右手を翳して薄目に開けている状態で、着陸した3機のCH-53シースタリオンを見ると、芝生に着陸した2機の後部スライドハッチが開いて、レッド・ドット・サイトの世界的メーカーであり海兵隊の射撃管制システムの契約を獲得しているエイムポイント社のCOMP M2タイプと思われるレッド・ドット・サイトを装着しているSCAR-Hアサルトライフル銃を抱えた戦闘服姿の隊員が8名ずつ降りてくる。

マイクが、顔の前に左手を翳しながら歩いてCH-53シースタリオンから降りてきた隊員の一人に大声で声を掛けると、そのマイクの声に反応した隊員の1人が左手をSCAR-Hアサルトライフル銃から離して、CH-53シースタリオンから降りてきている1人を指差してマイクに何事かを伝えている。

アイドリング状態でメインローターを回転させているCH-53シースタリオンが3機も近くにいるのでマイクが交わしている会話の声が殆ど聞こえないのだが、恐らくマンスールの遺体か遺体の一部を回収するために送られてきたチームのリーダーが誰なのかをマイクが尋ねて、その質問にチームリーダーを指差しながら答えていると言ったところだろう。

声を掛けた隊員の口元に顔を近付けて、このチームのリーダーを確認できたマイクは相手の右肩を何度からポンポンと軽く叩きながら離れて、指差されていた隊員の元へ近付いていく。

教えられたチームリーダーに近付いたマイクは、そのリーダーの右耳に口元を近付けて一生懸命に説明をしているように見え、その内容は俺達が行った目視確認によってマンスールの邸宅周辺には敵の生存者とは遭遇していない事や瓦礫となった邸宅内は延焼が鎮火していない状態なので、建物内の確認までは行っていない事等を伝えているのだろう。

そこに、ヘリポートに着陸したCH-53シースタリオンから頭部にヘッドセットマイクを装着している隊員が1人降りてきて、マイクの背後に近付くとマイクの右肩をポンポンと叩く、それに気付いたマイクが振り返ると頭部にヘッドセットマイクを装着している隊員がマイクの右耳に口元を近付けて何事かを説明すると、頷いたマイクが腰に装着している無線機のチャンネルを切り替えると

「全員、聞こえるか?俺達の送迎用ヘリはヘリポートに着陸した機体なので、至急ヘリポートのCH-53シースタリオンへ搭乗せよ」

無線を介してヘリポートに着陸したCH-53シースタリオンへ乗り込むよう指示を送ってくる。

マイクの指示を聞いた俺を含む5人は、瓦礫が山積みとなっている弾除けから離れてヘリポートのCH-53シースタリオンへ向かうが、マンスールの遺体回収チームのメンバーへ銃口を向けないように注意しつつ、CH-53シースタリオンへ近付く際にも周囲への警戒を怠らない。

ヘリポートに駐機しているCH-53シースタリオンの開け放ている後部搭乗口からCH-53シースタリオンに俺を含めた5人が乗り込むと、最後にマイクが頭部にヘッドセットマイクを装着している隊員と共に乗り込んでくる。

CH-53シースタリオンに乗り込んだマイクは、俺達に微笑んだ顔を見せながら

「俺達に与えられたミッションを無事に終えることができたので、これよりマンスールの邸宅を離脱してアル・ウデイド空軍基へ帰還する」

と嬉しそうに声を掛ける。

そのマイクの声を聞いた頭部にヘッドセットマイクを装着しているCH-53シースタリオンの搭乗員が、ヘッドセットマイクを通してCH-53シースタリオンの機長に全員が搭乗を完了したので、アル・ウデイド空軍基地へ向けて離陸するよう連絡する。

本来ならば6人全員で雄叫びを上げたいところだが、ミッション成功の成功に喜ぶを表す行為はCH-53シースタリオンが水平飛行へ移行してからでも充分にできるのでスライド式の後部ハッチを開けたままの状態にして、6人全員が地上からの襲撃に備えた警戒態勢に移行する。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ