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デルタのスナイパー  作者: 二条路恭平


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マンスールの邸宅から放たれているEVOLYS軽機関銃をフルオートで射撃した場合の連射速度は、1分間に約800発となっている筈で15秒も撃ち続ければボックスマガジンが空になり新たなボックスマガジンへ交換しなければならなくなる。

ただし、マンスール側のボディガード達が俺達の潜伏している場所を正確に把握しているものなのか分からないが、今の時点で発砲されている7.62ミリメートル弾は1発として、他のチームがいる狙撃ポイント近辺にも着弾しておらず、不必要に丘の麓近くに着弾するばかりとなっており、まるで農作業の素人が開墾のために耕したような感じで不恰好な迄に掘り繰り返されている。

「マイク、双眼鏡でEVOLYS軽機関銃を発砲している連中を可能な限り拡大した状態で見て、奴等が使用しているEVOLYS軽機関銃のアッパーレシーバーにアングルベースが装着しているか確認してもらえるか?」

隣にいるスポッター役のマイクに頼んでみると、マイクが手にしている双眼鏡の倍率を最大限まで引き上げてマンスールの邸宅の壊れた窓からEVOLYS軽機関銃を発砲している敵の顔近くを覗きながら

「ジョージ、少なくとも双眼鏡で見た感じでは奴等のEVOLYS軽機関銃のアッパーレシーバーにアングルベースは装着されていないようだなぁ。それと奴等が使っているスコープは、ELCANスペクターDR SU-230のようだ」

と双眼鏡を覗いたままの姿勢で俺に伝えてくれる。

アングルベースとは、ライフル銃等で超距離射程を撃つ場合に高性能なスコープを装着していたとしても一定以上の射程距離となればスコープに備えられているエレベーション・ダイヤルの調整範囲を超えてしまうケースが発生して、適性な照準を行うことが不可能となるのを防ぐために緩やかに前傾したスコープ・マウントの取付けパーツのような物であるが、そのアングルベースをライフル銃等の銃器本体に装着した上にスコープ・マウントを取り付けてスコープを載せればエレベーション・ダイヤルの調整量を超えた部分を補えることが可能となり、ロングレンジでスコープを使っての照準が可能となる。

因みに、俺達3人が使用しているライフル銃にはアングルベースが支給された時点で装着されており、そのアングルベース上にスコープ・マウントを取り付けてMark4M3タイプのスコープが乗せられているので、1マイルの射程距離での狙撃には何等の問題も生じていない。

敵が使用しているEVOLYS軽機関銃のアッパーレシーバーにアングルベースを装着することなくELCANスペクターDR SU-230のスコープを使っているのであれば、どう考えても1マイルの射程距離にエレベーションを合わせるのは不可能と考えて間違いない。

奴等がEVOLYS軽機関銃の1つ前の世代であるミニミ軽機関銃を使用しているのであれば、アングルベースなしで勘に頼った銃撃をしてくるのであれば理解しないでもないが、それはミニミ軽機関銃の構造がベルトリンクで繋がれた弾薬を銃器本体に装填する場合に、チャンバー近くのアッパーレシーバーが蓋のような造りとなって、その蓋の部分を開いたうえでベルト状の弾薬を指定された位置へ装着するため、アッパーレシーバー上にスコープ等の照準器を装着することが物理的に困難なのだが、EVOLYS軽機関銃であれば給弾仕様が銃器本体の左側から行える構造となっているので、アッパーレシーバーは最初から光学照準器等が取り付けられるように統一規格のレイルが備わっている筈で、奴等がアングルベースを保有しているのであればEVOLYS軽機関銃のアッパーレシーバーに装着するのは決して困難な話ではない。

しかしながら、1,000メートル近く離れている相手にアングルベースなしで銃器を発砲してくるというのは、マンスール側としても邸宅から1キロメートル以上離れた不審人物と銃撃戦を展開するつもりは最初から無かったということなのだろう。

「ジョージが窓ガラスを吹き飛ばした窓から軽機関銃を発砲している敵の1人を狙ってスティーブが狙撃を行う」

スティーブのスポッター役となっているセルジオが無線連絡を入れてくる。

その直後に、スティーブとセルジオが潜んでいる地点から338ラプアマグナム弾を発砲した「ドォーンッ」という音が響いてくる。

スティーブが支給されたKIVAARIライフル銃から発砲音が響いてから、僅かな間があってスポッターのセルジオから

「こちらから見て右側でEVOLYS軽機関銃を発砲していた射手にヒットした」

と敵の1人の狙撃に成功した旨の連絡が無線で届くと、マンスールの邸宅からのEVOLYS軽機関銃によるフルオート射撃の発砲音が止まった。

マンスールの邸宅で、EVOLYS軽機関銃を発砲していたボディガードは仲間の1人が射殺されたことで慌てて窓から離れて新たな応援を求めに言ったのか、或いは新たな攻撃オプションを行使するために場所を移動したのかもしれないが、2挺のEVOLYS軽機関銃をフルオートで各々100発以上は発砲している筈で、足元の廊下には無数の7.62×51ミリメートル弾薬の空薬莢と弾薬を連結していたベルトクリップがエジェクションポートから弾き出されて足の踏み場もないような状態となっているだろうから、廊下と靴のソールとの間に空薬莢やベルトクリップが挟まり滑り易くなってEVOLYS軽機関銃を抱えたまま転倒してしまうだろう。

手にしているのが比較的重量の軽いM4系のアサルトライフル銃ならば、片手を銃器本体から離して受け身もとれるだろうが、銃器本体の重量が6キログラムもあるEVOLYS軽機関銃では簡単に片手を離すわけにもいかず、受け身を上手くとれなければ抱えているEVOLYS軽機関銃が身体に当たって打撲傷くらいでは済まないことになるかもしれない。

2挺のEVOLYS軽機関銃によって行われた反撃が中断したことで、マイクは双眼鏡を覗きながらマンスール側の新たな反撃体勢を監視していたが

「こちらから見て9時の方向、建物の1階に新たな動きを発見した。恐らく敵は、84ミリメートル無反動砲による砲撃を行うと推察される」

そう叫ぶので、俺もスコープを建物1階の左側へ向けてみると建物の扉が開いて3人の男達が走っているのが見えた。3人のうち2人は、カール・グスタフ84ミリメートル無反動砲というか、正式には84ミリメートル無反動ライフルを持っているのは見え、あとの1人は10発以下と思わるが84ミリメートルの砲弾を収納しているケースを提げて2人の後を追い掛けるように走っている。3人は、建物から3メートルくらい離れた所にある高さ80センチメートルくらいにブロックが積み上げられている場所へ身を隠す。

恐らく、積み上げられたブロックの陰で84ミリメートル無反動ライフルに砲弾を装填するのだろう。

俺は、マイクからターゲットの変更指示が出されていないがニーリングの射撃姿勢のままで3人が身を隠している積み上げられたブロックへ照準を合わせている。

すると、84ミリメートル無反動ライフルを構えた1人が、ニーリングの姿勢で俺達の方に向かって無反動ライフルを発砲しようとしている。

直ぐに俺は、マイクに84ミリメートル無反動ライフルを構えている男を狙って発砲すると告げるとゲパードGM6リンクスライフル銃のトリガーを引き始めた。

ゲパードGM6リンクスライフル銃のバレル先端に装着されているコンペセイターから発射炎と衝撃波が吐き出され、発砲音の直後に「ガッシャーン」という音を鳴らしながらバレルが勢い良く後退し、エジェクションポートから約10センチメートルの空薬莢が弾き出さるのと同時に、相手も84ミリメートル無反動ライフルを発砲してきた。

「ズッガーン」という音と共に、84ミリメートル無反動ライフルの後部にあるベンチュリ・ファンネルからバックファイヤーが噴き出しながら84ミリメートル無反動ライフルの銃口からも白い発射煙を噴出させ、その発射煙の中から84ミリメートル砲弾が飛び出してくる。

マンスールの邸宅から1マイルの距離があるため飛翔している84ミリメートル砲弾を目で追尾することができ、その見た感じでは一目散に走って場所を変えれば直撃を避けるのは難しくないように思えるが、確かに飛翔速度がライフル弾よりも遅いとは言っても84ミリメートル砲弾の場合は直撃を避けたとしても、84ミリメートル砲弾が地表等に着弾した際には即炸裂するので破裂するエリアから逃れていない限りは決して安全な状態にあるとは言えない。

そこが銃弾とは違うところで銃弾の場合は、ターゲットに対して確実に命中させる点による攻撃が成功しなければ目的を達成したことにはならないのに対して、砲弾の場合は着弾後に破裂するので炸裂エリア内にターゲットを捉える面による攻撃と言え、間違いなくターゲットは死傷することとなり目的を充分に達成することが可能となる。

84ミリメートル無反動ライフルを発砲した射手は、いち早く積み上げられたブロックの弾除けに身を隠し、その弾除けに俺が発砲した12.7ミリメートル弾が着弾して数個のブロックを破壊するだけで終わり相手の狙撃に失敗する。

その結果を双眼鏡で見ていたマイクが

「ジョージが84ミリメートル無反動ライフルを発砲した射手を狙ったが、惜しくもブロックの弾除けに命中しただけで射手の狙撃に失敗した」

と無線で連絡をした直後に、飛翔してきた84ミリメートル砲弾がマイケルとガルシアが居る狙撃ポイントから60メートルくらい手前に着弾して「ドォーン」という破裂音を轟かせて爆発するが、炸裂により影響するエリアは凡そ30メートルくらいなのでマイケルとガルシアには特段の影響を受けることはなかった。

目の前に着弾した感じでは、奴等が使用しているのは榴弾のようで懸念していたレーザー誘導弾ではなさそうである。ただし、榴弾と言っても有効射程距離が1,000メートルというだけで、それ以上の距離を飛翔しないわけではないので、簡単に安心ばかりしていられない。

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