短編集❷無口で誰にも好かれたことのない僕、簗川隆の物語
エピソード詳細より 短編集
僕の名前は簗川隆。男子高校一年生だ。
無口で、人から好かれた記憶がほとんどない。そんな僕だけど、家柄だけは誰にも負けない。父は日本有数の財閥の会長で、僕はその跡取りだ。日本には大きく4つの財閥があるが、僕の家はその一つ、「簗川財閥」。他は安田財閥、三菱財閥、そしてもう一つは昔あったが倒産してしまった。僕の家は昔からずっと日本の経済を支えてきた。
母は僕が小学生の頃、癌で亡くなった。あの時から、家の中はどこか寂しい空気が漂っている。父は仕事で忙しく、僕も周りからは「跡取り」として期待されるばかり。だけど、僕は無口で、どこか周囲と距離を感じてしまう。
学校生活
僕の学校は3つの学科に分かれている。進学・就職学科、芸能学科、スポーツ学科。僕はもちろん進学・就職学科に在籍している。
毎日、授業を受け、黙って席に座り、誰ともあまり話さずにいる。そんな僕に声をかけてくれるのは、親友の4人だけだ。
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親友たち
1人目:宮下佳織
幼稚園からの幼馴染で、同い年。僕の父と彼女の父親は兄弟同士の従兄弟だ。彼女は看護師を目指しているが、実は小説家でもある。小説は僕を含めて3人だけしか知らない秘密。
2人目:仲村俊輔
スポーツ学科で小中学校の同級生。僕の亡くなった母と彼の母は姉妹で、彼も従兄弟にあたる。俊輔はプロサッカー選手を目指しており、すでにいくつかの球団から誘いを受けている。
3人目:柳瀬卓郎
芸能学科所属。幼稚園と中学校で同じクラスだった。俳優を目指しながら、人気俳優の将暉さんのマネージャーもしている。
4人目:福原愛莉
芸能学科で女優。高校1年生で僕と同じクラス。アカデミア賞新人賞を受賞した逸材で、売れっ子女優だ。クラスは違うけど、僕に唯一声をかけてくれる存在で、親友以上の大切な友達。
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ある日の放課後、グループLINEからの招集
昼休みが終わり、僕はスマホを見る。
グループLINEに愛莉からメッセージが来ていた。
愛莉「今日の夕方、いつもの喫茶店で集まれる?」
しばらくして卓郎から返事が来る。
卓郎「おう!良いけど、なんかあったのか?」
愛莉「詳しくは言えないけど…喫茶店で話したい。連れて来たい人がいる。」
俊輔「おう!了解!部活終わったら向かうわ!」
佳織「私は仕事終わったら向かうね!」
愛莉「できるだけ早めにね!」
僕は返信する。
僕「了解!」
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喫茶店での待ち合わせ
放課後、僕はいつもの喫茶店に早めに着いていた。
店長が笑顔で迎えてくれる。
店長「お、いつものでいいのかい?」
僕「はい、お願いします。」
オレンジジュースとショートケーキが定番だ。
店長は厨房から顔を出し、愛莉が店を貸し切る話を聞いているらしい。
店長「今日は貸し切りにしたほうがいいかい?」
僕「わかりません。」
店長「愛莉ちゃんから聞いたよ。できれば他のお客さんは入れないでほしいってさ。」
僕は返事をする。
僕「わかりました。」
少しして、佳織が来た。
佳織「もう来てたの?」
僕「1時間前から待ってる。」
卓郎も遅れて到着。
卓郎「お、お前ら早いなあ!」
佳織「隆くんはいつも早いからね。」
店長「何か隠したい話でもあるのか?」
俊輔も汗をかきながら到着し、アクエリアスを注文。
その直後、愛莉が現れ、隣に見覚えのある女性を連れていた。
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国民的アイドル・湊川葵の登場
その女性は「虹☆輪(レインボー☆フラフープ)」のメンバー、湊川葵だった。
みんな驚きの声を上げる。
愛莉「実は葵さん、隆くんに用があるんだって。」
葵さんは照れながら、でもはっきりと僕に言った。
「簗川君、私と付き合ってください!」
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友達たちの反応と会話
佳織「え?それってどういうこと?」
卓郎「マジか?恋愛禁止じゃなかったっけ?」
俊輔「でも応援するよ、気をつけてね。」
愛莉「隆、葵さんのことよろしくね。」
僕は心の中で混乱しながらも、彼女のLINEを交換してその日の集まりは終わった。
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数日後、葵さんからの連絡
葵「明日、時間ある?」
僕「はい。」
ライブ会場に向かうと、北海道・東北の『雪の魔法人女 極寒のミラクルgirl’s』、関東・中部の『虹☆輪(レインボー☆フラフープ)』、関西・中国・四国の『おおきにコリャ春夏秋冬学園』、九州の『九州女魂 愛と結晶の黒悪魔女』の4グループが出演。
葵さんは舞台で輝き、僕に手を振る。
ライブ後、葵さんの母・紗耶香さん、姉・明梨さん、妹・桜里奈ちゃんと紹介され、彼女たちの温かい言葉を受ける。
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葵さんの家族との交流
紗耶香「隆くん、娘をよろしくお願いしますね。」
明梨「家では少し抜けてるところがあるけど、大切にしてあげて。」
桜里奈「お兄ちゃん、葵のことよろしくね!」
葵さんが僕にキスをして、「私のこと大切にしてね」と囁く。
僕は少し照れながらも「僕でよければ、よろしくお願いします」と答えた。