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冬の海

作者: みひる

冬に来るべきじゃない。

夏でも苦手だけど。



「さっむ」


「まぁ冬だからな」


雪が降って、何で海には凍って積もらないのか不思議でわざわざ海岸まできたけど、塩水だからか。と理科を思い出した。

もっと寒かったら凍るんだっけ?



「あったかい飲み物でも買おうー」


「だな。さすがに寒い」


少し離れたところにある自販機を指差して歩いていく。

あたたかいのは半分売り切れてて、あまり選びようがないけど私は甘いやつにしよう。



「ここまでつき合ってくれたお礼におごるよ。コーラとポカリどっちがいい?」


「おい」


「うそうそ。さすがに」


かしゃん、と購入したココア缶を手渡すと触れた指先が氷みたいだった。



「うわ、指先じんじんする」


「さすがに雪は寒いね」


自分の分を買おうとしたらSuicaの音が鳴った。

私選んでもないけど。



「……奢りあってどうするの」


「同じ学生の立場で片側の負担はよくないかなって」


バイトしてるでしょ。お互い。

そうは思ってもありがたくもらう。

カフェオレを選んでくれたのは意外だった。あったかい。

ぼんやりと立ったまま波の動きをみてると時間が無限にたってしまう気がした。



「絵空事でつらいことがあると海にくるっていうの、分かる気がしてきたな」


「あー、よくあるよな。作品名でねえけど」


「前はメトロノームでも見てなよって思ってたけど」


「ふ、」


笑われるのは予想してなかった。

ココアを飲んでるところをじっと見てしまう。



「なんかついてる?」


「ベタに目と鼻とっていうべき?」


「そういうんじゃなくて。ていうかそろそろ惚れてくれてもよくね?」


あまりにさらりと告白まがいの言葉が聞こえた。

そろそろ惚れるっていうかそんなのもうとっくに。

けどまだ言語化は難しい。



「……考えとく」


「じゃあオッケーってことで」


飲み終わった缶を私の手から回収された。

空いてしまった手には彼の手が。



「末永くよろしくな」


あまりに温かいその声に視線をそらして頷くことしかできななった。

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