父の処世術
一部、実話も含みます。
高度経済成長期を生きてきた、父の田中将太は、とても有能とは言えない人物だった。
物事の判断力は弱く、優柔不断な性格である。
そのため、子供の学費の計算はせず、無計画すぎた。
ギャンブルはせず、真面目だけがとりえなのだが、とても、バブル崩壊以降のリストラに耐えられない人材なのである。
マイホームを建てて、多額の住宅ローンをかかえても、平然としていた。
自分が定年まで勤まるという確信があったのだろうか?
まず、水道局の公務員になったのは、昭和の金の卵と呼ばれた時代のナゴリからである。
あの時代は、公務員は、無能な人材がなるものだとされたのだ。
それが、平成不況以降、評価が逆転し、公務員天国になった。
彼は、大きな挫折を知らず、テングになっていたのかもしれない。
不況しか知らずに育ってきた息子の広道には、理解できないことであった。
今の時代なら、発達障害気質で、短期記憶力の弱い父は、正社員就職も、結婚もできなかったと思われる。
ただ、人当たりが良いという処世術で、掃除などの雑用をこなしていたのである。
社内ニートに近い父は、無能だったのだ。
文字数が少なくて、申し訳ございません。