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入学式 ~襲来、そして……~




ーーー午前9時00分、アカデミー高等部体育館にて、新1年生の入場を以て高等部の全校生徒が集い、現在は学園長であるラライヤの挨拶が行われている最中。


 転校生であるセイルは、まだ身長を確認していない段階の為、2年C組の最後尾のパイプ椅子に着席中だ。


 転校生紹介もきちんと出来ていない段階の為、戻ってくれば恒例の「質問タイム」が殺到することになるだろうな~……と内心思いつつ、校章の入った台で挨拶をしている学園長・ラライヤを見ているセイル。


(ラライヤ・クラン……。父さんにとっては、<許せない人間>の一人……。結果として父さんに「無能の烙印を押した」罪深き戦犯の、一人……)


 その顔には決して見せていないものの、セイルの内心では底知れぬ怒りがメラメラと燃え上がりそうな状態であった。

 今はまだ、その怒りを外に向けるべきではないと理解はしている。……何より、父との約束で「ヒーローになる為に、許可が出るまでそれに関わることは口外してはならない」と厳命されているから。


(父さんも水面下で動いている。あの人に一泡吹かせるのは父さんの役割だから、僕が出ることがあってはならない……)


 そんなセイルの感情などつゆ知らず、ラライヤの挨拶は続く。


「そして、今日は入学式に相応しいとても良い好天に恵まれ、御柱様と神託者様もとても喜んでいらっしゃるでしょう。お二方の祝福を晴天の元、新入生と転入生の皆様がお受けできる……とても喜ばしいことでございます」


 なお、ラライヤの年齢はセイルの父・ティアックの一つ上であると聞いているが、実年齢に比べるとかなりの若々しさだ。下手をすると、神託戦争当時の頃から歳を取っているのか疑わしくなってしまう。


 ラライヤの挨拶が終わり、次は高等部生徒会長のアイラ・ヒイラギザワの挨拶となる。


(ヒイラギザワ家令嬢、アイラ・ヒイラギザワ……。聖英傑12家には入っていないものの、プラチナムパレスの支援者である一家・セノウ家との繋がりから同じく支援者として関わる旧時代の武家の末裔。現在、セノウ家の令嬢は中等部に所属して、あちらで生徒会長をしている。厳格な家らしいから、セノウ家の令嬢同様に文武両道なのは間違いなさそうだな)


 長い後ろ髪を首の付け根の位置から縛り、緩く束ねた青い髪。とてもサラサラした綺麗な髪質なのでみんなに言われなくても分かるレベルだろう。


「ーーー中等部から引き続き新入生となった皆さん、そして、外部の学校から当アカデミーへいらした新入生・転入生の皆さん、本日は高等部へのご入学おめでとうございます。生徒を代表し、歓迎の意を表したいと思います。これからの高等部での3年間、悔いの無い学校生活を送れるように頑張って下さいーーー」


 恐らく詰まった時用のカンニングペーパーは持ってきているのだろうが、それに見向きもせず、流暢にスラスラ話せるあたり記憶力もしっかりしているのが分かる。現在の<英傑組のリーダー>だけあり、佇まいも凛としていた。


(……見る限り、英傑組の関係者は2階の作業通路で上から状況を監視している感じだな。……見覚えのある女子の顔がちらほらと……)


 セイルは顔を極力動かさず、バスケットボールのゴールポストを動かしたり2階側の窓を開閉をする2階作業通路に視点を見やると、少なくとも4名の女子生徒が暗幕をバックにして入学式中の生徒や教師、そしてステージ側にて挨拶の言葉を続ける生徒会長且つ自分達のリーダーであるアイラの状況を確認している。

 何か異変があれば、ハンドサインやジェスチャーやらで合図を送り、異常に対処出来る様にしている。……といったところだろうか、とセイルは見立てていた。







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 セイルが最後尾のパイプ椅子で色々と状況分析をしているのと同時期。


 C組生徒の列では真ん中からやや後ろの方のパイプ椅子に座っていたマリナは上の階を見やると、2階の作業通路で監視を行っている「もしかすると自分の未来の可能性だった姿」である英傑の少女達の姿があった。


(……やっぱり、そこにいるんだね……。私は、選ばれなかった。…………でも、アンタは「そっちにいる」んだね。……メノウ……)


 マリナは一度見つけた後、意図的にメノウと呼ぶ少女のいる東側の上座通路を見ないようにしていた。

 恨んでいる……という訳ではない。


 何で自分だけ?何で彼女だけ?悔しい、羨ましい、悲しい……色んな感情が入り交じり、<あの日>以来、口を開いて面と向かって話すことが少なくなったどころか、無くなってしまっていた。


……簡単に言えば、「同じ志を持って、同じ目標に挑んできた掛け替えの無い<親友だった>」のだから。


 過去形だ。


 今は、友人と呼んでいいのか、マリナ自身には……分からない。


 だから、<親友だった>なのだ。


 だが、マリナは気付かなかった。

 マリナが一度見て、即座に向きを戻してしまった後、そのメノウは「悲しい顔をしていた」ことに。


 その表情には「申し訳無さ」と、まだ「何か」を言いたいような、そんな顔をしていたのに。


(ねえメノウ……、わたしが「選ばれなかった」のって、何でだろうね……。みんなの中には結構、不純にも感じる動機の子だっているけれど、そういう子だって選ばれているのに……。自己顕示欲が強過ぎるの?……そんなつもりは無い。もしも、わたしの願いが不純だって言うのなら……、TVで見たヒーローやヒロインの様に誰かを助けたいって言うのが、不純だって言うのなら……)


 マリナは生徒会長の挨拶を聞くことなく己の内で「何故」と「自問自答」を繰り返す。


(御柱も、神託者も、一体何を求めているのよ?何を基準にして、「英傑を選んでいる」のよ……?)


ーーー<あの日>から、自分の心と尊厳を傷付けられたと思った時から、マリナ・ヤオという名の少女の心はパズルのピースの様にバラバラに崩壊してしまった。


 メノウ・ナナカヤは選ばれた、なのに、マリナ・ヤオは選ばれなかったという、簡単であり、極めて残酷な運命の歯車のせいでーーー


 最近はそれを埋める為に、人助けを積極的に行うようになったけれど、実質自己満足と自己顕示欲を満たしているだけではないのか?馬鹿らしくないのか?と思い詰めてしまうことも多々ある。


 だけれど、自身のパーソナリティーを崩したくはない。何かしらの形で誰かを救えるようになりたいと、無い物ねだりを延々と繰り返している。


……それが今の、マリナ・ヤオという少女の今の姿なのだ。


 半ば思考停止をしたまま、両手をむにむにと弄り回している状態を繰り返して項垂れたまま、入学式のプログラムが終わるまでじっとしようとしているマリナ。


 そんな中だ。


ーーー体育館全体にサイレンの音が鳴り響く。


 しかしそれは、火災や地震で使われる物とは異なる音。……寧ろ、戦争の空襲警報を連想させるような、極めて緊急性の高いレベルで用いられる「非常にけたたましい音」でのサイレンであった。


<ーーー緊急事態発生!!緊急事態発生!!……こちらは、「白金宮殿」の広報部です。ジパニア防衛隊より、アンノウン接近警報が発令されました!!アカデミーへの接近が予想されますので、生徒・職員の皆様は直ちに誘導に従い、避難を開始してください!!……これは訓練ではありません!英傑の皆様は、迎撃の用意に移って下さい!!……繰り返します!……緊急事態発生!!緊急事態発生!!ーーー>



 そのサイレンは、英傑に選ばれし少女達にとっては、スクランブル発進を意味する音。


 既に一般の来賓や職員用ホロフォンには緊急警報の通知が届き、「直ちに避難せよ!!」というメッセージと警報音が鳴り響いているが、英傑専用のホロフォンでは本日の出撃シフトに合わせて「現在の指令内容」が通達されている。


 既に2階の作業通路で監視の為に待機していた4名は指令内容に従い、下座側になる2階の南側非常用出口目掛けて走り出し、即座に扉を開けて出て行ってしまっていた。


「皆さ~ん!急いで、近くの出口から誘導に従ってシェルターへ避難して下さ~いッ!!」

「シェルターの収容制限には余裕がきちんとありますから、順番を守って!!」


 警備担当の教官達数名が大声で誘導を行っているが、如何せん数が多く、明らかに捌き切れていない。


 しびれを切らせたマリナは、自分も誘導を行うことを選ぶ。


「無理に押し出さないで!怪我人が出るから、焦らず騒がず!」


 緊急事態で自主的に動ける人間は限られる。大人ではないマリナの様な人間は結構稀である。


 手で仰いで「進め」「停まれ」とハンドサインを繰り返していく。


「……これで……ラスト!もう大丈夫だから、焦らずにシェルターへ」

 新1年生の女子2名がシェルターへと入って、体育館内の誘導は終わった。

ーーーが、マリナはまだ行動を止めない。


 体育館を出ると、旧クラブハウス棟へと向かう。

 

 ここは、様々な事由で落ちぶれた生徒や不良扱いをされている生徒達が<落伍者(ドロップアウター)>として生活している空間であると同時に、そういった面々を保護する「溜まり場」としての機能を持っている場所。


 旧クラブハウス棟にいる生徒の中には生きる理由を失って、半ば廃人の様な生き方をしている者もいる。

 逃げ遅れて死んでしまっては、目も覆えない。


「……ヤオか」

「番長!」


 入り口前で2m近いがっしりした巨体の男性が、どっしりと構えて立っていた。

 旧時代の「バンカラスタイル」を踏襲した学ランを半裸の上半身で羽織って、どこからか調達した大きなズダ袋を肩に担いだ姿は、まさに「旧時代の番長」と言っても過言ではなかった。


「……旧クラブハウス棟(ここ)にいる生徒達は全員、俺達が避難を済ませた……。お前もそろそろ、シェルターへ急いだ方がいい」


 マリナの意図を理解した番長……ルーグ・ダイモンは、無駄な行動を取らせる前に一言。

……だが、マリナはシェルターへ行こうとはしない。


「……また、いつもの癖が出たか?」

「…………」

「<混沌領域(カオティック・ゾーン)>に近付かないと、いつもの様に約束できるか?……ヤオ」


 静かにコクンと頷くマリナを見て、苦笑いを浮かべながら「無理は、するなよ」と、ルーグはズボンのポケットから小さい青い石が付けられたペンダントをマリナへ手渡す。


「……理由は聞かない。……だが、危険だと思ったらすぐに逃げ出せよ」

「勿論!」


 感謝の挨拶と共にルーグへ手を振り、マリナは再び走り出す。

 


 彼女が向かおうとするのは……ーーー







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





 ラ・ピュセル・アカデミーから北西2.1km先にある、ミハシラノオカ第3商店街。


 23年前に終結した神託戦争から、僅かに残っていた存在が繁殖している異星生命体<メタリオ>の残党が、英傑と生存権を掛けた戦いを今も繰り返していた。


 メタリオが不定期に出現して、英傑が討伐を行って出現ポイントを潰して……といった具合で。




 聖英傑12家の一つ・セノウ家の令嬢にして中等部生徒会長ユキエ・セノウ、そしてその右腕である副会長イスターシャ・サワキの中等部3年の2名、高等部2年のリーダー格(自称)シャーナ・ネモネア、マキ・ジーパ、ルベラ・ユキトウ、そしてメノウ・ナナカヤの4名で、計6名が中央講堂の転送用魔法陣を介して瞬間移動を完了、配置につく。


 英傑達は、御柱の代行者である神託者の力を受けて、超人的な身体能力を手に入れている。

……しかし、それだけでは実戦では対抗し切れない為、与えられたもう一つの力を行使する必要がある。


 それこそ、御柱の力……神の力を宿した装備<神装(じんそう)>である。


 6人は静かに目を閉じると、6人それぞれから眩い光が放たれ、それが落ち着くと皆、武装が済んだ神装を纏った形態へと変身が完了する。


 弓や銃器を操るのに適したマントと防御用パッドを装着した<神装・ホークアイ>をユキエ、ルベラが。

 大型の重装備を取り扱う、大きな肩アーマーが特徴の<神装・ファフニール>をイスターシャ、シャーナが。

 そして、女騎士の様な鎧とミニスカートというややアンバランスな構成の近接戦闘用の<神装・キングアーサー>を纏ったマキとメノウ。


 一部外見に差はあるものの、同じ名である以上は基本性能はほぼ同じ。それをどう扱うかは、纏った少女達次第だ。


 

「……所詮は一度敗れたメタリオ。雑魚相手はさっさと終わらせて、入学式の続きをやるわよ!」


 先陣を切るのは、ハルバートを持つシャーナ。

 大きな斧と槍で構成されたハルバートを前へ突き出し、一気に突っ込む。


 泥人形型の<マッディ>を3体同時に串刺しにし、更に横へ振り回して3体全てを両断する。


「ふふっ、ざ~こ。戦乙女様を甘く見るからよ」


 後ろから急襲するもう1体のマッディも、既に気付いているかの如く、流れる様に斧を振り上げて首を切り落とした。

「だから雑魚って言ってるじゃん。……ワンパターンなのよ。もっと強い敵を出しなさいって」


 上から目線なシャーナの先陣で、隙が出来た敵陣を更に追い詰めるべく、弓矢型の神器を持つユキエとマスケット銃型の神器を持つルベラが直ちに援護攻撃をかける。


「ルベラ先輩!」

「ええ!……あのバカ……、調子に乗り過ぎなのよ!何でいつも相手を見下すようなことばっかり……!」

 弓矢からは光を帯びた矢が、マスケット銃からは銃口よりも大型の光の弾丸がそれぞれ放たれ、位置的にルベラの背後となったメタリオの進行ルートから続々前進する敵の群れを撃ち落としていく。


「てやあぁぁぁあーーーーーーっ!」

 マキのツヴァイヘンダー型の神器が、刃の部分より更なる光の刃が形成され、それを前進しつつ自身も回転。グレムリン型の<グーレ>、大熊型の<グリーズ>、甲冑型の<クラッド>といったメタリオを複数体巻き込んでバラバラに切断する。


 この時点で乱戦に突入しているが、イスターシャとメノウは慌てず騒がず。


「メノウ先輩、お先に参ります」

「……ええ、気を付けてね」


 イスターシャは先端に4個の銃口がある騎士槍<ガンランス>型の神器を前に向けると、まるでミニガンを構えるかのようにメインの柄と、違う位置に配されているもう一つの「引き金の付いた柄」の二つを両手でそれぞれ持つと、銃口の付いた部分から槍の先端部が回転を始め、文字通りにミニガンの一斉掃射の如く光の弾丸を高速連射する。


 細かい光の弾丸の数々が、複数の敵にビシビシと命中し、倒し切れなくともその圧倒的な数の暴力で敵の群れを足止めすることは出来る。

 そこから一気に突撃し、「失礼致します」という小さい声がした時には、ランスの先端に複数体のメタリオが突き刺さったまま離脱、そして安全な場所まで脱して残心。……ここで、突き刺さった敵は息の根が止まるという訳だ。


 そして、メノウは日本刀型の神器を持つと、(かさね)(刃の反対側の部分)を左手の親指と人差し指の間に添えると居合抜きの構えで集中、数秒後一気に駆け出した。


 ここまで一方的に攻撃され、メタリオ側も負けてはいない。遠距離攻撃を行えるタイプが一斉に怪光線や大岩や石つぶてを放ってくる。


 メノウ以外の5人は次の攻撃用意をしつつ回避に集中。その中でメノウだけは自分に襲い掛かってくる物体だけを見抜き、左右へ素早く躱しながら、素早い動きで前進。

 そして、敵の多い場所目掛けてジャンプ。降り立つと同時に、左手に添えていた刀を抜いて、一閃、二閃、三閃。三回の斬撃を素早く浴びせると、メノウの周りにいたメタリオ全てが時間遅れで、一太刀で両断されて果てた。


 近くの敵ならば武器で受け止め、神の力の加護で補正をされた身体能力で押し除ければ、そこで追撃の一撃。遠距離の敵は、遠距離タイプの英傑が牽制を掛けられないように撃ち落とす。


 神託者から与えられた超人的な力は、地球に侵略する外敵を滅ぼす為の、正義を執行する為の「絶対勝利の力」である。


 英傑とは、地球の防人。人々から称賛されし、最強の防衛力。


 瞬く間にメタリオが打ち滅ぼされていく。


 神託戦争後、一般の防衛勢力でも一応の迎撃手段が整えられ、倒すことが出来るようにこそなったが、それでも英傑のアドバンテージが揺るぐことは無い。

 英傑は超人的な身体能力によって無双が出来るし、倒すスピードも桁違いなのだ。


 英傑が絶対視されているのは、昔も今も変わりはない。



「ハア、ハア……!もう、終わっちゃった……?」


 既に避難済みで人がいない量販店の2階のベランダから、英傑の様子を見届けるべく追いかけてきたマリナ。但し、第三者である為、見つからない様になるべく遠くから見えないようにして……だが。


 マリナが現場に辿り着いた時点で、既にメタリオは全部倒され、その死体が黒化して少しずつ組織崩壊を起こしている最中だった。


「今日もこれで、メタリオ狩りはぜ~んぶ、完了ね。相変わらずの雑魚ばっかりで、退屈しちゃうわぁ?」

 自信満々に勝ち誇るシャーナへ、怒りの抗議を入れるのはルベラ。

「シャーナのバカ!あんたはいつもそうやってるけれど、見ている方はヒヤヒヤものよ!」

「はいはい」と聞き流して、ルベラの説教を嫌がってあしらってしまう。

「大体、まだ完全に敵は全滅出来ていないんだよ?気を抜くには早過ぎるんだ!!」

 信号機の音以外では音がほぼ無くなっているので、ルベラの怒りの説教は10m近く離れているメノウにも普通に届いてしまう。


「……、第1陣はここまでね……」


 メノウは残っていたメタリオの残骸の完全消滅を確認し、喧嘩中?(……というより、ルベラの一方的な噛みつきになっている)のルベラとシャーナにやれやれと呆れつつ、マキから「通信をお願いする」というジェスチャーを受けて、英傑用ホロフォンで一先ずの報告を行うべく通信回線を開く。


「……こちらナナカヤです。126体のメタリオの撃破を確認しました。……防衛隊の報告ではまだ少しいた筈なのですが、先生側から何か変なところで気付いたところはありませんでしたか?」

<……そのことなのだけれど、少し変なのよ……。防衛隊の報告では152体のメタリオが出現していた筈なのだけれど、その内未確認6体含んだ26体は突然姿を消してしまったようなの。貴方達が撃破した126体は陽動なのかも……>


 メノウ達の予測は間違っていなかった。まだ本命がいる。


 現在の担任を務める教官の声より、残った敵は姿を消してしまったということだ。


 それが意味するのは……。


<みんな、目を凝らしてアンノウンを探して。相手の意図が分からない以上、油断は禁物よ>


 教官の通信を聞いている最中、どこかから叫び声が響く。


<……何!?どうしたの?……今の声は一体誰!?>


 メノウが周囲を見回すが、全員声を出している訳ではない。


「……分かりません、我々ではないみたいです。……だとすると……、……?」


 メノウが次の言葉を出そうとした時、後ろから<何か>が接近する感覚が迫った。


「後ろ!!……メノウ先輩、後ろに何かが……!!」


 イスターシャの叫びも響く。


 分かっている。……分かっているからこそ、やや苛立ちながら、後ろを振り向くとそこには……、




 体が球形で、その周りに腕みたいな結晶体が4つ球形を軸に組み込まれた巨大な<何か>が、じわじわと実体を現わしていた。


 それの腕らしき部分の一つには、先程の叫び声の主らしきアカデミーとは異なる学校の制服の少女がぐったりとしたまま捕まっている。

 更にはその周辺に、結晶体が人の姿を無理矢理模したかのような人形みたいな存在もぞろぞろと現われている。


 メノウは攻撃を掛けられる前に即座に後ろへ跳躍し、敵の攻撃が始まる前に既に集合したみんなの元へ

入る。


「……先生、最悪です。……正体不明のアンノウンに……、人質が、…………人質が……!」

 ユキエは通信機で、悲壮な報告を教官へと送っていた。




「命を吸われた人質が……、アンノウンに、捕まっています!!」






 天地でございます。


 遂に、戦闘パートへ突入です。


 ヒーローはまだかって?……え?もう英傑が来ているじゃないですか?


 ……いててて、モノ投げないで!!……冗談、冗談です……(汗)


 女の園のバトルものだと思ったら大間違い。


 次回は、遂に皆様が待ち望んだ「ヒーローの出番」ですよ~。


 自分のモチベーションが何とか維持できれば、早めの更新をしたいと思います。 


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