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<序章?>~~プロトタイプ~~ ある時、ある場所、ある少年が……

 ナイクラの本編が書けていない間、リハビリとして考えていた作品であり、「ひろがるスカイプリキュア」を見て書くことを決意した作品となります。


 コロプラのとあるゲームをモデルにしているので、読んだ方なら確実に元ネタがバレる内容となりますので、そういうアンチテーゼが嫌い・許せない方はここで退いて下さい。





 時代は、創世歴2280年。


 西暦が「旧暦」と呼ばれるようになってから幾星霜の年月が流れて久しい頃。



 25年前に発生した世界規模の戦い「神託戦争」によって、世界における防衛力として「英傑」と呼ばれる「異能を手に入れた少女達」が強く注目されるようになった。



 2255年当時、謎の異種生命体として地球に脅威をもたらした存在「メタリオ」に、人類は滅亡の危機に晒される。

 人類の当時作り上げた兵器や兵隊は成す術無く蹂躙され、有機物・無機物問わず重大な悪影響をもたらす「カオティック・ゾーン(混沌領域)」に誰も有効な対策を取れずに地団太を踏んだ。


 そんな困窮した状況に、古い時代より活動している秘密組織「白金宮殿プラチナムパレス」を有する女性だけの教育機関<ラ・ピュセル・アカデミー>が名乗りを上げたのである。


 ラ・ピュセル・アカデミーから遣わされた少女達は「英傑」と呼ばれ、彼女達が「神」と呼ぶ存在である「御柱(みはしら)」の化身……<神託者>から「啓示」を受けることで手に入れた異能の力を以て、カオティック・ゾーンを放つメタリオの軍勢に敢然と立ち向かった。


 その戦いは実に2年にも及び、長い抵抗活動の結果、人類は遂に地球からメタリオを駆逐することに成功、平和が戻った。




 この時代、潜在能力を引き出すロジックが確立されたことで、男性優位になり過ぎていた価値観が大きく見直され、何よりも「男性が女性よりも出来ることが限られている」という点を生物学者たちが見直した結果、世界は女尊男卑の文化が根付いていた。


 そこへ、「英傑」というアドバンテージが更に追加されたことで、その考えは益々根強くなってしまったのだからさあ大変。


 男尊女卑の考え方が旧世紀には存在していることを知った、男性至上主義の過激派がテロ活動を開始し、世の男性にも啓蒙活動を行うといった社会問題も発生するが、女性としての欠点を英傑としての力で完全に補えるようになった女達が鎮圧する……といった事態や逆にそのことを盾に男性を虐げるという逆転現象を形成するのは時間の問題であった。


 しかし、英傑の正式な防衛力としての認知から始まった、メタリオの侵略とそれへの抵抗活動によって、思想面の問題はいつしか薄れていき、結果として女性優位の文化は崩れることは無くなる。




 神託戦争終結後、女性優位の文化は決して崩れることがない盤石なものとなり、当時戦争終結に直接関与した人物12人とその支援者2人、更に新たに仲間入りした3人を加えた面々は名誉ある称号を得て、時代の成功者・時の英雄として名を馳せることになっていく。


 前線で戦った英傑の少女12人は<聖英傑12家>と呼ばれ、元・英傑であった支援者の教官2人には経験者という事情を踏まえて「双剣」の二つ名を加えて<双剣二大師範>として、そして新たなる英傑として仲間入りした3人には<新鋭の三ツ星>と人々から英雄視されていった。






 …………しかし、これには一つだけ、隠された<醜い真実>が存在していた。


 それは、その人物が<男性だから>というだけで引き起こされた問題。

 彼もまた本来ならば、支援者の一人として評価されてもおかしくない立場だったはずなのに。


 …………それを、<男性だから>という事情だけで……。









ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー








————時は戻り、創世歴2280年。


 英傑の存在が益々重要視され、英傑が完全に認められて世界規模でも英傑となる少女が増えていくようになった時代。

 女性の地位は大きく向上し、防衛力としても女性の強さこそが絶対という風潮が強くなっていった。




 そんな中、紛争レベルの問題すら起こらなくなって、英傑の任務が治安維持とテロ活動鎮圧の補助位にまで安定し始めた頃。


 詳細不明の変死体が、日に日に増えていくという異常事態が今や白金宮殿の本部となったラ・ピュセル・アカデミーへと届けられるようになる。


 報告によれば、司法解剖の結果、肉体的な変調は<カオティック・ゾーン>によく似てはいたものの、その病状は「極めて軽度」であり、寧ろその程度での病状で死亡すること自体がおかしいのではないのか?と疑問視するレベルの内容だけが山積みとなっていく。といったものだ。


 そして、現場でも悲痛な報告が上がるようになる。



「今まで負け知らずの英傑が、完全に敗北した」と言うではないか。


 此方の報告では、嘗て対峙した「メタリオ」の下級小型タイプに酷似した尖兵らしき存在には何とか勝てたものの、その後戦うことになった異形の存在には誰も歯が立たずに、それどころかボロボロにされて逃げ帰ってきたのだとか。


 死者こそ出なかったものの、怪我人は増え続け、ジパニア本部である白金宮殿の「本殿」では決して解決することのない袋小路に押し込められたままの「対策会議」という名の首脳陣のボヤキが、延々と繰り返されるようになっていく。


 現時点で、英傑の力でも「包囲結界」の術法さえあれば、謎の敵も何とか閉じ込めることは可能であると結論付けられ、「神託者」の承認を得た上で力の供給を受け続ける方法で辛うじて侵略を<遅延>させることだけは出来ていた。




 謎の侵略者に、再び地球に脅威が迫る。

 しかし、その事態に、英傑が……その上位存在である「神託者」すらまともに対応することが出来ず、皆がただただ歯軋りする。


 そして、最後の異常事態の報告には、今の時代下では「決して信じられる訳がない現実」がしっかりと書かれていたのである……。



 英傑の力すら持てない筈の男性の……しかも少年が、謎の侵略者に立ち向かい、彼らを駆逐しているというのだ。




「どういうことだ!!英傑でも対処できない謎の侵略者に、どうして普通の人間が……!」

 報告書を読んで、驚愕の声を上げたのは、双剣二大師範の片割れとなる<武>の元・英傑が一人、ミレイ・アイムス。

「神託者の力でも完全には防げない、だからこそ彼らの力の源となる素材を使ってワクチン武装を開発したというのに、それですら大した成果も上がらず、なのに……」


 ミレイには訳が分からなかった。

 武を司る者だったからこそ、今は英傑の武装錬成にも関わり、弱点となる物もくまなく探して頼みの綱だった「正体不明の敵の欠片を命からがら手に入れた」構成物質由来の「ワクチン武装」だって開発したというのに、それが全く効かなかったのに。


 どうして、成す術無しの敵に対処出来得るというのか。


「今の戦力で考えられるのは、軍隊でも使用している通常兵器でしょうけれど、あれは当の昔に全く効いていないとお墨付きを貰っている……。どうして普通の人間で、しかも得体の知れない存在と戦えたの……?」

 ミレイが叫ぶのをよそに、自問自答を繰り返し続けていたのは同じく双剣二大師範の片割れの一人<文>の元・英傑、ラライヤ・クラン。

 術法研究、侵略者の習性、分析、あらゆる分野で調べた上で、対策訓練と基礎教育を繰り返し履修させ、いざという時に備えていたというのに、全てが無駄になった?


 その重い現実が、突き刺さっていた。


 周囲の立体映像で出席している各方面の女性首脳陣たちには、彼女たち本部の方針が頼りである以上、何も言い出すことが出来ない。


 いつしか、対策会議の舞台となっていた、アカデミーの中央議事堂は沈黙に包まれ、機械の電子音が静かに鳴り続けるだけとなる。




 そんな中、沈黙を破る足音が、議事堂の外を映す監視カメラのマイクが拾い、議事堂隅のスピーカーより流れた。

 映像には、中肉中背の中年男性の姿。それが、扉へと手を伸ばし、バン!!と軽めながらも大きな音と共に、開かれる。


「……失礼。これ位しなければ、気付いていただけないと思いましてね。会議に集中される淑女の皆様には」


 眼鏡をかけた、カーディガンの四〇代後半の知的な男性が、皮肉を込めた発言と共に自身へと注目するように議事堂の中心へと現れたのだ。

「誰だ、貴様は!!ここは関係者以外…………、…………!?」


 ミレイは抗議の声を向けるのだが、彼の顔を見るや否や、声がそのまま止まってしまった。


 そんなミレイの様子を一瞥だにせず、男性は映像を切り替えつつ、そのまま作業をしながら、

「一応、関係者なので入らせてもらいましたよ。……あなた方に、現実をお教えする為にも……ね」


 ね、という言葉を口にしたのと同時に、端末のENTERキーを押した男性は、現在進行中の「迎撃作戦」という名の英傑の少女達による「侵略遅延の為の抵抗活動」のライヴ映像に切り替える。

そこには、ボロボロの少女達の前に立つ少年が、彼女達の視線を背にして謎の侵略者を睨みつけている状況が。


「さ、……見てもらいましょうか。これから始まる、人類の大逆転の始まりを……」


「一体どうしてあなたが?……いいえそれよりも、あなたと、あの男の子に何の関係があるというの!?」


 ラライヤが男性の言葉を遮るように、映像に映っている事態に関することを問おうとする、が。


「<いつか分かる>……、嘗て貴方が私のした質問に対して、そのようにお応えしたことがありましたよね……?」

「!!!?」

「……尤も、私はあなた方の様に質問の答えをはぐらかして放置するような真似は致しませんので、きちんとお答えしますよ。……但し、<必要最低限>で、ね」


 過去の言葉をフラッシュバックさせたラライヤは、それ以上何も言えなくなり、その反応に呆れた男性は、動じることなく続けることにする。

「今映っている少年は……、私の息子です」

「お前、……結婚していたのか!?……てっきり、過去のことで独り身だとばかり……」

「あなたに私の何が分かる!!!!」

「……う……!」


 今度はミレイの失言に、怒気を込めた男性の声が返ってくる。こちらも、それ以上何も言えなくなった。

 ……男性の方はどこか、怒声の中に怒りとも哀れみとも感じ取れる表情をしていたのだが、ミレイはそれに気付いていたかは……定かではない。

 嘗ての関係であれば、当時の彼は彼女の立場を含めて十分に圧倒できたというのに、そんな自分が彼の「怒声だけ」で怯んでしまうとは……と。


「…………続けましょうか。彼の名前は、<セイル・ツクモ>……これからあなた方に現実をお見せする、私と<彼女>の一人息子ですよ……」


 男性は先程の調子に戻ると、質問に答え、少年の正体を告げる。


「そして、彼の名前を聞いて「お分かりだと思います」が、私も名前を改めております……。私の名は、<ダニー・ドレグ>改め<ティアック・ツクモ>……、あの侵略者<ゼナイヴ>に対抗する力を……」


 そして、一呼吸置いて、もう一度ティアックと名乗る男性は、議事堂にいる人間達に告げる。


「ゼナイヴに対して有効となる力……ガイストセイバーを生みだした<普通の人間>だ!!」



 それは、世界の仕組みに疑問を、そして異議を申し立てる力。


 それが、世界に何を(もたら)すかは……これから分かる。




「ガイストセイバー!!————装攻展開ブースト・アップッ!!!!」

 英傑の少女達の前で、セイルと呼ばれた少年が、武装展開のキーワードを叫ぶ。




 叫びと共に、眩い光が、周辺を包んでいった————




———父親は、<神への怒りと復讐という失望と執念>を胸に。


———息子は、<ヒーローになることへの希望と願い>を胸に。


 親と子の二人が巻き起こす風……否、<嵐>はやがて、世界を巻き込んで彼らに強大なる<結束の絆>を与え、<傲慢なる神ども>が齎す理不尽を断罪するのである———










 天地です。


 仕事の多忙と、現在の治療生活の都合、そしてナイトメアクライシス本編を書けない間の執筆のリハビリ目的で作った作品ですので、きちんと続きを書けるのかは未定となります。


……但し、アイディア自体はどんどん出てくるので、趣味の領域で書いていくことになるかと……。


 アンチテーゼ物として書いていくので、それに関連する要素をぶち込んでいくつもりです。


 

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