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ミニャのオモチャ箱 ~ネコミミ少女交流記~  作者: 生咲日月
第2章

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2-42 ミニャちゃん陛下の大名行列

本日もよろしくお願いします。

明日にも1話投稿します。


「みんな、ミニャとお友達になってくれるかなぁ?」


『ネコ太:大丈夫! みんな、ミニャちゃんのこと大好きになるよ!』


「んー……ホント?」


『ネコ太:ホントだよ! ねー、みんな?』


『乙女騎士:そうですよ! 自信を持ってください!』


「モモグゥ!」


 ミニャの質問に、近衛隊やモグは好意的な意見を並べた。


 事件の翌日。

 朝ごはんをしっかりと食べて、ミニャは賢者たちやモグと共にお引越しを開始した。半日で戻れる位置なので、引っ越し自体は気軽なものだ。


 問題はミニャのメンタル。

 いつもは森を歩くとご機嫌なミニャだが、今日はちょっぴり上の空。幼女は新しい子と会うことに、ワクワク半分、緊張半分といった様子。


 賢者たちは知らないが、ミニャは女神にも同じ質問をしていた。『賢者様は好きになってくれるかな』と。天真爛漫なミニャだが、不安になっちゃうこともあるのだ。幼女だもの。


 夜のうちに賢者たちが作った道は、草刈り後特有の青臭い臭いがする道だった。


 そんな道を、ミニャちゃん陛下の大名行列は進む。

 ノーマルな石製人形はその場におらず、石製フィギュア以上のスペック。つまりは美男美女なフィギュアが非常に多い布陣。好みに合わせて希少石ゴーレムもチラホラ。


『闇の福音:下ぁにぃー、下ぁにぃー』


『ヨシュア:ミニャちゃん陛下のお通りだ。道を開けろ!』


 先頭では闇属性が虫殺しの魔法で刈った草にたかる愚民共を追い払い、その後ろを警備隊やミニャちゃん陛下のお荷物の担ぎ手と続く。荷物は井形に組まれた棒の上に乗っており、それが2基作られた。


 ミニャは荷物持ちがわっしょいしている姿を眺める形で進み、その周りにも分厚く警備隊が配備されていた。ミニャから20mほど離れた場所にも斥候が散っており、急な襲撃に備える。

 以前、森塩草の群生地に遠足に行った経験が活きていた。


 ミニャの身体能力はやはり高く、ぴょんぴょん森の中を歩く。

 予想通り賢者は小走りで、特に荷物持ちは結構大変そうだった。モグは足が短くヨチヨチと歩くので、荷物の中に混じっての移動だ。


 休憩を挟みつつ、ミニャが新拠点建設予定地に到着するのは13時頃となる見通し。




 時は少し遡り、新拠点建設予定地。

 ぐっすり眠る子供たちが起き出したのは10時過ぎ。ヘトヘトになった昨晩は遅くまで起きていたので、8人全員が普段目覚める時間よりも随分と遅かった。


(レネイア:あ、朝からこんなに食べていいんですか?)


(マール:ふぉおおおお……)


 ちょっと遅めの朝ごはんを見て、エルフの姉妹が驚愕した。

 それは他の子供も同じだが、エルフの姉妹は特に感謝しているように見えた。エルフの姉妹の食生活は相当ヤバかったのかもしれない。


 子供にちゃんと食べさせないのは、賢者たちの精神衛生的に悪かった。ミニャに魚だけ食べさせた経験がすでにあるわけだが、その時、自分たちがちゃんとしたご飯を食べることに対する罪悪感はかなりのものだったのだ。だから、食料集めのクエストを受ける賢者はかなり多い。


 食事が終わると、子供たちの下にネムネム率いる近衛隊がやってきた。

 これから、本日のイベントが説明されるのだ。


 カップコースターくらいの大きさの石が、8人の少年少女の前に並べられた。


(パイン:あー! これ、パインだ! ほらほら、お耳があるもん!)


(ルミー:じゃあこれルミーだ!)


(マール:ねえねえ、これ私だよ! お耳が尖がってる!)


(パイン:わぁ、ホントだー!)


 その石にはすでにそれぞれの子供たちの似顔絵が描かれていた。

 自分たちだと認識したので、賢者たちはうむうむと頷いた。


 しかし、プレゼントではない。石に触ろうとした子供たちを手で制し、賢者たちは石を一か所に集めた。


(スノー:どういうことだ?)


(レネイア:これで何かを伝えようとしているのではないでしょうか?)


 真剣に分析しているのはスノー、双子、エルフの姉、ドワーフっ子だ。ただし、ドワーフっ子は発言せずに、何を考えているのか少しわからない。

 一方、イヌミミ姉妹とエルフの妹はキャッキャ。双子も幼いが、彼らは苦労する姉を見ていたからか早熟のようだった。


 賢者たちはそんな中で同じく石をもうひとつ持ってきた。

 堂々のミニャちゃん陛下である。


(レネイア:私たちは8人です。そうすると、この子は?)


 レネイアが言うと、ネムネムはピッと指さして、素晴らしい着眼点だと頷く。見たままを口にしただけなのだが、子供の反応が嬉しくなっちゃった賢者たち。


 レネイアは嬉しそうに笑った。深窓の令嬢みたいな儚げなエルフの美少女が笑うので、ネムネムたちははわーとした。実際にはご飯をろくに食べていないだけだが。


(スノー:湖に落とされた男の子がいたんだ。もしかしてその子かも)


(レネイア:でも、この子には獣人の耳が描かれています。あの子は普通人族でした)


(スノー:あー、そうかも)


 そんなふうにスノーたちが考えていると、周りの人形たちはミニャの絵に対して片膝をついて頭を下げた。この世界の礼儀がわからないので伝わるかは賭けだ。


(スノー:ど、どういうこと? お前、わかるか?)


(レネイア:うーん……もしかして、彼らの主がこの方ということなのではないでしょうか?)


 もしかして天才か!?

 ネムネムたちはそんなふうに思いながら驚愕しつつ、ピッと指さして頷いた。


(スノー:じゃ、じゃあ、女神様ってこと!?)


 それに対してネムネムたちは首を振る。


(レネイア:あ……っ!?)


 レネイアがハッとしたように口を押えた。

 口を押える手は震えていた。


(レネイア:こ、この方は、め、女神の使徒様……?)


 天才か!?

 ネムネムたちは驚愕しつつ、ピッと指さして頷いた。


(スノー:女神の使徒!? あの伝説の? 本当に!?)


 賢者たちはみんなして、伝説級の可愛さだぞと頷く。


(レネイア:こ、これからここに女神の使徒様が来るんですか?)


 近衛隊はピッと指さして、大きく頷く。


 そこからは話が早かった。

 ミニャの石が8人の石に合流すると、全ての石がひっくり返された。

 裏面には子供たちがニコパと笑う素敵な似顔絵が描いてあった。


 ネムネムたちは『仲良くするんだぞ!』と思いつつ、これから起こるイベントを教えることに成功するのだった。


 それから現代日本人の接待ヂカラを見せつけて子供たちを楽しませていると、いよいよミニャがやってくるという知らせがネムネムたちの下へ届いた。




 ミニャたちはあと100mほどの地点で最後の休憩をしていた。休憩というよりも準備だろうか。


『ネコ太:ミニャちゃん。もう少し歩いたら、みんながいる広場に着くからね』


「にゃ、にゃふぅ!」


 道中に賢者たちに励まされて勇気を貰ったミニャは、ふんすと気合を入れた。


 賢者たちは、荷物入れから何やらアイテムを取り出して装備。

 さらに、周りで斥候をしていた賢者たちがどんどんミニャの周りに集まってくる。


「にゃんだそれ!?」


 ミニャも初めて見るアイテムたち。

 それはやっつけ仕事で作られた打楽器たち。数は40程度。


『ネコ太:ミニャちゃん陛下の大名行列、フォーメーションにゃんこ囃子!』


 ネコ太がそう宣言して、カッカッカッと拍子木を打ち鳴らした。

 それに合わせて、賢者たちが演奏を始める。


 カッコン、カッコン、カッカッカッ!

 カンココカンココ、カカッカッ、カッカッ!


 先頭の賢者たちは見栄えのいい小さな枝を持ち、なんかそれらしくフリフリ。荷物隊もリズムに合わせてわっしょいわっしょい! 近衛隊もクッソ下手な踊りを適当に踊って、踊らにゃ損々!


「ふぉおおお! カッコン、カッコン、にゃっにゃっにゃっ!」


 賢者たちが謎の行動を取るのは今に始まったことではない。

 これまでそんな姿を何度も見てきたミニャは、すかさず体を弾ませてリズムを刻みだす。


 ミニャのテンションが上がったことを確認すると、スレッドでニーテストが宣言した。


【510、ニーテスト:ミニャの大名行列、前進!】


 状況がよくわかっていない子供たちに、謎のテンションの一団が急襲をかける!




 広場にいる賢者たちが連絡を読み、仕事の手を止めて一か所に集まり始めた。

 8人の子供たちもついてこいとジェスチャーで伝えられ、賢者たちのそばに集められる。


(スノー:これって、もうすぐ女神の使徒様が来るってことだよな?)


(レネイア:そうだと思います。マール、失礼をしてはいけませんよ)


(スノー:あっ、そうだ。ルミー、パイン、お前たちもちゃんとするんだぞ?)


 姉組に言われて、幼女組は元気に『はーい!』とお返事した。


(パイン:あっ、なにか音楽が聞こえる!)


(ルミー:ルミーも! ルミーも聞こえぅお!)


 真っ先に気づいたのは、イヌミミ姉妹だった。犬獣人は耳が良いのだろう。


 それぞれの賢者たちが出せるのは小さな音にすぎないが、重なることで結構な音になっていた。

 そのリズムが賢者たちに届くと、やはりクッソ下手なダンスを踊り始めた。


 いきなり人形が踊り出したことに、幼女組はキャッキャして一緒になって踊り始めた。


(レネイア:ま、マール、めっ!)


(スノー:あっ、ぱ、パインとルミーもじっとしてな!)


 しかし、すぐに姉組から窘められて、幼女組はしゅんとした。


 少し脅かし過ぎたか。

 それを見たニーテストから指示が飛ぶ。


【561、ニーテスト:ネムネム、幼女組を一緒に踊らせろ】


【562、ネムネム:合点承知の助(*’▽’)踊らにゃ損々!】


 近衛隊は幼女たちの足をペシペシと叩き、幼女たちも踊りに誘う。

 幼女たちは姉の顔を見上げると、姉組は困惑したような顔で頷いた。しかし、幼女組には困惑顔など関係ない。一緒になってズンズンと踊り、たーのしー!


 そして、ついにその一団が現れた。


 美麗なフィギュアたちが、列を成して森から現れたのだ。


 先頭を行く賢者たちが枝を振ると、虫殺しの黒い霧がふわりと出て道を払う。黒い煙は賢者の感性からすると邪悪に思えるので、そこから続く賢者が光の玉を浮かせて善性を演出。

 首から吊り下げられた楽器を叩く賢者たちがリズムを刻み、それに合わせて荷物持ちがわっしょいわっしょいと登場! その上にはモグが乗っており、手をワタワタしてノリノリだ。


 そして、たくさんの人形を率いたミニャちゃん陛下が、ついに子供たちの前に姿を現した。

 賢者たちの策謀により、テンションバカ高の荒ぶりにゃんこの状態で。


 ミニャは子供たちを見るとニコパと笑いながら、ズンズンダンスを披露する。


(レネイア:あ、あれが女神の使徒様?)


(スノー:えぇ!? 普通の子じゃないか。あいつの父親とか姉ちゃんとかじゃないのか?)


(レネイア:ですが、あの石に描かれていたのはあの子のはずです)


 姉組がそんなことを話している間に、ニーテストから指示が。


【601、ニーテスト:先頭は大きな円を作るように移動。円ができたらそのまま踊れ。近衛隊はその中に幼女組を取り込め!】


 ミニャと仲良くできない者はこの地にいらない。将来的にはそういう者も受け入れる必要もあるかもしれないが、いまのこの段階ではそんな余裕はない。

 ならば、大人として仲良くなれる橋渡しを行なって、導いてあげなければなるまい。


 先頭の賢者たちの誘導によって、ミニャちゃん陛下の大名行列は円陣を組む。

 ニーテストの策謀により、楽しいこと耐性ゼロの幼女組がその円に取り込まれた。


【602、ニーテスト:よし、いいぞ! 近衛隊! 双子とシルバラを取り込め!】


 ニーテストの無茶ぶりに近衛隊は大忙し。

 しかし、近衛隊はこういう時のためにいる存在だ。これまで培ってきたホワイトヂカラを発揮する時!

 体はフィギュア、中身は大人な賢者たちの術中に嵌り、双子とドワーフっ子も取り込まれた。


 ニコパとするミニャ。

 わちゃわちゃと変な踊りをする美麗な人形たち。

 そんな中で楽しそうに一緒に踊る弟妹。

 こうなってはもう勝敗は決した。


 瞬く間にスノーとレネイアも円の中に取り込まれる。

 いま、森の中で謎の儀式が佳境を迎える!


【651、名無し:これぞ猫踊りの計! キッズに抗う術はなし!】


【652、ニーテスト:よし、そろそろ良かろう。ネコ太、良い感じに終わらせろ】


【653、ネコ太:無茶ぶりぃ!】


 それでもネコ太は応えるために尽力した。


【655、ネコ太:私が両手をバッてやったら、『トントコトン! トン!』のリズムで終わって!】


【656、工作王:俺の楽器はどこがトンでどこがトコなのかすらまだわかってないんですが!?】


【657、ネコ太:いいからやってよ! 演奏が終わったらすぐに賢者たちが率先して拍手! そうすればミニャちゃんも拍手するから!】


 円の内側に入ったネコ太が、バッと両手を挙げた。

 それを見た楽器係はテンでバラバラに演奏を終えた。練習などしてないし無理はない。


 それをごまかすように、賢者たちは一致団結して拍手を始めた。

 肉がない賢者たちの拍手の音はカチカチと硬い。しかし、ミニャは何度も聞いているので違和感がなく、すぐにキャッキャしながらパチパチと手を叩いた。


 それに釣られて幼女組も楽しげに拍手する。

 拍手の雰囲気に流されて、他の子供たちもパチパチ。


 ここに猫踊りの計は成った。


読んでくださりありがとうございます。


ブクマ、評価、感想大変励みになっています。

誤字報告も助かっています、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
たーのしー!
やはり日本の義務教育が力を発揮しているのか、良い感じに歓迎を演出できてますね。 恐らく賢者達のたどたどしさも、雰囲気が固くなり過ぎることを防いでいる。良きバランス。
やりますねぇ!
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