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ミニャのオモチャ箱 ~ネコミミ少女交流記~  作者: 生咲日月
第1章

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35/283

1-28 闇夜のサバイバー

本日もよろしくお願いします。


≪サバイバー:それじゃあ偵察に行ってくるよ≫


≪ニーテスト:ああ、任せたぞ。それと、こっちに何かあったらすぐに呼び戻すからな≫


 チャットルームで挨拶し、サバイバーはミニャのお家から出発する。


 搭乗するのは活動時間マックスの花崗岩人形。

 魔力が少ない代わりに、運動性能に優れた人形だ。活動時間は240点、つまり4時間。

 そんなサバイバーは背負子を背負っており、そこに誰も宿っていない女神製のカカロン人形が括りつけられていた。


 ブリザーラの犠牲により、賢者召喚のルールがまたひとつ発見された。


★賢者メモ ミニャのオモチャ箱ヘルプ★

『賢者召喚のルール 召喚範囲』

・原則としてミニャの10m以内にある人形にしか召喚できない。ただし、召喚されている賢者が1人でもそばにいれば、遠地にある人形に対しても賢者召喚を行なえる。つまり賢者が中継器になる。

・クエストに使用指定した人形も、そばにミニャか賢者がいなければ起動できない。いない場合はクエストが不発に終わる。

★・★・★


 このルールが直ちに検証され、ゴブリンの監視に向かっていたサバイバーへすぐに帰還命令が出た。

 遠地でも召喚できるのなら、作戦の幅がグッと上がるからだ。


 そのために重要なのが、サバイバーが背負う誰も宿っていないカカロン人形である。

 この人形に賢者を宿らせて新しい人形を作らせれば、遠地の地下で勢力を作れちゃうのだ。

 この恐ろしいルールを知り、賢者たちは震撼した。


 ミニャのオモチャ箱はガチで王者の能力なのでは、と。


 サバイバーは川を軽々と越え、ゴブリンの集落に向けて夜の森を駆ける。その走りにカカロン人形を背負っているハンデは見られない。


【59、ラグーン:こいつを見てると、女神に誘導されて賢者になったやつがいる説はマジだと思うよな】


【60、闇人:我のことか】


【61、ネムネム:おめえそれはかんちげぇだぞ(*‘ω‘ *)あたしはガチだがな!】


【62、闇人:なにを! 我だって選ばれたし!】


 専用スレッドの住民を驚かせるサバイバーは、ふと足を止めて素早く木の幹を1mほど登った。


『サバイバー:見て。動物だ』


 サバイバーが指さす先にはタヌキっぽい生き物が2匹いた。距離は10mほどか。


【72、中条さん:こっち側はゴブリンの縄張りかと思ったけど、動物はいるんですね】


【73、雷光龍:夜だけじゃないか? タヌキってたしか夜行性だよね?】


『サバイバー:いや、これはもしかして、ゴブリンの影響を受けているかもしれないね』


【77、中条さん:どういうことですか?】


『サバイバー:タヌキなんかは昼にも活動するけど、人間に狩られるから夜に活動する割合が増えたと言われているんだ。地球だと、他の動物の影響で活動時間を変える動物は多い。異世界だと人間だけじゃなく魔物もその役割を担っているかもしれないね』


【80、カーマイン:なるほど。そうするとゴブリンが昼行性の可能性は高まりますね】


『サバイバー:ああ。それをこれからはっきりさせよう』


【83、ニーテスト:それで肉食獣っぽいヤツの痕跡はあるか?】


『サバイバー:この辺りでは今のところ発見できていないね。ただ、6km以内に狼系の動物がいると思う。遠吠えが聞こえただろう? 俺たちの耳に聞こえるということはそのくらいの近さだ。まあ異世界だから魔法的な遠吠えの可能性もあるけど』


【86、ニーテスト:方角はわかるか?】


『サバイバー:下流方面だね』


【89、クライブ:下流6kmとなるとめっちゃ近いじゃん。こっちに流れてこないか?】


『サバイバー:うーんどうだろう。森がかなり広いのならわざわざゴブリンの領域に入る必要はないと思う。狼からすれば、さらに下流や東側に行けばいいわけだしね』


【91、タカシ:でもその理屈だと、ゴブリンが防波堤になっているってことだよね?】


『サバイバー:まあそうだね。ヤツらの縄張りを嫌っている動物はいるだろうし、逆にあのタヌキみたいにリスクと同時にリターンを受けている存在もいるはずだ』


【94、雷光龍:でも、隙あらば滅ぼすつもりなんだよな?】


『サバイバー:それはそうさ。同じ領域に王は二人いらないからね』


【95、ネムネム:思考が戦国武将なんだよな(;’∀’)焼き討ちじゃーっ!】


【96、キツネ丸:名言いただきました!】


【97、ネムネム:うむ、名言集にいれておけ(。-`ω-)焼き討ちじゃーっ!】


【98、キツネ丸:お前じゃねえよwww】


【99、ヨシュア:でも、僕もその通りだと思う。王はミニャちゃん陛下だけだよ】


 と、そこで新参の賢者が書き込みを行なった。


【101、竜胆:私は新参でまだ過去動画を見ている段階なんだが、ひとつ検証を提案したい】


『サバイバー:どうぞ、無理がないならやるよ』


【102、竜胆:ありがとう。魔法の光が漏れないように水の武器を魔法で生み出してみてくれないか? 異世界だし、魔力に敏感な獣がいるかもしれない。もしすでに検証がされているのなら申し訳ない】


【103、ネムネム:賢そう(;’∀’)有能や!】


【104、中条さん:すみません、実は竜胆さんは私がスカウトしました。必ずミニャのオモチャ箱の役に立つ人だと思ったんです】


【105、ニーテスト:それはたしかに重要な検証だな。俺は良いと思うぞ】


『サバイバー:じゃあ、やってみよう』


 サバイバーは木の幹の裏側に隠れて顔だけを出し、こそっと水のナイフを作り出した。

 すると、タヌキが2匹とも地面から顔を上げたではないか。魔法の発生源はわからないようだが、発動したことだけは気づいたようだ。

 サバイバーはすぐに水のナイフを消すと、タヌキはキョロキョロと周りを見回して、また地面に鼻をつけた。


【112、名無し:魔法に敏感なのか。さすが異世界の動物だな】


【113、チャム蔵:あっ、俺たちが襲われたヘビも氷の神子の魔法でビビったのかもしれないな】


 チャム蔵はルミーナ草を発見したメンバーだが、その際にヘビに追跡されたような気がした。確実に追跡されたかは不明だ。

 その際に氷の神子が冷気の魔法を放ったので、それでヘビが恐れをなしたのではないかと考察した。


『サバイバー:ヘビはかなり敏感な生き物だから、異世界のヘビなら魔力探知機能があっても不思議じゃないかもね』


【115、クラトス:面白いな。ということは、賢者の存在やウインドウも魔法的な活動なんじゃないか?】


『サバイバー:なるほど、たしかに俺の存在もウインドウも魔法が関わっているはずだね』


【118、ニーテスト:良い機会だ、それも検証しておこう。時間は大丈夫だろう?】


『サバイバー:4時間もあるし、大丈夫だよ』


 サバイバーはさっそくウインドウを出し入れしてみる。しかし、それに対してタヌキたちはなんのアクションも起こさなかった。


 ついでに賢者召喚もしてみることにした。

 サバイバーが背負うカカロン人形に、先ほど検証を提案した竜胆を召喚してみる。


 竜胆は賢者ナンバー301番で、最後に登録した賢者だった。ちなみに、301番なのはアルカスが追放されて欠番となったからだ。つまり13番は永久欠番となる。


 賢者召喚はさすがに反応を見せるかと思われたが、意外にも動物たちは気づかなかった。召喚の際には光も発生するのに、動物たちには見えないのかもしれない。


『竜胆:ぴゃ、ぴゃあああ、ほ、ほ、本当に異世界なのか!?』


『サバイバー:信じてなかったのに検証を提案したのかい?』


『竜胆:な、中条さんに勧められて君の過去動画はいくつか見た。しかし、AI生成のCG動画シリーズを視聴して、みんなで異世界ゴッコをするサイトなのかと思っていた』


『サバイバー:はははっ、それは真っ当な思考だよ。それで感想は?』


『竜胆:最高に面白い。微力ながら全力で協力するよ』


『サバイバー:君は最後の賢者みたいだから一応言っておくけど、俺たちの王はミニャちゃんだ。あの子のために頑張ってほしい』


『竜胆:もちろんだとも。クエストとやらを受ける時は、必ず挨拶に行こう』


 などと竜胆は宣言するが、検証のための召喚なのですぐに送還されてしまった。無念。


★賢者メモ 動物について★

『魔力察知』

・異世界の動物は魔力を察知する。その能力が種による特性なのか個体によるのかは不明。

・ウインドウと賢者召喚は魔法としての隠密性能があるかもしれないが、検証を重ねたい。

★・★・★




 検証を終えたサバイバーは再び目的地へ向けて走る。


『サバイバー:やはりゴブリンの集落に接近しているのに、普通に小動物を見かけるね』


 ここまでに、サバイバーは小動物をそこそこ見つけていた。

 タヌキほどの大きさの動物はあの2匹だけだったが、リスやネズミ、蝙蝠といった小さな動物は結構いるのだ。


【176、カーマイン:ゴブリンが昼行性の可能性が増しましたね】


【177、覇王鈴木:だけど、活動時間がぶつからないからって、わざわざゴブリンの近くにいるか?】


【178、竜胆:それは森の勢力図の問題ではないかな? 狼の縄張りでは逆に夜行性の小動物が少なくなるのでは?】


 賢者は多いので、考察は捗る。

 しかし、考察は所詮考察であり、やはり周辺の調査が必要だ。

 賢者たちはメモを取りつつ、優先順位を考えていく。誰もが真剣にミニャのオモチャ箱と向き合っていた。


 やがてサバイバーはゴブリンの集落に到着した。

 さすがに人形を背負っているので1時間で到着とはいかなかったが、それでも早い方だ。


 まずは集落の周りを一周回ってみることに。


 ゴブリンの集落は雑な垣根に囲まれているのだが、昼間はよく観察できなかった。改めて観察してみると、その造りがわかった。

 どうやら木と木の間にツルを張り、それに草や枝を寝かせているようだ。作られてからいくつかのシーズンが過ぎていそうで、草木が枯れて穴だらけだ。手入れなどはしないのだろう。


 そんな垣根を半周すると、西側に入り口があった。


『サバイバー:見張りがいるね。寝てるけど』


【251、覇王鈴木:これは凄く攻めやすそうだな】


『サバイバー:とりあえず残りを見て回るよ』


 結局、入口は西側の一か所だった。ただし、垣根がボロいのでゴブリンが内外を行き来していると思われる個所は数か所見つかった。しかし、それらの場所に見張りはいないので、防衛はザルである。


【270、ニーテスト:西側に入り口を作るということは、ミニャのいる河原は本当に魅力を感じていないのかもな】


【271、名無し:どういうこと?】


【272、ニーテスト:ゴブリンたちにとって、近くを流れる暗い川の方がメインってことだ。ミニャの方の川を重要視しているのなら、心理的にそちらへ入り口を作るだろう】


【273、名無し:あーなるほど、たしかにそうかも】


 集落の周りの地形を確認すると、サバイバーはスレッドに意見を求めた。


『サバイバー:さて、どこに秘密工房を作る?』


 そう、これからサバイバーが背負うカカロン人形に賢者を宿し、ゴブリンの集落の近くで人形を増産させる予定であった。

 今晩中に討伐は無理だろうが、この秘密工房で作られた人形で監視をするつもりだ。


【290、工作王:川の近くがいいかな。川の石を使いたい】


『サバイバー:じゃあ良い場所があった。そこにしよう』


 サバイバーは集落の北西に移動した。


『サバイバー:ここがいいだろう。ここなら入り口を出るゴブリンと、北東方面に向かうゴブリンをカバーできる』


 集落から北東方面にはミニャの家がある。

 一番カウントしたいのはそっち方面に行くゴブリンの数だが、西の入り口から出たゴブリンがどこに向かうのかも見ておきたい。なので、北西の位置取りに文句がある賢者はいなかった。


【298、ニーテスト:では予定通りに賢者召喚するぞ】


 カカロン人形に召喚されたのは、チャム蔵。


『チャム蔵:おふ……くせぇな』


『サバイバー:ゴブリンの臭いだよ。まあ、穴を作れば土の臭いで紛れるでしょ』


『チャム蔵:そんなもんか。それで、どのあたりに作ればいい』


『サバイバー:この茂みの後ろがいいよ。穴をカモフラージュできる』


『チャム蔵:了解』


 そこは1mほどの断層が横に続く場所で、地質も穴を掘るには良さそうだった。サバイバーが指定した場所には茂みがあり、チャム蔵はその後ろに土魔法で穴を掘り始めた。


『サバイバー:それじゃあニーテスト、俺と交代で誰かを派遣してくれ』


 穴掘り作業も楽ではないので、サバイバーの代わりにもう1人土属性を派遣することになっていた。

 派遣されたのはモグラという土属性賢者。土木関係の仕事をしていた経験があり、こういうことは得意だった。


 2人は協力して穴を掘り始める。


 さて、秘密工房を作っている最中のことだった。

 スレッドで、ニーテストから報告が挙がった。


【352、ニーテスト:みんな、ちょっと報告だ。たったいま日付が変わったが、工作王たち影響制限がマックスになった賢者たちのクールタイムが終わったのを確認した。たぶん、他の生産属性も同じだろう】


【353、ネムネム:やったーっ(*’▽’)これでまたミニャちゃんと遊べる!】


【354、工作王:ああ、俺の方も確認した。間違いないな】


【355、ふともも男爵:やったー! またミニャちゃんのために働ける!】


 秘密工房が作られている間に検証会が始まった。

 深夜なのにみんな元気いっぱいだ。ネットのせいで夜行性になっちゃった動物たちなのだろう。


 工作王やネムネム、ふともも男爵だけでなく、生産属性はかなりの人数が『影響制限:生産』によって召喚不可状態になっていた。しかし、0時を過ぎたことで、その全員の召喚不可状態が解除されたようだった。


■賢者メモ 賢者召喚について■

『影響制限のルール』

・影響制限の項目がどれか一つでも100Pに達した賢者は召喚不可状態になる。

・この状態は、日本時間0時で解除される。

・また全ての賢者が仕事をして溜めていた影響制限も0時でリセットされる。

■・■・■




 みんなでワイワイしている間に、秘密工房が完成した。


 通路は幅20cm、高さ30cm。その通路を200cmほど進むと、縦横100cm、高さ40cmの空間に出る。壁は『穴掘り・圧縮』によって強度が高められた。

 作業場の一角には石で作られたプールがあり、水を溜められるようになっている。


 お役目御免となったチャム蔵とモグラは、次の任務を担う賢者たちとバトンタッチ。


 花崗岩人形に宿ったサバイバーと、カカロン人形に宿った生産属性のハイイロという賢者だ。

 サバイバーは秘密工房へ黙々と石材を運び入れる。石材系の人形の材料だ。

 この石材で2体の人形を作れば、花崗岩人形やカカロン人形と合わせて4体。これだけあれば、人形をどんどん製作できるようになる。


 ブリザーラたちが発見した賢者召喚のルールに則り、この秘密工房で人形を増やし、明日か明後日にでもゴブリンを根絶やしにする算段なのである。


 石運び作業が終わると、サバイバーはハイイロにコメントする。


『サバイバー:それじゃあ寂しいかもしれないけど、そっちはよろしく』


『ハイイロ:ははっ、たしかに寂しいけど、重要な任務だからな。あっ、何かに使うかもしれないから、ここに水だけ出しといて』


 ハイイロは、これから一人でこの秘密工房で人形制作に入る。BGMなどないので、かなり寂しい作業だ。


 一方のサバイバーは、ゴブリンの集落へ潜入しようとしていた。

 根絶やしにするためにも、まずは夜の偵察が必要なので。



読んでくださりありがとうございます。


ブクマ、評価、感想、大変励みになっています。

誤字報告も助かっています、ありがとうございます。

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何度目か忘れた読み返し中 >>『竜胆:な、中条さんに勧められて君の過去動画はいくつか見た。しかし、AI生成のCG動画シリーズを視聴して、みんなで異世界ゴッコをするサイトなのかと思っていた』 優秀な竜…
[良い点] ゴブリン死すべし死ねー! [気になる点] 初期組の中で女神の導き受けてないのにやべー奴っているんかな?
[一言] シミュレーションゲームみたいになって来た。 敵の拠点の近くに前線基地を作るとかワクワクしてくる。
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