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ミニャのオモチャ箱1 〜ネコミミ幼女と訳アリ賢者さんたちの楽しい異世界開拓記〜  作者: 生咲日月
第1章

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1-26 夜の探索1

本日もよろしくお願いします。


■■■■■■■■■■■■■■

開始時刻 22:00

仕事:夜間探索 第1班

人形:赤土人形

募集人数:3人

条件:一度でも召喚された賢者

達成条件:探索し、帰還する。


説明:

 夜間の森林探索を行なう。

 30分の探索を行ない、その後、拠点まで戻ってくること。

■■■■■■■■■■■■■■


■■■■■■■■■■■■■■

開始時刻 22:00

仕事:見張り

人形:赤土人形

募集人数:9人

条件:一度でも召喚された賢者

達成条件:東南北の所定の位置で50分間の見張りを行なう。


説明:

 3人1組で50分間の見張りを行ない、拠点まで帰還する。

 有事の際には魔法の使用を許可。それ以外は不許可。

 また、西のゴブリンの森の見張りは別途特別なクエストとして発行する。

■■■■■■■■■■■■■■


 ミニャから召喚権限が与えられたニーテストによって、このようなクエストがたくさん作られていた。ほかにも人形作りや魔法研究など、たくさんのクエストがある。


 また、同じく召喚権限がある工作王は、まだ召喚されたことのない賢者たちに向けたクエストを作っていた。


 さて、探索クエストをゲットして召喚された3人。

 パットマン、スモーカー、ブリザーラだ。


 3人はミニャのお家の中でむくりと起き上がる。


『パットマン:君たちも第1班かい?』


『スモーカー:ああ』


『ブリザーラ:そうっすよ!』


 周りには他にも赤土人形がおり、見分けがつかないので同じタイミングで起きた3人ということで推理して合流した。


『パットマン:まずは謁見しよう』


『ブリザーラ:ミニャちゃん陛下の寝顔っすね!』


 ミニャのお家はワンルームである。


 入り口を入るとすぐ横の壁に暖炉があり、その前に人形作りの制作工房がある。壁際には人形がたくさん並んで寝かせてあり、それぞれが召喚の時を待っていた。


 人形は声を発さないので、その仕事ぶりは静かなものだ。むしろ、カマドの薪が爆ぜる音や川の音の方が賑やかなくらいである。


 ミニャの寝床は入り口から離れた場所にあった。暖炉のそばには草の寝床を敷けなかったので、必然的に離れた場所に設置されたのだ。

 ワンルームだが、工作班が人形を作っているため影が動いてチカチカするので、寝床スペースは低い石壁で遮光されていた。

 その石壁の入り口では、近衛隊が木の棒を持って不埒者がいないか目を光らせている。


 パットマンたちが近づくと、近衛の賢者はビシッと敬礼した。この女性賢者はリアルでは普通のオタク女子大生だったが、役職がさっそく人を変えているご様子。


 寝床では、草のベッドの上でミニャがすやすやと眠っていた。


 近衛隊が案内して、パットマンたちはミニャの御尊顔を拝謁する。

 すると、ミニャが「うにゃ……」と寝言を言いながら、ネコミミをにゃんこハンドでシュッシュと掻いた。


『くのいち:ふぉおおお、まさに天使!』


『乙女騎士:はぁー、癒されます』


 近衛隊の女子たちがキュンキュンする。

 これが近衛隊の業務。極めてホワイトである。


 なにか仕事らしい仕事をしているのはネコ太と見張りくらいだろうか。ネコ太は15分置きに『健康鑑定』を行ない、異常がないかチェックしている。


 だが、ミニャを見てキュンキュンする役目も実は必要だった。この家は隙間があるので、そこから毒蛇でも忍び込めば一大事だ。キュンキュンしている彼女たちだが、実のところちゃんと役に立っているのである。


 ちなみに、フキダシやウインドウは特に発光していないのに、暗闇でも不思議と見ることができた。ただし、逆に発光しないので光源にすることもできなかった。


『スモーカー:か、可愛い……』


『ブリザーラ:これはちょっと反則っすね』


『パットマン:ありがたや、ありがたや』


 参拝者の3人も激しく萌えた。


 幼女の寝所によくわからない人を入れるのはどうかという意見もあるだろう。しかし、こうすることで忠誠心が上がるのもまた事実。

 そう、これはミニャに直接召喚されなかった賢者に、自分たちの主が誰で、自分たちが誰を守らなければならないのかを知らしめるための謁見なのである。希望すれば誰でも受けられる。


 寝ている間に忠誠心を爆上げするミニャ。寝ぼけてニャーニャーすれば尚良し!


『くのいち:謁見の時間は終わりです』


『スモーカー:え、あ、はい』


 しかし、3人は1分ほどで追い出された。

 そうしてミニャのお家から外へ出てみれば、目の前に広がっているのは不気味な夜の河原の風景。温かなお部屋の中では涼やかだった川の音も、今では恐怖のBGMにしか聞こえない。


『ブリザーラ:すみません、オイラもミニャちゃん陛下の警護でいいっすかね?』


 昼間ですら同じようなことを言う賢者が割といたのに、夜ともなれば冗談ではなく本気である。天使の寝所から魔界へ放逐される、そんな心境だった。


 しかし、夜間探索の視覚的な怖さは想像すればわかることなので、クエストを受けたのなら任務に就かなければならない。

 3人の生放送を見ている賢者たちからは、『早くいけよ、チキン!』『っすっす、うるせえんだよ、とっと逝け!』『腰抜けが!』と煽りの言葉が乱舞する。なお、この賢者たちは同時刻に行なわれている定例会議にも参加しているので、かなり多忙だ。


 3人はしぶしぶと夜の森へと繰り出した。


 幸いにして、人形は暗視能力が備わっていた。ミニャを守るために必要だからだろう。

 しかし、それは昼のように明るく見えるわけではなく、夜に近い日暮れ程度の視覚である。


 そんな明度の視覚で見る夜の河原は、おしっこが出そうになるほど不気味な暗さだった。蛍がいて、ふわぁ綺麗、みたいなロマンチックさはない。むしろ、水辺に半透明の老人でも座っていそうな光景だ。

 そこから森へと視線を向ければ、同じような明るさの森が見える。やはり、斧を持った仮面の男が追いかけてきそうな光景であった。


『パットマン:探索ルートはわかってる?』


『スモーカー:斜面を登ってから森の奥へ行くんだろ』


『ブリザーラ:死に戻りってちゃんとあるんっすよね? 万が一があっても大丈夫っすよね?』


『スモーカー:や、やめろよ、縁起でもない』


『パットマン:まだ死者は出ていないけど、さすがに大丈夫だと思うって意見が多いね。魔力と同じで激しい空腹に襲われるくらいじゃないかって』


『ブリザーラ:第一号にはなりたくないっすね』


『パットマン:それは僕も思っているけど。まあ考えていても仕方ないから行こう』


『ブリザーラ:怖気づいていても始まらないっすね! レッツらゴーっす!』


『スモーカー:古いんだよな』


『パットマン:10年ぶりくらいに聞いたね』




 3人はお家の横の斜面から森へと向かった。

 5mほどの斜面を登り切ると、すっかりちゃんとした見張り台へと変わった木の上に3人の賢者がいた。

 一緒にいるのに会話をしている様子はなく、それぞれが背を向けてスレッドに書き込みながら、川と森の両側を見張っている。異世界にいるのに、何ともコミュ障らしいほっこりする光景だった。


 彼らが書き込んでいるのは、現在進行形で行なわれている定例会議のようだ。


『パットマン:お疲れ様です』


『天風:あ、お疲れ様です』


『バロン:お疲れ様』


『ロリエール:我らの全てはミニャちゃん陛下のために』


 1人、ヤバい奴がいる。

 魚獲り班にもいたロリエールだ。


『天風:これから探索?』


『パットマン:ええ、僕たちは探索班です。これから森の奥へ向かいます』


『天風:おー、いいねー』


『バロン:いや、いいか? めっちゃ怖いけど』


 森に視線を向けるバロンにつられて、3人も森を見る。

 微妙に真っ暗でないあたりが、完全にホラー映画の明度である。


『スモーカー:よし、帰るか!』


『パットマン:い、いや、さすがにダメだよ。クエストを受けたかった人は他にもいたわけだし』


『スモーカー:うぅ……』


『ブリザーラ:3人はこんなところでジッとしてて怖くないんすか?』


『天風:見張りをしながら定例会議を見ているし、そこまで怖くないかな。じっとしてればいきなり襲われることもないだろうしね』


『スモーカー:何かいたか?』


『バロン:森のほうは異常なしだよ』


『天風:川は小さな動物がちょろちょろしているのを見たけど、向こうの森に入っていったね』


『ロリエール:幼女形態の妖精さんとかいないですかねぇ。お友達になりたいものです』


 5人はこの人物が人形に宿っていて本当に良かったと思った。一緒の見張りについている2人は特にそう思っていた。

 この暗がりで彼の本体がそばにいたら、完全にサスペンスホラーの序章だった。


 見張りから情報を貰って、3人は探索をスタートした。

 彼らのルートは斜面の上の森を奥へと進む。他にも川沿いに上流と下流に向かう班もある。


『スモーカー:あいつら凄いな。よくあんなところでジッとしてられるよ』


『パットマン:暇そうな役割だけど、いずれは僕たちもやることになるんじゃないかな。300人しかいないわけだし』


 クエストの張り出しは21:30だったが、現在は22:00過ぎ。クエストに参加している3人も、すでに先行登録が終わっていることを知っていた。


『スモーカー:見張りかー』


『ブリザーラ:おいらは断然探索の方が良いっすねー』


『パットマン:まあ、残っているクエスト次第なんじゃない?』


『ブリザーラ:たしかにそうっすね。でも300人しかいないのなら色々なチャンスがありそうっすね』


『パットマン:うん。でも、ミニャちゃん陛下にとってはもっと人が多い方がいいかもしれないけどね』


 賢者にとってはライバルが少ない方が断然良いが、ミニャにとっては兵士がたくさんいた方が良いだろう。なかなか難しいところである。


 3人は怖さを紛らわせるようにフキダシで会話をしながら、探索を続けた。



読んでくださりありがとうございます。


ブクマ、評価、感想、大変励みになっています。

誤字報告も助かっています、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 参拝者は草 陛下から女神へ格上げじゃあ! [気になる点] ロリを応援する、それがロリエール。 [一言] あーうん、確かに人形で良かったなw
[一言] え、ロリエールが怖かったって話?>前回の引き
[一言] とりあえず一気読みしました。 率直な感想 ・ミニャが空気 ・実は人形の設定説明回が続いてるだけで物語がない
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